素直に面白かった。視野(世界)の狭い主人公が、周囲のひとびとに干渉されて、自身の世界観を変えざるを得ない、否が応でも変化を受け入れざるを得ない。その姿は思春期の困惑そのもので、瑞々しかった。
テクニカルな話だと、立ち上がりがやはり上手い。都会から田舎に移り住むことになってそれでも周囲に無関心な主人公。キラキラと光る自然に目を輝かせる弟。二人の対比。弟の今後を予感させるちょっとした布石。彼らへの関心のバランスのちょっとおかしな両親。そういった要素が一気に流れ込むのだが、抵抗なくスイスイと読める。
また、テンポの管理も巧みで、野球のメジャーさに胡座をかかずに読ませるべきところは厚く、場面転換はサラリと流す。
流石です。
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『武士道シックスティーン』(誉田哲也) #よしざき読んだよ
「決闘」を書く参考になるかなと思って手に取った。剣道くらいメジャー競技になると、割とスピード重視で書いても絵ができるんかなあ。
序盤25パーセント読んでギブ。内面に関する描写が濃い味というか説明過多に感じられて、たぶん、内面、台詞、アクションの比率で内面が重視されているからなんだろうけど、得意なバランスではないです。
映画はけっこう前に観たけどそっちは好きでした。
『トレードで行き詰ったときに読む本』(マイケル・マーティン)#読了 #よしざき読んだよ
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投資の勝率を上げるためには、投資のスタイル2割、残りの8割は自分の感情をコントロールするための術。
では、感情のコントロールとは? 感情のアップダウンそれ自体の抑制と、感情のアップダウンが生じにくい(自分に適合した)投資スタイルの選択とに分解できる。
前者のためには、投資記録(もっと細かく、①日々の日記でもよい)を付けること、②負けを受け入れる謙虚さを身につけること。
後者のためには、究極、許容可能な負けをあらかじめ設定すること。つまり、③撤退ラインの逆指値を設定しておくこと。
この3つしかない。私には①、②がまだ不足しているように思った。明日、まずは日記帳を買おうと思う。
『BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?』(ダン・ガードナー、ベント・フリウビヤ) #読了 #よしざき読んだよ
先日の『エフェクチュエーション』(とにかくスモールスタートしよう)を読んでから本書(ゆっくり考えてから素早く動こう)を読むと温度差にくらついた。
しかし、読み進めるうちに両者は本質的には同じことを書いていると気付いた。共通点は「プロジェクト(PJ)のコスト・リスクを着手前に見積もることの困難さ」だ。
『エフェクチュエーション』では、見積もりの「不可能性」を受け入れ、クイックに試行を回し続け、受け入れ可能なレベルのコスト・リスクを受け入れ続けることに着目する。
本書では、見積もりの「非ー不可能性」に挑む。挑むPJと何らかの意味で共通点を有する類例から学ぶ。そのためには、類例に携わった経験者を引き入れる、あるいは自分自身が経験者になる。
自分自身が経験者になるという方策は類例から学ぶための方策とは一見矛盾するようだが、PJの全体が破綻しない程度にPJを分割(モジュール化)し、モジュールを繰り返すことで可能となる。お決まりだが「困難は分割せよ」「経験は成功の母」だ。
読み比べて興味深い体験だった。
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『よくわかる最新光工学の基本と仕組み』(小野明) #よしざき読んだよ
例によって例によって投資のため。光ファイバー周りを勉強したくてその周辺をつまみ食い。EUV周りの基礎知識が書いてあったのは良い想定外でした(開口率とかの定義も知らなかったし)。
『通信の世紀ー情報技術と国家戦略の一五〇年史ー』(大野哲弥) #よしざき読んだよ
明治からの遠距離通信についてのヒストリー。戦後から現代まで眺めました。積んでいた本で、通信への関心が高まったので手に取りましたが、歴史が中心なので関心にはミートしませんでした。また気が向いたら眺めよう。
『週刊東洋経済2024年8月10日・17日合併号』(東洋経済新聞社) #よしざき読んだよ
特集「エヌビディアの猛威 半導体覇権」のため。今回は記者がイマイチだったか。
『リカーリング・シフト 製造業のビジネスモデル変革』(青嶋稔) #読了 #よしざき読んだよ
リカーリングビジネス(=製品の販売後も顧客と取引を継続できるビジネスモデル)について、リーディングカンパニーの事例を用いながら、リカーリングビジネスを導入するための提言を行う。私のような担当者レベルより上の部課長レベルが読んだ方が行動に直結させやすいため「刺さる」度合いは高そうだったが、彼らがなにを考えているのかを推測する材料となった。端的に、リカーリングビジネスとは、従来の売り切り型ビジネスとはビジネスモデルが全く異なるものであるため、ビジネスマインドの再定義が必要との主張。本書は、なにをどう再定義すべきかを説く。
紹介された各社ともコングロマリット的な超巨大企業であるため、明日から導入できるものではない(そもそもリカーリングビジネスとはそのようなものではない)が、スモールスタートでもそう目指していくことが重要なのだろう。
そもそも本書を手に取ったきっかけとは、私の職場のいくつかの製品が「リカーリング」と定義されたことである。何となくのイメージしかなかったが、具体的なビジョンを持てるようになった気がした。意識合わせに使えるかもしれない。
『エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』(吉田満梨・中村龍太) #読了 #よしざき読んだよ
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大組織ではない小規模な個人やスタートアップのためのプロジェクトの走らせ方を解説する。スタートアップを立ち上げた友人に教えてもらったのだが、個人事業主であるところの作家(同人作家)にも通ずる原則だろう。
1.「手中の鳥の原則」
ないものねだりをしないで、自分が保有していて確実に使える資源(手段)からスタートする。その手段から生まれる効果を大切にする。
2.「許容可能な損失の原則」
なにが得られるかではなく、なにを失うことができるか、からスタートする。チャレンジの損失が許容できる範囲ならまたチャレンジできる。
3.「レモネードの法則」
望んだものが手に入れられなかったときに、それを新たなチャンスとリフレーミングできるか。甘い果物ではなく酸っぱいレモンしか手に入らなかったときでもレモネードを作れる。
4.「クレイジーキルトの法則」
いかに多様なパートナーを作れるか。直接の顧客にならなかったとしてもチャンスをもたらしてくれる可能性はある。
5.「飛行機のパイロットの法則」
予測に基づく行動ではなく、コントロールできる範囲での行動に焦点を当てる。
『他者と働く 「わかりあえなさ」から始める組織論』(宇田川元一) #読了 #よしざき読んだよ
平田オリザが推薦文を書いていたため手に取った。著者は「わかりあえなさ」を扱う点では平田と共通の課題意識を持っているが、「組織論」とあるように、よりspecificな課題、つまり会社ではたらく私たちサラリーマンに向けての本だった。繰り返し書かれるのが「自分のナラティヴ(立場)をいったん脇にやって、相手のナラティヴ(立場)を眺めてみる」ということ。本書はその先も語るのだが、いったん自分の判断を留保して相手の判断に耳を傾けてみることの重要性を滔々と説いていた。また、印象に残ったのは「仕事のナラティヴの中で主人公になる」というフレーズ。誰でもなく自分自身のナラティヴを確立することだと私は解したが、いいフレーズなので使わせてもらおうと思った。
https://www.amazon.co.jp/他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論-NewsPicksパブリッシング-宇田川-元一/dp/4910063013?&linkCode=sl1&tag=yoshizaki1029-22&linkId=e7aa364ad1395807518a5e85f3af3997&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tl
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