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「あんな内容のないものならだれでも書ける!」とか主人公は思っただろうけど、内容のないものを書くのってそれはそれで才能なので、内容のない小説部門ポッと出のこの主人公にはできてないと思う。ぜったいなんかめんどくさい、物語に意味や意義や思想を与えること書いてる。プロの書き手といえど人格をそんなに消せるもんじゃないぞ絶対にやってる。

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でも私が思うにこの主人公のことだから、いくら「ベッタベタのくっだらない小説を書いてやるぞ!」と意気込んだところで隠しきれてないと思うんですよね、文学家たるめんどくさいところが。そういう滲み出るややこしさと超通俗的な内容がスーパー化学反応を起こして皆にウケたんじゃないかと思うからモンクはもっと喜んでいいよ(まだ見てる途中)。

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「アメリカン・フィクション」見てるけどおもしろい。おもしろいっていうかいい映画だ。
志高い小説家のモンクが”黒人作家らしいものを書け”という世間の抑圧への皮肉のつもりで書いたベッタベタの小説がめちゃくちゃにウケて…という展開がメインではあるんだけど、そういうハチャメチャな虚構と対比して現実のモンクの人生はあくまで厳しく悲しく時にファニー。その現実部分の描き方めちゃうまいというかそれがうまいことで本来の目的を達している感ある。

先日ボランティア先の人と話してたら、ヨルゴス・ランティモスの「Dogtooth」を09年カンヌ映画祭の上映で見たという人がいて、上映中に次々と観客が出ていくわ、気分を害した人が大声で文句を言いだすわですごいカオスだったらしい。「内容は覚えてないけどすごい雰囲気だったことは覚えてる」とのことです。現場からの報告、貴重。

なんで「Argylle」を見たかというと、「Mean Girls」を見るつもりでチケットも買ったのにごめんね機材不良で上映できません☆と言われたのと、かわいい猫が出ているからです。かわいい猫かわいかった。でも劇中人物には人の心がないので猫への愛もそんなにない。あの程度では愛とは認めません(モンスター猫ペアレント)。

「Argylle(アーガイル)」まあ楽しくないとは言わないけど人の心がないカカシが書いたみたいな話だったな。そうはならんやろの嵐。たぶん人間界ではまだ修行中なんだと思うからがんばってほしい。

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「Argylle(アーガイル)」引き続きなんの配慮もないバレ 

いや現実のブライス・ダラス・ハワードとサム・ロックウェルに物語中のヘンリー・カヴィルとジョン・シナが対応してるという話なのになんでそこをわざわざ抜かすの??? 百歩譲って映す勇気がないと言うなら二人がほんのり顔を離す瞬間からでもいいよ……そういう気づく人は気づくレベルにのことさえできない、そのセンスのなさ……そんな感覚だからお前は物語も人の心もわからないし何をやってもダメ……(あの1カットだけですごい酷評)

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「Argylle(アーガイル)」見ましたけど(いきなりラストネタバレ) 

なんでヘンリー・カヴィルとジョン・シナはキスしないの????? いや冗談でもなんでもなくしないほうが逆に不自然じゃない?????

私は映画のそういう、情が通れば道理がひっこむみたいなとこが嫌い…って思うこともあるし、だからこそ面白いのさ…人間はね…って思うこともある。マス文化だなって思うそういう意味で。情の立場の強さが。

映画と小説のいちばんの違いって、やっぱり映画は生きてる人間(しかも生きてる人間の中で魅力値が高いほう)が演じてるから、キャラクタに魅力が!出ちゃう!どんなクソなキャラクタでもクソなりの輝きが!

小説だったらキャラの魅力なんてないほうがデフォルトっていうか、憎らしいキャラを憎らしいものとして、なんもいいとこないキャラをなんもいいとこないものとして描けると思うんですよね。そういう非情さが映画にはない。映画には情状酌量の余地がありすぎる。

そういやなんでこう思ったかを思い出したので追記(すごいネタバレ)。 

いやそうそう最後のあの羊の脳inクソ野郎のとこ。あの展開で一番ヤッター!という興奮を感じるの、あの夫っていうか羊人間側の目線でしょ!?って思ったからだった。ベラ側の目線からしたらあれ別に興奮はしないじゃんというかオチにくるほどのことではないじゃん(例えば世界を変えるという目的とかに比べれば)。あの結末って「男」側の目線に立った時に一番マゾヒスティックなカタルシスあるなって思って。最後でなんかちょっと趣味というか何かがただ漏れてた。そんな鑑賞の思い出です。

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オッペンハイマーが賞レース荒らしがち問題 

いや私も実は今年度見た中だとオッペンハイマーがダントツおもしろだなって思うんですけど、しかしあんないろんな話できそうな題材を扱っておきながらお前にできることは超おもろ映画を作ることだけなのか?!っていう気持ちもある。むしろ「あ、この人面白い映画しか作れないのでは…?」って思ったよね。面白さに呪われている。

面白い映画には面白い映画にしかできないことがあるけど、面白い映画にはできないこともあると私は思うなー。面白さってひとつの側面でしかないし、面白さが隠してしまうものってたくさんあるんですよね。特に現実世界とのリンクが強い題材のときはそれ感じる。おもろいものしか作れないならノーランはSFだけ撮ってて(暴言)。

Poor Things、ラファロの役が良すぎたみたいなとこあるな。クソすぎかつおいしすぎ。あんなに見せ場ある必要ある?!くらいある。

フェミニズム映画とは何みたいな話(再) 

いやなんか前トゥートではPoor Thingsがフェミニズム的に見えるって話したんだけど私の中で疑義もあって、というのも「男の愚かさ」を自虐的・内省的に描いた作品ってフェミニズム的って言っていいのかな?って。

男性クリエイターの中に「男の愚かさ」についてめちゃ表現したい層が一部存在している波動はけっこう感じてて、そういう自己批判的(時にマゾヒズム的?)な視点ってたしかにフェミニズムと通じるもの多いだろうけど、しかしそこにおける興味の対象ってあくまで「男」であってそれ以外のものじゃないんだよなっていうか、結局はお前の話かよ!みたいなとこある。

「男」の愚かさを描きたい物語における対立概念としての「女」って、それはそれでまた人間じゃないみたいなとこあるだろうし。男の愚かさを罰するための概念みたいなやつだから。Poor Thingsはその波動ちょこっとある。ミクロンくらい。愚かな男への解像度ののほうがベラへの解像度より高いやろ疑惑。

そういえば実家の人が「プラダを着た悪魔」初見したというのであらすじを聞かせてもらった(私未見)のだが、オチまで聞いて私は思わず「えっ保守的〜つまんない〜」って言ってた(伝聞による忌憚のない感想)。まあ2006年だし…。すでに最後までネタバレたが、バレが影響するような物語じゃないので今度私も見るかな。

フェミニズム映画とは何かって話 

作り手にフェミニズム映画を作ろう!と意図があって誕生するというよりも、フェミニズム的な感覚をもった観客がそれを鑑賞した時にフェミニズム映画が誕生する。っていう所感。

というのもヨルゴス・ランティモスとかアリ・アスターとか、あのへんは世界有数の「ユニーク」枠の人々なのでまあそりゃ人とは違うポイント・オブ・ビューがあるからジェンダーに関しても非伝統的な描き方をすることがあるわけで、それが我々が考えるようなフェミニズムとして意図されてるかっていうのはよくわからん(だって何もかもがよくわからんしあの枠)というかあんま問題ではないと思う。

やっぱ解釈というのは観客が作るものだから、作り手が意図してなくてもその感覚を持つ層にとってはまじ名作が爆誕することもあるし、逆にどんなに要素を意図してぶち込もうが一部の観客にとっては永遠に誕生しない。

私の所感でいうと近年フェミニズム映画を爆誕させがちなのは女性(自分の世界観を追求するとそうなりがち)以外だと、上記のユニーク枠とか、あと俺達はただ面白いものが作りたんだ!のエンタメ枠とか。この中にはほんとはマッチョな思想の人も含まれてると思うけど、作品はフェミニズム的になりうる。いろんな人がいろんな動機で爆誕させてほしい面白いから。

「Poor Things(哀れなるものたち)」 

やっぱこう、旅…というか人生の楽しさって、なにもそこで美しいものを見たとか、おいしいもの食べたとか、素晴らしい人に出会ったとか、キラキラ体験ができたとかそういうことじゃないなって私は思うんですよね。

ベラの旅ってある意味ではクソみたいな男にひっかかって家出して結局遠い街の娼館で働くっていう典型的不幸というかダメ・オブ・ダメみたいなやつなんだけど、ベラの視点から見たらそれはアドベンチャーであり発見に溢れたすごい楽しいものだったなって。

そこで見たのはクソ男性であったり虚飾であったり不平等であったり全体的にグロい世界だったかもしれないけど、そういう世界を歩くのは楽しいことでありうる。人生は、世界がどうであるかだけに決定されるものではないので(それが人間の主体とか主観というものなので)。

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「Poor Things」見てきた。楽しかった! まあなんか意味とかメタファーとかいろいろあるんだろうけど私にとっては”小さい家を飛び出して世界を見に行こう”映画だったのですごい楽しかったです。冒険は楽しい。そこで見るものが美しいかどうかに関わらず。

いやでもラブラブだと思ってた夫が突然死んだら実は愛人?との別宅を持ってた…パリのド真ん中に…ってなったら愛の不条理よりまず金のこと考えない??? 誰がパートナーにばれずに動かせる金そんなにあんの??? 世界の何%に起こりうる不幸なのそれ????(「Good Grief」の話をしています)

忙しくて他に何もする時間がなかった…かと思いきやネトフリは見ていた。私「Good Grief」見てたんだけど皆はどうでござった? パートナーの急な事故死…死後に判明する浮気…みたいなのから友情と金の力で立ち直る話(独自解釈)なんだけどいわゆるセレブ夫夫だからほんとめっちゃ金あるなって思って、金あるとパリ旅行して悲しみに浸れる余裕とかあってしまうからやべえな…いやそもそも作家って売れっ子とはいえあんなに金ある…?みたいなこと考えて気が散るなどした。人生と友情の話なのに金のことしか覚えてない。

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