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10月は気持ちがしんどすぎて小説が全然読めず、研究書やノンフィクションばかり読んでいた。
数年ぶりに岡真理さんの本を手に取りましたが、『ガザに地下鉄が走る日』は今の必読書でした。

◆サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ パレスチナの政治経済学』
◆岡真理『ガザに地下鉄が走る日』
◆サイディヤ・ハートマン『母を失うこと 大西洋奴隷航路をたどる旅』
◆ジェフリー・フォード『最後の三角形』
◆ブルハン・ソンメズ『イスタンブル、イスタンブル』
◆クラウディア・ゴールディン『なぜ男女の賃金に格差があるのか』
◆牧野百恵『ジェンダー格差』
◆デイヴィッド・グラン『花殺し月の殺人』
◆アラスター・グレイ『哀れなるものたち』
◆ドニー・アイカー『死に山』
◆イーユン・リー『千年の祈り』
◆『シャーリイ・ジャクスン・トリビュート 穏やかな死者たち』

ジェフリー・フォード『最後の三角形』
(谷垣暁美 訳)

小説を読もうとして開いてみては棚に戻して…を繰り返していたところ、この本はすっと入り込めました。
不思議で、少し恐ろしい短篇集。

素敵なカバー装画には14篇それぞれのエピソードにまつわる人物やアイテムが散りばめられていて、読後に見返すのも楽しかった。

ブルハン・ソンメズ『イスタンブル、イスタンブル』
(最所篤子 訳)

10代の学生から老人までを含めた政治囚たちが地下の牢獄で過酷な拷問を受けながら、互いに物語を語り合う。
人権を剥奪された彼らが苦痛の中で見せる他者への優しさや労り、人間の営みへの理想と矜持の語りが凄まじかった。

作中では具体的な時期も政治状況も明言されないけれど、クルド系トルコ人の著者が描くこの物語はトルコにおけるクルド人への弾圧と拷問の歴史であり、それは遠い過去の出来事ではなく現在も続いている。
そして読んでいる間、この日本にあっては、入管施設で起きていることを重ねて考えずにはいられなかった。

クルド人への激しい弾圧については、舟越美夏さんの本『その虐殺は皆で見なかったことにした』も、とても苦しいのですがぜひ。
2016年にトルコ南東部にあるクルド人の町ジズレで起きたクルド人虐殺についての取材記録で、自分たちとは異質な他者とみなした者の生命に対して、人間はこんなにも無関心で冷酷になれるということを突きつけられます。

今また全世界が目の当たりにしながらも国際社会で黙認されるイスラエルの暴虐の状況と重なりとても苦しい。いつまでこんなことが続くのか。

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