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ルーマー・ゴッデン『人形の家』
ロイド・アリグザンダー『プリデイン物語』
ローズマリ・サトクリフ『運命の騎士』
パーヴェル・バジョーフ『石の花』
C・S・ルイス『ナルニア国物語』
アーシュラ・K・ル・グィン『ゲド戦記』
フィリパ・ピアス『トムは真夜中の庭で』
アラン・ガーナー『ふくろう模様の皿』
ジョージ・マクドナルド『王女とゴブリン』
ジュマーク・ハイウォーター『アンパオ 太陽と月と大地の物語』



ピーター・S・ビーグル『最後のユニコーン』
アンジェラ・カーター『ワイズ・チルドレン』
ジェフ・ライマン『夢の終わりに…』
ユイスマンス『腐乱の華』
ミゲル・デ・セルバンテス『ドン・キホーテ』
クライヴ・バーカー『血の本』
フョードル・ドストエフスキー『白痴』
ボストン・テラン『その犬の歩むところ』
イサベル・アジェンデ『エバ・ルーナ』
ディーノ・ブッツァーティ『タタール人の砂漠』



さっき読んでたジェフリー・フォードの『最後の三角形』、まだ途中ですが表題作がめっちゃ良かった! ヤク中の青年が老年の女性に助けられて、二人で寂れた街中の魔法陣を探す話。女性が所謂おばあさん的な人物造形ではなくキリッとしていて凛々しくて、どん底の青年と信頼を深めていく、こういう話を読みたかった! 異なる性を持つ人同士が信頼を深めて、恋愛ではない多様な関係を築いていく話、あればあるほどいいですね。

J・ジョイス、W・B・イェイツ他『妖精・幽霊短編小説集』
『ダブリナーズ』から数編を選び、同時代のアイルランド・イギリスで書かれた妖精・幽霊譚と並べたアンソロジー。
私が読んだのは福武書店の高松雄一訳『ダブリンの市民』で、読了時はリアリズム小説だと思っていたのですが、こうして並列して読んでみると、現実の向こうに異界が透けてみえるようでまた違った一面が見えてくる。当時は降霊会も盛んで妖精も幽霊も今より身近でリアルだったのだろうけど。
そして『姉妹たち』で始まり『死者たち』で終わるダブリナーズの構成が、改めて素晴らしいな、と。

このアンソロジーで再び『ダブリナーズ』に触れて、新鮮な思いとともに気になったのがジョイスが描かなかったこと。例えば『エヴァリーン』のヒロインを旅立たせなかった母の言葉、『粘土』の主人公が触れた箱の中身。気にせず読んでいた部分にオカルティックな含みが感じられて、良いかんじに怖かった。ジョイスの諸短編もですが、オブライエン『何だったんだあれは?』やディケンズ『信号手』や小泉八雲の『雪女』等の有名作、またイェイツの『キャスリン・ニ・フーリハン』等初めて読んだ戯曲も一つの世界に収れんしていくような面白い本。翻訳もとてもよかったです。

とにかく軟派女学生の頭領、お洒落でコケティッシュでパワフルで素っ頓狂な陽子さんが、『花物語』にもいないしどんな物語にもいそうでいないタイプの人でものすごく可愛い……読み終わった後数日陽子さんの可愛さを噛み締めてた。
物凄く好き勝手にふるまうんだけど、物凄く一途に牧子のこと好きなの。牧子は陽子さんの誘惑でいろいろなことから逸脱してゆく自分に恐怖を覚えるのですが、今読むと可愛いもんです。むしろ後半牧子が自分を省みて、父と対話できるようになるのは陽子さんと過ごした時間のおかげと思える。
ただ陽子さん、後半は飛ばしすぎて「マッポを撒くわよホホホホホ」みたいな展開になって最高です。もうお願いだから陽子さん変わらないでって思いながら読んでたし、陽子さんが変わらずにいられる世界を作りたいって思った。

軟派女学生の会話も硬派女学生の行動も活き活きと描かれて、細部に渡ってものすごく楽しい。当時の挿絵は高畠華宵で、とても美しくすべて見たいのですが、岡田あーみんが漫画化しても岩舘真理子が漫画化してもどちらもしっくりくるようなパワーに溢れた作品です。とにかく大好き!

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吉屋信子『わすれなぐさ』、以前読んだ『花物語』の各篇に衝撃を受けた身としては、ありとあらゆる悲しい展開を予想しつつ読みましたが裏切られました。嬉しい。
しかし家父長制社会で生きる若い女性の苦しさの解像度が高くて、このように社会を描く人ならば、『花物語』の悲しい展開は容易く手折られまいとする矜持と抵抗にも思えてあれはあれでよかったなぁ、と思います。
30代半ばで書かれた『わすれなぐさ』のほうには、女の子たちが手を取り合って励ましあいつつこの社会を乗り越えて生きていけるんじゃないか、という希望があってすごく良い。

無口な主人公牧子が、真面目な硬派女学生一枝と仲良くなりたいと望むも軟派女学生の頭領陽子に阻まれてなかなか思い通りにいかず、陽子の魅力にも惹かれていってしまう、女学生の三角関係の物語。牧子は自分を蔑ろにする医者の父との関係に悩み、一枝は亡くなった軍人の父の呪縛に悩んでいる。登場する男性が、牧子の弟の亙君以外だいたいダメで、亙君も「強く在れ」という父の願望に振り回されて疲弊していきます。(牧子のお父さんの部下とか今もうようよいるタイプの気持ち悪い若者で、男性の気持ち悪さの描写上手すぎてちょっと笑っちゃった)。
つづきます

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10月に読んだ本  読んだ順
1『わすれなぐさ』吉屋信子
2『何かが道をやってくる』レイ・ブラッドベリ
3『レーエンデ国物語 月と太陽』多崎礼
4『ジンセイハ、オンガクデアル』ブレイディみかこ
5『オンガクハ、セイジデアル』ブレイディみかこ
6『妖精・幽霊短編小説集 『ダブリナーズ』と異界の住人たち』J・ジョイス、イェイツ他
7『銀の糸あみもの店』瀬尾七重
8『飢渇の人』エドワード・ケアリー
9『夜のリフレーン』皆川博子 
読みっぱなしでメモすら残してないので、なるべく感想書いたりしたい。


この間通りすがりの古本屋の店頭に、瀬尾七重の『銀の糸あみもの店』の旺文社版の単行本が並んでたのを見て、ちょうど数日前に今読めるかな~と調べてた本だったので声を上げて喜んでしまったのでした。そして当然購入した。1979年初版、800円也。

初めて読んだのは小学生のころ講談社文庫にて。子供向けの童話集だったにも関わらず、都会の薄暗がりの陥穽に嵌ってしまって抜け出せないような表題作の怖さを忘れられずに幾星霜。この本全体がそういう短編ばかりだったと記憶してたのですが、読んでみたらほかの話はシュールだったり可愛かったりして、表題作のみがちょっと異質な暗さを湛えていたのでした。この不思議な暗さ、その後の読書傾向に大いに影響してるなぁ。

読んでるうちにバッテンの木や陽気で優しい秋の若者のことがどんどん記憶から蘇ってきて、懐かしさに加えて全部を怖い話と誤解しててすみませんの気持ち。
どの短編も都会を舞台に、町の角を曲がった先に異界がぽっかり口を開けている、的な不思議さがあって、明るい話は例えばジョーン・エイケンの短編が好きな人にもおすすめしたい良質なエブリディ・マジックです。
キンドルに講談社文庫版があるのですが、繊細なイラストに彩られた懐かしい本を手に入れられて、本当に嬉しい。

9月に読んだ本その2
ボルヘス『伝奇集』福武書店。
10代半ばに近所の書店で新刊で買った記憶がまだあるんですが、30年以上経て、帯は残っているけど古書独特の薄いシミが多数。一番最初の『トレーン、ウクバール、オルビス・ティルティウス』を読んだ瞬間に、購入した当初の「全然わからないよー!!」という気持ちを新鮮に思い出した。多分哲学用語とかにびびって挫折したと思われる。今回は架空の土地の架空の人々の架空の言語のあれやこれや、というところまでは分かったので、しばらくしたらまた再読します。
そうしてこの一編を越えたらあとは好きな世界が広がっているのだった。『円環の廃墟』と『八岐の園』と『死とコンパス』と『隠れた奇跡』が好きです。これらは比較的面白さがわかりやすい。
ボルヘスはいくらでも長編が描けるアイデアを短編の中に濃縮してぶち込んでくるので読み飛ばしてはならぬ、と襟を正しつつでもこんな面白いことを思いつく人に堅苦しく構える必要ないよね、という思いがある。本は待ってくれるしわからないものをわかるまで待つのも楽しい。(今年の前半ミロラド・パヴィチの『ハザール事典[女性版]を読み返して、以前の私がどれだけ読み飛ばしていたか判明したので。これも楽しい読書だった)

海賊たちのモットーが「短いながらも愉快な人生」で、その命知らずの冒険野郎っぷりにちょっと笑ってしまったりしました。この本の一行の船長は20代の若さで200人近くを率いる有能な男性なのですが、とにかく無茶をする。1000人近いスペイン軍にわずか4人の見方を率いて立ち向かう場面は「ワイルドバンチのクライマックスの5倍やぞ!!」と驚愕し、その闘いの結末は、まあそうなるよね…。
あとスペイン艦隊から逃れるため、何か月にも渡って海上をさすらわなければならず、飲料水や食料はほぼ偶然発見した島頼りだから栄養不足・水不足で船員がどんどん倒れる。どんどん倒れるけど割と死なない(誰がしかの日誌に記述が残っている)、雨季のアマゾンのジャングルで泥まみれになり重傷を負い流される→なんだかんだあって助かるなど、人間、脆いのか案外頑丈なのかわからない、と思いました。
長い航海の間病気にかかった船員は地下のハンモックで寝かされ排泄物も垂れ流しで、どっかの島にたどり着いたらそこで船を斜めにして一気に掃除する、とか、特に衛生状態がどうなっていたかの描写が面白、と言っていいのか…過酷すぎて…。
なんだか時期的に『ワンピース』ドラマの副読本になるかな、と思ったけどならないと思った。でも本当に面白いです!

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9月に読んだ本その1
キース・トムスン『海賊たちは黄金を目指す』東京創元社。
17世紀末、カリブ海を根城にスペインの植民地や商船を襲撃したバッカニアと呼ばれる海賊たちのノンフィクション。
当事者7人の日誌をもとに、1680年、2年にわたる冒険と略奪と闘いの日々を再構築した1冊で、めちゃくちゃに面白くて一気読みでした。
スペイン軍からパナマの先住民族の姫君奪還を皮切りに、徒歩での密林横断からカヌーによる川下り、襲撃と白兵戦を繰り返してやっと船団組んで海に出たと思ったら、凪の海で前進できず日照りと食糧不足と不潔な船内での病の蔓延に悩まされ…と、読んでるだけで体かゆくなりおなか痛くなる大変さなのですが、それでも海賊団には平等と友情と一攫千金のチャンスがあった、と。
日誌の書き手はのちに博物学で名を成すウィリアム・ダンビアや、3か国語を操り数学者でもあったバジル・リングローズなど、英国に留まっていたら貧困で立身が難しかった人々もおり、そういう人々が身を立てるためのみならず、どれほど過酷であっても海と自由に惹かれてしまう、という心情がわかるようなわからんような。

ハーパー・リー『アラバマ物語新訳版 ものまね鳥を殺すのは』、先程読み終わってしばらく泣いていた。
イギリスのバンド、ブー・ラドリーズの名前の由来はこの本からか……いい名前だなあ……。
また改めて感想書きます。胸がいっぱいで言葉が出ない。
映画も見ようと思います。
 

Fedibird

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