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『マリは素敵じゃない魔女』柚木麻子作/坂口友佳子絵 エトセトラブックス
読了。
めっっちゃ!!!めっっちゃおもしろかった!!!子供の時にこの本に出会っていたかったなあと思いながら読んでいたんだけど、大人になって読んでもほんとにすてきで、読みながらずっとうるうるしていた。
「すてき」であり続けなさいという声、に、いろんなパワーを削がれていってる現代の「魔女」や「魔女のこどもたち」に届くといいなあ。
マリ、レイ、スジ、3人の行動がすごくいいなと思ったし、だからといって「だれかがヒーローになる」わけではなくみんなで問題を解決していったり、なーんにもしなかったり。
「仲良し」が、単純になんでも許す/褒める関係でないところとかもすごくよかった。

『シーリと氷の海の海賊たち』フリーダ・ニルソン作/よこのなな訳 読み終えた。
海賊に攫われた妹ミーキを取り戻すため、シーリは海賊を追う旅に出る。
かなり分量のある物語なんだけど、シーリのおしゃべりを聞いているような語り口で読みやすく、夢中になって読んだ!
荒れた氷の海を恐れないような海の男たちですらおそれるシロガシラを追うシーリは、旅の途中でオオカミを狩るひとや、鳥を使って魚を得ようとする少年などに出会う。動物たちはこき使われていて、シーリはそれっておかしいよ…って思うけど、動物たちをこき使「わねばならない」人たちは構造によってそうさせられてもいて。このあたりのことがとても心に残っていくのがよかった。
そして「いやなひと」が「いやなひと」のままでいることとか。誰もが善良でありたいが、よいひとで「あれない」構造もあり、たとえばハトは自由のために心を売ったという自覚があって、そんな自分は海賊をしていくしかない…とも思っている。それによりそう人もいる。
シーリがしたのはシーリ自身の冒険で、それがたとえば世界を善良に変えてしまわない。物語は静かに「物語」の定型から距離を取り、現実へ視線を向けるのをそっと、背中を押してくれるような。

よみはじめた。
『そこにすべてがあった バッファロー・クリーク洪水と集合的トラウマの社会学』

『イエルバブエナ』ニナ・ラクール著/吉田育未訳(オークラ出版)読み終えた!
めちゃくちゃおもしろかった!!!序盤は訳者のあとがきに書いてあるように、喪失やトラウマ描写が多くて、少しずつ息継ぎするように読んだ。サラとエミリー、ふたりの女性のラブストーリーでありつつ、2人の青春の物語でもあって、その青春の「喪失/離別」も抱きこんでいって、それらを否定的にではなく「あるもの」としてえがいているところがとてもよかった。サラと旅に出たグラントとのアパートをめぐるあたりがとくに、私はとても胸が苦しくなったんだけど、いちばん好きな場面だな…とも思う。
クレオール(この物語のばあいはルイジアナのクレオール)文化の世代間の差、生き方/生き抜き方が主軸になってるのも、クレオールの物語に触れたいと思っていたので読めてとてもよかった。

金子國義と渡辺温と田中芳樹の本を買いました。
名古屋の新栄町のhennbooksさんって言うお店。渡辺温も初版本あったし(私は文庫にしました)、橘外男とか今日泊安蘭もあった。澁澤龍彦も充実してた〜。田中芳樹は外の均一本?みたいな感じのとこにあった。
基本的には無人みたいで、Suicaとか電子マネーで決済するシステムみたいなんだけど、うまくいかなくてワタワタしてたらマジで偶然にお店の人が来てくれて現金支払させてくれたのでことなきを得た。゚(゚´ω`゚)゚。

ますく堂なまけもの叢書さんのPASSAGEに『山梔の處女たち』をおいていただいています。野溝七生子の『山梔』は少女期の終わりに出会い、自分の痛みや世界との溝を直視し、問い糺す強さと語る勇気を得ました。一緒に並べていただけることがとても幸福です。よろしくお願いします。 twitter.com/ayumu_KM/status/17
 

早速『私と夫と夫の彼氏』の最新刊10巻を読んだ。
大地くん……。大地くんが登場してからずっと「大地くんの出番まだかな〜」ってワクワクしながらページをくってたのでたくさん出番があって嬉しかった。私の憧れの高尾山…
そして真樹さん…。
「誰かと深く関係すること」や「誰かに思いを伝えること」は、その(瞬間)まなざしがむいていないひとを顧みていないわけではないが、気づく瞬間にこぼれちゃう大切な気持ちがあることもあって、だけど美咲さんが「私が行ってくる」って立ち上がった時、「わたし、美咲さんが好きだな」と思ったし「この物語がとても好き」とあらためて思えた。
悠生くんが新しい場所で一歩踏み出せたのもよかったな〜。
続刊が楽しみ😊

『魔王さまはかきんちゅう!』(原作:水城水城/漫画:綾野綾乃)1巻読んだ。
めちゃ面白かった!今はソシャゲでそんな課金することがなくなった(代わりに鳥の写真を撮ってる/鳥写にはガチャ要素がある)けど、課金してた時の気持ち(心理的な作用/損したくない!)とか思い出して「わっ…わかる…!」ってすごくうなづいてた。のでドリスちゃんがすごく心配ではらはらしていた。最初敵視(?)してたドリスちゃんの真実を知ってしまってエリザちゃんが行動するのがすごくいいなと思った。漫画もとても線が綺麗で、魔王様(大きい姿)とか😍✨ってなってしまっていた…。大変なところで漫画が終わっているので、また続きを読もうと思う。

『おるが水俣』(鬼塚巌/現代書館)読み終えた。
水俣病の原因となる有機水銀を排出していたチッソに15歳から55歳まで勤めていた筆者の自伝。自伝だが、チッソの社内や工場内の図解も豊富。社内を二分する安賃闘争、そこで受ける不当な差別、社内にありながら水俣病に寄り添って行動をしていくようになる筆者の心境や、視点の変化などがつぶさに記されていた。患者さんを撮る時、「目を瞑りながら指だけで撮った」という回想が印象的だった。
趣味で始めた八ミリフィルムの撮影は街の風景や自然を撮っていたが、しだいに水俣病を記録し、そして水俣の自然(シオマネキなど)と撮影するようになっていく、カメラのレンズの向く先にも、とても感じるものがあった。

『もうずっと静かな嵐だ』(そらしといろ/ふらんす堂)読み終えた。とても美しい詩集で、一つずつの小さな詩が集められているけれど、全てを通して読んで一つの長い物語の詩のようにも読める。さみしさやいとおしさのむこうに、透明な、名付け/言語化未満の現象や感情に到達できたような気分になる。
私は特に、一つずつを切り取って読むなら21ページから始まる詩が好きで「淡い郷愁/わずかな詠嘆/そうして/ここも触れるには/優しすぎる場所になる」という結びに心が震えた。
なんていうんだろうな、詩から受け取ったものってすごく言葉にしてしまうと、ここにあるゆらぎを壊しちゃうようなはらはらした気持ちになるんだけど、その受け取ったものは、「言葉」とかじゃなく「手触り」とか「音(共鳴)」とかにわたしのなかでなってて、見せたりできなさそうだな、受け取ったものは、こういう言葉の形ではなくて手触りを返せる「詩」の形にしたいとそう思えるような読書だった。
とてもうつくしい詩集で、いろんなものをうけとれたことがうれしい。

『言葉の風景、哲学のレンズ』(三木那由他/講談社)読了。
めちゃおもしろかった〜!
「「どういたしまして!」の正体」、「給料日だね!」、「ぐねぐねと進む」が特に印象に残っている。『布団の中から蜂起せよ』で書かれている矛盾が矛盾のまま語られている、っていう指摘に、わたしもそこが魅力的だなあと思ったのですごくうなづいていた。わたしは「私の一貫性」として過去の答え合わせの「今」を要求されていると思っていて、だけど人はそんなに簡単に一直線な思考も人生も持てないよね、そのぐねぐねした時にこんがらがった来歴や思考が(他者に判断を委ねるような言葉になるが)許されないかなあと思っているので。たとえば私もフェミニストだったり、アナキストだったりするけど、澁澤龍彦という存在や彼の著作を好きだったりするし、その複雑性ってなんだろうか、その複雑性は成り立つかということをずっと考えてて、「これを待っている」は「じゃあこっちは全否定する」(しなければ成り立たない)の一貫性が、「今私はここに存在しているのに?」と自分自身の実存に対する疑いをずっと私に抱かせている…とか。
あと、言葉と約束、前提の共有についてとかいろんな面白い視点が得られて「まさにレンズだ!」って思った。日常を見る眼差しが変わる。
 

「あり余る朝鮮の風土のなかで、頬もめげよとばかり声はりあげて唄った歌が、そのまま私がかかえている私の日本です。いやそれが私の植民地なのです。今もって私は「おぼろ月夜」に情感を揺すぶられます。瞼がおぼろにもなります。そのような歌でしか振り返れない少年期をみじめとも思い、かぎりなくいとおしいとも思います。」『朝鮮と日本に生きる 済州島から猪飼野へ』金時鐘(岩波新書)
先々週熊本大学で「聞こえくる熊本の歌と声」と言う展示を見てきたんだけど、展示の始まりのパネルに引用されていた部分。
引用元の『朝鮮と日本に生きる 済州島から猪飼野へ』は、日本統治下の済州島で育ち、天皇を崇拝する皇国少年だった著者は1945年の「解放」を機に朝鮮人として目覚め、自主独立運動に飛び込む…半生を描いた自伝的回想とのこと。
展示を見て「読みたい」と思って取り寄せたの。やっと届いた。原稿の資料読みながらになるけど、しっかり読みたい。

『かたこと』vol.12(一般社団法人水俣病を語り継ぐ会)読み終えた。
水俣(水俣病)をめぐる多くの人たちの言葉が集められている雑誌。さまざまな人の言葉が、すごく響いてきていい本だった。わたしはとくに中山艸太さんの「釣り人と海」谷川ゆにさんの「東京の水俣人(その二)」がすごく読んでいて心地よかった。

今日はもうゆっくりするぞ!!!好きなことをするぞ!!!原稿はやる…と思っているので6時に起きて『琥珀の夢で酔いましょう』を全巻ダウンロードして読んだ〜!
試し読みとか「十月はたそがれのビール」回とか読んで面白いな〜と思ってて、やっと読めた〜。
お酒は好きだけど「ビール」って好きという気持ちもあまりなくて、自発的に飲もうと思ったことが全然なかったんだけど、こは酔い読んでるとクラフトビール飲んでみたいな!と思えるし、あともうとにかく、ご飯が美味しそう。美味しいがたくさん溢れていて元気が出る。いろいろ飲んでみたいな〜と思った。
そして「おいしい」と一緒に、登場人物たちの、クリエイターとして、企画する人として、接客する人として、非正規雇用として、マイノリティとしての人生の苦味や、「誰かと関わること」のこわさ/その向こうに行こうとしたり、誰かの傷や痛みが自分の痛みになって初めて気づく場面が丁寧に描かれているのがすごくよかった。
就労支援のビール工房のお話とか、洒落ていてなおかつ常に人のそばにあるものを作っていこうとする、そこに取材されていることが嬉しかった。
面白かった〜。続きも楽しみ。

島尾ミホ/石牟礼道子『対談 ヤポネシアの海辺から』読んだ。
熊本の橙書店で見つけて「この本絶対読みたい!」と思って買った。すごく面白かった。
びっくりしたのは、『死の棘』をめぐる島尾ミホの発言で「わたしが清書しました」「おもしろい」と言ってる。「ヤポネシアの海辺から」というタイトル、島尾敏雄の作品群を挟んで、と本の帯にはあるけど、島尾ミホ/石牟礼道子、二人は二人の話をしていたなと思う。

2023年10月の読書メーター 読んだ本の数:13冊 読んだページ数:2517ページ ナイス数:3ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ bookmeter.com/users/388564/sum

わーーー!!!!!
ちくま文庫から野溝七生子の「山梔」が出るー!!!!少女期の心の友……!うれしいー!!!
しかも矢川澄子の解説に加えて山尾悠子のあたらしい解説が収録…される…!!!
x.com/marco9mx2/status/1716994

有吉佐和子『女二人のニューギニア』読み終えた。作家の有吉佐和子が人類学者の畑中幸子がフィールドワークするニューギニアへ行き、(畑中幸子はシシミン族の研究をしているが)人類学者のフィールドワークの日常を間近に見る紀行文。
有吉佐和子はかなりしんどい部分にしか触れたことがなかったので、明るい有吉佐和子読みたいなーと思ってて、ふと見つけて読んだけどすごくよかった。
私もこういうエッセイ的なものを書きたいと思った。

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