この本の第1章がおもしろかった。

副葬品や装飾品から推定される先史時代の社会的性(ジェンダー)と骨で判別される生物学的性がどうやら一致していないらしい例

koyoshobo.co.jp/book/b623977.h
> 第1章 「双性の巫人」という過去の身体を読む [光本 順]
> 1 種子島広田遺跡と「双性の巫人」説
> 2 双性の巫人説に対する考古学的評価
> 3 クィア考古学的再検討
> 4 クィアな過去の現在性

『魔術の歴史』 Chris Gosden 松田和也翻訳
前半のほとんどが考古学的な発見の紹介で、そのあたりがよかった。魔術の証拠というより、超自然的な効果を期待していそうな儀式の形跡(動物と人間を融合した仮面のようなもの、墓のレイアウトなど)。あつかっているのはユーラシア、アフリカ、中国、オーストラリアそれぞれの先史時代や古代から。写真、絵もあり。

量子力学が観察者の世界への参画を意味している、現代のネオ魔術だ、みたいなあたりはどうもあやしいと思った。さいわいこのような部分はおまけ程度。

hanmoto.com/bd/isbn/9784791775

ロアルド・ダール『偉大なる自動文章製造機』(The Great Automatic Grammatizator)

ユーモア短編。小説家はもうかると聞いてボタンをいくつか押すと小説が出てくる自動文章製造機を開発する会社員とその上司。原作1953年。

「あのですね、ボーレンさん。大量生産の小説ならわずか半額で買えるとなったら、だれも注文品の小説なんてほしがらなくなりますよ。考えれてみればそうでしょう?」

読者はどこかで見たような作品でもそこそこのできでさえあれば買っちゃうんじゃないか、という観点を皮肉っていると思う(小説という商品はコピーしたものを売るという意味でもともと大量生産ではある)。

田口俊樹の日本語訳が『あなたに似た人〔新訳版〕』にある。こちらは2013年。

『ぼくは翻訳についてこう考えています』(柴田元幸、2020年)
著者が他の本や雑誌で書いた内容の一端をたくさん引用再録したダイジェスト版。古いものも多いので、今はこう思う(ものによっては、今もまったく同意)、というような内容の一言コメントもついている。

だいたいはアメリカ文学の翻訳の話。

心構えだけでなく、具体的なあるある話も書かれている。英語の小説ではキャラクターが部屋をでていくとき、いちいちturnという動作の一語をいれる、とか。「くるりと向きを変えて」という部分を日本語ではわざわざ言わないことが多い(言おうとすると、その動作を目立たせすぎてしまったりする)。どう翻訳しても俯瞰して見ればおおごとにはならないし、悩むほどのことじゃないけど、すんなり日本語になりにくくて、よく遭遇する事例のひとつ。

引用はどれも短く、各ページの余白が大きく、ページ数のわりにすぐ読み終わる。

alc.co.jp/entry/7020017

こういった内容のことが藤井正雄『骨のフォークロア』の最初のほうに書かれている。

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上田としこ『フイチンさん』

『サザエさん』のような終わりのない日常ものかなと思って読みはじめたけど、全体を通じた筋があり、ちゃんと完結している。ハルピンを本拠地としながら、山奥を探検したり、寄宿学校で生活したり、色々な世界が見られます。日本人キャラクターはおまけ程度に出てきます。

shogakukan-comic.jp/book?isbn=

Fedibird

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