2024年読んだ本の中でとくに良かった本
「イエルバブエナ」
「私が諸島である」
「世界を翔ける翼」
「原発の断り方 ぼくの芦浜闘争記」
「塔のない街」
「レミは生きている」
「タスマニア」
「幻象録」
「エブリデイ・ユートピア」
「オはオオタカのオ」
「日輪の翼」
「終わっていない、逃れられない 〈当事者たち〉の震災俳句と短歌を読む」
小説あんまり読めなかったな…。短詩関係の本に、過去の色々なことを救われたりした。ようやくこういう本に出会えるようになってきたか〜って思ってる。 #読書 #fedibird
QT: https://fedibird.com/@tutai_k/113752318356404661 [参照]
『終わっていない、逃れられない 〈当事者たち〉の震災俳句と短歌を読む』加島正弘 文学通信 #読書
昨日少しツイートしたんだけど、ものすごくいい本だった。
東日本大震災の中で読まれた俳句や短歌に焦点を当て、タイトル通り『終わっていない、逃れられない』被災や日々を読んでいく。
筆者の力強い筆致と、短詩を通して描かれた「なにか」について、読み終えた今はまだすぐ言葉にならないし、これから追い/負い続けていくものを受け取ったと思う。
災害に関する言葉が「東京の言葉」で名付けられること、そうしなければ、「(東京の)責任ではない」とされてしまうから今はその言葉を使うしかない、という部分、(震災についての語りが)東京を中心とする商業出版とかにはだんだん時の経過と共に乗りづらくなり、同人誌などの形にも注目していく必要がある、という部分、わたしもさまざまに重なる葛藤を持っているのでうなづいた。心底読めて良かった本だと思う。
QT: https://fedibird.com/@tutai_k/113712610112664205 [参照]
『私と夫と夫の彼氏』13巻読み終えた〜!
この間の無料公開の時に読んでたけど再読すると改めていいな…。
泉さんと竜一さんの出会いがすごい好きすぎて…しみじみと「二人が出会えてよかったな〜」って思った。美咲ちゃんの頑張りがポキっと折れちゃいそうになったとき、会いに行くのが悠生くんで、それを大切に受け止めるところ、加賀での新しい出会いを共有できるところとか本当に良かった…。好き…。
次回予告もしんどそうな気配があるけど、どんなふうになってくか気になるし楽しみ…。
すごいアレですが、あとがきに共感しました…。私は37歳になった今でも時々「50円残してなんとか帰ってこれた」みたいな旅をすることがまれによくあります。
『言葉の獣』十一話まで読んだ〜!めちゃおもしろかった。登場人物が丁寧に言葉や行動で、あらわれる「獣」と向き合って謎とも語り合うところがいいなーって思った。
誹謗中傷の獣こわかったし、今もいっぱいいるし、わたしもそうなるかもしれない、ということとかもすごく考えてしまってうわーってなったし…。続きも読みたい。
#読書
https://to-ti.in/product/kotobanokemono
『さよなら犬たち、また来て猋風』オカワダアキナ #読書
読み終えた〜。既婚者で子供がいるゲイ男性と、同じく既婚者のバイセクシュアルの男性が恋人同士の日々を模索する小説。時々犬になる。めちゃめちゃ面白かった!
「既婚者同士」だとものすごくはらはらしてしまうんだけど、そういうしんどいモノガミー的なストレスはなくて(この関係が奥さんにバレたらどうしようとかはある)、たった一人の個人、家族に絶対の規範がないところがすごくよかった。
個人的に「わかる…」ってなったのが、語り手が、「あの人はゲイかもしれない」って、ゲイっぽい人じゃないひとを見て想像することがある、そうだったらいいなって考えたりする、という部分。恋愛や性愛の矢印の先として思うのではなく、属性の決めつけとかじゃなくて、日常にいるだろうな〜みたいな目線で見てる。わたしも「あのひとはアロマンティック(アセクシュアル)なのかも」とかいうことをふわっと考えることが結構あって、その「かもしれない」が「まあなんか今日も生きておくか」みたいな気持ちになったりするな…というかんじなので。
登場人物が結構悪いことしたりイタズラみたいなことするのもすごい良かった。
人間世界で生きてるいろんなもの/ことをなんかぎゅって抱きしめたくなるような話だった!
『オはオオタカのオ』ヘレン・マクドナルド著/山川純子訳(白水社)
#読書 #fedibird
QT: https://fedibird.com/@tutai_k/113526552967972741 [参照]
『オはオオタカのオ』ヘレン・マクドナルド著/山川純子訳(白水社) #読書
去年の10月に熊本の橙書店に行った時に、気になってたんだけど別の本を買って、あれからずっと忘れられなかったんだが、今年また同じタイミングで同じお店に行ったら私を待っててくれたので買った。
幼い頃からタカ(この場合、ハヤブサも含む大きい括りのタカ)のことばかり考えて、タカにまつわる本はなんでも読んでいた著者。父の死という絶望のそばに、一羽のオオタカがやってくる。オオタカは、チョウゲンボウやハヤブサよりも気難しい鳥で、著者は鷹匠としてメイベルを飛ばす(つまり狩りをする)ために、トレーニングをしていく自分を、過去に同じようにオオタカと暮らしていたホワイトの手記に重ね合わせていく。ホワイトの手記は、タカにたいする虐待でしかないのだけれど、ホワイトがタカを通して向き合っていたものは、絶望であり、社会からの抑圧であり、コントロールできない己の激情でもあって、「わたしはそうではない」と何度も言い聞かせながらホワイトに寄り添い、タカと同化して塞ぎ込んだり、攻撃的になったり。
わたしはペットとして鳥を飼うことに憧れはあってもそこまで積極的にはなれなくて、色々考え込むことが多いんだけど(手元にいて認識されることよりも、されないこと/距離があることに→
『僕は猛禽類のお医者さん』齊藤慶輔(KADOKAWA)読み終えた!
絶滅危惧種の猛禽(オオワシ、オジロワシ、シマフクロウ)を中心に、鳥類を治療する猛禽類医学研究所の齊藤先生の本。幼少期のフランスでの経験や、学生時代の経験、これまで実践してきたこと、今やってること、これからが書かれている。とてもよかった。
『野生の猛禽を診る』でも書かれていたけど、ハンターと保護活動の葛藤にはやっぱりグッときた。ヒグマなどには銅弾のほうが効果があることとか、生のハンターの声として収録されてるのはすごくいいなぁ。
人間が人間として「どう」野生/自然に責任を取るか、すごく考えた。
猛禽類だけじゃなく、自然界では鉛中毒は深刻で、最近ではジビエをいろんなところで取り入れてるから、実は人間にも鉛中毒の影響がこれから出てくるのでは?という問いが投げかけられていたり。「生物資源(ある意味で資本主義的な利用)」が、もたらす課題でもあると思う。クラファンの返礼品に、野生動物に関わるアーティストの作品を取り入れたり、芸術作品を自然保護活動に活かしたいという取り組みもいいなと思った。わたしも、生き物の小説を書くときは、それらが保護活動に繋がればいいと思ってる。
齊藤先生のロシア冒険記、読みたいです。
#fedibird #読書
『やがて満ちてくる光の』梨木香歩(新潮社)読み終えた。
梨木香歩とはずいぶん感覚に差があるなあと思ってるけどなんだかんだ私の前にフッと立ち現れる作家で、小説もだし、エッセイはそれ以上にたくさん読んでいる気がする。「読みたい」というよりは、「読むタイミングが来た」という感じの手に取り方。
この本はデビューから書いてきたエッセイを集めて編んだ本とのこと。自然との向き合い方とかネイチャーライティングの面ですごく参考になるなあと思うし、たくさんの国を旅している眼差し、がすごく(相反するところもありながら)すっと入ってくる感じがする。合わない!じゃあね!じゃない感じ。合わない!だからあなたの話を聞くのだ、わたしは。そしてわたしも語るのだ、という。
特に印象に残ったのは風力発電の章と台風の日に死んだ鳥たちだけで作った剥製の話。前者については、「とてもクリーンでエコ、環境にやさしい」という建前で、気候変動や様々な場面で推し進められがちだけど、まだまだ途上にある技術である、そして「人間」の側に立っている道具である、ということが書かれていてよかった。後者はただただ、言語以前の胸のざわつきがあって、「私はここへ行かねばならないな」という気持ちになった。九州行く機会増えたから、いつか行けるといい
#fedibird #読書
『ライブラリー・オブ・ザ・イヤー選考委員長の日記』岡野裕行(散策舎)
読み終えた。ライブラリーオブザイヤーというのは「良い図書館を良いと言う」、「これからの図書館のあり方を示唆するような先進的な活動を行っている機関に対して、NPO法人 知的資源イニシアティブ(IRI)が毎年授与する賞」だという。本を作る仕事や、生業をしているが、私は本という単体を作っている、ので、書店や図書館、という「本という単体を集めて空間を編む」ことは全然わからない。とはいえ「書店員の本」は、よく流通しているので手に取ったりすることもあって…。でも、「図書館」に関わってる人の本って少ないよねー、それも日常に「図書館」がある人って。
筆者が住んでいるのが私も近い地域なので、日常でいくお店に想像がつくのが面白かったし、選考委員長として「何をどう選ぶか」の葛藤であったりが新鮮だった。
岡野さんに「図書館」について、もっと踏み込んだエッセイのようなものを書いて欲しいな〜と思った。
#読書 #fedibird
初めてレベッカ・ソルニット読んだけど、すごくよかった。環境問題のことをこれくらい書いてるこういうタイプの本ってみたことなかったので、元気出た。…まあ時代が時代だからな…とソーラーパネルの絶賛は薄目で見て通り過ぎた。つぎは『災害ユートピア』読む。 #読書
#読書 読み終えた。災害復興という場で発揮されるパターナリズムの部分や、堤防を築くことで失われていく海との関わりを人々が憂えていたことなど、様々なことが書かれていてとても良かった。東北と東京(都市部)との関係や、原発について、従軍慰安婦について、水俣についてなど、たくさんのものが絡み合いながら語られている。読めてよかった。 #fedibird
QT: https://fedibird.com/@tutai_k/113217628585705274 [参照]
#文学フリマで買った本
文フリ大阪で絶対欲しかったフェリーの本!!!長距離フェリー特集号、最後の一冊だった。゚(゚´ω`゚)゚。
めちゃめちゃよかったー!!!『悠久のまぎわに渡り』を書き終えた私にはとにかく船に乗り、オキノタユウをこの目でみるという必要があるので……。アアアアアアアア早く乗りたいいいい乗りたい気持ちだけがでかくなって行くううう #読書
『エブリデイ・ユートピア』(クリスティン・R・ゴドシー著/高橋璃子翻訳 河出書房新社)読了。
色々な場所で行われている「ユートピア」の実践や、著者の経験などが書かれていてとても面白かった。
私自身、品物だけじゃなく人間関係も「所有」することがすごくわずらわしいし、必要ではないので、「あー!これ、私も思ってた!」ということが頻繁にあるのが良かった。いまは、一対一のパートナーシップを起点にした家族という形で関係性を「所有」しているけど、そうではない可能性を模索していく人たちの姿が見られたのが良かった。資本主義と能力主義が「いること」や「関係」に「意味」を持たせてるのは窮屈だね…。変わっていきたい。
#読書
『新装版 ペルーからきた私の娘』藤本和子 晶文社 #読書
読み終えた。すごくよかった。ペルーで養子の赤ちゃんを迎えるエッセイ、60年間アメリカの精神病院で過ごした日本人男性の語りを「聞けなかった」こと、『アメリカの鱒釣り』翻訳のこと、など。
とくにアメリカの精神病院で過ごした日本人男性のエッセイがよかった。著者は『塩を食う女たち』という北米の黒人女性の聞き書きも書いているひとで、多くの言葉を「聞いてきた」人でもあるけれど、だからこそ「聞けなかった」ことが記されるのがよかったと思う。
参照のリンクの言葉がすごく残った。女たちの言葉や体験を「共有したい」のではなく、それらを聞いた自分の体験をこそ、まず共有したいということ。
聞いて、書く、知って、書く、というときに、自分が聞き手、受け手になった言葉たちをダイレクトに読者に伝えられる、と思ってしまうけど、でもそうではない。他者の体験や行動は決して理解できないし、わからない。それらは「聞いた(知った)」という体験しか手渡せない、ということなど。
#fedibird [参照]
鳥写などしながら静かに暮らしています。
『ゆけ、この広い広い大通りを』(日々詩編集室2023年9月)書きました。時々小説を書いて本を作って生きています。