【阿久鯉・奈々福二人会】2023年12月25日(月)18:00-20:40@上野広小路亭

ジャンルは違えど芸歴も年齢も近いという2人。館内は大入り大盛況。その満員の観客を魅了する凄い会だった。なんという聴き応え。ぐーっと糸をたぐるような引力で吸い込む講談と、わっと発散する熱い空気に客を乗せて包む浪曲。阿久鯉さんのドラマチックな語りと、奈々福さんのエンターテイナーぶり。2つの魅力がぎゅうぎゅう詰めのがっぷり四つ。これが2500円でいいの?

開口一番 落語 幸路「転失気」
講談 阿久鯉「慶安太平記 前半ダイジェスト」
浪曲 奈々福「慶安太平記 善達三島宿」
~仲入り~
浪曲 奈々福「ものくさ太郎」
講談 阿久鯉「義士銘々伝 赤垣源兵衛徳利の別れ」
曲師:沢村まみ

仲入り前は「慶安太平記」を俥読みの趣向。浪曲ではときどきあるそうだが、講談+浪曲の俥読みは珍しいとのこと。前半では京都までの道筋を安久鯉さんが駆け足で。もうね、引き込む引き込むあの話術。すごいなあ。そして奈々福さんは後半の山場のひとつ「善達三島宿」を。浪曲は噺に華やかさとドラマチックさを加えてくれるなあ。奈々福さんの声量と節のすばらしさ。啖呵(語り)の面白さ。前半ですでにご馳走たっぷり感。


(つづき)
そして最後の一席は忠臣蔵から「荒川十太夫」。そう告げたとたんに、ご通家らしき客数名から拍手が起きる。師匠である松鯉先生の得意演目でもあるらしく、また、伯山演によるこの話に感銘を受けた尾上松緑が、これを題材に新作歌舞伎をつくって注目されたらしい。
客席の明かりをすべて落とし、高座へのスポットライトのみで語られていく。義士の中でも名高い堀部安兵衛の切腹時に介錯役を務めた荒川十太夫。安兵衛最期の瞬間に言葉を交わし、そのときに安兵衛のためを思ってついた嘘のせいで、その後苦しみ続けることに。その苦悩の深さが切ないほどに伝わってきて、はらわたを揺さぶられるようだった。客席のあちこちですすり泣く音。もちろんわたしも盛大に涙鼻水がほとばしった。

忠臣蔵関係だけで講談には300席くらいもあるらしい。その多くに通底するテーマは人と人との別れだと語る。これまでわたしは大高源吾と赤垣源蔵しか聴いたことがなく、これが三人目。たしかに三者三様の別れがある。

とにもかくにも伯山先生、また聴きたい。講談界で話題のほかの方々も色々聴いてみたい気持ちは大いにある。まだお江戸日本橋亭などの講談だけの寄席に行く度胸は当分ないので、手軽に行けそうな場を探して、講談を聴く機会を増やしていきたい。

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2023年2月18日(土)神田伯山独演会@三鷹へ。

開口一番 落語 げん馬「寄合酒」
講談 伯 山「三方一両損」
講談 伯 山「荒大名の茶の湯」
講談 伯 山「阿武松緑之助」
~仲入り~
講談 伯 山「荒川十太夫」

抽選に当たって買えたチケット。800人くらい入るらしいホールは満席。人気の高さをうかがわせる。プログラムでは三席の予定だったようなのだが、「物販の売上が恐ろしく悪いのでなんとかせねば」などといいつつ、たっぷり四席も(^^)。でもって、なんだろうもう、本当に、とてもとても良かった。

最初の二席は、元は講談ながら落語にもなっている話なので、落語のように会話中心で、からっとさらっと明るく笑わせる。

三席目、初めはゆったりした展開だが、阿武松が錣山部屋に移って頭角を現していく過程は、張り扇も多用して畳みかけるようなリズムと言葉の奔流がなんとも心地よく、トランス状態に入りかける(つまり心地よすぎて眠気を催しそうになった。退屈な眠さとは別種の眠気)。(つづく)

13日寄席→15日講談会→17日落語会→20日寄席ときて、少し疲れている22日^^「そりゃそうだ」なのか「情けない」なのか。昔は毎日通勤していたなんて、もはや信じられない。でも予定があと2つあるので、元気に完走するぞー。落語通いを再開して、この仕事/落語のメリハリが自分にはほんとに必要だとしみじみわかったから😺 (感染対策は十分に気をつけているつもり)
  


12月15日(木)松鯉・安久鯉親子会@国立演芸場へ

なんだろう、もう、その……講談おもしろーーい! 落語より言葉の絶対量が多いし、私も超初心者だから、前座の方々のときはうんと集中しないといけないように感じたけれど、両先生のは聴くともなしに言葉がすーっと入ってくる。「大高源吾」は一昨日も伯山先生で聞いたが、年齢や経験から来るものか、重み深みがさらに感じられる気がして、胸を揺さぶられた。阿久鯉先生のも泣けた。マクラの話も面白く、キャラも含めてファンになりそう。
あー、もっともっと講談を聞きたくなっちゃった。困った^^

そしてゲストの小すみ師匠がまたまたすごかった。前回は三味線カンツォーネ、今日は三味線でマライア・キャリー!(しかも歌詞は伊勢音頭という……) 妙見(北極星)がテーマの自作の唄も披露された。この方の才能はすごいなあ。音大で声楽を学んでヨーロッパに留学まで行って、なぜ寄席で三味線かついだ音曲師になったのか。興味は尽きない。ぜひ独演会をやってほしい。帰り際、小すみ師匠が昨年の花形演芸大賞で大賞を受賞したと知る。納得。

(つづき)
落語では小南師匠の「午後の保健室」はちょっと……元を知っているだけに……。でも小痴楽師匠の江戸弁の華やかさ、生きのよさ。それからなんといっても文治師匠の「親子酒」はよかったなあ。おかみさんがほとんど抵抗せずに酒を出すので、そこのやり取りではなく、ただひたすらに主人が酔っていくさまがじつに可笑しくて、可愛らしい。都都逸の文句などはさみながら陽気に酔っていくさまが絶品だった。

新宿末廣亭十二月中席夜の部三日目

前座 南 海「いびき駕籠」
講談 松麻呂(忘れてしまった)
漫談 ねづっち
落語 小痴楽「強情灸」
落語 枝太郎 振り込め詐欺の新作
漫才 陽・昇
浪曲 奈々福「清水次郎長伝 お民の度胸」
落語 小 南「午後の保健室(柳家喬太郎作)」
曲芸 ボンボンブラザース
講談 安久鯉「水戸黄門記 出世の高松」
~仲入り~
映画説明 頼 光「空の桃太郎」
落語 希 光「狸の化寺」
落語 文 治「親子酒」
漫談 東京ボーイズ
講談 伯山「赤穂義士銘々伝 大高源吾」

 12月13日(火)新宿末廣亭中席三日目夜の部へ。
末廣亭は12年ぶり。芸協主催の寄席は初めて。狭い席、少ないトイレ(しかもほぼ和式^^)。でも独特の雰囲気はやはり風情があるし、何よりこのバラエティの豊富さったら! 落語、漫才、漫談、講談、浪曲、曲芸、活動写真、上方落語等々、こんなに色々なジャンルを一度に楽しめるのはすごい。そしていまを時めく神田伯山は、語彙貧困だけどやっぱりとてもよかった(初聴き)。宝井が句の意味を悩んで逡巡するくだりを。冒頭にイントロのようにもってきたのが斬新に感じられた。某所の伯山独演会、抽選に当たるといいな。

あと印象に残ったのは浪曲。三味線の方は客席ではなく完全に演者のほうを向いている。それは、演者がいつ歌いだしてもすぐに伴奏をつけられるように。浪曲は二人でつくり上げる芸だと奈々福師匠は言っていた。安久鯉先生の講談では、ランジャタイが蘭奢待で、高貴なお香ということも初めて知った。講談聴くと、物知りになれそう^^ あと、漫才の陽さん、よかったなあ。ルックスも芸風も好み。また見たい。

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