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ロアルド・ダール『偉大なる自動文章製造機』(The Great Automatic Grammatizator)

ユーモア短編。小説家はもうかると聞いてボタンをいくつか押すと小説が出てくる自動文章製造機を開発する会社員とその上司。原作1953年。

「あのですね、ボーレンさん。大量生産の小説ならわずか半額で買えるとなったら、だれも注文品の小説なんてほしがらなくなりますよ。考えれてみればそうでしょう?」

読者はどこかで見たような作品でもそこそこのできでさえあれば買っちゃうんじゃないか、という観点を皮肉っていると思う(小説という商品はコピーしたものを売るという意味でもともと大量生産ではある)。

田口俊樹の日本語訳が『あなたに似た人〔新訳版〕』にある。こちらは2013年。

古いほう(田村隆一)の日本語訳は原作発表からあまり間をおかず出版されていて歴史的意義はあるかもしれませんが、ちょくちょく誤訳もあったりして読みにくいので、いまから読むなら新しく出版された田口訳がいいと思います。

前便で引用した部分の原文と田村訳:

‘Listen, Mr Bohlen. Who on earth is going to want custom-made stories when they can get the other kind at half the price? It stands to reason, doesn’t it?’

「ね、いいですか、ボーレンさん。半分の値段で、しかも毛色の変った作品が買えるってときに、なんの代りばえのしないマンネリズムのストーリイを欲しがるやつが、いったい、どこの世界にいるんです? それが、ものの道理というものじゃありませんか、え?」

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