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『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』(鴨志田一)

再読。ふつうに楽しく読んで、あと、地の文の情報量をどの程度にすべきかとエモをどの程度にすべきかとを確かめるために。
地の文:情景描写は自分のナチュラルの下限にタッチするくらいまで落としてもよいが、その分、心の声を増やす。
エモ:赤面してページをめくる手が早くなるくらい。

『In the Shadows』(Robert de Boron)

ジャズラップ。聴きました、といった感。

ディスコミュニケーションじゃないけど滑らかじゃないコミュニケーション。そういうラインを攻めたい。

先日、平田オリザの演劇を観て、ワイの小説で目指すべきコミュニケーションはこれや!と思い直した次第。

『Michel Camilo』(Michel Camilo)

職場の方に勧められて。ダイナミックなピアノがそそる。1988年のアルバムだからか、良い意味で聴いたことある感のあるモダンジャズっぽい音楽の印象を受けますね。「Caribe」が白眉。

『ともに生きるための演劇』(平田オリザ)

読みました、といった感。基本的にこれまでの著作をコンパクトにまとめた一冊。新型コロナの話題が新しいか。プロローグの「幕はもう上がっている」のパンチラインは良かった。危機の時代にあって、我々は否応なしに演じることを迫られているのだ。

『人間関係ってどういう関係?』(平尾昌宏)

「人間関係」を、友達/家族/恋人……といったあり物の言葉から解放して、フラットな見方で定義し直す。「個人」と「社会」との間に位置する人間関係(たとえば、友達/家族……ね)をまず「身近な関係」と名付け、精緻に分解していく。「タテ/ヨコ」の軸と「共同性/相補性」の軸とで2軸による4領域に配置し直す。「タテ/ヨコ」はその人間関係に目的が有るか/無いか、「共同性/相補性」はその人間関係の基礎が共通点に有るか/無いか、から定義される。
便宜上、4領域に分かれているが、その中でのグラデーションをさらに細かく考えていくと(創作で)役立ちそうだと感じた。
amazon.co.jp/人間関係ってどういう関係?-ちくま

『S高原から』(作・演出 平田オリザ)

こまばアゴラが閉まるってんで慌てて観に。夏の高原のサナトリウムの一日を切り取る。私は昨年メンタルの調子を崩して療養をしていたのだが、その施設の同じ療養者の、特有の背景があるはずなのに明るく振る舞う光景にそっくりで驚愕した。そう、外界と時間の流れが変わるし、散歩くらいしかすることねえんだよな。

『Affinity』(Oscar Peterson)

ビル・エヴァンスの「Waltz for Debby」繋がりで、同曲が収録されたこのアルバムも。同じナンバーでもぜんぜん違う表情になるのがジャズの面白みだと思いますね。静かな印象のビル・エヴァンスのものよりも情熱的な感じ。他のナンバーだと「This Colud Be The Start Of Something Big」の「なにかドデカいことが起こりそうな予感」を覚えさせるイントロ、「Yours Is My Heart Alone」の物憂げそうなファーストインプレッションからの畳みかけるような曲調が好き。

『自由が上演される』(渡辺健一郎)

難解! 教育場面において「自由」をワークショップ的に学ばせる際に、まさにその「学ばせる」という権力性が自由と矛盾するのではないか……、というところから議論がスタートするのだが、追いつけなくなった(字面は追えるが目の速度に頭の速度が追いつかなくなった)。その中でも最も印象的だったのは「演劇はいかだ」という比喩。いかだは構造的に不安定で自律性を欠いているが乗る人は方向性を欲望している。そういうイメージは腹落ちした。

『ラスマス・フェイバー・プレゼンツ・プラチナ・ジャズ』(ラスマス・フェイバー)

「星間飛行」が白眉。2013年のライブ盤でいま聴くとかなり懐メロ感あるが、それ込みでいいライブ。凡百のアニメソング・ジャズアレンジを圧倒する。

『「若者の読書離れ」というウソ』(飯田一史)

若者(小学生~高校生)の近年(この5~10年程度)の読書傾向を詳らかに解き明かす一冊。若者向けの「型」を有し「ニーズ」を満たす本がヒットするとのこと。そこから逆算的に、若者がなにを欲しているのかを読み出すことができた。そして、〈自分の小説〉は明らかに若者向けではなく、おたくのおじさん向けの本だということと向き合うことになり、泣いています。

上達・熟達に関しては2023年に読んだ『習得への情熱』(ジョッシュ・ウェイツキン)も説得力に富んでいましたが、『熟達論』は『習得への情熱』よりも抽象化の度合いが高くて好みでした。

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例によって〈自分の小説〉の登場人物に深みを出すための資料本としての読書。この五段階のどこに位置付けられるかを考えるだけでも、彼らの価値観を想像できるようになる気がしました。
登場人物には上級者と中級者がいるのですが、上級者であっても高校生なら「空」には到達していなかろうが「心」を掴んだために後輩の指導が自在にできたり、あるいは中級者でも「型」と「観」との間でグラデーションがあったり、それとも自らのことを中級者だと感じているけれど「遊」の砂浜でちゃぷちゃぷしてるだけかもしれない……。
本書の細かいエピソードを拾うと「「もし」の力」が特に創作の役に立ちそうだと感じました。ある(非言語的な)技能を言語で他者に伝える際に「もし」を使って、別のシチュエーションに置き換えて(もしもグラウンドが熱い砂浜だったら)みる。そうすると、思考の制限が取り払われて別の領域にジャンプできる。
価値観が革命的に新しいものに変化するとそれまでの自分ではいられなくなる。人間のそういう可能性を信じさせてくれる一冊でした。

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『熟達論』(為末大)

今年読んだ本の中で暫定ベスト!
オリンピアンである著者・為末大が自らの競技者としての経験とその道を極めた人物達との交流を基に、なにかを「熟達」するとはどのようなメカニズムであり、そこではどのような心の動きがあるのかを緻密に言語化する。
熟達への道のりは、遊・型・観・心・空の五段階に分類できると説く。それぞれの段階に共通するのは、人間の柔軟性への信頼だ。人間の心が柔軟である故に、遊んで様々な可能性を模索することができる。また、その可能性を型にはめることによって、より良い方向へと導くことができる。そうして導かれた型を観察することで、中心と周辺とを分別することができる。立ち返るべき中心が定まると、中心から外れてみる冒険ができる。やがて、それまでの四段階を意識していた自らを手放し、空=無意識を得られる。無意識であるがままの自分・あるがままの環境を受け入れられると、遊んで可能性を模索できる領域がさらに広がる……、そうして五段階のサイクルが回っていく。
オリンピアンの説く、身体と精神とのバランスのストーリーは説得力に満ちており、読み応え十分。充実した人生の一部を垣間見させてもらったような気分で、とても満足しました。
amazon.co.jp/熟達論:人はいつまでも学び、成長で

『上達の法則』(岡本浩一)

上級者とそれ以外の質的な違いを説く一冊。上級者に特有の人格の話題が多めで、類書とは違った読み味があった。要約すると、上級者の方がそれ以外よりも価値観が安定しており自他の価値観を弁別する能力が高く、ひいては人格的にも安定しているとのこと。
〈自分の小説〉の登場人物の人格を深めるための資料本として読んだ。作中では中級者が上級者に対して絶対的な差を感じる(そして挫折感を覚える)シーンがあるのだが、上手く中級者の心理を捉えることができず筆が止まっていたのだが、まさにこの「価値観/人格の安定」がキーワードになりそうだ。中級者には、上手くいかないゆえ不安定、不安定ゆえ上手くいかない、というフィードバックループ(スランプの一種)があろう。そのステップを乗り越えるためには、不安定な価値観を(それ以前と比べて)革命的に新しいものへと進化させ、安定させなければならない。いわば脱皮だが、それを考え抜くことができれば、中級者の心理を書き切ることができるだろう。
amazon.co.jp/上達の法則―効率のよい努力を科学す

『Z世代~若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?~』(原田曜平ら)

ギブ。若者が出てくる小説を書くにあたってなにか役立つかと思ったが、大掴み過ぎてあんまり役に立たなさそうなので。わたし(92年度生まれ)よりもっと上の世代向けかな。

アイドルマスターシンデレラガールズのアニメ、雨と花言葉ですべての感情を表現するアニメに感じられて酷評しておりましたが、アイドルマスターミリオンライブのアニメは表現するべき感情などなにもなく、ただ、ひたすら、ひたすらに苦しい時間帯が続いたのでした。

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