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『ニモーナ』(2023)
監督/ニック・ブルーノ、トロイ・クアン

twitterで評判を聞いて観てみたかった映画。序盤のスピード感やコメディのセンス、古今東西名作パロ(ゴジラもある!)がとても楽しかった。あとなんの理由付けも説明もなしに男性同士のカップルが登場したのもよかった。

ニモーナは何にでもなれる。強くてユーモアがあって、誰にも負けないすごい力を持っている。何だってできる、でもそれゆえに、皆から嫌われる。何者にもなれるニモーナは、何かに成れず、コミュニティに属することができないから。
「君は何者なの?」「ニモーナだよ」
何度か繰り返されるやり取り。ニモーナは何度も「何者」かを問われ、その度に「自分はニモーナだ」と答える。他の何でもないと繰り返す。

終盤、自らの命を絶とうとした「怪物」は、恐怖と憎しみで街を焼こうとする兵器に立ち向かって消えてしまう。結局自己犠牲か?そうではない、きっとそうしたかったからしただけだ。街を助けるためじゃない。恐怖と憎しみにムカついただけ。結果は同じでも、全然違う。

街の人々は『壁の外には怪物がいる』と1000年間信じていた。でも彼らが怪物と呼ぶニモーナは最初から壁の内側にいた。いなくなってから花を手向けて何になる?我らはすでにともにあるのだ。

ラストは賛否ありそうだけど、個人的には、「この世界から君がいなくなると悲しい」をやっていたのだとおもう。

あと、戦死者の無念と怒りの表徴である(特に第一作)といわれるゴジラをあんな形で引用してくれてよかったな、の気持ち。ゴジラ映画には鉄板の電車まででてきてびっくりした(破壊はしないけど。)ただし多分オマージュ元は初代ではなくエメゴジとギャレゴジ。それぞれ初登場シーンと橋の上のシーンが似ている。

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