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「安全」「リスク」に関する学術的な知見は日々アップデートされている。そして交通事故のような「非常に低い確率でまれに起きる現象」を考えることは、実はけっこう難しい。単純な統計や外挿で考えると間違った結論を導きやすい。

ACMは、自動運転車の安全性を正確に評価するには110億マイルのテスト走行が必要としている。これは、Waymo車がすでに走行した距離の500倍に相当する。ひとついえることは、現状は圧倒的なデータ不足なので「安全」と断言する段階にはないということだ。

ACM TechBrief: Automated Vehicles Winter 2024
dl.acm.org/doi/book/10.1145/36

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Waymoのレベル4(注2)自動運転車は今のところ死亡事故を起こしていない。ただし、Uberのレベル3自動運転テスト車は死亡事故を起こした。テスラのレベル2自動運転(運転支援機能)が原因と疑われる事故は多数発生している。いずれの人間のドライバーの責任として処理されている。

注2:レベル2は人間のドライバーを支援する運転支援機能、レベル3は人間のドライバーが監視する自動運転。いまのところ判例ではレベル2、3の事故責任は人間のドライバーが負う形となっている。レベル4は走行区間を限定した完全自動運転。

Waymo車の現状のデータでは、事故率は人間よりも低い。また死亡事故は今のところ起こしていない。だが、現状のデータから「自動運転車の方が人間よりも安全であるという結論が出た」と考えるのはまだ早いと考える。

なぜなら、Waymo車はあらかじめ決められた区間を走る(つまり道路のデータがよく準備されている)「レベル4」自動運転である。また走行距離が合計2200万マイルにすぎない。走行区間の範囲が広がればデータがよく準備されていない区間も走ることになるだろう。また走行距離が長くなれば、いままでに起きなかった種類の事故も起こるだろう。今のデータだけで「人間より安全」と断言することはできない。
(続く)

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お題:現状の知見では「自動運転車の普及により事故が減らせる」とは断言できない

Google系列の完全自動運転タクシーを運営する企業Waymoは、「Waymoの完全自動運転車の事故率は人間よりも低い」と発表した。これについての若干の補足情報と、自分の意見を述べる。

Waymoの発表は次の通り。

New Data Hub Shows How Waymo Improves Road Safety
waymo.com/blog/2024/09/safety-

(Gigazineの日本語記事)
gigazine.net/news/20240911-way

人間が運転する自動車は、1億走行マイルあたり約1名(注1)の交通事故死亡者を出している。これは数万人の交通事故死亡者の命であがなわれたデータである。自動運転車による死傷者は、人間のドライバーより有意に少ないといえるのか。ここが論点となる。

Motor Vehicle Crash Deaths — United States and 28 Other High-Income Countries, 2015 and 2019
imic.or.jp/library/mmwr/21930/

注1:2019年の記録では、21カ国平均で0.93人。

(続く)

イーロン・マスクがトランプを支持する理由は——そしてマーク・アンドリーセンやピーター・ティールやラリー・エリソンがトランプを支持する理由は、政治的信念というより利害だ。

ハイテク企業に対して社会との調和を求める今の民主党政権よりも、トランプ共和党政権の方が好ましいと考えている。

彼らテック富豪たちはトランプを尊敬している訳ではない。ただ、自分たちの利害にとってより好ましい大統領候補だと考えている。

テック富豪たちは、AIサービスやネット広告やSNSなどが人々を傷つけないよう求める規制を嫌う。規制を緩和する政権を求める。

だが、それは万人にとって好ましいことだろうか。

星 暁雄 (Akio Hoshi) さんがブースト

 新自由主義的再編が世界的に開始されて、およそ50年である。

 50年というと、1945-1991年の冷戦期間より長い。

 この50年で世界の風景は劇的に変化した。米国では90年代にクリントン政権が新自由主義化・右傾化し、もはや中道右派と極右の2択となっている。

 そして、中東では78年にエジプトが米・イスラエルに屈服した後、もう50年もパレスティナ人は「テロリスト」として孤立した闘いを強いられている。現在の一方的な大虐殺は、ついにWWII以来の国際秩序の正当性を崩壊させるに至った。

 また新自由主義的再編に巻き込まれたラテン・アメリカ、アフリカなどの地域は、生態系的にも激変。政治的にもブラジルのブルゾナロのようにトランプの同盟者まで現れるに至った。

これらと比較すると、一見変化に乏しい日本だが、この50年で産業の空洞化、格差と貧困の拡大、レントへの依存によって、もはや社会は崩壊寸前である。

次期首相候補が「解雇自由化」を主張するようになっては、従来の「自民党型調整システム」もまた近々崩壊するだろう。

となると、代わりに「民主主義」の名に値する政治システムの構築がなされなければならない。

これに失敗すれば、操作された権威主義的ファシズムの危険性が増大する。これだけは避けなければならない。

岸田首相が就任演説で唱えた「分配なくして成長なし」は正論だったが、潰された。

茂木敏充幹事長は総裁選出馬記者会見で「増税ゼロ」を唱え、他の幹部や関係者から裏切り者(「明智光秀」)呼ばわりされた。

富の再配分の政策は潰され、国民から搾り取る政策は推進される流れができている。

一方で、国民の合意を得ていない改憲と防衛費倍増があたかも既定路線のように進められている。安保法制と合わせ、米国の戦争に、日本が軍事協力する(経済協力だけでなく)流れが作られようとしている。

政治家は差別発言を堂々と繰り返す。カルト集団と政治の癒着はナアナアにされようとしている。司法と報道の独立は損なわれ、権力者の違法行為や倫理からの逸脱への歯止めは機能不全に陥っている。

自民党政権から脱出しないと、私たちはいまよりずっと厳しい状況に置かれることになる。

ブラジル、米国、イーロン・マスクについて。

ブラジルは、選挙結果に不満をもち暴動を扇動したボルソラノ前大統領に対して、毅然とした姿勢を示した。最高裁命令によるXのサービス遮断もその延長にある。

米国は、選挙結果に不満をもち暴動を扇動したトランプ前大統領が失脚せず、共和党の大統領候補となった。トランプは当選すればイーロン・マスクを政権で起用するとしている。

イーロン・マスクがX/Twitterを私物化している点は問題だが、もっと重大な問題は、トランプが断罪されず、それどころか次期大統領に返り咲く可能性も十分にあること。トランプから見ればイーロン・マスクは手駒の一つにすぎない。

「Evil(邪悪)になるインセンティブ」があちこちで働いています。

GoogleやMetaは、偽情報、陰謀論、詐欺広告の対策に消極的です。対策にはコストがかかり売上げは縮小するためです。

今のX/Twitterはヘイトスピーチをむしろ積極的に拡散しています。広告主が逃げ売上げは激減しましたが、引き換えにイーロン・マスクはトランプ&共和党への影響力を得ました。

日本の「暇アノン」、クルド人ヘイト、トランスヘイト等の蔓延も、X/Twitterのヘイトスピーチ放置体質とセット。より邪悪になった方が影響力を得られ、時にお金すら手に入る情況が生まれています。司法や行政の対処は後手に回り、往々にして消極的です。

それでも、異議を唱え続けることが大事だと思ってます。

本日9/7 19時より配信の「ポリタスTV」で、イーロン・マスク VS ブラジル最高裁の話をします。

イーロン・マスクのX/Twitterは、偽情報による暴力扇動やヘイトスピーチを放置。ブラジルと英国では暴動に発展。当局からツイート削除要請を受けるも無視し続け、そして……

youtube.com/watch?v=nNuKB1jkHC

fedibird.com/@AkioHoshi/113094 [参照]

イーロン・マスクは、「言論の自由 VS 政府の規制」というフレームで語りたがります。しかし、国際人権法によれば言論の自由(表現の自由)は無条件の自由ではなく、義務と責任を伴います(国際人権規約 自由権規約 第19条)。マスク支配下のX/Twitterが偽情報に基づくヘイトスピーチや暴力扇動をまき散らし社会に実害が及ぶなら、司法や行政のチェックが入ることは当然のことです。

イーロン・マスク流の言論の自由(表現の自由)はいったん脇に置いて、ここは「迷惑なテック企業 VS 公共」というフレームで見た方が実態に合っているといえるでしょう。

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イーロン・マスクのTwitter買収はビジネスとして大失敗だった。ヘイトスピーチなど有害コンテンツを嫌い広告主は逃げ、売上げは2年で84%減。企業価値を大きく毀損し、英国やブラジルでは暴動を幇助した。ブラジルではサービス停止を命じられた。

ところがイーロン・マスク本人はそれほど困っていない。X/Twitterの赤字はポケットマネーで埋められる水準だ(マスクはテスラから超高額の役員報酬を得ている)。

そしてイーロン・マスクは今年に入り米国の共和党とトランプに深く食い込んだ。トランプはマスクを政権に起用すると発言。

イーロン・マスクはお金を無駄に使い、Twitterを壊し、社会の不和を煽り、その結果として政治的な影響力を得た。迷惑系テック富豪がのさばる世の中だ。

「自分は特別である」——このような自我の肥大化から脱出できないかわいそうな人々は大勢いる。

日本の世襲政治家である麻生太郎氏の逸話が強烈だ。
dailyshincho.jp/article/2024/0

「衆院選での演説の第一声は“下々の皆さん”」

「記者に向かって“お前らさぁ、金持ちの家に生まれた苦労は知らねえだろ”」

「総理番の記者たちのマナーや言葉遣いが悪いと言って“質問者を代えろ!”などとよく怒っていた。“目上の人間にきちんと口も利けないヤツにインタビューさせるんじゃねえ”という感じで。いつもイライラしていましたね」

麻生氏の人物評。
「安倍さんが麻生さんを重用したのは、政治力もありますが、やはり境遇が似通っているからでしょうね」

「アリストクラシー、貴族主義の人。だから下々より俺の方が仕事ができるという自負がある」

感想:
政治家、権力者は「自分は特別だ」という考え方に陥らないよう自らを戒めることが求められる——と私は考える。しかし麻生太郎氏の場合、良く言えば肥大した自我に苦しみ続け、率直にいえば愚かさから脱却できていない。

他の世襲政治家も、程度の差はあっても似た問題を抱えているだろう。

世襲政治家がのさばり縁故政治が幅を効かせると、自由な民主主義と資本主義の活力は失われていく。要警戒。

"野太郎デジタル相は3日、必要な人に対象を絞って物資や補助金などを支給する「デジタルセーフティーネット」をつくる意向を示した。"
nikkei.com/article/DGXZQOUA033
"税や社会保険料など所得に関するデータを国が一元的に管理する。"

ここが重要。

解説と感想:
マイナンバー制度発足の頃に「日本の財政を救うため、徴税捕捉率を高める狙いだ」との話を聞いた。主婦パートや副業などを含め、庶民から漏れなく税を取る仕組みがマイナンバーです。

記事ではセーフティネットの話であるかのように書いていますが、国から見たマイナンバーは「お金を配る」仕組みである以前に「お金を取る仕組み」であることに注意が必要です。

これはエストニアの電子政府も同様。エストニアのように「確定申告が不要」なレベルまで効率化すれば国民にもメリットが出てくるかもしれませんが、日本ではどうなるでしょうか。

9月3日、NVIDIA株は9.5%下落。1銘柄として過去最大の2789億ドル(約40兆5460億円)が消えた。NVIDIAには反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いもかかる。
bloomberg.co.jp/news/articles/
AIへの過剰な期待を警告する声が、株下落の大きなきっかけとなった。

JPモルガン・アセット・マネジメント(JPAM)とブラックロック・インベストメント・インスティテュート(BII)は、「AIが世界経済を刷新する」との見通しは遠いとの見方を示し「テクノロジー以外の企業からのAIサービス需要が増加し始めない限りAIへの支出は正当化されない」と警告。

感想:AIへの異常な投資の背後には、シリコンバレーエコシステムが持つ、テクノロジーとカリスマ経営者を称揚する文化がある。

だが、AIが実体経済を改善させている証拠は乏しい。経済、投資の常識では今のAIへの期待を正当化できない。つまり、このままではバブル崩壊は必然となる。

テック企業は、バブル崩壊の前に「なにかすごいAI技術」を世に出そうとするだろう。だが、今のやり方——ニューラルネットワークモデルTransformerに大量かつマルチモーダルのデータを食べさせ学習——による性能向上は頭打ち。別のやり方の成果を短期で出せるかが分かれ目。

星 暁雄 (Akio Hoshi) さんがブースト

ここでも繰り返し批判している山口二郎氏が「立憲民主党の代表選挙について、リベラル派市民が野田さんを嫌悪する事情も分かるけど、今の日本でリベラル派は少数でしかないことを理解すべき。そのうえで、政権交代を起こすために中道保守と提携するか、尖ったことを言い続けるリベラルでいたいかを選択すべき」と言っている。

 これぞ「ザ・エキセン」という所だろう。その意味ではご本人「尖ってはいる」。

 そもそも山口二郎は小選挙区制の「改革派」論客として旗を振ったわけだから、そもそも公論で説教できる、ということがおかしい。

 それはそれとして、現在の東大・京大の政治学者は頭から「左派」を排除して思考するように訓練されているから、「リベラルは少数」という安直な結論に到達する。

 実際、現在政治学で「左派」と見られるとまず大学のポストはない。

 しかし、現実の政治では人口の大多数がこの30年で生活水準が大幅に低下。現在、物価上昇でついに限界に直面し、漠然としてであはあれ「世直し」願望は渦巻いている。

 であるから、大企業と富裕層に負担を求める「リベラル左派」を結集できれば、むしろ「多数」になる。

 これをさせまいとして永田町、マスコミ、提灯学者、メディア文化人が、何が何でもリベラルと左派を分断せんと言う所だろう。

星 暁雄 (Akio Hoshi) さんがブースト

About the X block in Brazil.

Brazilian supreme court were asking X to close/suspend/moderate:

- accounts spreading fake news

- accounts spreading hate speech

- accounts spreading fascism/nazism ideology

- accounts spreading racism

- account spreading lbgtqia hate speech

- accounts demanding to close the supreme court

- accounts trying to create disarmony between federal powers, using fake news (executive branch, judiciary branch and legislative branch)

- accounts asking to have another militar dictatorship government instead of democracy

- accounts using free speech to attack judges, legislators, executives and governament branch leaders

- accounts using free speech to haras other people

And a lot, lot more.

They tried several times to talk with them, but twitter refused to comply or respond.

Supreme court is doing their job to secure the constitution and our Brazilian democracy.

Twitter/X is a toxic non-moderated place right now, it's a risk for us and it's refusing to control their network, it's refusing to comply with brazilian laws and brazilian judiciarty court decisions.

That's what's happening.

That's the true.

If you have question I'm here to help!

イーロン・マスクはブラジルの司法を嘲笑している。逮捕されたTelegram CEOと同じ道を辿ろうとしている。

マスクは、米国、ロシア、中国の権力者と仲がいい。だからといって、ブラジルの主権が及ぶ法域でブラジルの司法を無視することは常軌に逸している。このような考え方を「テック植民地主義」と名付けることができるかもしれない。
bbc.com/japanese/articles/cd9d

記事の概要:
最高裁は4月、偽情報を拡散したとして、Xの数十のアカウントを停止するよう命じたがXは従わず、係争が続いていた。ブラジル最高裁は、30日にブラジル国内でのXサービス停止を命じ、監督庁は24時間以内の対応を求めた。さらにApple、Googleなどに対し、アプリストアからのXの削除を命じた。また「スターリンク」の銀行口座は凍結された。

ブラジルでは、23年にTelegramの利用が一時的に禁止されている。

一方、イーロン・マスクは「言論の自由は民主主義の基盤だ。選挙で選ばれていないブラジルの偽の判事が政治目的のためにそれを破壊している」と投稿。ブラジル最高裁の命令に応じない姿勢を示した。
(感想:むちゃくちゃな理屈だ。子どもの教育に良くないよ)

Telegramは9億人のユーザーを抱えるが、エンジニアは30人ほどしか雇われていなかったという。

またTelegramにもいちおう通報制度はあったが、モデレーションの人員が足りていたかどうかは非常に疑わしい。

下記のエルサレム・ポストの記事では、この4月のタッカー・カールソンによるインタビューでCEOのDurovが「30人ほどのエンジニアしか雇っていない」と発言したことに言及。Telegramは、プライバシー、セキュリティ、モデレーションへの投資が不足しているのではないかと論争になった。
m.jpost.com/breaking-news/arti

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TelegramのCEO、Pavel Durov (パベル・ドゥロフ)がパリで逮捕された。

第一報を出したフランスTF1の記事より機械翻訳。
tf1info.fr/justice-faits-diver

"裁判所は、パベル・ドゥロフの節操のなさ、法執行機関への協力のなさ、テレグラムが提供するツール(使い捨て番号、暗号通貨など)により、麻薬密売、小児性愛犯罪、詐欺の共犯者になっていると考えている"

捜査官は「彼のプラットフォーム上で、彼は計り知れない数の犯罪や犯罪が犯されるのを許し、それに対して彼は穏健化することも協力することも何もしなかった」と話す。

記事では、Telegram CEO逮捕の狙いは、(1) Telegramを使ってメッセージを交換している犯罪者たちへの警告、(2) 犯罪に使われがちな他のメッセージングアプリ運営者への警告、と分析する。

英語圏では、ロイターが比較的詳しい記事を出した。Telegramの過去の功罪についても言及している。
reuters.com/world/europe/teleg

感想:
各国の政府機関と、E2E暗号化を備えたメッセージングアプリ運営企業との緊張関係は、この逮捕で一挙に高まった感あり。

生成AIは、たまに嘘やでまかせを言います(専門用語でハルシネーション:幻覚といいます)。現在のAIの技術では、このような嘘の低減はできても、根絶はできません。
(大事なことなのでもう1回。ハルシネーションの根絶は ** できていません **)

医療現場にAIを導入する場合、このことはもっと周知されるべきです。

この事案では、ハルシネーションへの注意喚起を怠ったIT企業側の責任も大きいと思います。 [参照]

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