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【木馬亭九月定席二日目】2023年9月2日(土)@浅草木馬亭

き太(みね子)「不破数衛門の芝居見物」
三可子(ちぐさ)「八代目錦島三太夫」
虎康(貴美江)「清水三下奴」
勝千代(鈴)「慶安太平記 善達箱根山」
~仲入り~
福助(みね子)「陸奥間違い」
講談 安久鯉「畦倉重四郎 金兵衛殺し」
順子(貴美江)「夢二の女」
雲月(博喜)「安兵衛婿入り」

き太さん、まるでジャニーズのようなルックスだが、いかんせんデビューまもなく初々しさだけが光る。三可子さんはいつも良い感じなのだけど、今日の演目は歌が少なくなんとなく単調。虎康さんは初聞きだが、うーん、という感じで終わる。と、せっかく浪曲初体験の友人を連れてきたのに、ここまで低調。

さん喬師匠の東京の独演会はなるべく行こうと思っているんだけど、ふと「でもなんか多くない?」と思って数えてみたら、今年すでに12回。年内も把握しているだけであと9回(!)。それぞれ最低3席やって、ときには6席(!)かけたりするわけで、しみじみキッチンいなばのおもてなしパワーの凄さを感じる。

9回ぜんぶはさすがに無理かな。なるべく昼間、なるべく近場でふるいにかけよう。

幾代餅久しぶりだな、と思って記録を遡ったら、なんと13年ぶりだった 。びっくり

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さん喬師匠は大好きな三席。短命は、下卑たところの一切ない柔らかな色気が絶品。夏冬の短命さの描写の美しさったらなく、それが却って可笑しみを増す。。幾代餅は聴きたかったので嬉しい。幾代の凛としたたたずまいと、優しい心根に、清蔵ならずとも惚れる。船徳、櫓も竿もありありと見えてくる不思議。鉢巻きを締めて竿を手に見得を切り、自慢の喉を聞かせながら竿を振り回す、絶好調の若旦那の可愛らしいこと! この夏三度目だけれど、今日が一番ロングバージョンかな。とてもよかった。

さん喬師匠の独演会は基本的になるべく行こうと思っているんだけど、数えてみたら今年は昨日までの8か月ですでに12回。年内もあと4か月で、わたしの把握しているだけで8回ある。中堅どころの噺家さんがどれくらいのペースでやっているかわからないけど、これってすごいんじゃないのかな。どこからくるのだ、あのパワー。

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【さん喬独演会】2023年8月23日(水)16:45~21:30@深川江戸資料館

開口一番 小きち「松竹梅」
落語 さん喬「短命」
落語 さん喬「幾代餅」
上方落語 新治「りんきのこま」
~仲入り~
落語 さん喬「船徳」

今日は上方落語の新治師がゲスト出演。こういうゲストを業界用語で「すけ」というらしい。トークショーなどがなかったのは残念だけど、このふたりはすっかりいい仲間というか、新治師が鈴本夏まつりに出るようになったのもきっとさん喬師匠とのつながりからなんだろうな。この日新治師は「りんきのこま(悋気の独楽)」だったんだけど、軽快な関西弁のせいだけでなく、噺のつくりもだいぶ違っていたもんだから、何の噺かはじめはぜんぜんわからなかった。最後のほうで独楽が出てきてようやく、これって悋気の独楽だったんだ、と。もともと上方落語だったらしい。知らなかった。おかみさんじゃなくてごりょんさんだったり、使用人がごりょんさんをちょっと馬鹿にしていたり、おなごし(女中)のおたけのキャラが強烈だったり。本場の噺はこうも趣が違うんだなー。すごく楽しかった。

でもこれとて高校生自体が悪いわけじゃない。そうさせるスポーツ文化と、それを意味不明に維持したがる大人(の男)たち。

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いやだったのは、隣の席の夫婦。ふたりともマスクをしておらず(それはもはや珍しくはないのだが)、男のほうがときどき咳込んでいる。ひえーーーと怯えるわたしの気配を察してか、女のほうが「咳だけなかなか治らないね。もう何週間もたったのにね」と聞こえるように言った。ってことは数週間前にかかっていたんかい! もうウイルスは出ていませんよ、といいたいのかもしれないけど、咳しているのにマスクしないなんて信じられないし、ちょっとは出ているかもしれないし、新たに感染していないともいい切れないじゃないか。途中からさすがにマスクをしたが、黒い布マスク……orz 空席に移動すべきだったか(涙)。自分の免疫機能の高さを信じよう。

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仏馬はその昔に喬太郎師が発掘した話。はっきりいって、それほどびっくりするほど面白いわけではなく、キョン師の話術でもっているようなところがあったし、サゲもわかりにくくてなんとなくモヤモヤしていた。でも新治師のは少し筋を変えて、三道楽煩悩をうまく絡めてとてもスッキリわかりやすかった。納得のサゲ。普通の会話の部分も、関西弁というだけでなんとなく面白く聞こえてしまうから不思議というか得。

喬太郎師はスナックランドぞめき。わたしはこれが当たる確率がほんとに高い。でも、前回は池袋のトリでこれをやられたので一瞬殺意が湧いたけれど、今日は浅い出番だったのでキョン師と一緒に大いに楽しめた。一之輔師のは普通に面白かったけど、強烈な一之輔テイストではなかった。慶応高校に負けてほしいといっていたけど、わたしは是が非でも優勝して、丸坊主+監督盲従+根性第一的な高校生を颯爽と蹴散らしてほし

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【鈴本夏まつり 夜の部九日目】2023年8月19日(土)17:00~20:55

結局やっぱり行きたくなってまた鈴本へ。今夜も楽しかったー! 数量限定のカツサンドもぎりぎり買えた。

落語 さん光「浮世床(本)」
奇術 アサダ二世
落語 小ゑん「鉄の男(序)」
落語 菊之丞 「野ざらし」
漫才 風藤松原
落語 喬太郎「スナックランドぞめき」
落語 一之輔「新聞記事」
落語 新治「仏馬」
~仲入り~
物真似 猫八(鶯、犬、海驢、海豚、鯨)
落語 さん喬「茶金」
紙切り 正楽(線香花火、大文字焼き、慶応高校)
落語 権太楼「青菜」

茶金は生では初。さん喬師の京都弁、いいな(ただし東京者の感想)。どっと笑う、という話じゃないけど、のんびりと楽しかった。また聴きたい。権師の青菜は何度聴いても爆笑。表情が反則だよ。一之輔師のように人物造詣に独自色を出さずとも、語り方と表情だけでこれだけ可笑しい。野ざらしは菊之丞師でははじめてだったけど、すごくよかった。軽妙で軽快。のども素晴らしくて、一気に駆け抜けて耳に心地よい一席だった。

もう一日行きたくなっちゃったなー、行っちゃおうかなー。19日の茶金は未聴だけど、芝浜も聞きたい……。未聴の噺は残しておいたほうが、この先追っかける楽しみも増すか、などと考えたり。

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一之輔「天狗裁き」
先日の青菜のタガメに続いて、強烈なキャラが次々登場。思うに、一之輔さんってフォーマットで笑わせるんじゃなくて、徹底的に登場人物を一之輔色の人物造詣にすることによる笑いなんだな。天狗裁きといえば、普通は「女房が聞きたがり、隣家の男が聞きたがり、家主が聞きたがり……」というフレーズのくり返しや間(ま)で笑わせるものの気がするが、一之輔師の場合はその大家や奉行や天狗のキャラがいちいちどうかしていておかしい。なかでも強烈な腹話術大家には大爆笑。

新治「竜田川」
聞きなれた千早ふるも、関西弁になるとすごく新鮮。妙に関西ローカルな地名が登場したり、本筋を離れて現代の話を入れ込む際も関西弁の軽妙さが楽しさを増す。

さん喬「船徳」
楽しい一席。櫓を漕ぐしぐさの素晴らしさ。本当に重そうな水の抵抗が見えてくるんだよね。それにしても、この噺は疲れるだろうなあ、あれだけ動いたら。でもその動きがいい。徳が不運な客2名を乗せて四万六千日の大川にのっこむところ。ねじり鉢巻きして見得を切り、陽気に一節口ずさみながら竿を振り回し、その竿を流す。すべてありありと目に浮かぶよう。

権太楼「へっつい幽霊」
ほっぺを「つねつねつねつね」のくだりの可愛さと破壊力よ。ここだけ延々リフレインして聞きたい!

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【鈴本夏まつり 夜の部五日目】2023年8月15日(火)

落語 やなぎ「子知る」
奇術 アサダ二世
落語 きく麿「歯ンデレラ」
落語 菊之丞「短命」
漫才 風藤松原
落語 喬太郎「夫婦に乾杯」
落語 一之輔「天狗裁き」
落語 新治「竜田川」
~仲入り~
物まね 猫八(犬、鶯、フクロテナガザル)
落語 さん喬「船徳」
紙切り 正楽(線香花火、甲子園、天狗裁き)
落語 権太楼「へっつい幽霊」

夏の吉例、鈴本夏まつり夜の部へ。豪華な顔付、寄席の楽しさが満載。さん権両師とも爆笑噺ってのもいい。今回は同行の友人がこの日しか行けなくてこの日になったけど、なんでもかんでも結果オーライ。巡り合えた高座が最高の高座。

あと、寄席って縦のつながりが期せずして生まれるから楽しい。今日は菊之丞師の「短命」のおまんまよそって渡すときに指と指が触れるのをキョン師が受けたり、新治師の「竜田川」(こちらでいう「千早ふる」)の最後の「とは」の謎に、なんと物まねの猫八先生が答えを出すなど。受けた。


【〝落語キッチン〟柳家さん喬独演会】2023年8月12日(土)13:30~16:35@中野芸能小劇場

開口一番 左ん坊「出来心」
さん喬「浮世床~夢~」
さん喬「真田小僧」
さん喬「替り目」
さん喬「徳ちゃん」
さん喬「引越しの夢」
~仲入り~
さん喬「死神」

オフィス10さん主宰の会、今回から「落語キッチン」の副題がついて場所も中野へ。いやー面白かったすごかった。前半は自らの高校時代→芸能学校→小さん入門→前座→二つ目→真打と思い出をたどりながら、合間合間にその時期に覚えたor教わった軽い噺を語る構成。なんと5席も! まさに師匠のキッチンで絶品の小皿料理を次々にふるまってもらっているかのよう。貴重な話が聴けて嬉しかったし、本当に贅沢な時間だった。

しかもあとでおっしゃっていたけど、何の噺にするかは事前にいっさい準備せずにぶっつけ本番だったとのこと。すごいなあ。仲入り後のメインディッシュはたっぷりの「死神」。ひんやりと恐ろしく。最後は死神の嗤い声のなか幕が下りる。今日もキッチンいなばのおもてなしに感激至極。ごちそうさまでした。<(_ _)>

「まつり浴衣」(清水一朗作)
これは日本橋でも聴いたけれど、また盛大に泣く。吉次郎は母を亡くし、父が後妻をもらって弟妹が3人。12歳の祭りの夏、一家は貧しくて揃いの浴衣をつくれない。やっと工面した反物で継母は幼い弟妹の分だけ浴衣をつくる。悔しくて家を飛び出し、亡き母の故郷・宇都宮を目指し、利根川のほとりの宿で仕事を得る。祭りの日、8年ぶりに江戸に戻って、そっと家を覗いてみると、一家揃って祭りに出かけた留守宅に、丈も裄も自分にぴったりの浴衣がかかっている。それを羽織って、嬉しさにうたいあげるところで終わる。そのあと親に会ったのか、それども会えずに去ったのか、こちらも余韻が胸に残る。これもいい噺なんだよね。最後の節のところが、素晴らしいんだ、また(涙)。

仲入りのティータイムには予約していたチーズケーキセット。ここのチーズケーキ、ネットでも評判だけど、本当においしかった。濃厚なチーズプリンといった感じで、なめらかで、上にカラメルがかかっていて。この会、絶対にまた行く!
(店の外でチラシの写真を撮ろうと思ったら、勝千代師匠がお見送りで外に出ていて、まみさんと一緒に写真に収まって下さった。ありがたやー!)

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【木村勝千代 第11回かつちよかい】2023年8月8日(火)13:30~15:15@カフェa bientot(荻窪)

「相合船」(清水一朗作)
~仲入り&ティータイム~
「まつり浴衣」(清水一朗作)
曲師:沢村まみ

4年目曲師のまみさんが、木村派の浪曲の勉強をするために一昨年に始まった会。初めて参加した。喫茶店に十数人の客という、贅沢な時間と空間。マイクなしにどこまでも届くような声量と自在の節に聴き惚れた。

毎回、演題はまみさんのリクエストとのこと。今回の夏らしい二席はどちらも、続きが気になるところで敢えて終わる余韻が爽やか。初心者ゆえに的外れかもしれないけれど、勝千代師匠の節回しは力強いんだけど柔らかくて細やかで、陰影があるというか。美しい。

「相合船」(清水一朗作)
何とも可愛らしい一席。親と番頭の決めた見合いが嫌で、当日船宿に逃げてきた若旦那。そこへ、店から相部屋を頼まれて入ってきたのは、美しいが気の強い女性。じつはその女性も親と番頭の決めた見合いが嫌で、当日逃げてきた身。やがて互いがその見合いの相手とわかり……。二人で船で佃まで繰り出し、遠目に隅田川の花火を眺める。夜空に大きく花火が広がる。さてふたりの恋の行方やいかに……というところで余韻たっぷりに終わる。これ、いい噺!

違った。原作は八雲だけれど、浪曲自体は大西信行作とのこと。ペケッターのほうにじきじきにご返信いただいてしまった :blobcat_mlem:

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あと雪絵師匠の「雪おんな」は、なんだろう、本当にもう、まるでお芝居を見ているようで、本当に雪女に見えたし、その心情がひしひしと伝わってきて、自分でもびっくりするほど涙が出た。沁みた。調べたら、雪絵さんは演歌歌手との二刀流らしい。だから感情の込め方がうまいのかな。とにかく館内誰も泣いていない感じだったのに(^^)、悲しくてわたしだけずーっとハンカチで涙を止めていた。素敵だった。この方はまた聴きたい。

「ぬれ手拭い」は落語にもありそうな、一番怖いのは幽霊じゃなくて人間です、タイプの欲と色が絡んだ怖い話。全部やると一時間かかるらしく、しかも今日の夜の自分の独演会でもかけるつもりにしていたそうで、ちょうど半分のいい場面で「♪ちょうど時間~と、なりま~した」となって、続きが聴きたい人は夜に来てね!といわれても行けないけどね。

やっぱりわたしは女流の浪曲師さんが好きだなあ。でも、客席を埋め尽くさんばかりの高齢男性は、男流の人が出てくるとここぞとばかりに「待ってました!」と声をかけている気がしてちょっとなんだかなーと思った。いや、たぶん完全に気のせいなんだけど。
とにかく浪曲はもっと若いお客さんが必要だよ。

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【木馬亭八月定席六日目】2023年8月6日(日)@浅草木馬亭

今日は企画公演の怪談特集。浪曲の怪談ってどんなだろうと興味津々で出かけた。節が入る分、ひたひたとした怖さというのとは違うけど、ドラマチックさが増す気がして堪能した。どの話もとてもよかった。帰りはにわか雨に降られたけど、スカイツリーにかかるきれいな虹が見られた。8月6日ということをふと思った。

志乃ぶ(美)「みみず医者」
綾那(博喜)「ゆうれい奇談」(沢村博喜作)
小ゆき(理緒)「最強主婦列伝 くれない包丁」
隼人(さくら)「ぬれ手拭い」(国友忠作)
~仲入り~
雪絵(貴美江)「雪おんな」
講談 春陽「江田島騒動」
一太郎(美)「怪談 牡丹灯籠」
琴美(貴美江)「吉田御殿」

とくに好きだったのは、まず綾那さんのゆうれい奇談。前に泉岳寺でも聴いたけれど、本当に噺がよくできていて面白い。コミカルさもあり痛快で。綾那さんの語りは情景がはっきり浮かんでくる。ハスキーな声と目力も素敵。

あと、小ゆき師匠の創作・くれない包丁もよかった。唯一、現代を題材にしていて、嫁姑の確執も絡んだ二重の怖さ。ちょっと馬鹿馬鹿しい感じもありつつ、なのに節回しがすごくてカッコイイ。

翁家社中の2人、やる技をトランプみたいなカードで客に選ばせるなど、工夫も技も素晴らしかった。皿オンザ包丁! 技のラインナップも、従来の太神楽の定番以外に挑戦しているし、コミカルな要素も加えてとても楽しめる。

白酒師の破壊力は今日も健在。でも、それに輪をかけた一之輔師の青菜の凄まじさ(一之輔師では初聞き)。女房を「タガメ」にしちゃったり、お屋敷からの帰り道、お屋敷のやり取りをさんざん馬鹿にしたあげくに恥ずかしそうに「……やりたい!」と結局真似をする。随所に一之輔独特のくすぐりが満載で、こんなに笑った青菜はないかもだし、この先、タガメの出てこない青菜では物足りなさを感じそう(^^)。

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