枝平さん、声が面白くてデカく、話もなかなかよかった。一花さんは初めて。高い声が少し気になったけど、話はすごく達者。中井貴一似、たしかに(笑)。米粒写経さんは初めて。漫才の方とは知らず、本当に米粒に写経する曲芸系の人だとばかり思っていたよ。
きく麿「おもち」
老人ふたりが半ば惚けた&呆けた口調で、餅をどうやって食べるのが好きかをずーっと語り合い、最後には餅を喉に詰まらせて死にかけた別の老人が加わる。これはなんというか、これが話として成立することが驚きだし、成立させてずーっとじわじわくる笑いを起こし続けるきく麿師も只者にあらず。ほかの人には絶対に演じられない。
白酒「短命」
さん喬師の短命とは違って、布団を敷くとか、そういうわかりやすいワードで隠居が手助けしてやるパターン。なるほど、こういうやり方もあるのね。例によってマクラでは、満面の笑みで毒を吐き散らしていたが、「早く当代[の文蔵師匠]の追善もやりたい」には場内大爆笑。
喬太郎「親子酒」
これは新しいかたち。前回聴いたときはこうじゃなかったと思うが、親父と息子だけじゃなくお母さんも飲んじゃう。で、最後のところ、普通は父と子のやりとりで終わるところ、酔っぱらったお母さんが父子のいい争いを「もう寝なさい!」と止めに入る。新鮮!
文蔵「転宅」
冒頭、少し師匠について語る。すごく印象に残ったのは、師匠の落語は穏やかな語り口で「邪魔にならない落語」だったと繰り返したこと。きちっと本寸法に語る方だったのかなあ。稽古や普段の言葉遣いには厳しかったが、優しい師匠で、怒鳴られた記憶は一度もないと。たしかに、中二階に飾られた写真は穏やかそうな優しそうな人だった。
「転宅」は、間抜けな泥棒の憎めなさ、可愛さが際立つ。押し入ってきて、お膳の上のものを飲み食いするさまがあんまり美味しそうで、おなかがすいたよ(単純)。