15年前くらいに作っていた古文献(漢字音)のデータを、いま公開に向けて新たに影印本をチェックしている。
15年前には、漢字の入力をJIS第2水準までで行うこととしていた。6000字ちょっとしか表示できないので、今昔文字鏡を使うのが広く受け入れられた方法だったのではないかと思う。いま文字鏡フォントなしで「Mojikyo M101 藺」と表示されても、何という字なのかさっぱり分からないが…
2010年前後はまだUnicodeはそんなに使われていなかったのではないか。覚えてないけれど。CJK統合漢字が話題になりつつあった気はするが。その頃は「CJKつっても所詮は2万字だしな」と思って、8万字とも16万字とも言われた文字鏡を使っていたのだった。
で、UTF-8がほぼデフォルトとなった現在、この手の入力は基本Unicodeである。これが面白いくらいにUnicodeの範囲に古代文献も収まる。もちろんない字もあるはあるのだが、2万字がこれほどカバーできているのは改めて感慨深い。
かつて、「すくもむし」(コガネムシの幼虫)を意味する「蠐螬セイソウ」なんて、文字鏡で探したなあ、などと懐かしい思いに駆られています。
「無人島にひとつだけ持って行くなら」のバリエーションである、「ひとつだけ持って行くマンガ」があるとしたら、暫定一位はとよ田みのる『金剛寺さんは面倒臭い』です。マンガというメディアの特徴を存分に味わいながら、神話的な話題をコミュニケーションの問題に落とし込んだ名作だと思っています。
https://gekkansunday.net/work/4740/
で、同氏の『これ描いて死ね』が「このマンガがすごい2023」の上位に選ばれたと聞いて、3巻分一気買い。いつにも増して素晴らしい作品でありまして、この人は天才だなあと思うのでありました。「このマンガ」のセレクトはマンガ好きが選ぶとあるから、マスとは違ったそれなりに違う「ひと味」が光るわけですが、とよ田みのるはもっと早くに「発見」されて良かったのでは。
本作は現代版「マンガ道」などと言われていますが、孤高の天才修羅の道といった体だけでなく、「90%はカス」であるというクリエイター界隈のおなかが痛くなるような格言に対してもきちんと愛を持って対しているところがとよ田みのる節だと思います。思うに、愛とは孤独であると同時に包含的というアンビバレンツな概念である、ので、そのことが温かく描かれているこの作品もまたマスターピースだと思うのでした。
Evernoteにお別れを言うときが来た。10年くらい使い続け、プロアカウントでもあった。でも、最近のMacでは挙動が重すぎる。Winではこうではなかった気がするし、Linuxでもこうではなかったという遠い記憶もある…。
移行先はMacの「メモ」です。これがいいという話は以前からきいたことがあった。Evernoteは家族のファイル類のほかは、圧倒的に論文管理ソフトとして使っているところがある。論文は1500本ほどPDFで格納している。
分かっていたけれど、めちゃめちゃ軽い。Notionという選択肢もあった。しかし自分の使い方では、メモ帳で充分。Macに乗り換えてから、メモ機能はガツガツ使っていた。MarkDownの記法も行ける。個人的には困るところが何らない。
さようなら、そして長い間ありがとう、Evernote。
このところ、学内の校務でも通したい案件があって、気合いがやたらと求められることがあった。朝、気合いを入れるときに聞いているのが、レベッカの1986年くらいのライブです。これはもう日本が元気だった頃の意味不明なエナジーを感じるライブで、こっちも心穏やかに見ていられない代物であります。大学祭ゲリラライブというのはやらせでありましょうけれど、いいのプロレスだから。
https://www.youtube.com/watch?v=HIZuJHe-rrU
Nokko、最高すぎる。ダンスもすごい行けてる。ラズベリードリームが一番好きだったが、London Boyも、Love Passionも、あー全部いいです。
落ち着いて歌詞を聴くと、そうか女子が自分をこうやって語ることが当時新しかったんだなと今更思ったりもしました。
ロスジェネの自分としては、こういう感じの雰囲気は大学生の頃はなかった気がします。
ちゃんと勝負しようと思ってアプライした学会発表を終えた。この学会が自分にとっては大学院生のときのデビュー戦の場所で、見事に大コケした苦い記憶もあったりして、次にやるときはちゃんとしようと思いながら逃げていた学会でもあった。24年ぶりの再チャレンジですね。
先に論文を作って(これが予稿集)、それをBeamerでスライドに落とし込んで(これが当日映写用)、メモを見ると発表練習は自分が満足いくまで6回やっている。こんなに気合いを入れた発表は人生初めてかもしれない。50歳からのチャレンジです。
長い話を25分に収めるというので、24分前後を狙ったが、結果として本番では25:30くらいだった。まあ許していただける範囲だったと思う。完全に自己満足の世界の話で、だから何というわけではないが、やりきったと思える仕事は気持ちがいいですね。学問はそんなんじゃダメですが。気持ちの問題として。
会場からもいくつかご質問をいただいた。頑張ろう。いつまで経ってもひよっこの気持ちが抜けないのは、たぶん他の研究者にも共感されるんじゃないかと思う。定年になっても抜けないだろうなと予測します。そんなもんでしょう、この業界は。
@Konnakayama@mstdn.jp 知人にもそれは偏見だと言われてます。実際、隣のヤングジャンプ見ると大して変わらないので、少年誌的な世界と青年誌的な世界を比べてるのがダメなんだろうなと思います。まーでも今も東リベのヒロイン像は古い、と今も思いますね…お示しの作品も読んでみますね!食わず嫌いよくない
マガポケで偶然見つけた「ブスなんて言わないで」というマンガ。https://pocket.shonenmagazine.com/episode/4855956445078658079
かなり読ませるのでメモ。昨今、ジャンプラなどは多様性にかなり配慮した作品を載せていて風通しがかなりいいのだけど、短めのエンタメであることもあってか、もうちょっと食い足りない気は正直ある。
「傷つけない笑い」とか「自虐なしの女芸人」とか「ルッキズム」とか「自分のためのモテ」とかすべてうんうんと思ったりはするんだけど、じゃあ「自虐ありの女芸人」や「モテ」がどうして勃興してきたのか、何にカウンターを取るために出てきたのか、という目線も欲しい。この手の考えさせる社会派テーマはもちろんマス向けのエンタメにはそぐわないのだけれど、ジャンプラあたりだったらギリ行ける気はする。
ちょっと意外なのは価値観のアップデート界隈からは極北に位置すると思われるマガポケにこれがあること。ヤンキーで飯を食ってる講談社だから仕方ないにしても、少年誌でこれ?と驚いたのは東リベで、女子が男子主人公の添え物のマンガがあってもいいんだけど、ゴールデンタイムでこれやってる違和感というか。
まだ読み切ってないですが、久しぶりにメモしておきたいマンガでした。
それはそうとて、今年も土替えをしっかりやったバラたちが少しずつ盛りを迎えつつあります。グルス・アンテプリッツ(赤いやつ)、グレッチャー(薄青いやつ)、ミニバラたちもぼちぼち。 [添付: 6 枚の画像]
80近い母が台湾に行くに際して、手荷物チェックのところでうっかり鞄の中に果物をむくための折りたたみナイフが入ったままになってて、出国のところで「警察沙汰」となりました。規則で警察を呼ばなくてはならないらしい。一通り事情聴取を受けて、テロを起こすつもりじゃないことがきちんと証明されて、離陸に間に合ったようです。
80がらみの婆さんがテロを起こすと本気で考えたわけではなかろうが、愚直なまでの手続き遵守で日本の警察も入管も大変優秀です(棒読み)。「私がテロを起こすわけがあるか」と抗議したら、でも「屈強な黒人男性がナイフを奪ったらどうするんだ」と言われたと。まあそうよな。「屈強な黒人男性」ならナイフを奪うよな!素敵なステレオタイプをありがとうございます、それでメディアで言ってごらんよ!香ばしいことになるよ。
安倍晋三を撃った人がどんな「屈強な黒人男性」だったか聞いてみたら?と母にLINEしてみましたが、スルーされました。
ま、うっかりでもナイフを持ち込んでしまったのだから仕方ない。母は唯々諾々と事情聴取に応じ、旅路を急いだようです。良い旅になりますように。
平安中期『新猿楽記』という文献に、博打の一種かとされる「双六」が出てくる。そのなかに、「五四」グシという用語が紹介されていて、日本国語大辞典をみるとサイコロを二つ同時に振った出目のことと書かれている。初出を後奈良院御撰何曽(16C)とあるが、もっと古い由来を持つ言葉だろう。
奈良文化財研究所のブログでは、平城宮から双六かと思われる遺物が出たとあった。https://www.nabunken.go.jp/nabunkenblog/2015/10/tanken114.html
朝鮮半島由来の遊びだろうとのことで、ユンノリとの共通点も示されている。ただ一言に「双六」と言っても指し示す遊びは上代と中古ともちろん現代とで、どうも少しずつ違うようで、同じ遊びであるかははっきりしない。
それはともかくとして、「五」をグと読むのは漢字音としては奇妙ではある。上古音では中心母音はaに近いようだ。https://suzukish.sakura.ne.jp/search/zhengzhang/search_top.php?&zi=五&page=0
稲荷山鉄剣名で知られる古韓音(渡来人が半島経由でもたらした呉音以前の音)であるようにも思われない。遊びや博打の隠語として異化された発音なんだろうか。普通の漢和辞典等には載らない音でしょうね。ある種の慣用音という理解でいいのかどうか。
データ処理をしているとこういう例が流れて行ってしまうので、備忘として。
授業動画をタイパ名目で早送りされてる教員集まれ〜と言いたくなる回です。邦キチ映子さん、キレキレだといつも感じていますが、今回は味わい深い。
https://comic-ogyaaa.com/episode/4856001361157394085
かつてクリエイター業界はやべえと語っていた友人がいましたが、いまはこういう業界がこうなんでしょうか。ビジネスパーソン。知らんけど。…知らんけど「分かる!」と言いたくなる感じがエンタメ的なうまさなのでしょう。
自己啓発本だったら好きなだけタイパで結構ですが、小説や物語を情報と見なす輩とは友人にはなれんなと思います。お前の人生も情報だ、ってわけでしょ…人文系の学問全否定ですね笑
ちなみに僕は自分の動画が早送りされても、中身がきちんと理解できているなら気にしません。自分も大学で見せられる倫理研修とか倍速で見るもんな。ただ学問を情報と割切るのであれば、ちょっと待てとは思う。
自分がもし倍速を気にするタイプだったら、予め3倍くらい遅くした映像にして、最高速で1倍になるような映像にするかも。やってる教員、いるんじゃないかな。
日本語学の研究者です。漢字音史、漢語アクセント史を文献ベースで狭くやってます。自己紹介的な論文に、「アニメ『ドラゴンボール』における「気」のアクセント─漢語アクセント形成史の断線から─」(日本語学2022年6月号)あり。データベース作ったり、自転車に乗ったり、珈琲を飲んだり、ジャム作ったりしています。https://researchmap.jp/read0135868