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たまたま演目がそうだったからかもしれないが、切々と心情を歌い上げるというよりは、軽快なリズムに乗せて物語を巧みに聴かせていくという感じ。噺自体も面白かった。安珍・清姫って、名前を聞いたことはあったけど、ああいう話だったのか(でもWikiに載っているあらすじとはちょっと違ったけど)。

曲師さんにも色々違いを感じた。まず三味線の音がぜんぜん違う。低い感じ。掛け声の入れ方も掛け声自体も違うし、つねに背後で何か弾いていて、音が止まっている時間がすごく少ない。場内はほぼ満席で熱気いっぱい。20:30終演予定と書いてあったのに19:50で「ちょうど時間となりました~」となったのはご愛敬(新幹線の時間かな?^^)。ともあれ、フォロイーさんが絶賛するだけのことはあるなと堪能した。

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これまでずっと、凄いと思う浪曲師は女流ばかりだったのだけれど、この方と弟子の幸太さんはいきなりわたしのなかで男流の筆頭に躍り出た。少しハスキーな声(ダミ系じゃない)、細やかな節回し。これまで聞いた関東の浪曲は、節の部分も語りの延長に節がついたというか、「何が何して何と~やら~」みたいに一度声を張ってpause。また一節続けてpause。という印象だったのだけれど、幸枝若さんのは違う。まるでヤーレンソーランソーランじゃないけど民謡みたいに、軽快な一定のリズムのもとにぐんぐん引っ張っていく。手拍子したくなるような心地よさ。そして節も啖呵もそれぞれが長い。関西vs関東の違いなのか、この人独特のものなのかはわからない。弟子の幸太さんもとてもお上手だった。啖呵の部分はこてこての関西弁で、「何してけつかる」てなもんで(^^)こっちも軽快。

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【京山幸枝若独演会】2023年11月3日(金)18:00~19:50@浅草木馬亭

幸太「左甚五郎 四天王寺の眠り猫 前半」
幸枝若「左甚五郎 四天王寺の眠り猫 後半」
~仲入り~
幸枝若「恋の道成寺 安珍清姫」
曲師 一風亭初月

京山幸枝若師匠は関西浪曲会の代表的存在(とのこと)。初心者ゆえまったく知らなかったが、ペケッターのフォロイーさんが素晴らしいと絶賛していたので、東京で年2回ある独演会にタイミングよく滑り込んだ。面白かったし本当に素晴らしかった。すごくよかったので、4月の独演会のチケットも買っちゃった。

鼎談
これが興味深かった。落語芸術協会に入っていて、寄席によく出ている太福さんとは違って、ほかのふたりは昨年末/今年夏の神田伯山の芝居の中の浪曲枠で初めて寄席(末広亭)に上がった。そのときの感想が2人でちょっと違って面白かった。木馬亭での浪曲は持ち時間が30分なのに対し、落語の寄席では15分。短い時間で聴かせる浪曲をどう組み立てるかには別の筋肉が必要であり、それを鍛える方法も必要。短い浪曲オンリーを並べ、立川流・円楽党などとのコラボも組み込んだ、木馬亭とは別種の寄席を主催したらどうかという菊春さんの提案に、客席からも拍手。さてどうなりますことか。

はる乃(美舟) 紺屋高尾
これはとてもよかったなー。座ったままであれだけの声が出るって、もうそれだけですごい。高尾が節に乗せて真情を吐露するところは、浪曲ならでは&女性ならではの魅力があるし、噺もよりドラマチックになる。いいものを聴きました。

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【池袋演芸場十月余一会 太福・菊春・はる乃三人会昼の部】2023年10月31日(火)

開口一番 き太(鈴) 不破数衛門の芝居見物
菊春(美舟) 左甚五郎~掛川宿
太福(鈴) 悲しみは埼玉に向けて(三遊亭圓丈原作)
~仲入り~
鼎談 太福、菊春、はる乃
はる乃(美舟) 紺屋高尾

寄席の余一会が浪曲のみなのは初だとか。今日は立ちではなく座ったスタイル。3席それぞれよかったし、鼎談がとても面白かった。

き太(鈴) 不破数衛門の芝居見物
初めて聴いたときより高音がしっかりしたような? ルックスがいいので、実力がついたらすごく人気が出そう。

菊春(美舟) 左甚五郎~掛川宿
夫婦の共演。今日はついたてもなく美舟さんがむき出しだったので、なんだか観ているほうが勝手にどぎまぎ(笑)。菊春さんは今日が二度目で、前回は人情物だったけど、本当はこういうコミカルなほうが好きなのかもしれないと思った。潰れた独特の声がなんともいえないし、今時お目にかからないようなごつい風貌がいいなあ。

太福(鈴) 悲しみは埼玉に向けて(三遊亭圓丈原作)
そういえばわたしも埼玉に8年弱住んでいたんだっけねー、などと思いだしつつ。


【国本はる乃10周年記念 はる乃祭り6日目】2023年10月28日(土)13:00~15:20@木馬亭

はる乃 真柄のお秀
トーク 晴美、奈々福、はる乃
奈々福 天保水滸伝~鹿島の棒祭り
~仲入り~
はる乃 忠治関宿
曲師:美舟

最年少浪曲師(27歳)なのにキャリア10年って凄いなあ。晴美師匠のところには9歳から通っていて、17歳でプロデビューしたとか。最近は前座がどんどん入ってくるけど、それでもはる乃さんがまだ最年少らしい。

はる乃さんの浪曲は、素晴らしい声量で、声がどこまでもどこまでも伸びて、弾むような弾けるような、ノリノリでキレッキレで、こちらまでついウキウキと首や体が動いちゃう。一席目は可愛くけなげな真柄のお秀。二度目だけど、この噺大好きだ。二席目は任侠物で、緊迫の場面では激しい三味線と息ぴったりでカッコよかったー。ついちらちら美舟さんを見てしまった。

トークのとき、療養中でご高齢の晴美師匠が5年ぶりという一節を短く。何て味があって愉快な文句♪ 初心者ファンの私にはもったいないほど貴重な場面だったと思う。ゲストの奈々福師匠の一席、聞くのは二度目だけど、まるで時代劇ドラマを観ているみたいに場面が浮かんで、ぐいーんと引き込まれた。とってもいい会だった😸

とはいうものの、ぶっちゃけ、これで1500円は安すぎる。狭い会場なのに空席もあり(こんなにいい内容なのに!)、曲師さんも入れたら合計6人なわけで、場所代も払うとなると、果たして採算は取れるのかと、余計な心配をしてしまったよ。落語がだいぶ高くなった昨今、浪曲は安すぎるけど、でもまだファンの人口が少ないことの裏返しなのかな。こんなに面白いのにねえ。

(そういえば広小路亭に入るのは今日が初めて。受付に勝千代師匠がいらして驚き、靴もうまく脱げず、アワアワしてしまった😸)

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【浪曲広小路亭 自作自演シンポジウム】2023年10月22日(日)13:00~15:50

天中軒景友(博喜)「古田織部」
港家小ゆき(貴美江)「ディアボロス生命㈱」
木村勝千代(鈴)「ローマの休日」
~仲入り~
創作過程に関する鼎談&質疑応答

もっのすごく面白かった🎇三者三様の魅力溢れる創作浪曲と、創作過程に関する濃いトーク。景友さんは、茶人・武人としての織部の佇まいがカッコいい擬古典的な一席(三味線もカッコよかった!)。小ゆき師匠はSF/ホラー味のある完全オリジナル。笑ってぞっとして考えさせられる(でも「ほんとのところはわからない」)。悪魔のふわキャラと、対照的な節の熱さが最高。勝千代師匠は浪曲版ローマの休日。映画は何度か観たし、筋も知っているのに、素晴らしい声と節に圧倒されてドラマチックさ2倍増し。途中から涙止まらず。トークも興味深くて大満足。第2弾希望!

仲入り後は、昼の部で出番のなかった前座さんを紹介するコーナー。女性2名、男性4名。浪曲らしく、一人一節での自己紹介は、それぞれ個性が爆発してしっかり爪痕を残したんじゃないかしらん。今後が楽しみ。

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奈々福「シン・忠臣蔵」
喬太郎師のカマ手本忠臣蔵を自ら脚色した作品。殿中&討入の背景には、憎しみでも義理でも忠義でもなく愛があったという原作の大胆な解釈はおおむねそのままに、でも下卑ない美しい純愛に変えてドラマチックさが増した感。かつてこれをネタおろししたとき、その場にいた喬太郎師が絶賛したらしいけれど、むべなるかな。原作は浅野の片思いだった気がするけど、奈々福版は吉良のほうも憎からず思っていた設定に変えたのがよかったな。後半の吉良の葛藤と煩悶。人は何のために生きるのかという、浅野が殿中で投げかけた問いに、家臣に殺されて首になるときに初めて答えが出る。首になった吉良が墓の中の浅野と対面するラストは、切なくも温かくて思わず涙。やっぱり奈々福師匠はすごいなあ。でも持ち時間が短かったので、Twを拝見するとご本人もやり残した感があった模様。ぜひフル版を聴いてみたい。

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一太郎
浪曲中興の祖といわれるらしき雲衛門の半生を描いた話。熱演だったけれど、たびたび下に目を落としていたのは何かを読んでいたのかな。ちょっとそれが気になった。

太福
トリ前の「もたれ」という役目に徹し、客席を温め直しつつ時間調整するプロの技。噺は自作の、いつどこで切ってもいいような馬鹿馬鹿しい話ながら、面白かった。続きが知りたいところで、図ったように「ちょうど時間となりました~♪」。進行が押していたのが見事に戻ったそうだ。掛け声の練習なんかもしてね、次に出てくる姉弟子想いといおうか。かっこよかった。

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奈みほ
ブチ切れ女房の啖呵が最高!「このデーブイ亭主!」

すみれ
聞くたびお上手になっている気がする。声に張りがあって、堂々としていて、背が高くスタイルもよく(ルッキズムいかんけど)、赤の着物もひときわ豪華で素敵だった。

はる乃
長州藩士五人が船でイギリスに密航する話。今日もノリノリでキレッキレ。道中づけが国際的で楽しかった。

孝太郎
低音の渋さったらない。

月子
駆け出しファンゆえ初聞きだったけど、声も節も何と美しいことか。聴き惚れた。ベテランの貫禄。噺の内容も面白かった。大ファンらしき高齢男性が、わざわざ後ろの方から前のほうの席に移動して、「声良し、節良し、姿良し!」「月子、最高!」とかずっと掛け声をかけていて微笑ましかった。

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昨日は「第56回豪華浪曲大会」へ。舞台も顔付けも豪華なら、チケットも豪華。私は夜の部のみだったけど、とても楽しかった。もっと入るかとも思ったけど、そうでもなかったのがちょっと寂しいかな。あとで太福師匠が話していたけど、去年まではキャパ1100人くらいの浅草公会堂でずーっとやっていて、でもずーっと入りが半分くらい(600人くらい)だったから、もっと身の丈に合った会場にしようと600人キャパの日本橋劇場に今年から替えたのに、蓋を開けてみればこちらも半分の入り。「去年まで来ていた300人はどこへ消えたんだ!」のお怒りはごもっともw

奈みほ(豊子)「松山鏡」
すみれ(明)「山之内一豊の妻」
はる乃(美舟)「英国密航」
孝太郎(まみ)「江戸相撲蒙古襲来」(作:市川俊夫)
月子(明)「観世家宝肉付きの面」(作:野口甫堂)
~仲入り~
前座お披露目コーナー
一太郎(秀敏)「桃中軒雲衛門~桃源の風雲児」(原作:榎本滋民、脚色:芝清之)
太福(みね子)「地べたの二人」
奈々福(美舟)「シン・忠臣蔵」(原作:柳家喬太郎)

それにしても、昨夜の「鰍沢」のときの会場の静かさは尋常じゃなかった。あの静寂が間違いなく噺の緊迫感に寄与していたように思う。もっと大きな会場なら、皆が口をつぐんでいても何となくざわざわするものだが、凄まじいまでの無音。誰も咳払いも身動きもせず、もちろん携帯も鳴らない。だから本当に小屋の中にいるようだった。

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さん喬・新治二人会@三田落語会へ。よもや今日さん喬師の鰍沢が聴けるとは。狭い会場がそのままお熊の小屋の中に取り込まれ、雪に振り込められた。恐ろしく張り詰めた静けさが充満する中、みな小屋の中で息を詰めてお熊と旅人に見入った。お熊の廓言葉の切なさ。鉄砲を撃つときの紅い蹴出しの美しさ。さん喬師の雪の噺はやはり凄い。悩んだけど行ってよかった。

もう一席は、もう一度聴きたかった応挙の幽霊を今日は鳴り物入りで。酔っ払い幽霊が可愛いんだなー。

新治師の口入屋、最高😸 馬鹿馬鹿しい噺に軽快な関西弁が見事にハマり、漫画のような光景がありあり浮かぶ。

まめだは可哀想でね、おばさんが膏薬を貼ってあげたかったよ😿

勝千代(まみ)「甲州街道桃太郎伝説」
先月の日本橋の独演会でも聴いた一席。あのとき鬼を「退治するかしないか」を客に挙手させて決めて、「退治しない」になったから、今回は「退治する」も聞いてみたいと思ってそちらに手を上げたけど、明らかに少数派で、今日も退治しないバージョン。でもいい。やっぱり退治しちゃだめだよ。酒まんじゅう食ってみんな仲良くいこう。今日はご当地PRにさらに熱が入って、それが何とも可愛らしかった。最後の最後は、普通のおしゃべりを節に乗せて歌って、はあああ、即興でできちゃうんだと感激。声量も節も今日もすごかった。

講談 安久鯉「天保六花撰より 河内山宗俊 玉子の強請」
これ、師匠の松鯉先生で前に一度聴いたのだけれど、前段もちゃんとやったせいか、今日のほうが話がよくわかって面白かったし、ものすごく引き込まれた。やっぱりさすがだなあ。

あと今日もまたしみじみ思ったのだけれど、やっぱり女流浪曲師さんが好き。

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奈みほ(豊子)「お勢登場」江戸川乱歩原作
乱歩の不気味な話。前読みさんなので時間が短く、ちょうど「ああ続きが知りたい!」と思うところでお時間に(^^)。気になってあらすじを調べたけど、さすが乱歩、そうきたかという感じ。勧善懲悪じゃないのがいいね。
奈みほさんはほんとに声がのびやかで美しいなあ。啖呵もよい。節はこれからきっと上手になる。

実子(秀敏)「姥捨ての雪」
楢山節考のハッピーエンド浪曲版みたいな感じ。これがとてもよかった。節は発展途上なのではあろうが、とにかくその迫真の熱演。ものすごく胸打たれた。あと驚いたのは、曲師の秀敏師匠。この方浪曲師でもあり、たしか90歳くらいだと思うんだけど(一度聴いた)、合いの手の声がものすごく高くて女性みたいだった。驚いた。

奈々福(豊子)「浪花節更紗」正岡容原作
今日の一番はやっぱりこれかな、奈々福師匠はさすがだ。なんかこう、喜劇味のある芸道一代記物の映画を一本見終えたような満足感。ものすごく面白かった。筋書き自体も面白かったし、演じ方・見せ方・魅せ方が本当に上手。天性のエンターテイナーだと感じる。

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【木馬亭十月定席初日~企画公演「文芸浪曲特集」~】2023年10月1日(日)12:15~16:00

奈みほ(豊子)「お勢登場」江戸川乱歩原作
実子(秀敏)「姥捨ての雪」
孝太郎(まみ)「入れ札」菊池寛原作
奈々福(豊子)「浪花節更紗」正岡容原作
~仲入り~
勝千代(まみ)「甲州街道桃太郎伝説」
講談 安久鯉「天保六花撰より 河内山宗俊 玉子の強請」
一太郎(美)「シートン動物記より オオカミ王ロボ」
琴美(秀敏)「二十四の瞳」

今日は企画公演「文芸浪曲特集」。江戸川乱歩あり、シートン動物記あり、純文学に民話、任侠物に芸道物。浪曲って、何でも載せてドラマチックにしちゃうんだなあ。大入りの会場は10月とは思えない熱気。バラエティ豊かでとても面白かった。神田伯山がインフルエンザのために急遽休演。それを目当てに来た人も少なからずいたと思われるが、おかげで場内いっぱいでよかった。やっぱり、人がたくさん入ると演者も客も嬉しい。

喬太郎「親子酒」
これは新しいかたち。前回聴いたときはこうじゃなかったと思うが、親父と息子だけじゃなくお母さんも飲んじゃう。で、最後のところ、普通は父と子のやりとりで終わるところ、酔っぱらったお母さんが父子のいい争いを「もう寝なさい!」と止めに入る。新鮮!

文蔵「転宅」
冒頭、少し師匠について語る。すごく印象に残ったのは、師匠の落語は穏やかな語り口で「邪魔にならない落語」だったと繰り返したこと。きちっと本寸法に語る方だったのかなあ。稽古や普段の言葉遣いには厳しかったが、優しい師匠で、怒鳴られた記憶は一度もないと。たしかに、中二階に飾られた写真は穏やかそうな優しそうな人だった。
「転宅」は、間抜けな泥棒の憎めなさ、可愛さが際立つ。押し入ってきて、お膳の上のものを飲み食いするさまがあんまり美味しそうで、おなかがすいたよ(単純)。

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枝平さん、声が面白くてデカく、話もなかなかよかった。一花さんは初めて。高い声が少し気になったけど、話はすごく達者。中井貴一似、たしかに(笑)。米粒写経さんは初めて。漫才の方とは知らず、本当に米粒に写経する曲芸系の人だとばかり思っていたよ。

きく麿「おもち」
老人ふたりが半ば惚けた&呆けた口調で、餅をどうやって食べるのが好きかをずーっと語り合い、最後には餅を喉に詰まらせて死にかけた別の老人が加わる。これはなんというか、これが話として成立することが驚きだし、成立させてずーっとじわじわくる笑いを起こし続けるきく麿師も只者にあらず。ほかの人には絶対に演じられない。

白酒「短命」
さん喬師の短命とは違って、布団を敷くとか、そういうわかりやすいワードで隠居が手助けしてやるパターン。なるほど、こういうやり方もあるのね。例によってマクラでは、満面の笑みで毒を吐き散らしていたが、「早く当代[の文蔵師匠]の追善もやりたい」には場内大爆笑。

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