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[幌メモ その56]
泡坂妻夫『妖盗S79号』河出文庫
大胆巧妙な手口で様々なお宝を盗み出していくS79号(えすしちじゅうくごう)と警視庁捜査三課・重要盗難事件専従捜査班との攻防を描いた連作短編集。

実際は小ネタの効いた王道ユーモア・ミステリであり、癖になったらどうにも病みつきになってしまう、泡坂マジックが溢れる紛うことなき名作です。

読了日 2018年3月10日

[追記] 当時の記憶というか印象でいうと自分にとって泡坂作品は合う合わないがはっきりしているものだったのですが、この作品はドハマりしました。入り口としても『11枚のとらんぷ』と同様、読み易い作品タイプかと……ただ『湖底のまつり』等がお好きな方には、別ルートをおすすめするかもしれませんが :Shiropuyo_thinking:

[幌メモ その55]
幡大介『股旅探偵 上州呪い村』講談社文庫
渡世人の三次郎が謎解き役を務める、一筋縄ではいかないメタ・フィクション時代本格ミステリ?時代メタ・ミステリ?区分が難しい作品 :Shiropuyo_thinking: 一読すると滅茶苦茶な印象の作品なんですが……実は思った以上にフェアだったと最終章で認識させられました。非常に心憎い構成です。

📚 そして多くのミステリを読み込まれている方ならば、作者が作品中の至るところに散りばめた様々な作品へのオマージュに気づかれて、恐らくは北叟笑まれることでしょう。

勿論、私の場合は……末國善己氏の巻末解説を読んだ後に、その多くを気づいた次第ですが 😆💦

読了日 2018年3月12日

[追記] 読む動機は別にあったんですが(それは忘れましたが)読書アカウントとしてこの作品に触れた時期が早かったこともあり、渡世人とか股旅ものにも興味を持てたお陰で、結果的に時代小説を読む幅が広がっていったような気がします。もしかしたらこの作品は比較的入り易い「入り口の作品」のひとつだったのかもしれません :Shiropuyo_mattari:

[幌メモ その54]
エイドリアン・マッキンティ『サイレンズ・イン・ザ・ストリート』ハヤカワ・ミステリ文庫
[訳] 武藤陽生
〈ショーン・ダフィ〉シリーズ第2作目。前作の『コールド・コールド・グラウンド』から半年後の1982年4月。通報を受けたマクラバンとショーンが現場で発見したのはスーツケースに入った男性の首なし死体だった。捜査を進めるうちショーンは別の殺人事件との関連を追うことになり……。

📚 少し積み置きしてしまっていたシリーズ 😅 500ページ超の長編でしたが……結局、夢中で一気読みしました ☺️ フォークランド紛争を契機に更なる治安悪化が懸念される北アイルランドで起きた背景が複雑な事件や、ショーンが対峙するには余りにも大き過ぎる「組織」との戦い。次巻も楽しみなので今度は早めに 😤

読了日 2020年12月19日

[追記] このシリーズは間違いなく面白いのですが1作目から2作目を如何に早く読み進められるかが今後夢中になって読むための鍵かと :Shiropuyo_thinking:

そしてちょっと前になりますがリヴァプール・遠藤航選手UEFAヨーロッパリーグで初ゴールおめでとうございます!ということで :Shiropuyo_oiwai:

辻真先『村でいちばんの首吊りの木』実業之日本社文庫
名古屋で発生した、ある猟奇殺人事件。下宿して予備校に通う長男・弘一は被害女性の関係者であり、既に失踪していた。奥飛騨の寒村に住み長男の無実を訴える母と実家を出て東京の高校に通う受験生の次男・宗夫との手紙の遣り取りで構成された表題作を含む全3編の本格ミステリ中編集。

📚 「〇〇でいちばんの□□」で括られた題名に手紙や独白、無生物が語り手という、それぞれの作品構成が独特な3つの中編。そして表題作「村でいちばんの首吊りの木」は、初めて大人向け小説誌から依頼され執筆した作品であり、更には今回が初の文庫化。正直な感想としましてガイドブック『本格ミステリ・フラッシュバック』中で紹介されている辻作品の中では新刊で、しかも文庫で読めると全く思っていなかった作品でしたので、喜びもひとしおでした :Shiropuyo_heart:

みなさま、絵文字リアクションありがとうございました。おかげ様で元気出ました

:Shiropuyo_mattari: :itumohontouni_arigatou:

今日はちょっと散歩したり何冊か欲しかった本も購入できたりと、なんとも良き日でございました :Shiropuyo_true_wpeace:

写真は先週ですが……散歩で見かけたキンモクセイです。雨上がりに満開で、なんとも綺麗だったので撮ってみました :blobcatcamera:

L・T・フォークス『ピザマンの事件簿 デリバリーは命がけ』ヴィレッジブックス
[訳] 鈴木恵
シリーズ第1作目。腕の良い大工だったが暴力沙汰から刑務所に入り、人生にちょっと躓いてしまったテリー。出所後、かつての大工仲間・ダニーが家に置いてくれはしたけれど、仕事も金もない屋根裏部屋での居候暮らし。しかしそんな彼に唯一残されていた〈無傷の運転免許〉のお陰で得たピザ配達の仕事が、彼の人生に大きな変化をもたらすことに。

📚 個性的で気立ての良いピザ店の従業員や友人(大体190cmオーバーのマッチョ)に恵まれ、彼自身も元々仕事に対し真摯で丁寧である上に大工の能力も遺憾なく発揮して新たな仕事も開拓したりと運命が好転しかけた矢先に発生した、同僚の刺殺事件。前科があることで容疑者扱いされたテリーは仲間たちと真犯人を探すが……。

📚 北東オハイオの小さな田舎町を舞台に長い髪・口髭・ネルシャツ・ダメージジーンズ・作業靴を身に纏った、いかにもガテン系マッチョな働く男たちが活躍するミステリーであり「主人公テリー・サルツの自己再生の物語」でもある(訳者あとがきから引用)、想像以上に読んでいて元気をもらえる作品でした :Shiropuyo_niconico:

北森鴻『共犯マジック』徳間文庫
人の不幸のみを予言する謎の占い書《フォーチュンブック》。一旦は市場に30万部も流れたが、その書物の性質上自殺者が増加し社会現象に。書店組合の販売自粛、書店取次業者の取扱拒否により全国の書店から姿を消した……はずだった。

📚 運命に導かれるように《フォーチュンブック》に翻弄されて犯罪に手を染めることになった人々が、錯綜しながら紡いだ物語です。プロローグと7つの物語で構成されていますが、各短編が独立しているわけではなく、かといって連作短編よりも繋がりが濃い、なんとも不思議な味わいの非常に魅力的な作品です :blobbonethumbsup:

📚 本来、次に読む北森作品は『狐闇』を予定していたのですが、この作品を教えていただいたこともあって興味を持ち、こちらを先に読むことにしました(作品発表順も『共犯マジック』の方が『狐闇』より先だったということもあります :Shiropuyo_mattari: )。結果的に北森鴻という作家さんの、懐の深さを知ることが出来ました :Shiropuyo_hohoemi:

[幌メモ その53]
佐野洋『華麗なる醜聞』角川文庫
「中央日報」論説委員・稗田真介が1964年8月20日付の外国紙ゴシップ欄から見つけた「駐日P国大使ニールデン更迭の陰に日本人"ハイ・ホステス"の関与あり」というスキャンダル記事が発端の「N大使事件」関連の記録を、作者が小説化。第18回日本推理作家協会賞受賞作品。

📚 これは、ゴシップ欄の「ハイ・ホステス」という言葉が気になった論説委員が仲間の新聞記者と調査を開始したが大きな壁が彼らの取材を阻み(ある部分を除き全貌はほぼ解明されたものの)記事には出来ないので作者の手で小説として発表し世に問うてくれ、と渡された記録を基にして書き上げた(という体裁の)作品です。

📚 関係が無いように思えた事件や出来事が新聞記者たちの粘り強い取材や調査によって繋がり出し、真実が露わになって行く過程は面白いです。もちろん、題名にも偽りなし。中々の「醜聞」も調査記録にはありまして…… 😅 でも結局の所、○○○○○(ネタバレ)って必要悪なんだろうなと思いましたが……さて 🤔

読了日 2021年4月27日

[幌メモ その52]
仁木悦子『穴』講談社文庫
夜中に外から不審な声がする。朧月の下、少年が板塀の隙間から覗き込むと、隣人が庭の隅に大きな穴を掘っていた──。不審な行動を目撃したことから始まる少年の恐怖体験を彼の視点で描いた表題作「穴」を含む、作者ならではの着想と個性豊かな筆致で綴った全6編の短編集。

📚 仁木作品の特徴は比較的重い内容の事件であっても読後感が良い所(今作では「誘拐者たち」が、お気に入りです)☺️ それはフックを仕込み、終盤に連動させる「機構」を謎解き以外にも様々な形で仕掛けているためだと解釈するのですが……実際に運用するのは相当難しいかと。ましてや短編集。脱帽です 😅

読了日 2020年2月19日

[幌メモ その51]
都筑道夫『やぶにらみの時計』中公文庫
作者初の書き下ろし長編ながら野心的で意欲的な作品。

朝、目覚めたら「別人」になってしまっていた、ある青年。
彼は如何にして自分を取り戻すのか──。

この物語を作者は二人称で書き著しました。とても実験的な試みです。

📚 第二人称小説とは、作者が地の文で読者に「君は」と語りかけてくる小説のことを指します。この作品では本来の自分を喪失した主人公の心理状態と、詳細な情報を知り得ない読者とを同調させるため、そして物語の展開に不安感を植え付け、更に混乱させるために二人称を試用したのだと思います。

📚 ただ作中、ある人物に語らせた「作者の海外ミステリへの造詣の深さ」や「ミステリへの姿勢」が強く印象に残っただけに、例えその論理構成に矜恃があっても作品として実験的な手法を採用した必要性を感じられる物語を丁寧に綴るための「もう一捻り」は在って然るべきだったとも思いました。

📚 以上は私の感想ということでご了承下さい。最後まで夢中で楽しく読みましたし、機会があれば是非、読んでもらいたい作品です。

読了日 2018年5月15日

[追記] この作品は2021年に徳間文庫〈トクマの特選!〉で復刊されています :Shiropuyo_heart:

[幌メモ その50]
ロジャー・ホッブズ『ゴーストマン 時限紙幣』文春文庫
[訳] 田口俊樹
ニュージャージー州アトランティックシティのカジノで発生した強盗殺人事件。私は5年前に貸しを作ってしまったジャグマーカーから呼び出され、この事件における「全てを消す」ことを依頼された。彼らが強奪を企てた紙幣は、非常に危険な代物だったからだ……。

📚 作者が23歳のときに書いたデビュー作の第1長編。骨太の文章で主人公にまつわる過去の銀行襲撃事件と、現在の強盗事件の後始末がカットバック形式で綴られたノワールです。超一流犯罪者の玄人仕事が徹底的に描かれた内容は読み応えがある一方、良く書かれているからこそ読む人を選ぶ作品かと思いました 🤔

📚 続編の文庫化を待望したい所ですが……もしかしたら厳しいかもしれませんので、近いうちに第2長編『ゴーストマン 消滅遊戯』も確保して読んでみようと思います。ハードボイルドで無骨に見えつつもスマートで、事件調査の際には探偵並みの推理を働かせ正解を炙り出す。非常に私好みのノワールでした 😍

読了日 2022年4月18日

[追記] 50作品目の節目となる「幌メモ」は、個人的に特に大好きな作品を紹介します :blobtanuki_kirakira:

M・W・クレイヴン『グレイラットの殺人』ハヤカワ・ミステリ文庫
[訳] 東野さやか
〈ワシントン・ポー〉シリーズ第4作目。貸金庫を襲った「ジェームズ・ボンド」たちが身元不明の遺体と大型鼠の置物を残し姿を消した。3年後、カンブリアでの首脳会議開催が迫るなか要人搬送担当のヘリコプター会社社長が殺される。テロを警戒した政府はポーに事件捜査を命じたが、ある事情により捜査は遅々として進まず……。

📚 『ストーンサークルの殺人』に続き英国推理作家協会賞(今回はイアン・フレミング・スティール・ダガー/最優秀スリラー小説賞)受賞。ジェームズ・ボンド生みの親の名を冠した受賞作品の冒頭が、歴代ジェームズ・ボンド役俳優の面をつけた強盗団が貸金庫を襲うという……なんともニヤニヤしてしまう展開 😁

📚 ポーの出生にまつわる大事なシリーズ縦軸は印象付けつつも随所に重要なパズルピースを散らばらせ、その上で各章最後を気になる引きで終わらせて読者を「絶対寝かさないモード」に導き、遂には睡眠不足に陥らせるという恐ろしいシリーズなのですが、今作は更にページ増 :Shiropuyo_jururi: どっぷりと作品世界に浸かって……最高の読書時間を堪能しました☺️

休日の手すさび :Shiropuyo_good:
素性が不明な脇役風、に作ってみたけれど……

:Shiropuyo_odoroki:

意外とよくできたような…… :Shiropuyo_heart:

Picrewの「背の低い脇役顔の男メーカー」でつくったよ! picrew.me/share?cd=nLeNjAfwLa

[幌メモ その49]
小川哲『ゲームの王国(上・下)』ハヤカワ文庫
作者の第2長編。プノンペンの孤児「太陽」と、貧村生まれの神童「幸福」の数奇な運命に理不尽や不条理に満ちた1960年代以降のカンボジア史を織り交ぜ綴られた半世紀以上に渡る「人生」と「ゲーム」の物語。

📚 第38回日本SF大賞&第31回山本周五郎賞受賞作品。端的に書ける内容ではないけれど……なるべく速く、多くの人に読んで貰いたいので、簡単に説明をば 😉 ──目を背けたくなる史実も刻みこんだ歴史小説であり、近い将来起こり得る題材を用いたSF小説であり、複雑且つ濃密で重厚な構成ながら軽妙な筆致でページを繰る手を止めさせない稀有な作品、です ☺️

📚 そして作品を通じて痛感させられたのは…… 😓

考える力がないことの悲しさ。
伝える力のないことの悲しさ。
理解できないことの悲しさ。

つまりは、勉強の大事さ。

これは、今後も頭に刻み込まれて忘れることのない読書体験になるでしょう。

なので「作者の勝ち」「私の負け」ということなのです 😭

読了日 2020年5月4日

[幌メモ その48]
皆川博子『鎖と罠』中公文庫
初期の短編を再編集した文庫オリジナル短編集。あとがきで御本人は謙遜されていますが内容の重さを包み込む甘美な表現や映像を想起しやすい場面転換の構成等、魅力的な作品ばかりというのが率直な印象です。

📚 因みに私の好きな作品は……全10編の中から「まどろみの檻」を挙げます。校庭が主な舞台で、活動している生徒たちを少し高い位置の道路から凝視している女性。その彼女の様子を訝しむ体育教師。一体、何を見ているのか。そして真意を悟った教師の想像は徐々に官能的な妄想に発展し……。最も映像で見てみたい作品です 😌

📚 他の短編も読者を強く意識した作品が多く戦争が未だ身近にある時代の作品ゆえ、その爪痕も生々しく反映されています。一方で女性の視点から描かれる細やか且つ残酷な心理描写は時に一番深い部分を抉るような激痛を伴います(特に「聖夜」)。復刊の縁により未知の傑作群に触れられました ☺️

読了日 2018年1月19日

[幌メモ その47]
都筑道夫『猫の舌に釘をうて』講談社文庫
作者の書き下ろし長編・第2作目。主人公の作家・淡路瑛一が犯人・探偵・被害者を務める恋愛小説風の本格推理小説。主人公が好意を寄せる女性(既婚者)の命を守るため探偵役をする過程を束見本に手記として書いた部分がメインです。

📚 発想が斬新で手法も今現在でも例を見ない(多分、先にこの作品がやってしまったから)遊び心溢れる作品なので戸惑うばかり 😅 男の切ない独白が描かれていたのに実はしっかりと「本格」のプロット、それも一筋縄ではいかないタイプのものが気付いたら構築されていたなんて、混乱しないわけがない 😭

📚 恐らくこの作品が異端過ぎて、そしてやり切ってしまったために後続の同種作品が生まれ得なかったんだろうと思います。発想は早い者勝ちということなんでしょうね。凄い作品です。余談としてこの作品のお陰でAlfred Kubinを知ることが出来たことが何より大きな喜びです。関連本、探します。

読了日 2018年4月26日

[追記] この作品は2022年に徳間文庫〈トクマの特選!〉で復刊されています :Shiropuyo_true_wpeace:

[幌メモ その46]
泡坂妻夫『迷蝶の島』河出文庫
太平洋上で漂流し救出された女と、発見されなかった同乗の青年。青年の手記で後に分かった経緯、関係者の証言で見える現実。そして彼らが踊らされた夢と幻覚……。幸せになれなかった男女の愛憎劇と、幸せになるために企てられた殺人劇の顛末とは。

📚 読後すぐの感想としては「死亡原因、それなの ⁉️😳 」です。色々仕掛けたうちの本人でさえ忘れていたような罠が、思わぬタイミングで発動した、という感じだったので。このラストのために「壮大な物語」が創られたんだと思うと、物語全体を通じて「してやられたッ 😅 」という感想も持ちました。

📚 そう、物語の筋としては実は至ってシンプル。それを約270ページの作品の中で大いに拡げ、複雑且つ多面的に見せ、見事に混乱に陥れる。作者の力量に脱帽です。

余談。作中に「ある器具」が出てくるのですが、それから以前読んだミステリの粗筋を急に思い出しました。何でも読んでおくものですね 🎶

読了日 2018年4月25日

[幌メモ その45]
M・W・クレイヴン『キュレーターの殺人』ハヤカワ・ミステリ文庫
[訳] 東野さやか
〈ワシントン・ポー〉シリーズ第3作目。クリスマスイブ、ある運輸会社のシークレットサンタで発生した事件。ボクシングデー、ポー刑事が友人として招待されたベビーシャワー。無関係に見える無数の「点」は「線」になり、巨大な「悪」に繋がる……。

📚 物語に合わせて時機を待っていようと思っていましたが待ちきれず、12月になって直ぐ読み始めた待望のシリーズ最新作 😍 ただ前作以上にあらすじが呟けないのは単に私の文章を纏める力不足ゆえ 😭 明かして良い素材を判別し提示できるか自信が無いゆえ 😭 兎に角、事前情報を入れずに読んで欲しい作品なのです ☺️

📚 シリーズ物なのでこの作品から読むのは多少の支障がありますが……600ページ超の作品にも拘わらず時間など気にせず一気読みしてしまおうか 🤔 と何度も思ってしまうほど読み易く、物語の展開や魅力的な登場人物たちに何度も翻弄されます。万人にオススメはしませんが、興味を持たれた方は読むべきかと 😌

読了日 2022年12月12日

[追記] ただいま第4作目『グレイラットの殺人』が発売中です :Shiropuyo_true_wpeace:

天藤真『大誘拐』角川文庫
9月上旬、紀州随一の大富豪といわれる柳川家の女主人・とし子刀自が不意に「山歩き」がしてみたいと言い出した。その日限りと思われた刀自の気まぐれが数日間続いた頃、後に「虹の童子」の名で知られることになる誘拐団が予測不能と思われた刀自一行の行動パターンを遂に読み切り、実行に移ることに……。

📚 第32回日本推理作家協会賞長編賞受賞作品。物語のクライマックスが10月4日だったので、それに合わせて読んでみました……というのは辻褄合わせですが 😅 噂に聞いていた以上の面白さというか読み応えで、何より普通の「誘拐もの」とは少し異なる魅力のある作品だったので、少し時間をかけてじっくり味わうことにしました。

📚 というのも、この作品は特殊な事情で犯人の視点で物語が進み、警察の視点が裏読みされた後追いで続くので、どちらかというと犯人を応援したくなるという不思議な展開になります。これはどう物語を着地させるのだろうと思った最終盤の仕掛け……これが凄い。最後まで作者に上手くやられてしまいました。「虹の童子」に振り回されたこの2週間……楽しかったです ☺️

[幌メモ その44]
ジョセフ・ノックス『スリープウォーカー』新潮文庫
[訳] 池田真紀子
〈エイダン・ウェイツ〉シリーズ第3作目。12年前の一家惨殺事件の犯人、マーティン・ウィックの病院内警護にエイダンとサティが夜勤から「大抜擢」された。しかし彼らの眼前でウィックは襲撃され死亡。余命宣告された男をわざわざ殺した真相を、エイダンが追う。

📚 大量殺人犯の過去に被害者、元警察官の作家、新聞記者、現役警察官等々の思惑や野心が、主人公エイダン・ウェイツを巡る物語と複雑に絡み合い醸成された、濃厚で贅沢な本格を纏うノワール……というか魅力的な要素が多すぎてジャンルでは括れません 😭 620ページを超える作品ですが一気読み必至の傑作です ☺️

読了日 2021年11月23日

[追記] マンチェスター・ユナイテッドの宮澤ひなた選手、後半からの途中出場ながら開幕節から出場 :Shiropuyo_good: 今後も楽しみ :Shiropuyo_ganbare:

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