#浪曲
昨日は「第56回豪華浪曲大会」へ。舞台も顔付けも豪華なら、チケットも豪華。私は夜の部のみだったけど、とても楽しかった。もっと入るかとも思ったけど、そうでもなかったのがちょっと寂しいかな。あとで太福師匠が話していたけど、去年まではキャパ1100人くらいの浅草公会堂でずーっとやっていて、でもずーっと入りが半分くらい(600人くらい)だったから、もっと身の丈に合った会場にしようと600人キャパの日本橋劇場に今年から替えたのに、蓋を開けてみればこちらも半分の入り。「去年まで来ていた300人はどこへ消えたんだ!」のお怒りはごもっともw
奈みほ(豊子)「松山鏡」
すみれ(明)「山之内一豊の妻」
はる乃(美舟)「英国密航」
孝太郎(まみ)「江戸相撲蒙古襲来」(作:市川俊夫)
月子(明)「観世家宝肉付きの面」(作:野口甫堂)
~仲入り~
前座お披露目コーナー
一太郎(秀敏)「桃中軒雲衛門~桃源の風雲児」(原作:榎本滋民、脚色:芝清之)
太福(みね子)「地べたの二人」
奈々福(美舟)「シン・忠臣蔵」(原作:柳家喬太郎)
一太郎
浪曲中興の祖といわれるらしき雲衛門の半生を描いた話。熱演だったけれど、たびたび下に目を落としていたのは何かを読んでいたのかな。ちょっとそれが気になった。
太福
トリ前の「もたれ」という役目に徹し、客席を温め直しつつ時間調整するプロの技。噺は自作の、いつどこで切ってもいいような馬鹿馬鹿しい話ながら、面白かった。続きが知りたいところで、図ったように「ちょうど時間となりました~♪」。進行が押していたのが見事に戻ったそうだ。掛け声の練習なんかもしてね、次に出てくる姉弟子想いといおうか。かっこよかった。
奈々福「シン・忠臣蔵」
喬太郎師のカマ手本忠臣蔵を自ら脚色した作品。殿中&討入の背景には、憎しみでも義理でも忠義でもなく愛があったという原作の大胆な解釈はおおむねそのままに、でも下卑ない美しい純愛に変えてドラマチックさが増した感。かつてこれをネタおろししたとき、その場にいた喬太郎師が絶賛したらしいけれど、むべなるかな。原作は浅野の片思いだった気がするけど、奈々福版は吉良のほうも憎からず思っていた設定に変えたのがよかったな。後半の吉良の葛藤と煩悶。人は何のために生きるのかという、浅野が殿中で投げかけた問いに、家臣に殺されて首になるときに初めて答えが出る。首になった吉良が墓の中の浅野と対面するラストは、切なくも温かくて思わず涙。やっぱり奈々福師匠はすごいなあ。でも持ち時間が短かったので、Twを拝見するとご本人もやり残した感があった模様。ぜひフル版を聴いてみたい。