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NYT報道では、ブースターの残骸の写真から(1)か(2)のどちらかが使われたと推定している。前出の研究機関CNSは「Fattah-1の破片が多いようだ」としている。

雑感(極超音速ミサイル):
状況証拠から、最新鋭の「極超音速ミサイル」とされるFattah-1ミサイルが使われたとみていいだろう。

ただし、どれだけ効果的だったかは現状では分からない。現時点では「迎撃不可能な極超音速ミサイルが使われた」と過剰に反応するべきではないだろう。

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(3) 独立した米国の研究機関のコメント
x.com/ArmsControlWonk/status/1
「CNS(James Martin Center for Nonproliferation Studies、核不拡散・国際安全保障分野全般に取り組む米国の研究機関)のOSINTチームの最初の反応では、4月よりも新型のFattah-1固体燃料ミサイルの破片が多くなっているようだ。これは攻撃が成功したように見える理由を説明できるかもしれない。ただし、現時点では判断が覆る可能性もあるため、さらなるデータが必要である」

◎使われたミサイルの候補について
(1) Kheibar Shekan(カイバル・シェカン)中距離弾道ミサイル。固体燃料ロケットで駆動、機動再突入体(MaRV)を備える。機動により運動エネルギーが減じるため、弾着時の速度はマッハ3程度とされている。2022年に発表。射程1450km。
en.wikipedia.org/wiki/Kheibar_

(2) Fattah-1ミサイル。イラン初の極超音速弾道ミサイル(定義は「マッハ5以上で大気圏内を飛翔」)と発表している。2023年に公開された。
en.wikipedia.org/wiki/Fattah-1

(1)と(2)は、共通の固体燃料ロケットブースターで打ち上げられる。

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◎極超音速ミサイルは使われたのか

イラン側は、今回の攻撃では極超音速ミサイルを使用したと述べている。
極超音速ミサイルは、気圏内で極超音速で飛翔するとともに空力を用いて機動し、複雑な飛行経路を取ることで(例えばいったん上昇してから再下降するなど)迎撃を困難にする狙いがある。なお一部に誤解があるようだが「極超音速」であることは弾道ミサイルとして普通のこと。その特徴は速度よりも機動性にある。複雑な飛行経路を取るため迎撃は困難になるが、現状の防空ミサイルで撃墜不可能とまではいえない。例えばロシアの極超音速ミサイルとされるものをウクライナのパトリオットが迎撃した事例がある。

(1) イランの声明
イスラム革命防衛隊は、極超音速ミサイルとされるFattahミサイルを10月1日の攻撃で初めて使用したと主張した。

(2) NYT報道
ベルリンを拠点とする国際戦略研究所(International Institute for Strategic Studies)のイラン製ミサイル専門家ファビアン・ヒンツ(Fabian Hinz)は、このミサイルの特徴的なフィンのパターンは、イランのKheibar ShekanとFattah-1ミサイルのものと一致すると述べた。
nytimes.com/live/2024/10/01/wo

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(a) イスラエルでは死傷者の報告はない
(b) ヨルダン川西岸ではパレスチナ人男性1人が破片の落下により死亡
(c) イスラエル軍は、イスラエル中部の町ゲデラ(Gedera)で被弾した学校の映像を公開
(d) NYTによって検証されたビデオ映像には、イスラエル南部のネゲブ砂漠にあるネバティム(Nevatim)のイスラエル空軍基地にイランのミサイルが撃ち込まれた様子が映っていた。
nytimes.com/2024/10/01/world/m

雑感(国際法の観点):
イランは8月2日に自衛権の行使を通告し、2カ月待ったうえで、9月27日のレバノン空爆を受けて10月1日にミサイル攻撃を実施した。攻撃目標は軍事施設に限られていた。イスラエルの民間人の被害は報告されていない。以上により、今のところイランは国際法を守った戦争をしているといえる。

一方、イスラエルは報復を言明。また米バイデン大統領はイスラエルへの「全面的な」支持を表明。軍事的エスカレーションは避けられない見通し。

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メモ:10月1日のイランからイスラエルへのミサイル攻撃について、(1)国際法的な観点と、(2)極超音速ミサイル使用に関して。
(やや長めになります)

◎攻撃に至る経緯

7月31日、ハマスの政治指導者イスマーイール・ハニーヤが、イランの首都テヘランに滞在中にイスラエルにより爆弾で殺害された。

8月2日、イスラエルに対する自衛のための報復行動を実行する意図を、イランは国連に正式に通知した。根拠法は国連憲章第51条。これは上記のイラン領内でのハニーヤ暗殺を受けたもの。
x.com/midoriSW19/status/181916

9月27日、イスラエルがレバノン首都ベイルート南郊の市街地に80発以上といわれる「バンカーバスター(地中貫通爆弾)」を投下し、地下で会議中だったヒズボラ指導者ナスララを殺害した。複数のビルが倒壊。レバノン保健省は、巻き添えで100人以上が死傷したと発表した。

◎10月1日のミサイル攻撃
10月1日の夕方、イランはイスラエルに向け約180発の弾道ミサイルを発射。
nytimes.com/live/2024/10/01/wo

イラン軍トップのモハマド・バゲリ氏は国営テレビで、ミサイルは3つの軍事基地とイスラエルの諜報機関モサドの本部を標的にしたと述べた。NYTが伝える被害状況は以下の通り。

メモ:ファクトチェック団体は圧力を受け米大統領選から撤退。

米大統領選、ファクトチェックは検閲か 保守派が圧力 nikkei.com/article/DGXZQOGN251

2020年の米大統領選の前後、SNS大手はトランプ元大統領の発言にファクトチェックを加え、暴力扇動を受けアカウントを凍結したりの対応を取った。

だが2024年の大統領選では、ファクトチェックを行ってきた研究機関(注)が保守強硬派からの政治的圧力、訴訟、嫌がらせにより弱体化、選挙調査活動から手を引いた。Meta(FacebookやInstagramなどを運営)やX/Twitterもトランプ氏のアカウントは放置の構え。

アメリカ合衆国は少しずつ壊れているのではないかという懸念を持ちます。

注:スタンフォード大インターネット観測所(SIO)は2020年7月、研究連合「選挙インテグリティー・パートナーシップ(EIP)」を設立、偽情報の情報をSNS各社と共有。共和党の保守強硬派は、これを「検閲」と非難しSIOに圧力。SIOは2024年の大統領選では活動から手を引いた。

イーロン・マスクは、X/Twitterにおいて「トランプが勝たなければアメリカの民主主義は死ぬ。民主党が勝てば、不法移民が投票して選挙結果が操作され続け、米国は一党独裁になる」「バイデンらは、不法移民をスウィング・ステートに送り込んでいる」と異様な陰謀論を吹聴している。
x.com/elonmusk/status/18404090

笑えるのは、イーロンが作らせたAIのGrokが、イーロン発言を「事実に基づいた分析ではなく、誇張された主張と憶測的な恐怖に基づく」と述べたこと。

イーロン・マスクのXアカウントは世界を不安定にする言説をまき散らしているため、アカウント凍結が妥当であると考えます。

雑感:
イスラエルは、いまの期間——バイデン米大統領が大統領選候補から降りてレームダック状態となり、米国の次期大統領が登場するまでの間——を「好き勝手に振る舞える時間」とみなし、戦線拡大に勤しんでいるようにすら見える。

米国は、イスラエルの「自衛権」なるものの全面支持を改める考えはない。つまりイスラエルの好き勝手を止める圧力は存在しない。

ローマ教皇の発言は、イスラエルや米国を動かす政治力はないかもしれないが、正当性がある言葉として記録したい。

グテレス国連事務総長はガザ情勢に関して「戦争にもルールはある」と述べたが、これと共通する考え方だ。国際法を含む法律分野では「比例原則」は重要な考え方だ。

雑感続き:
ローマ教皇フランシスコは、信徒に向けた宗教的な発言ではカトリックの教理に基づき聖書を引用して発言するが、今回のような非宗教的・政治的な発言では、宗教色を排し、国際法や倫理学に基づいて全地球的に通用する普遍的な言葉を組み立てている。その結論は、国連のステートメントとおおむね一致する(同じ証拠と同じロジックに基づいているからだ)。

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お題:レバノン空爆における米国の姿勢と、国際法の理念には、深刻な乖離がある

◎事実
9月27日、イスラエルがレバノン首都ベイルート南郊の市街地に80発以上といわれる「バンカーバスター(地中貫通爆弾)」を投下し、地下で会議中だったヒズボラ指導者ナスララを殺害した。複数のビルが倒壊。レバノン保健省は、巻き添えで100人以上が死傷したと発表した。
asahi.com/articles/ASS9Y3RWMS9
mainichi.jp/articles/20240929/
cnn.co.jp/world/35224386-2.htm

◎米国の姿勢
9月28日、米バイデン大統領はヒズボラ指導者ナスララの殺害を「裁き」と呼び正当化。「イスラエルの自衛権を全面的に支持する」と言明した。その後「ガザとレバノンで続く紛争を外交手段で沈静化させることが最終目標」とも述べた。

◎ローマ教皇の発言
ローマ教皇フランシスコは29日、レバノン空爆を「道徳の範囲を超えている」と批判した。「戦争は不道徳だが、ルールにより一定の道徳性が実現する」「防衛は常に攻撃に比例していなければならない。不均衡が生じると、道徳を超える支配傾向が生まれる」と述べた。
jp.reuters.com/economy/ZHNS7EW
(続く

星 暁雄 (Akio Hoshi) さんがブースト

私が15年近くフォローしてきたガザの人のところにも、彼の家が完全に破壊される前だったと思うけど電話があって、そのことをツイートしてた。そしてそういう人は彼だけではない。

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イスラエルは、レバノン市民の電話を鳴らし、攻撃前に避難するよう録音メッセージで警告した。

Netflixドラマ「地面師」で、電話で予告してから暴力を振るう場面を思い出した(怖いよ〜)。

この電話は「レバノン市民の電話番号リストを把握しているぞ」(あるいは「電話網をハックできるぞ」)という警告の意味も含まれるだろう。サディスティックだよね。
afpbb.com/articles/-/3539946

日本の財務省は、「財政健全化が必要」「国債残高を増やしてはダメだ」と言い続ける。それが仕事だからだ。

防衛省は「日本周辺の軍事的脅威は高く、防衛強化が必要」と言い続ける。それが仕事だからだ。

米国は「日本は防衛費を倍にしろ」と言う。言うのはタダだから。

結果、増税となる。

いっぽう、私たち国民は、「収入が上がらない中、今の消費税と社会保障費負担では生活が苦しい」「子どもを作る余裕がない」などと強く言い続ける必要がある。

代弁してくれる人たち(野党)はどんどん弱体化しているのだから。

そして政府側の都合を国民が思いやる必要などないのだ。意見を調整することが政府の仕事なのだから。

9月24日、中国がレバノン支持を表明。

"中国の王毅外交部長はレバノンへの支持を表明し「市民に対する無差別攻撃」を非難した。"

"王は月曜日にイスラエルの攻撃を認め、中国は「国際関係を支配する基本的な規範に対するいかなる違反も強く非難する」と述べた。「状況がどのように変化しようとも、我々は常に正義の側に立ち、レバノンを含むアラブの兄弟の側に立つ」と王はアブダッラー・ブー・ハビブ外相に語った。"
middleeasteye.net/live-blog/li

雑感:
レバノンに関する中国の意見は正当だ。
レバノンを攻撃するイスラエルに正当性はないが、米国は支持し続けるだろう。
結果、世界の緊張は増す一方だ。

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この1週間でイスラエルがレバノンに仕掛けた戦争は既定事実に。

9月17日、18日に同時多発爆弾テロ(ポケベル爆弾、トランシーバー爆弾)。少なくとも37名が死亡。犠牲者には子どもも含まれる。

9月19日、レバノン南部の軍事拠点を爆撃。20日にはベイルート南郊の住宅街を爆撃、12人が死亡。ヒズボラ司令官が死亡、子どもの犠牲者も出た。

その後、連日イスラエルの爆撃は激化。

9月23日には、イスラエルによる空爆で少なくとも492人が死亡したとレバノン保健省は発表した。35人の子供と58人の女性が死亡し、さらに1,645人が負傷した。
middleeasteye.net/live-blog/li

大日本帝国に例えれば、イスラエルはなし崩しに戦争を仕掛けた関東軍、黙認する米国は大本営に相当する。

追記:
文書はAction(行動)のリストの形式で書かれているのですが、特に気になった2つをメモ。

カッコ内は私の意見です。

(世界的な軍事費増加への懸念)
Action13 (c) 軍事支出が持続可能な開発と持続可能な平和の構築への投資を損なうことのないよう保つため、事務総長に対し、第79会期末までに世界的な軍事支出の増加が持続可能な開発目標の達成に与える影響に関する分析を提供するよう要請する。

(安保理常任理事国の拒否権の見直し)
Action 39 (g) 拒否権の問題は安全保障理事会改革の重要な要素である。私たちは拒否権の範囲と行使の制限に関する議論を含め、拒否権の将来について合意に達するための努力を強化する。

雑感:
当たり前の話ですが、軍事費が増えれば社会保障やインフラ整備は後回しになり、持続的な開発目標(SDGs)の達成にマイナスの影響があります。国連はこれを懸念して分析を始めました。

例えば日本は米国の要請で軍事費(防衛費と呼んでいる)の倍増を予定しています。悪影響がないわけがありません。

国連安保理はロシアと米国の拒否権発動で機能不全です(ウクライナとガザは、ほんらい安保理が取り組むべき課題でしたが動けていません)。国際社会の声をより反映させる取り組みが期待されます。

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「自衛隊機がロシア機へのフレア使用」の件でメモ。

ロシアのIL-38哨戒機1機が領空すれすれに周回飛行しながら、3回にわたり領空侵犯。航空自衛隊のF15とF35が緊急発進。3回目の領空侵犯に対しフレアで警告。これは初めて。

防衛省の公式発表
mod.go.jp/j/press/news/2024/09
NHKのニュース
www3.nhk.or.jp/news/html/20240

雑感:
規則的な飛行経路で領空侵犯を繰り返すのは、挑発して日本の出方を見ているのだろう。一方、フレアの使用は、武器使用ではないとはいえ「日本側の緊張が高まっている」メッセージとして受け止められるだろう。願わくば、この先は緊張を緩和する方向で外交および現場の対応をお願いしたい。

戦後日本は戦争放棄を決意したが、いまや引っ繰り返されようとしている。

国家や世界にはいろいろな問題群があるが、最も優先度が高いのは安全保障。安全保障の前には人権も法の支配も吹っ飛んでしまう。権力者にとって、時に非常に都合がいい話題なのである。

日本は現時点で世界7位と言われる強大な軍事力を誇る。今の日本は世界基準でみても自衛のために十分以上の防衛力を持っている。

米国が求める防衛費倍増は、日本の自衛のためではなく、集団自衛権スキームにより米国の戦争に協力させるためである。

自民党が進める改憲は、戦争協力の体制の仕上げ、ついでに戦時体制をにらんだ権力増強が狙いである。

海洋法裁判所は今年「勧告的意見」を出し、(1)人為的な温室効果ガス排出(火力発電所など陸上での排出分も含む)は海洋汚染に当たると判断。(2) 日本を含む海洋法条約の締約国は、必要なあらゆる対策を講じる義務があるとした。
mainichi.jp/articles/20240922/

ほか、国際司法裁判所(ICJ)も気候変動対策で国家がどのような法的義務を負うかの勧告的意見を検討、年内にもまとめる見通し。

ツバルほか南太平洋の島しょ国は、これまで温室効果ガスをほとんど出してこなかったのに、真っ先に被害を受けている。

そして記事中「!?」と思った記述。

"ツバル政府は、将来国土が消滅することも視野に、国の機能や文化をインターネット上の仮想空間「メタバース」に保存する「デジタル国家」計画を進めている。"

私たちはディストピアSFの未来に生きている。

国連の未来サミットが採択した「未来のための協定」から、目に付いたアジェンダを抜粋してメモ(網羅的ではありません)。
un.org/sustainabledevelopment/

- 安保理改革。安保理の実効性と代表性を向上
- 多国間の核軍縮への再表明
- 国際金融で、開発途上国により大きな発言権を
- 世界的な金融セーフティネットを強化
- 人類と地球のウェルビーイングと持続可能性を測定(GDPを補完する新指標を開発)
- 富裕層課税の世界的な最低水準導入へ
- グローバル・デジタル・コンパクト:すべての人々、学校、および病院をインターネットに接続。人権/国際法におけるデジタル協力。安全なオンライン空間を実現。AIガバナンス
- 将来世代に関する宣言
- 人権、ジェンダーの平等、女性のエンパワーメント

雑感:
とりあえず、世界が抱える問題群を特定し少しでも前進させようとする文書、とラフに理解しました。

専門家は「自分の分野に集中したい」と思っているでしょうが、「複雑な問題はつながっている」ため、このように問題群を包括的に記述した文書は非常に重要だと認識しています。

私がいちばん心配していることは、野田氏ひきいる立憲が、なにかつまらない約束とバーターで改憲発議に賛同することです。

「総議員の3分の2以上」の賛成票で改憲発議ができます。同時に大金を投入した広告キャンペーンにより国民投票も有利に誘導することで改憲を実現できる——今頃どこかで、このようなシナリオを練っている人がいることでしょう。

なぜ改憲がダメかというと、米国の戦争に日本が軍事協力する体制作りを完成させてしまうからです。

戦争も改憲も、ダメ、絶対。

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