新しいものを表示

『タイムマシン 他九篇』
H.G.ウェルズ著、橋本槇矩訳、岩波文庫 1991年5月発行

子どもの頃、たまたま「タイムマシン」の映画を休日昼間にやっているのを目にして、当時はまだ映画もほとんど見たことがない歳で、一度しか見てないのに強烈にイメージが残っている。80万年後、文明が発展した後に衰退した未来のイメージ。そのはるか先の、薄暮の中、赤く暗い太陽がじっと動かない空と、荒涼とした海岸の光景。ハッピーエンドな物語ではない。ボルヘスは「残酷な奇跡の物語」と呼んだ。美しく魅力的な小説だと思う。

『公務員Vテキスト 経営学』
TAC公務員講座編、TAC出版 2018年7月発行

特定の分野を独学したい場合、とっかかりとして資格試験本が役に立つことが多い。要点がうまくまとめられ、学習効率が高くなるよう設計されているからだ。あと、古本屋で安価に入手できる点も大きい。ダイヤモンド社『世界標準の経営理論』(分厚い!)を読む前に経営学のおおまかなマップを脳内に作るために本書を使うことにする。

『「九章算術」を楽しむ本』
孫栄健編・著、言視舎 2016年3月発行

東アジア最古の数学書といわれる「九章算術」。タイトルどおり9章から構成され、農業、租税、商業、土木、運輸、測量といったきわめて実用的な内容となっている。

異世界人から数学、というか算術を教えてほしいと頼まれたことがある人なら、現代日本の学校教育で学ぶ数学は彼らの求めるものとズレていると気づいたはずだ。異世界で算術書を売り出すなら「九章算術」をアレンジするのがよいと思われる。きっと中世ヨーロッパの「Summa」並みに売れると思うよ!

『もう一度読む山川日本史』
五味文彦・鳥海靖編、山川出版社 2009年8月発行

日本史超苦手状態を克服すべく、今年の春から毎日1~2ページずつちまちま読み進めていたのが読了。復習がてら『もう一度読みとおす山川新日本史』を後追いで読んでるのはもうちょっとかかりそう。通して読んだことで高校日本史の範囲が掴めた。高校の日本史ってけっこう細かい事項まで取り上げるイメージがあったのだけど、実は歴史のごくごく表面、重要部分だけをさらっと取り上げる程度だったのね(世界史もそう、他の学科も多分そう)。近現代の記述がやけにあっさりしてるな、と思ったら、『もういちど読む 山川日本近代史』『もういちど読む 山川日本戦後史』というのが出てた。そっちを読め、ということね……。

スレッドを表示

『シャーロック・ホームズへの旅』
小林司・東山あかね著、東京書籍 1987年12月発行

著名なシャーロキアン夫妻による聖地探訪の記録。ロンドンからスコットランド、デヴォンからコーンウォールまで、ゆかりの地を訪ね歩く。後半はスイス(ライヘンバッハの滝など)。ドラマを制作したグラナダ・テレビってマンチェスターにあるのね。ずいぶん古い本だけど、現地は今もそれほど変わっていない気がする。

『1冊読むだけで古典文法の基本&覚え方が面白いほど身につく本』
岡本梨奈著、KADOKAWA 2019年12月発行

中高生の頃から古文が苦手だった。今でも苦手だ。思う所があって、それを克服したい。なら受験参考書がコスパも学習効率も良いだろうと、どこだったかで絶賛されていた本書を購入。うん、たしかに受験古文を短期間(37時間)で頭にたたき込むなら良いかもしれないけど、中学の学習内容まで忘れていると、この本だけではきついかもしれない。というか、私にはもっとコンパクトな文法のリファレンスとかが良いのかな。とりあえず最後までひととおりやってみてから考えよう。

『インコが教えるインコの本音』
磯崎哲也監修、朝日新聞出版 2017年7月発行

鳥に関しては全面的に信頼している磯崎先生監修の本。ただ、20年近くインコと暮らしていると、こういう本に載っているのはあくまで代表例であっていくらでも例外があることも分かってくるし、個体によって性格も性質も大きく異なるということも分かってくる。でも、飼い始めの初心者の頃にあったら助かったと思う。それに、鳥類医学は日進月歩で発展しているから新しい知見が得られることもある。あと、「換羽」は「とや」と読んでいたけど、これは老舗の鳥屋なんかの言い方で、今は普通に「かんう」と読むらしい。それでよかったんだ……。

『ファイブスター物語 1』
永野護著、角川書店 1987年5月発行

すごい久しぶりに1巻を手に取る。この壮大な物語(今から見るとこれは異世界ファンタジーだなー)のエピローグと、かつて映画化された序章が1巻には収められている。あと永野護氏のあとがき・解説と資料も。永野さん、まだ若いなー。27歳だって!!

『養生訓』
貝原益軒著、松田道雄訳、中公文庫 1977年5月発行

江戸時代の健康管理の書としてもっともよく知られている本。もちろん当時の健康に関する知識は間違っているものも多いけど、心を安らかにして体を動かす、という基本は今も変わらない。「食べ過ぎない」「健康を損なうものを口にしない」というのは昔から言われているのに今も多くの人が実践できてないのでは(反省)。まあ、貝原益軒だって日記に「新米が届いたので鶏飯を炊いたら食べ過ぎてお腹壊した」とか書いてるので簡単ではないのである。

『プログラムはなぜ動くのか』
矢沢久雄著、日経ソフトウエア監修、日経BP社 2001年10月発行

コンピューターソフトウェアの動作原理を解説した本。WindowsXPすら登場していない時代の本なので、さすがに古びた例が散見されるけど、基本的な仕組みの解説書なので、その本質は四半世紀近く経った現在でも通用すると思う。「人工知能が大ブームとなった10数年前には~」「なぜか人工知能のブームが去ってしまいましたが~」といった記述には特に時代を感じてしまう。20年後にこんなAIの大波が来ていようとは、ね。

『ドラキュラ』
ブラム・ストーカー著、唐戸信嘉訳 光文社古典新訳文庫 2023年10月発行

昨年末から読み始めてようやく読み終えた。全編、日記や書簡で構成される、19世紀末らしい小説。古典新訳文庫らしく脚注がとても充実していて助かった。これがないと理解が進まず若干つまらなくなってしまうかも。また、執筆当時の時代背景から吸血鬼文学全般にわたる巻末の解説が実に素晴らしい。これだけでも光文社版を買ってよかった。次は『カーミラ』を読んでみたい。

『フルーツバスケット 1』
高屋奈月著、白泉社 2015年9月

久しぶりに愛蔵版でフルバを読み返してる。再アニメ化の帯があるのでその頃買ったんだったと思う。けっきょくアニメ版はどちらも見てない。私にとってとても大切な作品なので、せっかくの自分の中のイメージを壊したくないのよね。

『文字の歴史』
ジョルジュ・ジャン著、矢島文夫監修、創元社 1990年11月発行

古代のヒエログリフや楔形文字からアルファベット、漢字、さらには楽譜まで。文字の発明、写本、印刷、解読、書の芸術まで、文字に関する歴史を概観。図版が多く眺めているだけでも楽しい。

>「いやいや、違う。誤解してもらっちゃ困る。きみたちは小説家として生計を立てることはないだろう。いくらがんばっても無理だ。しかし、だからといって、書いてはいけないということではない。きみたちはダンスのレッスンを受けるのと同じ理由で小説を書かかねばならない。高級レストランでのフォークの使い方を学ぶのと同じ理由で書かねばならない。世界を見る必要があるのと同じ理由で書かねばならない。それはたしなみだ」

前々から気になっていた本、近所の本屋をのぞいてみたら置いてあったので即買い。

読者に憐れみを | 動く出版社 フィルムアート社
filmart.co.jp/books/978-4-8459

『仕事が人をつくる』
小関智弘著、岩波新書 2001年9月発行

研削工、瓦職人、歯科技師工、染色工、椅子職人など、主に町工場の職人を、自身も町工場の旋盤工である著者が取材。職人たちの生い立ちと仕事を描き出す。仕事が人をつくり、人を育てる。人は働きながら、その人となっていく。むちゃくちゃおもしろかった。たまたま古書店のワゴンで手に取った本だけど、大当たりでした。

『日本医家伝』
吉村昭著、中公文庫 2023年8月発行

江戸から明治期の日本で近代医学の開拓に取り組んだ医家12人の短編集。「前野良沢」は教科書で読んだなあ。今でも教科書に載ってるのかな。極貧から身を起こし、富と地位を求め続け、ついには蘭医として初の幕府奥医師最高位まで上り詰めた伊東玄朴とか、この本で初めて名を知ったけど、おもしろかった。カバーに写ってるのは「ハルマ和解」かな?と思ったら、確かにそうだった。

『海上権力史論』
アルフレッド・マハン著、北村謙一訳 原書房 2008年6月発行

絶対に読めないだろうなという想いと、どうしても読んでおきたいという想いの狭間で、ついに買ってしまった。クラウゼヴィッツの「戦争論」やリデルハートの「戦略論」と並ぶ、海軍戦略の古典。19世紀末の本なので海戦も帆船の時代。だけれども、マハンのいうとおり「戦いの原理に今も昔もない」ので学べることは多いと思う。

『イタリア遺聞』
塩野七生著、新潮文庫 1994年3月発行

エッセイ集。この中に収録されているアルド・マヌッツィオ(アルドゥス・マヌティウス)の話を読みたくて購入。グーテンベルクが活版印刷を発明した頃に生まれたアルドは、ヴェネツィアでギリシア・ローマの古典作品を多数出版。百科事典のような鈍器本ばかりの中、コンパクトな文庫本(八つ折判)を開発し、本の価格を1/8に下げることに成功した。読みやすいイタリック体(の祖先)を発明し、初めて出版物カタログを作成した。アルド社の出版物は丁寧な校閲により誤植もほとんどなかったという。

『中世イングランドの日常生活』
トニ・マウント著、龍和子訳、原書房 2022年10月発行

現代人のための中世世界のガイドブック。中世の社会と住宅、仕事と休暇、信仰と宗教、衣服と外見、食べ物と買い物、健康と医療、娯楽、家族、教育、戦争、法と秩序など、幅広い話題を取り上げる。何かの拍子に中世に飛ばされても、この本が手元にあればサバイバルできる確率が高くなりそう。チョーサーの『カンタベリー物語』を読み返したくなった。

『オランダ語のしくみ』
清水誠著、白水社 2007年3月発行

白水社のニューエクスプレスが会話中心に言語の基礎を学ぶシリーズなのに対し、言葉のしくみシリーズは読みものの形式で「入門の入門」レベルの内容をさらっと読めるようになっている。本格的に学ぶ気はなくても少し興味がある、くらいの時に読むのにちょうどよい。昨今のように音声データDLではなくCDが付いている(しかもシングルCD)。後から参照するのには向いてない。そういう用途ではないのは承知の上で、索引は付けてほしかったと思う。

スレッドを表示
古いものを表示
Fedibird

様々な目的に使える、日本の汎用マストドンサーバーです。安定した利用環境と、多数の独自機能を提供しています。