フォロー

江戸川乱歩『孤島の鬼』角川ホラー文庫
体験した出来事の、余りの恐怖のために30歳にもならない青年・蓑浦の髪は総白髪となった。また、彼の妻には左腿の上に理由を判別しかねる程の大きな傷跡があった。世人が嘗て想像もしない人外境──奇怪至極な体験を、主人公である蓑浦が彼自身の回想という形で綴ったとする物語。

📚 物語の途中にある今後の展開を示唆する記述を読んだことから未だ見えていない全体像を想像し、頭の中で構築しようとしただけで、鳥肌が止まらなくなった作品です……こういう読書を経験したことがなかったので、非常に興奮しました。『パノラマ島奇談』『陰獣』を経て辿り着いた、恐らくは作者における最高傑作かと 🤔

📚 以下、感想です。今作品は推理小説と冒険小説において重要である部分ばかりで作られている印象です。プロットに隙が無く、展開にも無駄が無い。読者を飽きさせる余地が無く物語が進んだ上で最終盤に提示された事柄は、紛れもない恐怖そのもの :Shiropuyo_gaan: それでいて結末自体は一番最初にしっかり明示されているので安心して読める……はずなのに、これほどの恐怖を植え付けられるか、という物凄さ。決して万人受けはしませんしお勧めもしませんが、読むべき作品だと思います。素晴らしい読書体験でした ☺️

ログインして会話に参加
Fedibird

様々な目的に使える、日本の汎用マストドンサーバーです。安定した利用環境と、多数の独自機能を提供しています。