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平安中期『新猿楽記』という文献に、博打の一種かとされる「双六」が出てくる。そのなかに、「五四」グシという用語が紹介されていて、日本国語大辞典をみるとサイコロを二つ同時に振った出目のことと書かれている。初出を後奈良院御撰何曽(16C)とあるが、もっと古い由来を持つ言葉だろう。

奈良文化財研究所のブログでは、平城宮から双六かと思われる遺物が出たとあった。nabunken.go.jp/nabunkenblog/20

朝鮮半島由来の遊びだろうとのことで、ユンノリとの共通点も示されている。ただ一言に「双六」と言っても指し示す遊びは上代と中古ともちろん現代とで、どうも少しずつ違うようで、同じ遊びであるかははっきりしない。

それはともかくとして、「五」をグと読むのは漢字音としては奇妙ではある。上古音では中心母音はaに近いようだ。suzukish.sakura.ne.jp/search/z

稲荷山鉄剣名で知られる古韓音(渡来人が半島経由でもたらした呉音以前の音)であるようにも思われない。遊びや博打の隠語として異化された発音なんだろうか。普通の漢和辞典等には載らない音でしょうね。ある種の慣用音という理解でいいのかどうか。

データ処理をしているとこういう例が流れて行ってしまうので、備忘として。

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