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「無人島にひとつだけ持って行くなら」のバリエーションである、「ひとつだけ持って行くマンガ」があるとしたら、暫定一位はとよ田みのる『金剛寺さんは面倒臭い』です。マンガというメディアの特徴を存分に味わいながら、神話的な話題をコミュニケーションの問題に落とし込んだ名作だと思っています。

gekkansunday.net/work/4740/

で、同氏の『これ描いて死ね』が「このマンガがすごい2023」の上位に選ばれたと聞いて、3巻分一気買い。いつにも増して素晴らしい作品でありまして、この人は天才だなあと思うのでありました。「このマンガ」のセレクトはマンガ好きが選ぶとあるから、マスとは違ったそれなりに違う「ひと味」が光るわけですが、とよ田みのるはもっと早くに「発見」されて良かったのでは。

本作は現代版「マンガ道」などと言われていますが、孤高の天才修羅の道といった体だけでなく、「90%はカス」であるというクリエイター界隈のおなかが痛くなるような格言に対してもきちんと愛を持って対しているところがとよ田みのる節だと思います。思うに、愛とは孤独であると同時に包含的というアンビバレンツな概念である、ので、そのことが温かく描かれているこの作品もまたマスターピースだと思うのでした。

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