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『追跡』(1947) ※ネタバレ 

西部劇としては異質
最終盤まで沈鬱な雰囲気で、サスペンス要素もある
主人公は深刻なトラウマを抱えた人物で、時折起こるフラッシュバックが映像的に表現される
この時代にトラウマをここまで真っ向から扱った映画ってそんなに多くないんじゃ

巨大な岩山をバックに馬を走らせるオープニングから目を引く
なお映画の最後のシーンも同じ岩山で、映像的には円環を成している
ただしオープニングではその場所でトラウマの原因となる出来事が起こっているのに対し、エンディングではそこから立ち去る主人公たちの姿がトラウマからの解放を象徴している
同じロケーションでも、観客の抱く感情は正反対になる

主人公の内面や鬱々とした展開を反映させてか、夜のシーンが非常に多い
月夜のシーンは陰影のくっきりしたモノクロ映像がきれいだった

音楽の使い方も工夫されてた
序盤に兄弟が仲良く歌っていた「ロンドンデリーの歌」(ハモリが完璧でちょっと笑った)が、家族が憎みあうようになった後に短調にアレンジされて再登場したり
結婚式で流れる結婚行進曲は不穏な感じのアレンジで、新婚の両者が抱えている思惑が表現されてた

『ゲッタウェイ』(1972)見た ※ネタバレと暴力的表現 

あまりペキンパーっぽくないと聞いてたので後回しにしてたけど思い立って視聴
確かにペキンパー濃度は低めだけど面白かった
監督のファンは満足しないかもしれないけど、一般的にはこれぐらいの方が見やすいかも
にしてもハードな描写は多いけど
銃殺死体のそばを3人の子どもが普通に歩いていくとことか印象深い

主人公が自分を刑務所から出すためにギャングのボスと寝た妻に嫉妬?するところがよかった
それより前のシーンで、長い刑務所生活で主人公が(一時的に?)性的な不能状態になっていることが示唆されるけど、あれのおかげで嫉妬のくだりにぐっと深みが出る
それ自体が目的化したような伏線回収は冷めてしまうけど、描写に奥行きを与えるこういう仕込みは上手いなあと思う

追跡者のパートもよかった
こちらはブラックな艶笑劇でもはや別の映画みたいだったけど
押し入ってきたギャングに簡単になびいて、挙句に縛り付けられた夫をからかい始める妻の変貌ぶりがすごい
最終的に夫は首を吊るけど、その表情も間抜けでブラックコメディ的
夫の死を察した妻がベッドに寝そべったまま浮かべるなんともいえない表情がよかった

続く

シネマ「明日なき追撃」<字幕スーパー><レターボックスサイズ>
9/15 (金) 13:00 ~ 14:34 (94分) NHK BSプレミアム

1975年作、カーク・ダグラス製作・監督・主演
西部劇としては変わり種っぽい
現時点で国内では配信されてなさそう+DVDも廃盤?
録画しとくか

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー 

たまに考えてはメモしてたことのざっくりまとめ
ひとまとまりの文章にする意欲が湧かないのでもうこれでよしとする
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肉体と機械、科学と芸術、奇想と哲学、の混淆・同居
直接的には『クラッシュ』『イグジステンズ』とかの系譜
そういう作風自体は唯一無二というわけでもないけど、たとえば『鉄男』シリーズなんかと比べるとクローネンバーグの感覚は肉体というものとより密である感じ(もちろん優劣の話ではない)
その混淆具合、倒錯のレシピはやはり独特と思うし、背後にある一貫した思想をいやでも感じる

ストーリーはもちろんあるんだけど、クローネンバーグが監督のキャリアを通じて描いているもの、描きたいもの同士の間をつないだ結果として浮かび上がったものにすぎないようにも思えた
そもそもストーリーってのはそういうもんだろと言われればそうなのだけど、なんというかストーリーテリングへの熱意が単体としての造形・描写などへの熱意に比べてどう見ても少ないというか
次々に現れる異様な造形・描写がストーリー以上に雄弁にこの映画が何であるかを語っているように自分には感じられた

続く

映画『柔らかい肌』(1963) 監督:フランソワ・トリュフォー 

トリュフォーは多分1本も見たことない
少なくともトリュフォー監督作と認識して見た映画はひとつもない

不倫の話
不倫というものは常にどこかしら無様なものと思われるけど(体験談ではない)、これも無様
むしろ無様な部分をいっぱい描いてる
あれこれコメディーなの?と一瞬思ったぐらい
そういうところは好きだった

冒頭、3つの手のクローズアップから始まる
それぞれの手の動きで不倫を表現してるのだろう
のちにも登場人物の手をクローズアップしたまま動きをノーカットで追いかけるようなショットがあり、ああこういう演出が縦軸になるのかなと思ったら次には足を追っかけていたりしてよく分からん

しかしやたらとテクニカルな映画だ
カット割りには極端なまでの緩急がある
上述のような長回しがあるかと思えば『レクイエム・フォー・ドリーム』ばりにハイスピードに切り替わったり

いかにもヌーヴェルヴァーグなジャンプカットも頻用
あとは地上で転回する飛行機と男女の抱擁が2重映しになったり(オーバーラップして切り替わるわけではなく、ずっと2重に映っている)

(続く)

[無料]現代やくざ 血桜三兄弟
09/03(日)16:00~18:00
skyperfectv.co.jp/program/deta

監督中島貞夫、山下毅雄のラテンジャズ劇伴、濃すぎる出演陣の名演怪演(荒木一郎が頭一つ抜けてやばい)、わけわからないストリップショーとか見どころだけでできている映画

アマプラ(レンタル)とU-NEXTで配信されてるけど、BS見られる環境なら明日はスカパー無料なので見とくべき
クソデカテロップはBDにダビングしたら多分消える

『悪魔のいけにえ』のいけにえたち  町山智浩単行本未収録傑作選29 ショック編3|映画秘宝公式note
note.com/eiga_hiho/n/nf5a4b3e2

書かれてるようにこの映画は奇跡だと思うしいつまでも謎めいていてほしいので裏話などには触れずに来たのだけど、つい読んでしまった
なんというか、奇跡というのは100%が偶然の産物というわけではなくて、奇跡を誘発する要因がたまりにたまった挙句に偶然が着火して引き起こされるものなのだなと
映画内の世界に匹敵するぐらい現場がおかしい
2は良くも悪くも安心して見れるよねえ

※リンク先に性的な記述あり
note.com/eiga_hiho/n/n76681ba6

井口監督は同じ谷崎原作の『卍』を監督してたけど、こういう体験にともなう諸々をぶつけた作品だったりするんだろうか(未見)

theriver.jp/jw4-action-making/
キアヌの銃さばき本当にかっこいい
リアルかどうかとかは自分には分からないけど
トムクルーズは相当研究してるらしいけど、キアヌも努力してるんだろうな

ミッドナイトシネマ 『利休』
8/20 (日) 0:30 ~ 2:45 (135分)BS松竹東急

ノーカット。アマプラはレンタルか追加サービス要加入だけど、U-NEXTほかで見放題配信もされてる

劇映画として面白いかは微妙だけど、とにかく作り手の揺るぎない美意識を感じる映画
監督は草月流家元でもある勅使河原宏。美術家にして芥川賞作家の赤瀬川原平を共同脚本に起用してることからも、一筋縄ではいかない作品なのが分かる

特に長谷川等伯が襖絵を描くシーンは、自分にとって絵というものの捉え方・見方が変わるぐらい印象的だった(美術史にも歴史全般にも疎いので、あれが史実なのかは知らない)

できれば赤瀬川原平の著書『千利休 無言の前衛』と合わせて体験してほしい

ちなみにWikipediaによると、撮影に使われた美術・工芸品には国宝級の本物が数多くあったらしい

新種のヘビ、ハリソン・フォードにちなんで命名される ─ 「どうして子どもを怖がらせる生き物ばかり」 | THE RIVER
theriver.jp/ford-snake/

和名はヘビソンフォードにしよう

『悪い子バビー(原題:Bad Boy Bubby)』は悪い子ではないが……。|氏家 譲寿, George Ujiie
note.com/namaniku29/n/n65077bd

国内ではVHS販売しかされてなかったロルフ・デ・ヒーア『アブノーマル』(1994)の話。改題して10月から全国公開

映画『30年後の同窓会』 

米(元)軍人のロードムービーだと『さらば冬のかもめ』が思い浮かぶ、と思ったら原作者が同じだった
こちらは「アメリカの戦争」自体により強くフォーカスしてる印象
その辺日本人の自分にはあまりピンとこない部分もあったけど、3人(+1人)の軽妙だったり卑猥だったりもの悲しかったりするやり取りで間がもった
ローレンス・フィッシュバーンはやはり好き
原題が日本人向けじゃないのは分かるけど、この邦題もなあ…
ダブル不倫でも始まってしまいそうだ(同窓会のイメージがおかしい)

ウィリアム・フリードキン亡くなったのか
エクソシストより先に思い浮かぶ「クルージング」、アマプラでレンタル・購入できるんだね…

ウルリケ・オッティンガー監督「ベルリン三部作」がユーロスペースほか全国で順次公開 | CINRA
cinra.net/article/202308-whn-u

シャルロット・ゲンズブールが語る、カメラを向けて変化した母ジェーン・バーキンとの関係|Real Sound|リアルサウンド 映画部
realsound.jp/movie/2023/08/pos

"そこに父セルジュ・ゲンズブールのイメージを一緒に出したくないと思っていました。母はこれまで長いこと父とセットで見られることが多かったんです。常に父の亡霊がそこにいるようでした。だから"

『バービー』騒動の考察、謝罪文の背景 | THE RIVER
theriver.jp/newsletter-230804/

推測も多分に含まれてるけど、時系列含め経緯の把握の助けになりそうな記事

horror2.jp/60953
●ギーガーに取材しに行ったらずっと『エイリアン』の愚痴を聞かされた
●ギーガーは『キラーコンドーム』を手掛けたことをあまり覚えていないようだった
●公開時のチラシには「ギーガーが“自分の手掛けた作品の中で『キラーコンドーム』だけが唯一気に入っている”と語った」と書かれている
●ギーガーが延々語った『エイリアン』への愚痴は、今回新たに制作される『キラーコンドーム』のパンフレットに収録される

よく分からないけどとりあえず『エイリアン』にムカついてたのは確からしい(クレジット問題)

DC『ブルービートル』は「子ども向けクローネンバーグ映画」─ スーパーパワーを欲しがっていない初のヒーロー? | THE RIVER
theriver.jp/blue-beetle-cronen

なんて見上げた志…
子ども向けルチオ・フルチ映画、子ども向けラス・メイヤー映画、子ども向けハーシェル・ゴードン・ルイス映画の作り手も出てきてほしい

(じゃないけどクローネンバーグネタなので)

映画『キラーコンドーム ディレクターズカット完全版』来場者特典で“コンドーム”配布 公式グッズ販売も決定 – ホラー通信
horror2.jp/61212
配布するよりコンドーム装着して来場したら半額とかの方が話題になりそう
確認作業がいろんな意味で大変だけど

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