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『赤と白とロイヤルブルー』(2023)
監督/マシュー・ロペス

アマプラ限定配信。アメリカ大統領の息子とイギリス王室の次男は犬猿の仲で顔を合わせると喧嘩が始まる。だがイメージアップの為に共に過ごすうち、かけがえのない相手になって…というラブコメ。

いわゆる「BL」的なラブロマンスを、歴史と伝統を重んじるイギリス王室の在り方とアメリカ大統領選挙に絡めて描かれており、恋愛描写以外もとても楽しめた。勿論、恋するふたりが最高に可愛くてずっと最高だった。なんならもっといちゃいちゃしてくれてもよかった。

同じく犬猿の仲から始まる韓国ドラマ『海街チャチャチャ』は喧嘩のシーンが楽しくて「もっと喧嘩しててくれ~!」と思ったのだけど、今回は割と序盤に犬猿ではなくなるせいか、愛情表現の演出レパートリーが豊富だった気がする。甘い言葉の応酬がシャレていて好きだった。

字幕もあったけど吹き替えで鑑賞。もともと小林親弘さんの声が好きなんだけど堪りませんでした。ラブコメは観てると叫びたくなるんですが、叫ぶ代わりにMisskeyでずっと呟いていたので、よければご参照ください。
misskey.yukineko.me/notes/9ia7

『ヘアスプレー』(2007)
監督/アダム・シャンクマン

1960年代、人種差別が続くアメリカを舞台にしたミュージカル映画。ずっと見たいと思っていたので見られてよかった。リメイク作品だったの知らなかった。

オープニングの歌が始まった時から「あ、これはええ作品やわ」とおもっていたけど最後までずっとハッピーなお話で、歌とダンスも最高で、観ていてすごく元気がでた。いまの自分自身がどんな姿でも、その背中をバシーンと叩いて肯定してくれるような力強さがあった。

改めて、この映画が2007年の映画ということを考えると、15年経っても世界はまだこんな調子なのかと思う。なにもかも、おとぎ話のように簡単に変わらない。それでもその年の分だけ私達は年老いて、多少は利口にもなって、間違いなく未来を作りながら歩いている。いまいるここは、もうこの世にはおらず、共に歩けなくなった人たちと共に作ってきた未来の世界。私達は歩き続ける。

この物語はおとぎ話だけど、今も昔も、闇の時代を生きる人の心にちいさな光を灯してくれると思う。展開がご都合主義すぎひん?とか主人公がエエ子ちゃんすぎちゃう?とかイチャモンはいくらでもつけられるけれど、それ以上に大事なものが詰まっている。これは高校生の夏休み必修映画にしたほうがいい。

『ニモーナ』(2023)
監督/ニック・ブルーノ、トロイ・クアン

twitterで評判を聞いて観てみたかった映画。序盤のスピード感やコメディのセンス、古今東西名作パロ(ゴジラもある!)がとても楽しかった。あとなんの理由付けも説明もなしに男性同士のカップルが登場したのもよかった。

ニモーナは何にでもなれる。強くてユーモアがあって、誰にも負けないすごい力を持っている。何だってできる、でもそれゆえに、皆から嫌われる。何者にもなれるニモーナは、何かに成れず、コミュニティに属することができないから。
「君は何者なの?」「ニモーナだよ」
何度か繰り返されるやり取り。ニモーナは何度も「何者」かを問われ、その度に「自分はニモーナだ」と答える。他の何でもないと繰り返す。

終盤、自らの命を絶とうとした「怪物」は、恐怖と憎しみで街を焼こうとする兵器に立ち向かって消えてしまう。結局自己犠牲か?そうではない、きっとそうしたかったからしただけだ。街を助けるためじゃない。恐怖と憎しみにムカついただけ。結果は同じでも、全然違う。

街の人々は『壁の外には怪物がいる』と1000年間信じていた。でも彼らが怪物と呼ぶニモーナは最初から壁の内側にいた。いなくなってから花を手向けて何になる?我らはすでにともにあるのだ。

『生きる LIVING』(2022)
監督/オリヴァー・ハーマナス

黒澤明『生きる』のリメイク。飛行機の機内で二回に分けて鑑賞。機内でもらえるイヤホンの性能のせいか、高音がキンキン響いてせっかくのBGMがあんまり楽しめなかったので、今度は万全の環境で観たい。

昔の映画風の雰囲気も大好きだったし、イギリスの街並みや公園の情景が美しくてだいすきだった。なにより主演のビル・ナイのお芝居が本当に素晴らしかった。感情を抑えた演技から孤独が滲んでいて、派手さは一切ない映画なのに画面から目を離せなかった。

『ゴンドラの歌』に変わるスコットランド民謡もよかった。歌詞がとてもよかった。昔を慈しみ、今まだ生きている自分を慰める歌だった。ラストシーンを思い出したら泣けてきた……。

原作映画の一番好きなシーンはハッピーバースデーの所なんだけど、終始抑制的な映画だったので、無くなっていたのは逆によかった。原作もだいぶ忘れているのでまた観たい。

世界的に有名な名作映画のリメイクは大変だったろうなあ。脚本も演出も演技も音楽も全部よかったです。

『GODZILLA 怪獣惑星』(2017)
『GODZILLA 決戦起動増殖都市』(2018)
『GODZILLA 星を喰う者』(2018)
監督/静野孔文・瀬下寛之

作業しながら鑑賞。この手のお話は必ず科学者ポジションの人が好きになるんだけど、もれなくマーティン少佐が好きでした。

これは『シン・ウルトラマン』を観た時にも似たような感情を抱いたのだけれど、「前地球人類は愚かだから滅んでも仕方ないね」という感想になった。それでいいのか…いや、作品としては徹底して「人類は愚か」でまとまってるし大正解なんだろうけれど、面白いかと言われると微妙。

一作目では、人類の母数が激減して絶滅寸前なのに母なる惑星・地球に固執して僅かな兵力で消耗戦をしかけている主人公に共感がほぼ一切できなかったんだけど、いや百歩譲って共感はともかく応援すらできなかったんだけど、それでいいのか…?

二作目では過酷な環境に独自の適応を遂げた知的生命体が歪ながらも生態系を築きあげているので侵略では…って気持ちが消えなかった。あと作戦の土壇場でカノジョを助けに行ったりと、なんというか…それで…よかったんか? 人間らしさを棄てずに行動したということなんだろうけどそれまでの犠牲や作戦規模を考えると納得いかない…。

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(2019)
『ナイブズアウト:グラス・オニオン』(2022)
監督/ライアン・ジョンソン

最高〜〜〜〜〜〜〜!!!!!
天才〜〜〜〜〜〜〜!!!!!

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』も大好きなんだけど、こちらは全く毛色の異なる古典的探偵もの。画面からレトロさがにじみ出るカットに現代的価値観の問題が絡む脚本と演出で、隅から隅まで楽しめる娯楽映画だった。

世界一の名探偵と称されつつも、どこか胡散臭くてつかみどころのないブノワ・ブランが好きすぎる。一作目・二作目ともに女性が協力者だしダニエル・クレイグが演じているので実質胡散臭いジェームズ・ボンド。

紛うことなく超極上の娯楽映画ではあるのだけれど、一作目では移民問題、二作目では大富豪に忖度する成り上がり権力者たち(そして伏せられる不都合な真実)というテーマが絡まっていて、社会性も反映されているのが凄いし大好き。

三作目も準備中らしい。嬉しい……。
過去作の配信もおねしゃす……。

『生きのびるために』(2017)
監督/ノラ・トゥーミー

いつかは観なくてはならないと思っていた映画。もうすぐネトフリ公開終了なので急いで観た。以前読んだ『私のペンは鳥の翼』は、本を開けば女が逮捕される環境で文字通り命をかけで執筆されたのだなと思いながら観た。辛かった。

女であるというだけで外を自由に歩けず、買い物もできず、家長がいなくなれば飢えるしかない生活って、理不尽すぎてすごいな?なんでこんなものが現代で許されてるんだ?なんで???でも私はこの環境に、女が男にしいたげられ、こどもはおとなにこき使われ、戦闘機が頭上を飛び交い、明日戦争が始まる状況に、無知と無関心によって加担している側でもある。しんどかった。

序盤で「お話は役に立たない」と吐き捨てた主人公が、終盤でおはなしの力により道を開く展開が泣けた。おはなしは、アニメには、道を開く力がある。そう信じて作られた作品だなと思った。死んだ兄、死んだ妻、語られることのない大勢の喪われた人たちが見守るような青い月夜のラストが、悲しくて優しかった。

いつかお金を溜めて海に行くのだ、と夢を語る子供たち。戦闘機の下で交わされた「またね」の別れの挨拶が、どうか、必ず叶いますように。

『おやすみ、オポチュニティ』(2022)
監督/ライアン・ホワイト

アマプラ限定配信。90日間の運用を想定されて設計・開発された双子の火星探査機「オポチュニティ」と「スピリット」、火星着陸から15年間のドキュメンタリー。

メチャクチャよかった……。開発者たちがオポチュニティのことを「彼女」と呼んで、我が子のように慈しむ姿に見ているこっちも泣けてきた。AI議論のときによく持ち出される「海外は日本と違ってロボットに親しみがないから云々」ってやっぱ嘘やん!と思うなどした。映像のなかのオポチュニティが愛嬌があって愛らしい。あの鳴き声(通信音?)って本物なのかな。可愛い。

NASAでは宇宙飛行士を起こす為に地上から「朝のお目覚めソング」を流す伝統があるらしく映画内でもABBAの曲が流れていた。2015年の映画『オデッセイ』では主人公を励ますように始終ダンス・ミュージックが(当然ABBAも)流れているのだけれど、偶然なんだろうか。

『DUNE/デューン 砂の惑星』
監督/ドゥニ・ヴィルヌーヴ

観終わったあと「これ序章やん?!!」って叫んだ。ここから始まるのね。最初は勢力図がつかめなくて良く分からなかったけれど、見ごたえがあったし世界観も魅力的でメカもよかった。トンボ型の乗り物がすごく好き。

「異星の砂漠」の広大さと砂の描写の美しさに見とれた。真逆の環境だけど、過酷で美しい自然は『レヴェナント』を思い出した。スローモーションも多いし抒情的な雰囲気で、スターウォーズ適菜SFドンパチ映画と思って見たら肩透かし喰らった。星を支配する帝国との闘い的要素があるのも特に。

主人公がこのままこの星の救世主になってええんやろか……とモヤモヤしていたんだけれど、北村紗衣先生のブログに全部書かれてあった。「『アラビアのロレンス』っぽい白人酋長ものの気配」これだ……。
saebou.hatenablog.com/entry/20

『ブレット・トレイン』(2022)
監督/デヴィッド・リーチ

金をかけてタランティーノ的B級映画になろうとした凡作。伊坂幸太郎小説の映像化作品に成功した作品はないと思っているんだけれど、その論拠を一つ増やすことに貢献した映画だった。

トンチキ日本描写が話題だったけれど、トンチキ加減が20年位時代遅れのセンスでしんどかった。雨と霧とネオンのギラギラビカビカした日本像をいまも抱いてるのって、かつての栄光を知る日本人くらいでしょうよ。だっせえ。

ラスト15分位はまあまあ面白いし、真田広之の殺陣もあるし、ブラピの泣きべそ顔が可愛いし、サンドラ・ブロックも拝めるんだけれど、そこまで110分間我慢しなくちゃいけなかったのがしんどかった。その110分のなかにも10秒ずつくらいは要所要所でおもしろシーンがあって完全な駄作にもなり切れていないのがまたダサかった。

個人的に伊坂幸太郎と村上春樹は実写化じゃなくてアニメ化のほうが向いてると思っているので、アニメでやってほしい。『魔王』とか。

『オーシャンズ8』(2018)
監督/ゲイリー・ロス

初見ではなく二度目の視聴。派手な格闘もドンパチも一切なく、頭脳派ながらも古風な手口でスタイリッシュに颯爽と宝石を盗んでいく姿があまりにも尊い。拝んだ。会話のセンスが最高オブ最高で序盤からずっと悶えていた。あのセンスは一体どんな爪の垢を煎じて飲めば出てくるんだ。私にも飲ませて欲しい。

全然関係ないけど、デビーがルー(※この二人の関係も最高なんだな)を引き込むシーンの「食いつきなさい」に『七人の侍』のお茶碗のシーンを思い出していた。映画のごはんは名シーン。

2010年代中盤は『ゴーストバスターズ』のリブート版や、フェミニズムを強く意識した『マッドマックス/怒りのデスロード』があったりと、これまで男性の物語だった人気シリーズを意図的に女性の物語にした作品が出てきたけれど、最近やらないのかな。続編やってほしいなー。

『雨を告げる漂流団地』(2022)
監督/石田祐康

テーマよし。キャラデザよし。作画よし。音楽よし。雰囲気エモエモのエモ。
なのにどうしてこんなに面白くないんだ?????

序盤30分は結構わくわくしたんだけれど、それ以降が壊滅的に面白くなかった。なんだろうなあ、ロビンソン・クルーソー的な冒険と、喪失を抱えた心の描写が、うまいこと噛み合ってなかった感じがする。アクションシーンは見ごたえがあったんだけど、心の描写が薄味…というか、気合入れるとこそこちゃうねん、もっと関係性をちゃんと見せて欲しいねん、ってなった。

にしてもこの話、90分に収まったとおもう。無駄に引き延ばしたシーンが多い。例えば『のっぽくん』の正体は序盤からまあだいたいどっちかやな、って見当が付いてたし、いっそのことさっさと教えて欲しかったなあ…。ノスタルジーに訴えかける内容なので、その辺の機微を知らない小中学生がターゲットとも思えないし…。

雨が降って廃墟が出てきてオチが「僕達は大丈夫だ」でよく見たらキービジュアルもなんかうっすら『天気の子』感があったので、実質新海作品だったのかもしれない。

『シン・仮面ライダー』(2023)
監督/庵野秀明

真横に監督がいて始終ジッとこちらを見つめて「どや、かっこええやろ」って聞いてくるような映画だった、怖かった。いや怖いほどの偏愛をビシバシ感じたという意味で。ウルトラマンも大概だったけどそれ以上だった。

冒頭30分の演出がまぁ〜〜〜とにかくくどくて(古式ゆかしい特撮風)これが2時間続くのか…?耐えられるのか…?とめちゃくちゃ不安でしたがそこはさすがにそんなことはなく全然問題なくとても面白かった。多分原作履修してる人にならあの「良さ」が正しく伝わったんだろうな…いや様式美は私も感じたんだけど…。

あとは根本的に人間のお話への興味が薄いというか、なんというか。キャラ立てと人間味の描写って別なんだなぁ。
敵キャラの行動原理がゲンドウもガーゴイルもゾフィーもわりかし思考回路が似たり寄ったりなので、何かそういう方向の悪しか設定できないんだろうかと思った。あと「力を正しく(悪人を成敗できるように)使いたい」という決意はそれでええんか。モヤる。

おたくが喜びそうな小ネタを随所に仕込みまくりセルフオマージュ的なことすらやりながら、中盤でヒロインが観客席にむけて「広い世界を知って良かった」と訴えるのはなかなか皮肉やなとおもいました。好き。

『THE FIRST SLAM DUNK』(2022)
監督/井上雄彦

この作品をCGで表現してくれてありがとう、と思ったのは人生二度目(一度目は『宝石の国』)…といっても原作未読なんだけど。バスケのルールもよく知らず原作にも触れていない人間を、コートの中に放り込んで実際のプレーを体験させる、凄い熱量の映画だった。

原作者自ら監督しているためか、紙の手触りを感じさせるCGの質感が絵にピッタリで、よくあるゴム人形っぽさとか動きの硬さを全然感じなかった。(ブルージャイアントですら感じたのに!)試合中のカメラワークが基本的に選手の腰位なので、リストバンドとかユニフォームになった気持ちを味わえた。

大事なものを喪い、居場所を亡くしてしまった人間を「おかえり」って迎えるまでの映画だった。喪失の取り扱いが丁寧だったのもよかったなあ…。りょーちんに恋せざるを得ないストーリーだったけど個人的にはメガネくんが気になります。皆のことをもっと知りたくなるのでこりゃ原作も売れるわ。箱買いだわ。

とにもかくにもとてもよかった。劇場で見て没入感を味わい尽くすべき一作なので、予備知識ゼロでも劇場での鑑賞をおすすめします。

『ヒックとドラゴン』(2010)
監督/ディーン・デュボア、クリス・サンダース

島民全員が屈強なバイキングの島で一人だけ虚弱な主人公が、島の食糧を奪っていく天敵・ドラゴンと心を通わせていく話。

評判は前々から聞いていたけどおもしろかった!ラスト「大ボス倒してハッピーエンドて、それでええんか」とはちょっとおもったけどまぁイモータン・ジョーが倒されたみたいなものとおもえば、実質マッドマックスだったかもしれない。違うか。

2010年のファミリー向けアニメ映画で、異文化理解&家父長制的体制批判を組み込んでるので凄いなとおもったら、監督が『ムーラン』(1998)の脚本のかたで納得だった。一箇所アラジンやなとおもったらアラジンの原案もやってらした。そら名作ですわ…。

原題は『How to Train Your Dragon』だそうで、直訳で日本に輸入されなくてよかったなとおもった。

『BLUE GIANT』(2023)監督/立川譲 


すげぇもん見ちゃった。

脳みそから感想が消し飛ぶ最高のライブ体感映画だった。もう今年の日本アカデミー賞これやろ。すごかった。

上原ひろみが音楽やると聞いて、視聴の際はできるだけ両音質の映画館にいかねばならないと思い、立川シネマシティの極上音響上映で観た。ありがとうシネマシティ。最高。

だいたい予想通りのことが起こるべくして起こる筋立てではあるんだけど、それが面白さを損なわない。音楽を音だけではなく絵でも表現する「光」の演出がとてもよかった。

漫画原作のジャズ作品が、本来静止した絵を動かして命(アニマ)を吹き込むアニメーションによって、魂はそのままに100分間の生を授かったみたいな映画だった。原作読んでないけど多分原作の熱量も相当なものだと思う。

作中繰り返される「ジャズやるべ」は「生きようぜ」ってことだ。一回きりの命を青白くなるまで燃やしつくそうぜ。パートナーを変えながら、手を離したら二度と会えないかもしれない今この瞬間を、何度も何度も生きて死ぬ。今の時代には冷笑されそうな単純なメッセージが、全身全霊の演奏でスクリーンの向こう側から飛んでくる。

応援上映で手拍子したい。なんならペンラも振りたい。頼む…。

『ジョン・ウィック』監督/チャド・スタエルスキ 


伝説の殺し屋が愛犬と愛車を奪われてマフィアに復讐する話。冒頭30分で上記の説明を終えたあとはひたすらガン・アクションが続く最高にヒャッハーでラブリーな映画だった。なんて良い日だ。

いやしかし、しゃーないわ。そら殺られるわ。あんな愛らしいワンコ(しかもジャックラッセルテリア!マスクやん!)を惨殺した者には当然の報いだわ。あのアホボン息子の命の値段はおいくら万円だったのでしょうね。

あとは殺し屋御用達ホテルが素敵好きた。あの場所をめぐって二次創作が捗りそうだし、受付も支配人も「良」い。ただし女性と黒人俳優の扱いについてはまぁ…ウン…ってかんじだった。

シーズン4がもうすぐ公開らしいけど、犬がしあわせに暮らしていたらいいな…。真っ黒いわんわん、地獄の番犬みたいでよかったけど、キアヌに安息の日は訪れるんだろうか…。


『コンスタンティン』(2005年)
監督/フランシス・ローレンス

アマプラのジャンル区分が「ホラー」だったのだけど、ホラーだったの?ファンタジーと違う?
アメリカのホラーはすぐ顔に虫とか湧くけど、その観点ではホラーだったと思う。

風呂場で地獄に行くのと、サランラップの芯で十字架鉄砲作るのと、「父と子と聖霊の御名において…!」ってやつ、皆真似したやろ。小道具や設定に私の内なる中学二年生がざわめいていた。

総じて面白かったんだけど、助手の子かわいそすぎひんか。主人公の役にも立ってたし、助手として今後の成長が期待されるものだとおもっていた。助手の子がかわいそすぎて、後の展開も全部「助手の子かわいそう」に負けた。

あ。堕天使の人?は美しくて素敵だった。ルシファーも好き。
でもちょっとだけ「デビルマンだ!」って思ってた。

なにはともあれ、チェンソーマンのOPでオマージュされた個所が特定できて満足です。


『ハケンアニメ!』(2022年)
監督/吉野耕平

聞いたことのある台詞、見覚えのある演出、オタク心をうまくくすぐる楽しい映画だった。

とはいえですよー。

2022年の映画化なら、アニメ制作現場の低賃金・過重労働問題には触れてほしかったし、作品への情熱を描くなら情熱を維持するための仕組みが今どれほど危機的状況かについても語られてほしかった。作中の難題が全部気合で解決されたのでズコーーーとなった。

あと、中盤の舞台挨拶のシーンだけ異様に情熱をもたない「普通の人」にきびしくて、司会の人がかわいそうだった。女性メインのお仕事映画で「女の敵は女」みたいなことはやめて〜〜〜と胃がしくしくした。それこそ2022年の映画化なら男性司会者でもよかったとおもうので…。

そこ以外は男女比やパワーバランスに気を配って作られていて今時だなと感じたけど、実際現場はどうなんだろう。映画や舞台で起こっているハラスメントの問題はアニメ業界では起こってないんだろうか。

消費者としては2時間楽しませてくれたらそれで元はとれるけど、それだけでいいのか…いやだめだろ…僕たちは絶対大丈夫じゃないんだわ…とおもった。

とりあえず適切なおちんぎんが支払われてほしい。話はそれからだ。


『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』(2022)

こんなにエエ話と思って観てなかった…。
子供が死ぬ話がとことん駄目になっているので情緒がガタガタになった。すごく真っ当なファザーフットの話だった。

日本アニメではあまり見ないタイプの親子の話だな、とおもった。「vs毒親モノ」は増えたけど、たいてい「娘vs母親」で父親は空気のことが多いとおもってるので…ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデンもそんなかんじだったし水星の魔女も強毒性なのは母親で毒父は死ぬし。毒親が認知されて問題視されるようになったのはありがたいけど、親のサポート薄すぎる中で責任ばっかり増やされて、そりゃ毒にもなるわと言う気持ちもあるのであんまり便利に使わないでほしい。閑話休題。

ディズニーアニメ映画へのリスペクトがありつつ、全体主義への批判要素があって世相を映しているなぁとおもった。

ラストが哀しかった。でも、誰もがああなる。
哀しいなぁ…。

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