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『恋はデジャ・ブ』(監督:ハロルド・ライミス)

遂に観ましたこの歴史的名作。
ループの入口も出口も原因は明かされないが、おそらくは、最低の日から始まり、最高の日で終わるループ。『恋は』とタイトルにあるが、恋に限らず、主人公が人格を涵養し始める姿が印象的だった。コメディとしても一級品に笑わせてくれて、ラスト近辺のパーティーのシーンは白眉。
掛け値なしに素敵な映画でした。

『ミッション: 8ミニッツ』(監督:ダンカン・ジョーンズ)

忘れてたけど金ローか何かで飛び飛びで観たことあったわ!!!
感想的には、観ました、という感じです。ループに適応できない序盤のパニック感が参考になったかな。主人公が世界の仕組みをわかるにつれて、精神世界の部屋が広くなっていくという映像演出に味がありました。
ラストは、私はむしろあそこまで綺麗にしなくてもよかったと思っています。

『秋の牢獄』より「秋の牢獄」(恒川光太郎)

ホラー風味の綺麗な幻想小説。ループ内での出来事も、ループの入り口・出口も、ループものとして目新しいものは決してないのだが、筆力で魅せた。

二点目に、主人公の選択。ホラー・不条理になるのは、登場人物の精神がループによって歪められるためであるが、今作では主人公であるジャンヌ・ダルクの精神が強靱である。それがために、繰り返しに挫けずに(一見した)脱出が可能であるし、本作のラストを迎えられる。
大変に参考になった。特に二点目の、ループの内部の登場人物の選択について勉強になった。

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『ifの世界線』より「二〇〇〇一周目のジャンヌ」(伴名練)

先行のループものとは異なる読み心地のループものでありかつ王道の SF 作品としての本作を生み出すために、設定を巧みにコントロールしていると感じた。
登場人物にとって原因不明のループが嵩むと一般的にはホラー・不条理ものになるのだが、本作は大きく異なり、以下の二点によって王道の SF として成立している。
一点目に、原理的には無限回のループを起こせる計算機がループを起こすために非ゼロな計算時間を必要とすることにより、実際的には有限回のループしか起こせないという、ループの外部にその回数の物理的な制限を設けた点。ループの内部の主人公にとっては果てしない回数のループであるが、ループの外部の登場人物および読者にとってはしょせん原理の知られた有限のループである。この物理的制約によって、SF 的な読み心地が損なわれていない。また、ループに時間が掛かるということは、その時間で、ループの外部において、他の事件が発生し得るということでもある。


すみません。誤ってブロックしてしまったのでリフォロー頂けると幸いです。

『都市伝説セピア』より「昨日公園」(朱川湊人)

現代サブカルに通じるカノンなので読んだ、という感じ。
特定の場所にいた人間がループに引きずり込まれるという現象が、場所によってループが引き起こされるがために、何度でも、複数の人間にわたって発生するのが特徴か。
ループからの脱出に失敗するタイプのお話なので、必然的にホラー・不条理系となりますね。

『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』(チャールズ・ユウ)

たぶん3回目くらいの通読。
今回は家族小説、つまり父-息子の対立軸を中心に読めました。息子と作ったガレージ製のタイムマシンで箱の中へ、箱の中へと縮こまっていく父を、息子が発見し、
父および息子自身と和解する話。今回はそのように理解しました。
本作におけるループは、時間によってもたらされるというより(いや、確かに一定程度は寄与しているのだが)、むしろ意識によってもたらされている? 堂々巡りの意識こそがループの原因であって、父の発見、和解がその堂々巡りからの脱出の鍵となる(たぶん)。
意識の堂々巡りが、時間の堂々巡り=ループをもたらしている(たぶん)というアイデアは非常にオリジナリティありますね。

『All You Need Is Kill』(桜坂洋)読みました。

何度も読んだ小説ですが、改めて再読。筋はよくよく知っているだろうからまあいいや。
ループの出口はもちろん入り口まで書けたパターン。出口と入り口にロマンスを絡めて役が増えた感じ。私の先行文献調査によると、出口と入り口の接続を達成するのはけっこう難しいらしく、そこが評価された一因だと今ならわかる。
ループからの出口がループへの入り口と接続しているとやはりループそのものへの納得感が高まるものですね。出口さえしっかりしていればそれだけでループものとして成立すると確信を得ているから、自分の小説ではまず出口第一だけれど、余裕があったら入り口も出口に繋げてあげたい。
今回の再読では、アクション部分の切れ味の良さに気付けましたね。こまめな改行、短文、単語の繰り返し。これはそのままライブシーンを書く参考になるでしょう。4年近く書いていないライブシーンの経験値は溶けきってしまっているだろうから、こういう気づきを得られたのは僥倖でした。

『サマーフィルムにのって』(監督:松本壮史)観ました。

ヘンな映画!!!!!!!!!! 
とにかく伊藤万理華を魅力的に映すぞという気迫が伝わってきた一本。この映画は伊藤万理華が演じる時代劇マニアにしてアマチュア映画監督「はだし」を中心に人間関係が深まっていくのだが、同様に、女優・俳優陣の「実際の」人間関係も深まりつつあるのが見て取れて(そういう見方は受け売りなのだが)映画撮影の力ってすごい! と思いました。
時間 SF の観点からは、現代人と未来人との最終的な決着――別離を、「今この瞬間」にだけ存在する時間、物質を使う映画撮影を通して決めに行くのが美しい。

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iosys.co.jp/items/tablet/windo
異様に詳細なレビュー:
tabkul.com/?p=282522

『MONDAYS/このタイムループ、上司に気付かせないと終わらない』(竹林亮)観ました。

グッと来たぜ……。
タイトルの通り、デザイン会社に勤める主人公を含めた会社員達が上司にループを気付かせないとループから脱出できないという筋書き。ループの原因となっている上司の悔恨を解消するために、会社員達が奔走する。
会社員にループを自覚させるための「上申制度」というアイデアが極めて秀逸。最初に気付いた下っ端から主人公へ、主人公からその上へ上へと会社員らしいフローでループを自覚させ、信じさせていく。
今作の特徴的な点のひとつに「行動を最適化することによる最適解」を目指さなくなることが挙げられる。個人の最適解よりも仲間、ひいては上司の夢を応援し始める。そこに群像劇的な美しさを感じた。
ループものの先行作品をよく研究し、アイデアの間隙を突いた一作で素直に感動した。

途中、敵対的な NPC に対して、ガイが〈サングラス〉を自らにではなくその NPC に掛けさせることで……というシーンがあるのだが、〈サングラス〉が自由に生きることへの象徴だったことを鑑みるに、その象徴を自らだけのものにするのではなく分け与えることを示している。
分け与えることによる効果を示す点でもお手本のようなシーン。

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『フリー・ガイ』(監督:ショーン・レビ)観ました。

メチャクチャ笑って泣いたぜ。
アルゴリズムによって定められたルーチンの中を生きる NPC たちが次第に複雑性を増し……という筋書き。恋に落ちた主人公 NPC「ガイ」が〈サングラス〉――プレイヤーキャラクターの象徴を手に入れることによって、アルゴリズムによって定められたルーチン――繰り返しからの脱出を図る。

ループものの変奏として勧められましたが、勉強を忘れるくらいに没入してしまった。ルーチンの中で複雑性を増していくアイデアがピカイチに光っていた。ルーチンからの脱出の理由を、現実側の主人公となるプログラマーたちが NPC 側に埋め込んでいたというところに落とし込んでいたおかげで、いわゆるエモパワーによる脱出以上の効果を奏していた。最高。

私の暫定的な(あるいは恒久的な)居場所の一つとなる fedibird に寄付を行いました。

『パームスプリングス』(監督:マックス・バーバコウ)

面白かったけどヘンな映画! こんなループの抜け方していいんだ! ロマンチック・ラブ・コメディSFとして楽しませてもらいました。

『酔歩する男』(小林泰三)

2014年に読んで以来の再読。表題作は風味こそエスエフだが、読み心地はホラー的。エスエフ的な想像力で現実感を強化しているように思わせ、それこそがむしろ罠で、膨らんだ現実感が幻惑的な語り口によって削り取られる。嫌な読後感だった。

映画『リバー、流れないでよ』は、ありえん笑いながら観たし最後にはホロリと来てしまったんですけど、とは言え「SF的な厳密さ」としてはああいうループへの入り方/ループからの出方でよかったのか? と昨日思ってから今日気付いたんですけど、笑って泣けたら「SF的な厳密さ」って必要ってなくないですか? だいたい、ありえん話なんだから「SF的な厳密さ」なんて土台ない話で、納得さえさせられたら勝ちでは?  いま書いてるのはそういうニュアンスのことです。

『タイム・リープ あしたはきのう』(高畑京一郎)

ウェルメイド! と叫びたくなるような快作。これは度々メディアミックスされるのもわかりますわ。語り手の意識を複雑に〈リープ〉させて見当識を起こさせながらも、読者に筋を見失わせない。よく設計された作りでした。
公式ガイドブックによると、初代『STEINS: GATE』も本作の影響下にあるみたいですね。

『世界は明日、滅びました。(きみのせいで)』(鷹守諫也)

はっきり言って、最初から最後まで全くいいとこなし。全部のアイデアを会話で済ませて、最後も投げっぱなし。会話で全部開陳するのは本当にダメ。

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