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【梶原いろは亭 三月「浪曲の日」】2024年3月31日(日)13:00~15:00@梶原いろは亭

浪曲 琴哉・金魚「恋と武士」
紙切り漫談 紙太郎(パンダ、茶トラ猫、兜、曲師)
~仲入り~
浪曲 恭太郎・金魚「神崎与五郎 東下り」
浪曲 勝千代・まみ「からかさ桜」

初めて伺う梶原いろは亭は、ごくごくこじんまりした地域寄席。30人くらいしか入らないので、どこからでも見やすく、足がゆっくり伸ばせ、各座席の下には荷物を入れるかご付き。トイレもきれい。建物も新しい。ちょっと遠いけど、顔付けがよければまた行ってみてもいいな。予約して行ったら500円引きになった。ラッキ。ともあれ、今日は客が7人しかいなかったので、率先して拍手したり、頑張って勝千代さんのときに「待ってました!」と「たっぷり!」の声をかけ、紙切りのときも率先してお題を叫んで、ちょっと頑張り疲れ。かえって勝千代さんにご迷惑だっただろうかと帰路悩む小心者。
(外観の写真を撮り忘れてしまった。3枚目はトイレの手洗いの蛇口。井戸みたいで楽しい)

一席目の「今昔お玉ヶ井」は甲州街道野田尻宿の伝説が題材の新作。異形の者と美しい娘の出会い。水に窮する貧しい村を舞台に、切ないけれど優しい和製「美女と野獣」。いつもと違った趣の節も聴けた気がして(初心者ゆえ確実にそうとは言えないが)、心に余韻の残る作品だった。

二席目の「からかさ桜」。先日ネタ下ろししたばかりだし、桜の時期なのでもしかしてと思っていたけれど、聴けてすごく嬉しい。これ、本当に本当にいい噺。笑いあり涙あり、そして最後はハッピーエンド。ほこほこと温かい心で家路につける。これって落語にはなっていないんだろうか。人情噺として落語でも受ける気がする。さん喬師匠で聴いてみたいような噺。

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【かつちよかいvol.18】2024年3月26日(火)19:00~20:40@荻窪ア・ビアント

昨日は、一度ぜひ浪曲を聴いてみたいという友人と一緒に「かつちよかい@荻窪ア・ビアント」へ。人生初浪曲を終えた友人は、「浪曲のイメージがガラリと変わった、第一声から圧倒されてのけぞった、ものすごく楽しかった、絶対また聴きたい(そしてお店のチーズケーキが美味しすぎる)」と興奮&感激の面持ちだった。よかった。彼女のことだから、帰宅後はきっと今日の体験をご家族に熱く語って聞かせたに違いない。

勝千代「お玉ヶ井」
~仲入り&ケーキタイム~
勝千代「からかさ桜」
曲師:まみ

勝千代・美舟「甲州街道桃太郎伝説」
もしかしたらこの噺かな、と予想していたとおりのこの噺。今日も「退治しないバージョン」で、前半のコミカルさと、後半の鬼の涙にぐっとくる対比がとても楽しい一席。

はる乃・道世「忠治関宿」
師匠が得意だったという侠客物。一度木馬亭で聴いたことがあるけれど、とにかく尋常じゃない素晴らしい声と、引き込む演技がとてもよかった。上手だなあ。

はる乃・道世「弁慶と牛若」
これはどなたかがはる乃さんのために書いた作品だとか。弁慶と牛若が五条大橋で対決する場面の軽快なテンポにわくわくした。

勝千代・美舟「武田信玄」
スケールの大きな名作。何度聴いても素晴らしいけれど、この噺はやはり小さな会場のほうがより迫力が伝わってくる。とくに今日は、信玄が父に逆らう決意を固めるところの節に本当に気持ちがこもっていて、熱いながらも切ない迫力満載の演技がとてもよかったなあ。終盤の美舟さんのたたみかける三味線もかっこいい。

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【浪曲広小路亭 勝千代・はる乃二人会】2024年3月24日(日)13:00~15:20@上野広小路亭

勝千代・美舟「甲州街道桃太郎伝説」
はる乃・道世「忠治関宿」
~仲入り~
はる乃・道世「弁慶と牛若」
勝千代・美舟「武田信玄」

この二人の二人会だなんて、おいしすぎる。願ったり叶ったりとはこのことだ。もういっそ毎月やってほしい。デビュー10年のはる乃さんと、復帰10年の勝千代さん。昨年花形演芸大賞で銀賞を受賞したはる乃さんと、上野原市PR大使の(この対比が好き)勝千代さん。はる乃さんのピーンと張った素晴らしい声と小気味よいきれのよさ。勝千代さんのダイナミック&ドラマチックな節回しとスケールの大きな圧巻の声。4席たっぷり浴びて堪能した。聴きごたえ満天の大満足な会だった。


【泉岳寺浪曲会】2024年3月17日(日)14:00~15:40

き太・まみ「不破数衛門の芝居見物」
勝千代・まみ「安兵衛道場破り」
~仲入り~
琴美・博喜「赤垣源蔵徳利の別れ」

ぽかぽか陽気の青空の下、大勢詰め掛け、声もたくさん飛び、義士ゆかりの地でゆかりの三席、とてもいい会だった。。

き太・まみ「不破数衛門の芝居見物」
つねに初々しさ全開のき太さんだが、今日は堂々伸び伸びと声が出ていて、とてもよかった。この噺は前座噺で、いつも15分の尺でしか聴いたことがなかったけど、今日ようやく最後までの筋がわかった。粗忽者の話は他人事とは思えない(^^)。

勝千代・まみ「安兵衛道場破り」
まみさんは、まさに今日がデビュー5周年の日だと勝千代さん。連続で弾くことを「縦弾き」というらしく、そこに成長を感じたとも話していらした。息もぴったりで、何度聴いても楽しい一席。場内もたくさん笑いが起きて大盛り上がりだった。

琴美・博喜「赤垣源蔵徳利の別れ」
この一席はよかったなー。講談版と違い、源蔵が帰ったあとから始まるこの型、講談版より好きかもしれない。先日木馬亭で聴いたときよりさらにひときわ心にしみて、あちこちで目をぬぐう人、鼻をすする音。聴き応えたっぷりだった。

(と、書いてはみたものの、まだ関東節と関西節がよくわかっていない初心者マークw)

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「からかさ桜」は、7日に木馬亭の澤恵子さんで聴いたばかりだったので驚いた。亡くなった澤孝子師匠の持ちネタで、お弟子さんはみなやるが、生前勝千代さんも「やっていいわよ」と許可をもらっていたとか。とはいえさすがに木馬亭ではかけにくいらしく、なんとこの日が初披露。でも、そうとはまったく思えないすばらしい一席だった。「この噺には浪曲のエッセンスがすべて詰まっている」とおっしゃるだけあって、数奇な運命と奇跡の出会い、笑いに涙、そして「生きていればいつかいいことあるよね」と思わせてくれる温かさが、ダイナミックな関東節に乗って本当によかった。これ、いい噺だ。落語にしても受けそう。ぜひまた聴きたい。

次回の5/19の会には、ご通家の皆さんがおおおおと唸ったスペシャルな一席が聞けそう。昭和に歌謡浪曲で一世を風靡し、1982年に亡くなっている天津羽衣(あまつはごろも)さんから、生前持ちネタをやっていいとお許しをいただいていたらしい。勝千代さんが十代の頃、妹さんの三味線と一緒に少女浪曲デュオとして活動していたときのこととか。こんな感じ、と一節口ずさんでくれたが、まさしく天女の羽衣のような信じがたいほど軽やかで細やかな節回し。こちらは関西節なのだそう。今からすごく楽しみ。

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【木村勝千代独演会】2024年3月9日(土)14:00~@アートスペース兜座

勝千代「お民の度胸」
トーク with 杉江松恋
~仲入り~
勝千代「からかさ桜」
曲師:美舟

「お民の度胸」は、2022年12月に末廣亭で初めて浪曲を聴いたときの演目(奈々福&美舟ペア)。先日も奈々福さんで聴いたが、演者が変わると人物像もがらりと変わる。奈々福さんのお民は、凄みも感じさせる肝の座った大人のいい女系。勝千代さんのお民はべらぼうに可愛く、ただただ亭主に惚れているあまりに蛮勇が湧いたようなタイプ。つややかな声も可愛い色気にあふれ、お民にぴったり。

奈々福・豊子「天保六花撰 上州屋玄関先」
2/7の新宿の独演会でも聴いた一席。で、そのときと同じように、同じところで、「ちょうど時間となりました♪」となる。そのタイミングと間が絶妙で。いつか続きを聴いてみたい(調べたからあらすじは知ってるけど、知りたいんじゃなくて聴きたいの!)。

雲月・美舟「佐倉宗吾郎妻子別れ」
この日唯一衝立が外されたので、美舟さんをじっくり拝めた。これはもうさすがの一席。これこそが本寸法の浪曲なんだろうな、と思った。節と啖呵のみならず、全身を使った演技。足を踏み鳴らしたり。これは凄い芸。本当に。

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はる乃・道世「水戸黄門漫遊記 散財競争」
ご出身地・茨城の有名人と言えば…といって始まったこの噺は、すでに今年だけで3回聴いているけれども(^^)、何度聞いても明るくからりと楽しい楽しい。この人は本当に聴く者を引き付ける。

勝千代・美舟「武田信玄」
何をやってくれるかと思えば、わーい、武田信玄! 大好き、この噺。スケールの大きさ、迫力、緊迫感。これまで2度とも小さな会場で聴いたので、あれくらいのキャパの箱で聴くと、また少し雰囲気が変わる。お召し物も華やかで、とてもよかった。

恵子・貴美江「からかさ桜」
なんかこの方のファンになってきた。技術を超えたところにあるとぼけた味わいみたいなものがなんとも楽しくて癖になる。テーブル掛けの色と合わせた着物と帯が素敵だった。

講談は熟睡してほぼ記憶なし。

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【木馬亭三月定席千穐楽】2024年3月7日(木)12:15~16:10@浅草木馬亭

奈みほ・豊子「祐天吉松 飛鳥山親子対面の場」
すみれ・理緒「武林唯七 花の雨」
はる乃・道世「水戸黄門漫遊記 散財競争」
勝千代・美舟「武田信玄」
~仲入り~
恵子・貴美江「からかさ桜」
講談 南北「警官と車屋」
奈々福・豊子「天保六花撰 上州屋玄関先」
雲月・美舟「佐倉宗吾郎妻子別れ」

去年の4月に初めて木馬亭に行って以来、毎月通って早1年。よもやこんなに浪曲にハマるとは思ってもいなかった。今月は初めて定席7日のうち2回足を運んだ。小ゆきさんの代演がはる乃さんになり、大好きな3人がそろい踏みするという素晴らしい顔付けは見逃せない。結局、行って大正解! (講談以外は)ハズレなしの楽しさだった。

奈みほ・豊子「祐天吉松 飛鳥山親子対面の場」
初めて聴く噺。なんかすごく浪曲っぽくていいなあ。奈みほさんも声が伸びやかでよい。

すみれ・理緒「武林唯七 花の雨」
これも初めての噺。すみれさんはこういう武士物がお好きなのかな。半音下がったり、ものすごく細かい節回しだったり、たぶん尋常じゃなくすごいことをサラリとやっている。

【かつちよかいvol.17】2024年3月3日(日)18:00~19:15@丸美京屋ギャラリー

勝千代「子は鎹」
勝千代「甲州街道桃太郎伝説」
曲師:まみ

木馬亭のあと軽く食べてから会場へ。初めて伺ったけれど素敵な空間で、しかも音の響きが素晴らしい。勝千代さんのダイナミックで迫力満点の生声と超絶の節がズドーンと響き、まみさんの三味線もひときわ冴え冴え。帰り際に勝千代さんにそのことをお話ししたら、この会場はのどが痛くならないとおっしゃっていた。音を吸ってしまうような会場だと、その分無理に声を出して痛めることもあるらしい。
あと、まみさんの帯が素敵だった

「子は鎹」は、落語の「子別れ」よりはるかにあっさり&さらりとしつつも、節がドラマチック。
「桃太郎」は今日も「退治しないバージョン」。お稽古では退治したらしいのだが、結局本番では退治せず。わたしもこの噺は三度目だけど、まだ一度も退治バージョンを聴いたことがない。いつか聴けるのか。勝千代さん自作のこの噺は、上野原や山梨のご当地要素が満載で、かつ笑いと涙と感動の溢れる楽しい名作だ。

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小そめ・博喜「宮様と自転車」
小ゆきさんの予定だったが、急遽ご家族がコロナ感染ということで代演。少し残念だったけど、結果的に噺の内容としてはこれが今日一面白かった。明治時代が舞台。若き日の竹田宮殿下と、身分を知らずに40日間自転車を教えてやった庶民の男性との友情物語。実話なのだろうか。ともに台湾討伐で父親を亡くしたどうしとわかってからの展開が胸アツ。なかなかに泣けた。高音がよく伸びてとてもよかった。

隼人・さくら「大高源吾 松浦の太鼓」
隼人さんを聴くのは二度目。今日は良さがとてもよくわかった。講談でもかかる演目だけど、これは断然浪曲のほうがわたしは好きかも。隼人さんの演じ方がよかったのかな。とにかくその声量と、迫真の啖呵。一昨年だかの演芸大賞金賞を獲っただけのことはあると思った。

勝千代・まみ「鉢かつぎ姫」
雛祭りを意識した可愛らしい演目。聴くのは二度目。勝千代さんの演じる女性は本当に可愛いんだなあ。すっかり手の荒れた鉢かつぎが、それでも生きていれば四季を愛でられる、生きていればこそ花が咲くと前を向くところがとても好き。

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【木馬亭三月定席三日目】2024年3月3日(日)12:15~16:10@浅草木馬亭

柳一・一貴「深川裸祭の由来」
綾・ノリ子「吹雪に咲く花」
小そめ・博喜「宮様と自転車」
隼人・さくら「大高源吾 松浦の太鼓」
~仲入り~
勝千代・まみ「鉢かつぎ姫」
講談 真紅「伊勢屋多吉」
小柳丸・道世「千人坊主」
順子・貴美江「一妙麿」

今日は元日以来の一日完全オフの日。昼夜浅草で浪曲三昧した。まずは木馬亭の定席。日曜日なのに入りが少なく、拍手や掛け声も薄くて、演者にも客にも気の毒な日だった。でも知らない噺が多くて楽しかった。あとで勝千代さんがツイートしていたけど、この日は珍しく曲師が全部別々。たしかに、普通は4人くらいで2席ずつ程度受け持つものね。

柳・美舟「唄入り観音経」
これは楽しい一席。ご自身の師匠である博師匠のことを本当に慕っているのだな(柳さんも綾さんも)というのが、口上含めひたひたと伝わってきた。

綾・美舟「紺屋高尾」
果敢な挑戦らしい。裏声が多用されたり、美舟さんの掛け声もいつもと違う。きっと独特の節回しがあるのだろうな。柳師匠もしきりに「三門節の継承」ということをおっしゃっていた。これも、前に聞いた太福版やはる乃版と違っていて面白かった。

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【三門綾・年季明け興行~鵬程万里~】2024年2月24日(土)13:00~16:00@木馬亭

はる乃・豊子「水戸黄門漫遊記 散財競争」
奈々福・豊子「清水次郎長伝 お民の度胸」
~仲入り~
口上・三本締め
琴美・明「赤垣源蔵 徳利の別れ」
柳・美舟「唄入り観音経」
綾・美舟「紺屋高尾」

晴れの門出を一目見んと満員の観客で凄い熱気。柳師匠の口上は、巣立つ弟子への思いと、自身の亡き師匠を偲ぶ気持ちが止めどなく溢れていて、聞いているこちらもついもらい泣き。綾さん渾身の「紺屋高尾」は、久蔵と綾さんの両方の真心が重なってまっすぐ胸に響いた。行ってよかった。

はる乃・豊子「水戸黄門漫遊記 散財競争」
ノリノリで、いつ聴いてもほんとに楽しい一席。

奈々福・豊子「清水次郎長伝 お民の度胸」
思えば初めて聴いた浪曲が奈々福さんのこの演目。今回も短く、ちょうどいいところで時間となるところも楽しい。来月は勝千代さんでこれを聴くので、比較対象の基盤ができてよかった。

琴美・明「赤垣源蔵 徳利の別れ」
浪曲版とも、奈々福版とも違って面白い。聴きはじめて約1年、ようやく「同じ噺を別の流派で聴くとだいぶ違うね」という経験ができはじめてきた。

三可子・貴美江「江藤新平と芸者お鯉」
マクラで、この噺は評価が分かれると話していて、その理由もわかったけれど、わたしは好き。維新の立役者の一人として数々の功績をあげつつも、のちに佐賀の乱を起こして斬首された江藤新平。そのさらし首の写真を毎日のように買い占める芸者お鯉、という不思議な始まり。かつてのかすかな縁を恩に感じ、江藤の斬首の写真を出回らせまいと義理を通す一介の芸者が、あるとき政府の大官らの新年会に呼ばれ、そこで斬首刑の首謀者たちを相手に一歩も退かずに理非を説く。静かな痛快さ。

はる乃・貴美江「文七元結」
30分という時間の制約もあるだろうが、落語に比べるとすべてがあっさりとコンパクトに進む。文七に五十両くれてやるときも、落語のように逡巡せずに、もってけ泥棒とばかりにポイっと渡してしまう。落語版ふうを期待すると物足りないところだが、見栄っ張りで粗忽な江戸っ子の強がりが顔をのぞかせたようでもあり、これはこれでいい気がした。
何より、はる乃さんのぴーんとどこまでも伸びていく力強くて美しい声をたっぷり浴びられてよかった。節回しも啖呵ももう堂々たるもので、28歳の最年少浪曲師とは思えない(でも芸歴10年だからね)。

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【浪曲かるた亭 vol.25】2024年2月16日(金)18:00~19:45

柳一・一貴「忠治関宿落ち」
三可子・貴美江「江藤新平と芸者お鯉」
~仲入り~
はる乃・貴美江「文七元結」

二度目のかるた亭。会場である神保町の奥野かるた店二階は、珍しいかるたやカードのコレクションが並び、背景にもかるたをあしらった幕がかかるなど、独特の素敵な雰囲気。しかも、マイクはないのだがとにかく聴きやすい。たっぷり三席聴けて木戸銭が1500円って、いいんでしょうか。

柳一・一貴「忠治関宿落ち」
このコンビでこの演目は二度目だけど、前座さんとは思えないほど落ち着いていて、節回しも細やかで、啖呵も時代劇を観ているかのように場面がくっきり浮かぶ。女流びいきのわたしだけど、男流の中で柳一さんは相当気に入っている。今後が楽しみ。


【玉川奈々福ど、どど、どく、どくえんかい】2024年2月7日(水)19:00~21:15@新宿道楽亭

奈々福「天保六花撰より 河内山宗俊 上州屋玄関先」
~仲入り~
奈々福「浪花節更紗」(正岡容原作)
曲師:美舟

浪曲は太福さんの短いやつしか聴いたことがないという友人と一緒に。終わって友人は、太福さんと全然違う全然違うと何度もいい、歌の凄さに感動した模様。それをあの小さな空間で聴ける贅沢。

確かに二席ともいつものようにとても素晴らしかったのだけれど、それぞれのマクラがわりの少し長めのトークの中で、先月亡くなった八代亜紀さんとの仕事の思い出や、今後に向けて温めているさまざまなプラン、30周年記念の能楽堂公演への思い、さらには国境を越えた今秋の壮大な企画の話などを聞くにつれ、この方はもはや浪曲を超えた存在なのだと改めて思った。節や啖呵の見事さという浪曲師としての技量が秀でているのみならず、その知識、知性、頭脳、つくる力、組み立てる力、魅せる力、大きなプロデュースをしていく力は、浪曲師の枠にとどまらない。ファンとして応援したい人というより、凄さを仰ぎ見るまばゆい人だと感じた。

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