『リバー、流れないでよ』を見た。
爽やかで楽しかった。見るとちょっとだけ軽い気持ちになれる。
京都の奥座敷の渓流沿いの老舗旅館で、2分間のタイムループが起きる、という話なのですが、登場人物がみんな比較的協力的で理解と見切りが早くて、話がサクサク進むので気持ちいい。
ループが煮詰まってきた時に新要素が出現するタイミングも気持ち良かったです。
舞台が老舗旅館の裏方で作りが迷路のようで、いろんなルートがあって同じ場所でループしてても移動が楽しい。縦方向の移動が多いのは楽しいよね。
#映画
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』を見た。
ていうか、インディー・ジョーンズ自体を初めて見た。
過去にしか栄光のない感じの猫背で少し足元の覚束ない燻ってるお爺ちゃんが、事件に巻き込まれて愚痴を言いながら年の功で頑張っていて、可愛かったです。
お爺ちゃんのお友達たちも、久々にインディーの役に立てると目を輝かせていて、可愛かったです。お爺ちゃんたちの活躍をたくさん見たかったです。
だけれども、生涯追い求めたものが目の前にあって、ここで人生終えてもいいと感極まっているお爺ちゃんの感傷を、殴り飛ばす若い子の元気さも良かったです。若い子にもそれなりに過去があるのも良かったですね。
敵の博士が眼鏡を掛けて鞄を斜め掛けしていて、現場に出てきて散々な目にあって前髪がしょっちゅう額にかかっているのが、とてもとても可愛かったです。
親衛隊服を現代パートでお出しされふと、すげーダサいというかコスプレ感があって滑稽ですね。滑稽で可愛かったです。
で、エンドロールの冒頭でテーマ曲が流れるのですが、高校時代、この音楽で延々と行進させられていたので、心拍数が上がってガチめに気分が悪くなってヤバかったです。エンドレスが流れなくて助かりました。
#映画
『君たちはどう生きるか』を見た。 児童文学でした。わたしは好き。
わたしは宮崎駿の彼岸の描写が好きなんですね。ナウシカの清浄の地だったり、紅の豚の飛行機の墓場だったり、千と千尋の鉄道だったり。『君たちはどう生きるか』は9割ぐらい彼岸だった気がします。
“Animation(アニメーション)は、ラテン語で霊魂を意味するAnima(アニマ)に由来しており、生命のない動かないものに命を与えて動かすことを意味する(Wikipediaより)” とのことなのですが、この作品、動いちゃいけないものが動いてる感じがとてもありました。
感触としては、図書館にある古いハードカバーの児童文学でして。イメージが溢れて理屈を付けるのを放棄していますが、概念としての古典的な児童文学をガツガツ借景してる感じなので、話にはついていけます。
『パンズ・ラビリンス』が選ばれなかった者の話だとしたら、『君たちはどう生きるか』は選ばれた者の話だったように思います。
ちまっとネタバレすると、森喜朗もこんな気持ちだったかもしれないと、ちょっとだけ思いました。
#映画
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』を見た。前作未視聴。
「To be continued.」で終わりました。これ楽しい、とても楽しい。アニメーションが楽しい、オシャレ、カッコイイ!欲を言えば、もっといろんな画風でわちゃわちゃして欲しかった(疲れるか?)
緑色の暗い夜空に灯りに照らされた赤い雨なんて、すごいキマってた!全編バチクソにキマってた!
続き物かつ設定が複雑なんですが、話を追うのに基本的なことはするすると理解できる感じです。
スパイダーマンがスパイダーマンたる必須要素として「愛する人を救えない」というのがあって、ではその宿命に抗うと世界が壊れる(メタ的なことを言うと、作品の基本設定を覆すと物語が成り立たなくなる)。
主人公はそれに「No!」と言うが、しかし。で、次回に続く。
続き(作品の答え)を見るまでは、何も思えばいいか分からんなあ、といった感じです。
#映画
『リトル・マーメイド』を見た。アニメ未視聴。
海の場面が暗くて、見ててあんまり楽しくなかったな。星空も暗い。
主人公にあんまり共感もできなくて。馬車を迷惑運転して目を輝かせてる場面とかが、わりと無理めでした。なんかフォローをしておくれ。
喋る海洋生物と喋らない海洋生物の違いは何だろうかとか、人間の形をしたものが主人で人間の形をしていないものが仕えてるのってなんか拙くないかなとか、人形って何食べてるの?魚?とか、アースラ叔母さんお腹刺されて終わりなの?とか、むにょんむにょん。
人魚姫は人間になって王子様と新しい世界に旅立ちました、めでたしめでたし、というのも、なんか、こう、な!
王子様も半分人魚になれよ!
その家の者としての特権と責務と、個人の自由との対立が、主題なのかな、と。
あと、作中で涙を流して泣いてる場面があるのに、それと矛盾してる文をアンデルセンの名前を出して冒頭に置くなよ。
#映画
『TAR』を見た。
頂点まで登り詰めた天才指揮者が失墜していく話。
えっと、あの、前半寝てしまいました。だからこれは、半分寝てた人の感想です。授業とか会議とか式典とか、人の話じっと座って聞いてると睡魔に襲われるんだ、わたしは。
冒頭、アホかと思うぐらい盛られた主人公の経歴紹介から始まるのですが、容姿とか自信に満ちた表情、声、身振りで、すごい説得力で捻じ伏せてきました。で、ここが頂点で、ここから過去の過ちなんかが掘り出されて徐々に徐々に落ちていくわけですが。
カメラの視点が一人称的三人称みたいな感じで、主人公が見たもの、見てしまったものしか画面に映らず、主人公が見なかったもの、見たくなったものは基本的に画面に映らなくて(例外が2,3箇所あったかな)、現在進行で起きてることもたぶんこういうことなんだろうなぐらいの確度でしか把握できない。
だから、解釈の幅が広い。見た人が見たいように解釈できる感じ。カメラが信用できない語り手みたいな感じで叙述トリックめいてるけど、ミステリーではないので謎解きパートはない。
わたし自身の感想としては、環境と条件が整えば人間はそうなってそうしてしまう生き物だとわたしは考えてるので、主人公はそこから抜け出せて良かったね、ぐらいな感じです。
『マルサの女』を見た。 税務署の職員と巨額の脱税をしている実業家との戦い。楽しかったです。 あの手この手の脱税手法がテンポよくコミカルに描かれておりまして、うわっ、面倒くさっ!と思いましたね。二重帳簿とか僕は管理しきらんわ。 んで、一回脱税してしまうとそのお金は表に出さないお金になるので、延々と脱税し続けなければいけない羽目になると。面倒くさい。
そして、おっぱいが多かった。ていうか、出だしからおっぱいだった。
実業家の権藤さんは、囲っている愛人に脱税の手伝いをさせてるわけですが、なんかさ、これさ、たぶん脱税の手伝いをさせるために愛人を囲ってないかな? 税務署職員の板倉さんも、ファーストコンタクトで性的に籠絡させようとしてましたし。
権藤さんにとって性的行為って、性欲じゃなくて実利的な行為なんだろうな。自分のちんこを道具にしてますね。
ラスト、夕暮れの公園で遊んでる子供を見下ろして「切ない気持ちになる」と権藤さんは言ってまして、おっぱいとちんこのない世界に戻りたいよね、ノスタルジーだよねって、なりました。
脱税を巡って丁々発止対決した板倉さんとは、ちょっとそんな関係築けたんじゃないかな。
『お葬式』を見た。
妻の父親が急に亡くなったので、いきなり葬儀を取り仕切ることになりました。あたふたコメディ。
ちょいちょい口を挟んでくる親戚、酔っ払って帰ろうとしない弔問客、飽きて暴れる子供、正座で痺れる足、紛れ込んでくる愛人。無事に葬儀を終えることはできるのか。
お葬式なんて常にいきなりで準備万端で挑めるものではないのですが、でも恙無く敢行しなければならないわけで。
わたしも棺桶の相場とか通夜振る舞いの量とか喪主の挨拶とか書類の手続きとか一切見当付かんわ。っつうか、線香の上げ方すら知らん。
お葬式というものは、神妙にしなければならないわけで。さほど悲しくなくても、悲しそうに繕わねばならないわけで。参列者は遺族と弔問客という役割を演じているわけで。
お葬式というものは、そういう浮ついた薄っぺらい薄寒さが纏わりついているものだと思うのです。
祖父母の葬式で、司会の人が変なムーディーな音楽を流しながら情感たっぷりに祖父母の人生を読み上げてる時、白けた変な気分になったものな。
でも、そういった内実を伴わない形式とか建前とかいったものは、心とか感情とかを柔らかく包むために必要はあるんだろうなと思ったりもするわけでした。
#映画
『銀河鉄道の父』を見た。
宮沢賢治を父親視点で追った映画。役者さんと絵面はいいんだけど、不満が大きい。
父と息子の交流が喧嘩と看病ぐらいしかないので、父親が息子をどう育てたか、どう育って欲しかったのかとか、何が好きで何が嫌いとか、文学的素養とか、そういう情報が読み取れない。
インパクトの強いイベントが突発的に起きて、そのイベントが何故起こったのか、それによってどういう影響があったのか、そういう話の繋がりもあまりない。
娘を東京の女学校にやれるぐらいの大店なのに、従業員やお手伝いさんのいない家。
存在を消された祖母、トシの聖女振りを演出するための祖父、存在感の薄い母親、文句ひとつ言わない都合のいい弟、二人いたはずが一人に集約されて「お兄ちゃん」の一言しかセリフのない妹。
作り方が一面的過ぎる。
#映画
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』を見た。
歌って踊る大団円はいいものですね。うん、いい、良かった。
味方は怒鳴る人が多かったので、せめて敵は怒鳴らない人がよかった。
こないだアフタヌーン編集長のnoteがあったじゃないですか。そこの中村哲先生の言葉。わたしにとっては、そういうお話でした。
「泳ぎの速い子がいて、遅い子がいて、泳げない子がいます。皆それぞれ違っていますが、優劣ではないのです。優劣などないのです」
『AIR/エア』を見た。
1984年、低迷期のNIKEが浮上するきっかけを掴んだ、その瞬間の映画。
スポーツとか、そういうのに全く興味がない人間が見てしまっての感想にはなるのですが。
80年代の車とか電話とかがたくさん出てきて楽しかったです。
ええと、converse、adidas、NIKEと3つのメーカーがありまして。NIKEは三番手に甘んじていました。その状況を覆すために、マイケル・ジョーダンという学生バスケのすごい選手と契約を結ぼうという話になって、めでたく契約が結べたので、NIKEはトップメーカーに躍り出ましたよ、結んだ契約はそれまでの世界を変える画期的なものでしたよ、という話でした。
わりと結論ありきで、プレゼン場面も滑りまくりでマイケル・ジョーダンが何故NIKEと契約を結ぶことにしたのか、それまでの商習慣を覆す画期的な契約をどう役員会で承認させたのか、それはよく分かりませんでした。
プレゼンにあたり、靴を作ることになるのですが、これがたった二日の徹夜作業、機能は二の次で見た目重視でという指示で作られていたのが印象的でした。
靴は所詮靴で、どの靴を履くかではなく、誰が履くかが重要なんだ、みたいなことをプレゼンで語っていて、これがこの映画の肝だったのかな、と思いました。
#映画
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(吹替)を見た。
考えてみれば、わたし、マリオをあんまり履修してなかった。ゲーム(スーパーマリオブラザーズ)をちょろっとやって、子供の頃に実写版(いろいろ忘れてるけど面白かった記憶はある)一回見たことがあるだけだ。
配管工という設定がほぼ活かされていなかったので、寂しかったです。配管工スキルを使って活躍して欲しかった。
序盤の横スクロールアクションの場面が一番楽しかったので、もっとテレビゲームっぽくして欲しかったです。音楽ももっとピコピコして欲しかった。
気負わず楽しく見れました。
#映画
2023年4月22日
『仕掛人・藤枝梅安2』を見た。
池波正太郎生誕100周年。原作未読。
一作目と違って肌の露出はないが、相変わらず手篭めシーンが多くてエグいな。わたしは梅安先生の脛をもっと見たかったです。
二作目の悪役は掘り下げが皆無でただの畜生だったので、胸糞悪いだけで見ていてあんまり楽しくなかったです。掘り下げる価値もないという、製作者の判断なのでしょう。
一作目の引きが、梅安先生の相方の彦さんの仇発見というものだったので、二作目は彦さんの話かと思いきや、今作もしっかり梅安先生のお話でした。
そこが梅安先生の基盤となっているのですが、梅安先生の女の体への嫌悪と希求をどう受け止めたものか。
行燈の揺れる頼りない灯りに仄照らされる暗い部屋で、もそもそ食事してるシーンが素敵です。彦さんとの最期の晩餐的なシーンが最高。
夜中に二人で林に死体を埋める場面なんかは、お手本みたいな出来で100点満点だと思います。
#映画
『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』を見た。ゲーム未プレイ。
これ楽しかったです。要素要素がカチカチはまって連動して、ピタゴラスイッチ的な快感があった。お話的にも負け犬たちが寄り集まって、一瞬本物の英雄になるといった王道の展開を軽快に説得力を持って展開してくれてた。
僕は詐欺師のフォージおじさんが好きですね。身振りが演技がかってて顔が良くてですね。全力で小悪党で最後失敗してくれるから憎まずに済んで。んで、顔がいい。
フォージおじさんがキーラを手元に置いて養育してたの、帰ってくるエドカンへの対策もあったと思うのですが、歪んでて自分でも気付けてないけどキーラへの情もあったと思うんですよね(妄想)。
#映画
『BLUE GIANT』を見た。原作未読。
登場人物がジャズと言っているのだから、今演奏してるのはジャズなんだろうなあ、というぐらいわたしは音楽に疎くて。だから演奏の巧拙も分からなくて、画面の中の観客の反応で判断するしかなくて。
サックスの人とドラマの人の見分けも付かなくて、演奏シーンのモーションキャプチャーの動きが気持ち悪くて、人生や生活を賭けるほど熱狂するものをわたしは持ってなくて。
それぐらい、画面の中の出来事とわたしとには隔たりがあったのですが、それでも演奏たくさん聞けて楽しかったなあ、という感触はありました。
ポイントポイントで未来視点の過去回想が差し込まれていてとても不吉な感じがしたのですけれど、あれ何なんでしょう?
んで、とんかつDJアゲ太郎は東京の下町の子だから、家業の手伝いはしなければならないけれど生活費のためのバイトはしてなくて、大学に進学しなくても東京に住んでて、でも東京の文化に接点が薄くて、なんてことを見ながら思ってたりもしてました。
#映画
2023年2月26日
『別れる決心』を見た。
刑事と被疑者の恋愛物、でいいのかな。
「僕は完全に崩壊しました」の続きがあってびっくりだよ。刑事さん主観で話が進むので、被疑者が何を考えてるのかいまいち掴みかねるところがある。
スマートフォンとかのガジェットをガシガシ使ってるのが興味深かった。
細かいことだけど、車を運転しながら髭剃ったり通話するのは、個人的に止めて欲しかった。気が散るがね。
主人公の刑事さんが異動になった後、プサンでのへっぽこ後輩刑事のことは欠片も思い出さないので、元来薄情な人やなと思いました。本人も、終わったことは忘れることにしてるって言ってたしな。
#映画
2023年2月20日
『仕掛人・藤枝梅安』を見た。
池波正太郎生誕100周年。原作未読。
画面が暗くて、光は障子越しのように柔らかい。
濡れ場までの展開が早くてビックリする。
「女は怖いねえ」と言いながら、男の性欲が全ての元凶だったな。フーダニットの趣きもあった。
梅安先生と彦さんが付かず離れずの友だちで良かった。暗いところで向き合ってもそもそ食べるご飯が美味しそう。
梅安先生がとにかく美しく、塀を駆け上がるシーンのお姿が良かったです。
#映画
2023年2月12日
『THE FIRST SLAM DUNK』を見た。
とてもいい試合を見た。ひとつひとつのシュートに意味があって、手に汗握る試合でした。特に終盤の展開なぞは、息をするのも忘れるぐらいでした。
カメラがコートの中まで入っていくので、選手の目からこう見えてるのか、とアニメならではの感動があったと思います。
試合そのものが魅力的で物語があったので、その試合の背景となるプレイヤーの物語は果たして必要だったんだろうかという根本的な疑問が生じてしまい。
この『THE FIRST SLAM DUNK』に関しては、本当に素晴らしい試合だったので、この作品には登場人物の物語は不要だったとも思うんですよ。でもまあ、人は物語を欲する生き物なので、基本的には要るんでしょうね。
とにかく、絵が動いてた!
小学生のちっちゃい子の細い手足にだぼだぼの服が堪らんかったです。
#映画
2023年2月12日
『金の国 水の国』を見た。
良かった。上品だった。登場人物が賢いので、諍いがスパンと治った。
布の質感の違いをセルルックのアニメで表現するのは難しいのかもなあと思った。
建築家のキャラデザが安藤忠雄だったので、ちょっと気が散った。
#映画
ついったーの永久凍結が解除されました。
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