[幌メモ その63]
樋口有介『木野塚探偵事務所だ』創元推理文庫
〈木野塚佐平〉シリーズ第1作目。警視庁だけど経理課一筋だった主人公が退職後、憧れだったフィリップ・マーロウのようなニヒルでハードボイルドな探偵に自分もなりたいと、長年頭の上がらない奥さんに隠れて貯金したへそくりを元本に、探偵事務所を開設してしまったことから始まる「およそ本人の理想とは異なる」事件を痛快に解決していくユーモア・ハードボイルド連作短編集。
読了日 2017年12月11日
[追記] NHKでこのシリーズ作品を原作として主演・志村けんで映像化したのが『志村けん in 探偵佐平 60歳』でした。それより以前に放送していたコント番組『となりのシムラ』の流れを汲むコント仕立てのドラマで、恐らくは伊藤沙莉が世に知れ渡るきっかけになった作品だったように思います
エヴァ・ビョルク・アイイスドッティル『軋み』小学館文庫
[訳] 吉田薫
シリーズ第1作目。恋人との関係が唐突に終わったことを機にレイキャヴィーク警察を辞めて故郷・アークラネスに戻り、地元警察の犯罪捜査部に職を得た女性刑事・エルマ。平穏なようでいて見えない所で色々起きているこの小さな漁港町にある灯台付近の岩場で、女性の不審死体が見つかった。
📚 2021年度の英国推理作家協会新人賞(ジョン・クリーシー・ダガー賞)受賞作品。過去と現在のエピソードを行き来し、被害者と捜査する刑事の両者に共通している「アークラネスに何故戻ってきたのか」というテーマに沿って展開される物語。陰鬱な出来事を丁寧に切り取って要所に散りばめることで事件に至るまでの過程を多面的に表現した濃厚な作品です。
📚 以下、感想です。読了後すぐは作品への物足りなさといいますか、納得のいく物語の解釈ができなかったのですが、色々な方のレビューを読むことで作品の印象が変わったことに加え、再読して情報量を増やしたことで作者の意図も把握できたかなと、思えるようになりました。それでも色々難しいお話ですが…… 😅 続編も楽しみにできるくらい理解は進んだ……と思います
[幌メモ その62]
ラグナル・ヨナソン『闇という名の娘』小学館文庫
[訳] 吉田薫
〈女性警部・フルダ〉シリーズ第1作目。年末に定年退職する犯罪捜査部の女性警部フルダ・ヘルマンスドッティルは夏の近づくある日、年下上司に2週間後には後輩に席を明け渡すよう指示されてしまう。仕事を奪われた彼女に許されたのは、未解決事件の単独再捜査のみ──。
📚 アイスランドを舞台に仕事を取り上げられた定年間際の女性警部が未解決ロシア人女性不審死事件の真相を追う物語です。しかしながら内容を詳しく書けない面白い構造の作品で……そしてエピローグまで読み終えても、混乱は増すばかり 😱 このモヤモヤを晴らすには続編を読むしかない……全3部作なの?読まなきゃ 😤
読了日 2021年10月30日
[追記] 現在読んでいる本もアイスランドが舞台なので関連作として紹介します。このシリーズ、好きなんですよ
[未収載メモ]
冬の運動、目的(買い物とか)のついでに散歩する……近場ならなるべく歩くとかで1日の総歩数を稼ぐことの他に
今はやはりYoutube動画。お手軽に始められるし、合わなければ途中でやめて、もっと自分にあった強度の運動も探せますな
そしてズボラな私が冬の運動で最初にやって比較的お手軽に体を温めていたのが
【冷え性改善運動】たったの4分で体の芯まで温める.手足の末端まで血流を流す!!【産前産後もOK】
https://www.youtube.com/watch?v=IhzE0Gs8U3s
【くびれ】最短最速でくびれを作る7分間!中国式くびれエクササイズ【中国式ダイエット】
https://www.youtube.com/watch?v=Q9GKOg2wAig
それぞれ4分と7分。特に後者はひたすら腕と腰を動かすのみ。でも終わる頃には汗だく
参考にといいますか……こういうのもありますよということで
みなさま優しいリアクション、ありがとうございました
おかげさまで調子は戻りました。やはり眠るのは大事ですね
本日は休みなんですが結局お出かけの日というより休息日になってしまうなぁ……せめて散歩して代謝を上げてきます
寒かったですねぇ……それもさることながら今日は朝からなーんか体調上がっていかないなぁ と思っていたんですがそういや昨日ワクチン接種してたんだ と気づき、もしやと腕を触ってみたら接種部位が少し腫れていて熱も持っていましたよ……だからだ
ただ精神的にはすこぶる元気なんですよねぇ
いちおう早目に寝ますか
お布団かけていただいた……ありがとうございます
結局、録画しておいた水曜日のダウンタウン見てしまった……
「名探偵・津田」すごい面白い……次回が完結編か……
TVerでも見られます
リアリティショーみたいな本格風見立て連続殺人風の謎解き
前作同様に流し見してたけど一気にハマりました
江戸川乱歩『孤島の鬼』角川ホラー文庫
体験した出来事の、余りの恐怖のために30歳にもならない青年・蓑浦の髪は総白髪となった。また、彼の妻には左腿の上に理由を判別しかねる程の大きな傷跡があった。世人が嘗て想像もしない人外境──奇怪至極な体験を、主人公である蓑浦が彼自身の回想という形で綴ったとする物語。
📚 物語の途中にある今後の展開を示唆する記述を読んだことから未だ見えていない全体像を想像し、頭の中で構築しようとしただけで、鳥肌が止まらなくなった作品です……こういう読書を経験したことがなかったので、非常に興奮しました。『パノラマ島奇談』『陰獣』を経て辿り着いた、恐らくは作者における最高傑作かと 🤔
📚 以下、感想です。今作品は推理小説と冒険小説において重要である部分ばかりで作られている印象です。プロットに隙が無く、展開にも無駄が無い。読者を飽きさせる余地が無く物語が進んだ上で最終盤に提示された事柄は、紛れもない恐怖そのもの それでいて結末自体は一番最初にしっかり明示されているので安心して読める……はずなのに、これほどの恐怖を植え付けられるか、という物凄さ。決して万人受けはしませんしお勧めもしませんが、読むべき作品だと思います。素晴らしい読書体験でした ☺️
都筑道夫『キリオン・スレイの再訪と直感』角川文庫
〈キリオン・スレイ〉シリーズ第3作目。ふと如雨露を買ってきて、その晩に山の手線に飛びこんだ男。その半月前、綿菓子を買った後に首をくくった男。不必要なものを買い、理由もなく自殺した男たちに関するウォーターケイク氏からの問いかけに対し、アメリカへ帰ったものの東京が恋しくて日本に戻ってきた詩人・キリオンが再び好奇心を発揮し、調査を開始することに。
📚 今作は全6編の本格推理連作短編集です。キルとトニイ(青山富雄)のコンビに加え、水菓子屋の若旦那・ウォーターケイク氏や大学生の綱木、若い落語家の柳亭茶楽、推理小説家の安藤告など登場し、不可解な事件の謎を解いていきます。前述の友人に鍛えられ以前より偏りながらも上達した?日本語を駆使するキリオンにも注目です
📚 前作を読んでから1年半ほど空いてしまっていたので、果たして覚えているかちょっと不安でしたが……推理小説が好きなアメリカ人の詩人・キリオンが異国の日本で王道のロジックで謎を解き明かしていくというスタイルは、やはり面白いです。ちなみに今作では特に「三角帽子が死につながる」「下足札が死につながる」「署名本が死につながる」が、私のお気に入りです ☺️
[幌メモ その61]
都筑道夫『キリオン・スレイの復活と死』角川文庫
〈キリオン・スレイ〉シリーズ第2作目。日本に来てからは推理小説ばかり読み、現実の事件に興味を持った挙句、幾つかの事件を解決までしてしまった好奇心旺盛な自称詩人のアメリカ人青年キリオン・スレイを探偵役とする全7編の本格推理連作短編集。
📚 スキー場ロープウェイのゴンドラ内で発生した女性刺殺事件、8階の宣伝会社に突如やってきた自殺志願者、出版社のパーティーで起きた推理作家毒殺事件、完全な論理で主人公が犯人になる事件、大安売りの密室事件を題材にした推理合戦……提示された難事件を、論理で鮮やかに解明していく個性的な探偵譚です。
📚 本格推理なので謎の解明方法はゴリゴリの王道ロジックです。そして探偵役を「プロ」に任せないための措置として怪しい日本語を使う詩人の外国人青年にそれを担わせるというギャップと可笑しさ 🤣 しかしそこに油断すると足元を掬われるという構造 😅 今作での私のお気に入りは「八階の次は一階」「二二が死、二死が恥」「キリオン・スレイの死」です ☺️
読了日 2022年3月21日
[幌メモ その60]
都筑道夫『キリオン・スレイの生活と推理』角川文庫
〈キリオン・スレイ〉シリーズ第1作目。アメリカからやってきた前衛詩人の「キル」ことキリオンが英語が堪能な友人・青山富雄(トニイ)宅に居候し、グウタラしつつも持ち込まれる不思議な事件を見事な論理で解決していく全6編の連作本格推理短編集。
📚 「トリックよりロジック」「名探偵復活を提唱」する作者が日本の推理小説に最も欠けているものは論理性だと指摘、アメリカからやって来た、怠惰だが論理癖のある詩人を探偵役に据えたシリーズです。ちなみに同年『七十五羽の烏』も発表しているのは主張を意欲的に実践していたということの証左でしょう。
📚 全6編のうち、特に私のお気に入りは「なぜ完璧なアリバイを容疑者は否定したのか」「なぜ密室から凶器だけが消えたのか」「なぜ幽霊は朝めしを食ったのか」です ☺️ 各編の標題が設問式なのも特徴なのですが……何といってもカバー画。山藤章二が半纏の背中に欛(つか)の文字を描いたのが、実に心憎い ✨
読了日 2021年12月17日
[追記] シリーズ第3作目を読んだので、それより前の2作品を取り急ぎ紹介しておきます
ほんのおぼえがき 8・1・0