(a) イスラエルでは死傷者の報告はない
(b) ヨルダン川西岸ではパレスチナ人男性1人が破片の落下により死亡
(c) イスラエル軍は、イスラエル中部の町ゲデラ(Gedera)で被弾した学校の映像を公開
(d) NYTによって検証されたビデオ映像には、イスラエル南部のネゲブ砂漠にあるネバティム(Nevatim)のイスラエル空軍基地にイランのミサイルが撃ち込まれた様子が映っていた。
https://www.nytimes.com/2024/10/01/world/middleeast/iran-attack-israel-video.html?smid=url-share
雑感(国際法の観点):
イランは8月2日に自衛権の行使を通告し、2カ月待ったうえで、9月27日のレバノン空爆を受けて10月1日にミサイル攻撃を実施した。攻撃目標は軍事施設に限られていた。イスラエルの民間人の被害は報告されていない。以上により、今のところイランは国際法を守った戦争をしているといえる。
一方、イスラエルは報復を言明。また米バイデン大統領はイスラエルへの「全面的な」支持を表明。軍事的エスカレーションは避けられない見通し。
(3) 独立した米国の研究機関のコメント
https://x.com/ArmsControlWonk/status/1841261830863544827
「CNS(James Martin Center for Nonproliferation Studies、核不拡散・国際安全保障分野全般に取り組む米国の研究機関)のOSINTチームの最初の反応では、4月よりも新型のFattah-1固体燃料ミサイルの破片が多くなっているようだ。これは攻撃が成功したように見える理由を説明できるかもしれない。ただし、現時点では判断が覆る可能性もあるため、さらなるデータが必要である」
◎使われたミサイルの候補について
(1) Kheibar Shekan(カイバル・シェカン)中距離弾道ミサイル。固体燃料ロケットで駆動、機動再突入体(MaRV)を備える。機動により運動エネルギーが減じるため、弾着時の速度はマッハ3程度とされている。2022年に発表。射程1450km。
https://en.wikipedia.org/wiki/Kheibar_Shekan
(2) Fattah-1ミサイル。イラン初の極超音速弾道ミサイル(定義は「マッハ5以上で大気圏内を飛翔」)と発表している。2023年に公開された。
https://en.wikipedia.org/wiki/Fattah-1_(missile)
(1)と(2)は、共通の固体燃料ロケットブースターで打ち上げられる。
◎極超音速ミサイルは使われたのか
イラン側は、今回の攻撃では極超音速ミサイルを使用したと述べている。
極超音速ミサイルは、気圏内で極超音速で飛翔するとともに空力を用いて機動し、複雑な飛行経路を取ることで(例えばいったん上昇してから再下降するなど)迎撃を困難にする狙いがある。なお一部に誤解があるようだが「極超音速」であることは弾道ミサイルとして普通のこと。その特徴は速度よりも機動性にある。複雑な飛行経路を取るため迎撃は困難になるが、現状の防空ミサイルで撃墜不可能とまではいえない。例えばロシアの極超音速ミサイルとされるものをウクライナのパトリオットが迎撃した事例がある。
(1) イランの声明
イスラム革命防衛隊は、極超音速ミサイルとされるFattahミサイルを10月1日の攻撃で初めて使用したと主張した。
(2) NYT報道
ベルリンを拠点とする国際戦略研究所(International Institute for Strategic Studies)のイラン製ミサイル専門家ファビアン・ヒンツ(Fabian Hinz)は、このミサイルの特徴的なフィンのパターンは、イランのKheibar ShekanとFattah-1ミサイルのものと一致すると述べた。
https://www.nytimes.com/live/2024/10/01/world/israel-lebanon-hezbollah/iran-appears-to-have-used-its-most-advanced-missiles-in-the-attack-on-israel?smid=url-share