新しいものを表示

自死の幇助をめぐる討論を描いた戯曲、フェルディナント・フォン・シーラッハ『神』を夏に読んだすぐ後に、ちょうどこの児玉さんの『安楽死が合法の国で起こっていること』が出ることを知り、合わせて読みたいと思い発売を待っていた。

『神』では人間の自由意思と生き方が議論の中心にあったけれど、シーラッハが俎上に載せて交わされた意見や懸念(ドイツでは2020年に自死幇助禁止が裁判所により覆され、具体的な法整備の議論はこれからという状況)は、他の国々ではすでにそれらを遥かに通り越した実態が出来つつあり、更に加速しようとしていることが分かり恐ろしくなった。

『神』での、「あなたはこの自死の幇助に賛成か?反対か?」と読者が結論を下すコンセプトが、もはや問題に思える。

スレッドを表示

児玉真美『安楽死が合法の国で起こっていること』を読みました。

医師の幇助による自死が可能な国々で起きている、私が安楽死というものへのイメージとして持っていた「耐えがたい痛みに苦しむ終末期の人が救済策として望む選択」とはかけ離れた現状と、様々な実態についての懸念がまとめられています。

法的要件のルールがどんどん緩和され、社会的弱者への圧力とならないように設けられていたセーフガードが取り払われながら安楽死の対象者が拡大してゆく中、医療現場では安楽死容認の指標が「救命できるか否か」から「QOL(生活の質)の低さ」へと変化し始めている実情などが示されている。
そして安楽死対象者の拡大と指標の変質は、「障害がありQOLが低い生には尊厳が無い」という価値観が世の中に浸透していくことに繋がり、命の選別と切り捨てへ向かうという強い懸念も。

医療や福祉の支援があれば生きられる人たちへ、社会福祉が尽くされないまま自死を解決策として差し出す恐ろしい現実がすぐそこにある今、児玉さんの「安楽死は「賛成か反対か」という粗雑な問題設定で語れるものではない」という言葉が重く響きました。

ユキ さんがブースト

🇵🇸パレスチナのための行動まとめ

⚫︎署名、賛同する

・アムネスティによる総理宛の署名
「ガザ・イスラエル紛争の即時停戦を!」
onl.tw/AtDUWxW

・JVC(国際ボランティアセンター)より
「NGOによる外務省への要請文」
(個人賛同、非公表可)
onl.tw/JaQ1hza

⚫︎上川外相へ意見を送る(FAXが効果的)

外務省HP
onl.tw/mpyiuA6
新着情報欄よりG7会合や会見の発言、今後の対応方法について改善すべき点を送る

連絡先(HPよりonl.tw/ApWVTca)
国会事務所FAX:03-3508-3290
静岡事務所FAX:054-251-8425

⚫︎イスラエル、入植を支援する製品をボイコットする
※BDSは「Consumer boycott targets listed by BDS〜」以降の企業を中心にボイコットを呼びかけていて、マクドナルドやスタバ等は今回からSNSを中心に草の根運動が広がっている。
onl.tw/8Xs8Xss

⚫︎パレスチナ支援の活動まとめリストを確認して共有・参加する
onl.tw/VJq1z5T

この本は「undocumented」を全て「不法移民」「不法滞在」として公式アカウントで紹介しているのにも我慢ならず、結局購入しないままになっている。

他にも、内容も出版する意義も分かるけれど販促方法が過剰に煽動的だったりして、出版側を信頼できないというか幻滅して買う気になれない・買わないこともたくさんありますからね…と嫌味を言いたい気持ちになること、めちゃくちゃ多くある

スレッドを表示

BT、日本はいつまで難民や書類のない(無登録の)移住者を指して「不法移民」と呼び続けるんだろう。
いつまで経ってもメディアが変わらず、定着してしまっているのが辛いし怖い。

書籍でも最近、移民についてのノンフィクションのカーラ・コルネホ・ヴィラヴィセンシオ『The Undocumented Americans』ですら、邦題が『わたしは、不法移民 ヒスパニックのアメリカ』に変わっていて、本当に脱力してしまった。
この本を出そう、届けようと思った人たちが何故こんなことするんだろう…

ユキ さんがブースト

タリバンから逃れたアフガン難民、パキスタンが強制送還 「人権の大惨事」を国連が懸念
bbc.com/japanese/67283144
このニュース、日本の主要マスメディアがそろって題名に「不法移民」か「不法滞在」を使って報道していて、それは一瞥した読者に適切な理解をもたらさないのではも思いました。BBCでは「難民」という言葉が選択されています。

ブルハン・ソンメズ『イスタンブル、イスタンブル』
(最所篤子 訳)

10代の学生から老人までを含めた政治囚たちが地下の牢獄で過酷な拷問を受けながら、互いに物語を語り合う。
人権を剥奪された彼らが苦痛の中で見せる他者への優しさや労り、人間の営みへの理想と矜持の語りが凄まじかった。

作中では具体的な時期も政治状況も明言されないけれど、クルド系トルコ人の著者が描くこの物語はトルコにおけるクルド人への弾圧と拷問の歴史であり、それは遠い過去の出来事ではなく現在も続いている。
そして読んでいる間、この日本にあっては、入管施設で起きていることを重ねて考えずにはいられなかった。

クルド人への激しい弾圧については、舟越美夏さんの本『その虐殺は皆で見なかったことにした』も、とても苦しいのですがぜひ。
2016年にトルコ南東部にあるクルド人の町ジズレで起きたクルド人虐殺についての取材記録で、自分たちとは異質な他者とみなした者の生命に対して、人間はこんなにも無関心で冷酷になれるということを突きつけられます。

今また全世界が目の当たりにしながらも国際社会で黙認されるイスラエルの暴虐の状況と重なりとても苦しい。いつまでこんなことが続くのか。

スレッドを表示

ジェフリー・フォード『最後の三角形』
(谷垣暁美 訳)

小説を読もうとして開いてみては棚に戻して…を繰り返していたところ、この本はすっと入り込めました。
不思議で、少し恐ろしい短篇集。

素敵なカバー装画には14篇それぞれのエピソードにまつわる人物やアイテムが散りばめられていて、読後に見返すのも楽しかった。

スレッドを表示

10月は気持ちがしんどすぎて小説が全然読めず、研究書やノンフィクションばかり読んでいた。
数年ぶりに岡真理さんの本を手に取りましたが、『ガザに地下鉄が走る日』は今の必読書でした。

◆サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ パレスチナの政治経済学』
◆岡真理『ガザに地下鉄が走る日』
◆サイディヤ・ハートマン『母を失うこと 大西洋奴隷航路をたどる旅』
◆ジェフリー・フォード『最後の三角形』
◆ブルハン・ソンメズ『イスタンブル、イスタンブル』
◆クラウディア・ゴールディン『なぜ男女の賃金に格差があるのか』
◆牧野百恵『ジェンダー格差』
◆デイヴィッド・グラン『花殺し月の殺人』
◆アラスター・グレイ『哀れなるものたち』
◆ドニー・アイカー『死に山』
◆イーユン・リー『千年の祈り』
◆『シャーリイ・ジャクスン・トリビュート 穏やかな死者たち』

ハラリの話を「イスラエル人という“当事者”が語る重要な視点だ」として、「私たち(日本人という第三者)がすべきなのは、歴史の検証や、どちらが悪いと決めたり、非難の応酬に加担することではない」とか色んな有名な人が言ってるのを見たが、明らかな虐殺が起きている時に言うべきことがそれですか?

スレッドを表示

イスラエルの歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリ(『サピエンス全史』の著者)のインタビューを観て納得したり感化された人の意見がTwitterで流れてくるの辛い。
ハラリはネタニヤフのことは批判しているけれど、イスラエルとパレスチナの歴史についてはかなり偏った認識で語っていて、とても頷けるものではないです。

今まさに起きているガザ地区や難民キャンプのパレスチナ人へ対する非道な行いジェノサイドを目の当たりにしながら、こんなシオニストによる今更な意見を「重要な視点だ!」と腹落ちして中立ぶってることに怒りを覚える。

「イスラエルへの正しい知識を持って判断してほしい」と言いながら、イスラエルが事実と異なる「正史」としてきた虚偽プロパガンダそのまんまな内容でもって“パレスチナ問題”を「説明」するツイートやnoteがたくさん流れてくるのが辛い。

いろんな気持ちや立場があってのことだとは思うが、それは「正しい」情報とは言えないし、現在ガザにいる人々をはじめパレスチナ難民の苦境を前にして言うことでもないと思う。ただただ苦しい。

とはいえ私も以前岡真理さんとジュディス・バトラーの本を読んだきりだったので、今もう一度勉強し直している。

在日本韓国YMCA編『交差するパレスチナ 新たな連帯のために』

植民地主義の過去を忘却しその歴史の延長と特権性を自覚しないまま生きる「日本人」としての自己については、岡真理さんの本にもあったが、改めてものすごく大切な視点。

そしてパレスチナ人女性が生きる複雑な現実(植民地主義、家父長制、ジェンダー暴力、性暴力の交差状況)に対して、家父長制の暴力だけを切り出して「救済の対象である犠牲者」としてのみ位置付け、抵抗する女性は「テロリスト」と単純化する西洋フェミニズムの欺瞞と問題について、自分もそうした抑圧に加担していないか直視しなければ、と改めて。

スレッドを表示

在日本韓国YMCA編『交差するパレスチナ 新たな連帯のために』、すごく良い内容でした。

2008年からパレスチナ映画の上映会「オリーブ映画祭」を開催してきた在日本韓国YMCAが2021年〜2022年にオンラインで実施したティーチインをまとめた本で、自分が断片的に知っていた出来事や情報が整理され、とても勉強になりました。

アメリカの黒人解放闘争とパレスチナの連帯の歴史や、ガザや西岸地区の流通と移動を徹底的に管理することで生から価値を略奪し続けるイスラエルの占領のあり方、イスラエルが自国をLGBTフレンドリーで先進的な国であると戦略的に宣伝するピンクウォッシングの問題(そして反対にイスラーム社会=同性愛嫌悪で後進的な社会と表象する意図)など、多様なテーマによる8人の論考が収録されています。

これ知らなかったのですが、国連が1949年に「UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)」を創設した理由が、難民に認められた最初の権利である「帰還権」を認めさせないために、イスラエルと海外のシオニズム組織が当時の「国際難民機関(IRO/現在はUNHCR)」を巻き込ませないように妨害した結果だとあった。

だからUNRWAは難民の帰還には関与せず、難民キャンプでの日常生活や雇用の支援を与えるためだけに国連が作った特別な部局、と。
最初から骨抜きだったんだな…

スレッドを表示

図書館で借りた3冊、読みました。
イラン・パペ氏の研究書2冊は、パレスチナ問題の過去から現在までを掴むなら、『イスラエルに関する十の神話』が分かりやすいと思いました。

◆『イスラエルに関する十の神話』は、
イスラエル側が公的な歴史として表明している、イスラエルとパレスチナの過去と現在に関して事実がねじ曲げられた「神話」を、実際の「歴史的事実」と並置して分析・否定しながら、イスラエルの嘘で固められたプロパガンダを解体してゆく本でした。
(例えば第一章のタイトルは、「パレスチナは無人の地であった」で、各章ごとに“神話”の虚偽を分かりやすく説明しています。)

◆『パレスチナの民族浄化 イスラエル建国の暴力』は、
1948年のイスラエル建国という出来事の前後に起きた、パレスチナ住民が虐殺・追放された「大災厄(ナクバ)」と呼ばれる民族浄化(イスラエルは決して認めない)について、そして1949年以降から近年に至るまでの、国連も含めた「和平プロセス」の失敗の歴史が非常に詳細に記されていました。

ジュディス・バトラーはユダヤ教徒でありながらも、「ユダヤ性」はシオニズムと相容れないことをこれまでもずっと論じてきていますが、改めて「暴力と暴力を非難すること」についての重要な視点でした。

これらについては、ジュディス・バトラー『分かれ道 ーユダヤ性とシオニズム批判』(青土社)でも非常に詳細にまとめられています。

スレッドを表示

「London Review of Book」に掲載されたジュディス・バトラーの論考を、訳してくださった方がいました。

【翻訳】「追悼のコンパスーー暴力と暴力を非難することについて」(ジュディス・バトラー)|カフェ・フスタート

note.com/bashir/n/n19fef5442ba

世界各地で今起きている非道、特にジェノサイドについては考えるのも苦しくて、各国の対応や偏向報道にも絶望するばかりで、現実から感情を切り離すようにして対処してしまっているけれど、そんな自分への自己嫌悪も消えず

◆サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ パレスチナの政治経済学』(青土社/2009年)
◆岡真理『ガザに地下鉄が走る日』(みすず書房/2018年)

こちらの2冊は取次在庫切れ(?)でしたが、出版社への取り寄せ依頼は可能だったので書店で注文できました。
ただ今見たら、e-hon等で在庫が戻って普通に購入できる状態になってました。

スレッドを表示
古いものを表示
Fedibird

様々な目的に使える、日本の汎用マストドンサーバーです。安定した利用環境と、多数の独自機能を提供しています。