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『シン・仮面ライダー』(2023)
監督/庵野秀明

真横に監督がいて始終ジッとこちらを見つめて「どや、かっこええやろ」って聞いてくるような映画だった、怖かった。いや怖いほどの偏愛をビシバシ感じたという意味で。ウルトラマンも大概だったけどそれ以上だった。

冒頭30分の演出がまぁ〜〜〜とにかくくどくて(古式ゆかしい特撮風)これが2時間続くのか…?耐えられるのか…?とめちゃくちゃ不安でしたがそこはさすがにそんなことはなく全然問題なくとても面白かった。多分原作履修してる人にならあの「良さ」が正しく伝わったんだろうな…いや様式美は私も感じたんだけど…。

あとは根本的に人間のお話への興味が薄いというか、なんというか。キャラ立てと人間味の描写って別なんだなぁ。
敵キャラの行動原理がゲンドウもガーゴイルもゾフィーもわりかし思考回路が似たり寄ったりなので、何かそういう方向の悪しか設定できないんだろうかと思った。あと「力を正しく(悪人を成敗できるように)使いたい」という決意はそれでええんか。モヤる。

おたくが喜びそうな小ネタを随所に仕込みまくりセルフオマージュ的なことすらやりながら、中盤でヒロインが観客席にむけて「広い世界を知って良かった」と訴えるのはなかなか皮肉やなとおもいました。好き。

とまあ、些か辟易しながら鑑賞していた身でも、「仮面ライダーとは哀しみを背負い孤独に闘う者なのだな」というのは痛いほど理解できた。たぶん原作の魂もそこにあるんだろうな。

蠍の姐さんがめっちゃ好きです。ラスボスの所作が美しくて最高。あとバイクが後ろから「ごしゅじ〜ん!」ってかんじで尾行してくるのが可愛かった。バイクとの交流をもっと見ていたかったな。

シンエヴァで一番好きなシーンが「お船が盾になるところ(冒頭)」「種子保存用のコンテナが宇宙空間でたんぽぽの綿毛みたいに開いてふわふわするところ」なんですが、シンライダーでは「バイクが追尾してくるところ」でしたね

人間より物質のほうが魅力的なんだよなぁ…むしろシンゴジのほうが人間のシーンに魅力があったと感じた…

ライダー側は「政府」と密接な関係にあり、その前提のもとで「善」を成すために「暴力」を行使しようとしているのが、それでええんか?と思ったのかもしれない。あと個人的にはいかなる理由でふるわれる暴力も許しがたいんだが。まあそのへんの葛藤も含めて孤独で孤高の「ヒーロー」なのだろうなあ。

思い出したらじわじわと変な映画だったなあという感想になる。決して面白くないことはないんだけど。なんなんだ一体…。

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