『元気のないおさむのにげにげ日記 うつ病クィアのみている日常』読んでいる。
どのマンガもめちゃくちゃ笑う…。マンガメインなのかなと思ってたら意外と文章がしっかりあって相乗効果でとても良い。『福祉労働』にも「勤怠の安定」がむずかしいっていう文章が掲載されていたけど、「障害の社会モデル」が支援のありかたに反映されていないという話が日常目線で描かれている。
インタビューがほんとうにとても良い。人間には必要のないものを買う余裕が必要だ。住むことの権利はいろんな立場で共通のイシューだという話も、家族というものを意識せざるをえない年末の時期に読むとことさら胸にせまる重要テーマ。公営住宅も抽選の倍率が高すぎたりいろいろ問題がある。
社会がひとに生きていてほしいと思ってるかどうかって、すごくこういう制度のありかたから染みだしてきてしまうことだなと感じている。
ちなみに近所の中学生に読ませてみたら、「ホモってなに?」と聞かれた。いまは学校で「おまえらホモか」なんてからかわれたりしていないんだなと思ってそれがちょっと泣けた。
今日のお気に入りのコマは「このひと…悩むの好きなんだよな…」 っていうところ。すげえ笑った!
(31-40)
煩悩をゆたかに揺らす冬の街
虎落笛ウンベラータを隠さねば
カルタヘナ法 ワシントン条約 鎌鼬
動物性成分不使用鎌鼬
凍土にはらわたさらす焼きそばパン
七草を摘むにいささかフライング
寒紅や当世の紅に背番号
目も頬もこすりて向かう寒稽古
紅白なますにしてやるという脅し方
シュハスコのぎゅんぎゅん削がれ大晦日
#三が日108句チャレンジ
(41-50)
大年の8番出口から出てね
豆乳を消化できない年の暮
ハッピーニューイヤー唇に縦皺はなやいで
めざまし時計ぴかぴか鳴けり大旦
吸湿発熱毛布に艶夢のち悪夢
悪夢とはすなわち淫夢寒椿
ゲレンデのとおくで鳴っているiPhone
おしぼりに檸檬の香る初飛行
一月一日小田切ヒロに毛穴なし
餅に粉打つ長井かおりの手を真似て
#三が日108句チャレンジ
(21-30)
冬の苺ではないほうの冬苺
冬深くグリッターまみれの指三本
開けるまでシュレディンガーのこたつかな
わたくしの氷湖はいつも穴だらけ
いかにもな配色にして編む毛糸
草石蚕草石蚕草石蚕ならべて残しけり
B F F餅には甜麺醤だって
賀状二枚かるくあかるく返事書く
寒禽のような真顔を向けられる
大根のしなびたものがヒトである
#三が日108句チャレンジ
(11-20)
紅白なますにレモンたっぷり
淑気ぎらぎらインドネパール料理店
李博士の声が聞きたい風邪心地
みかんいっぱい剥いて屑籠いいにおい
スケートの靴も扉も重すぎる
元日のロールケーキを尻尾から
若いひとは行列できる二日かな
キスチョコのアホ毛かわゆき三日かな
洟かめば音が遠くにいってしまう
冬ざれや井の頭五郎の体脂肪
#三が日108句チャレンジ
(1-10)
煩悩の多くてすぐに治す風邪
バーレスクダンス教室段ボールに毛皮
鼻うがいの水を耳から出すところ
いまから買える百年前の福袋
どの層にもポケットがない着膨れて
小春日の邪鬼に涙袋爆誕
ふくわらい中顔面はこのあたり
舞初やlululemon創業者を許すまじ
Wi-Fi環境でのダウンロードをおすすめします宝船
ドウェイン・ジョンソン初夢はきゅうくつそう
#三が日108句チャレンジ
(51-60)
チェ・ミンシクの前髪がじゃま初日の出
安全なハ・ジョンウですか冬薔薇
渋滞の何台先が新年か
玄冬の柱時計は棲むところ
冬館にだれもつかわぬ衣紋掛
凶器にはしないつもりのつららかな
初夢のアスペクト比がずれている
笑気ガス吸って御慶をくりかえす
花びら餅いとし川柳うらやまし
Yogiboのひらたくなりぬ寝正月
#三が日108句チャレンジ
鳥写などしながら静かに暮らしています。
『ゆけ、この広い広い大通りを』(日々詩編集室2023年9月)書きました。時々小説を書いて本を作って生きています。