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『言葉の展望台』三木那由他(講談社)
読み終えた!エッセイ風の内容で哲学の思考が書かれていて、すごく面白かったです。会話を通したコミュニケーションで、「しんどいな」と思うことに権力勾配があることとか(察知はしていたがこんなふうに形を纏わせて語ることがわたしにはできなかった)、なんかふわふわして形を掴めていなかった関係性や認識の変化を、こんなふうに捉えていく視点があるんだ!という発見ができたのがよかったです。
全部の章が面白かったけど、特に「会話の引き出し」のブレリナさんというゲームの登場人物のセリフの考察が面白かった!少ないセリフしかないけど、その少ないなかで同じセリフがどんどん意味を変えていく不思議と楽しさはわたしにも経験があるし、ゲームの外の人付き合いでも、いろんな時にパターン化された、だけどそのパターンからさまざまな意味や親しさ/感情のゆらぎを受け取っているという経験はたくさんしてるので。わたしは大体、澁澤龍彦の話をし続ける人間です。
金田一くんのお話とか、「大きな傘の下で会いましょう」とか、いろんな角度からの共同体やコミュニケーションを眺めることができました。
11月にも新刊出るみたいで読むの楽しみです〜。

この本は文フリ東京の新刊になる予定!
文フリ東京はスペースはか-01、第二会場のようです。隣の「か-02」は日々詩編集室なので9月に出た新刊の『ゆけ、この広い広い大通りを』の取り扱いがあります。

作家のノイはある日、同棲しているパートナーで人気の役者のターに、アルバトロスの保護のボランティアに参加しようと誘われる。三年間かけて行われるアルバトロスに精神を憑依させての繁殖支援、役者と作家では、それぞれの仕事を休止せざるを得ない…。ノイは最初は反発するが、ターの「物語から逃げたい」という言葉に参加を決めて…。
物語を作る2人の女が、物語から逃げようとする試みについて。
文庫サイズ40ページ前後の小さな小説です。ジャンルはファンタジーっていうよりはSFなのかなあ???とはいえそんなにSF!みたいなお話ではないです。
既刊だと『幻想生物保護官日記』が好きな方におすすめかな。
     
QT: fedibird.com/@tutai_k/11121639
[参照]

孤伏澤つたゐ@文フリ京都お-42  
宇宙の全てを理解(わか)ってしまったので、次の新刊ですが、自分で表紙のイラストを描きました。一時間かかったあ~たいへんだった!

『星のせいにして』エマ・ドナヒュー/吉田育未訳 読んだ〜!
めちゃめちゃ面白かった!
1918年、インフルエンザのパンデミックと世界大戦の最中にある産科/発熱病棟に勤務する看護師ジュリアの数日を描いた物語。パンデミック下、かつ世界大戦で病棟の人員は削りに削られ、ジュリアはインフルエンザに罹患した妊婦の患者ひしめく病棟を1人で回さなければならなくなってしまう…そこにボランティアのブライディが現れる。ブライディと協力して、ジュリアは病棟で立ち回る。
訳者のあとがきにもあったけど、こんなふうにつぶさに妊婦や赤ちゃん、看護師の闘いを書かれた物語ってほんとに読んだことがなかった。「妊娠した人」「出産をする人」しかいない世界をも家父長制が支配していて、ジュリアやリン医師がそれに押さえつけられながら抗っていくところがとてもよかった。
他の本もまた刊行されたら読みたいな〜。リン医師は実在した人物らしいので、伝記にもふれたいと思った。

2023年9月の読書メーター 読んだ本の数:27冊 読んだページ数:4791ページ ナイス数:6ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ bookmeter.com/users/388564/sum

【増刷しました】
残り1冊だったので増刷しました〜。
オメガバース世界のアルファの少女二人の欲望と恋について「首輪とロマンス」
魔法学校に通う少女二人の「恋ではない」関係、そしてかつてこの学舎にいた二人の女たちの恋について。「魔女の選択」
山梔の處女たちyominomike.official.ec/items/6
  

水俣関係の書籍はここで買うと水俣病の患者さんとか活動の支援になるようなので、ここで買うようにしたいと思ってる。
水俣病センター相思社
soshisha.org/jp/

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『若槻菊枝 女の一生 新潟、新宿ノアノアから水俣へ』読み終えた。
めちゃくちゃ面白かった〜。新潟の小作人の家の子として生まれた若槻菊枝が、上京して東京でバーやお店、アパートを経営して絵を描きながら水俣病の患者の支援をしていたその一生を書いた伝記。東京へやってくる水俣病患者の支援として宿舎を提供したりカンパを募ったり、外国人や生活保護のひとたちが住みやすい(入居を断らない)アパートを作っていたこと、ノアノアというバーで多くの人たちと交流していたこととかが、「一人の人間の人生でこんなにいろんなことができるんだ、関わっていくことができるんだ!」という驚きと、その向き合い方の真摯さがすごい。あともうなんていうんだろうな、パワー…!めっちゃパワー!ってかんじで、尻込みしている行動へ、背中を押されるような気がした。面白かった〜!

マストドン、どれくらい三重県近隣の、しかも久居にアクセスいいかたいるかわからないんですが、三重県久居のHIBIUTA AND COMPANYで『ゆけ、この広い広い大通りを』の読書会が週末(9/29)に開催されます。よかったらお越しください。

三人の女たちがそれぞれがちがう属性をもち、ちがう人生と選択をして、だけどおなじ「地元」で生きるよ、というお話です。
しんどい部分もあるけど、ひどいことは起こらない優しいお話なので、どなたさまもお読みいただけるかなとおもいます。

課題版は、三重県津市久居HIBIUTA AND COMPANY店頭/オンラインショップや、千葉の「本屋lighthouse」さん、熊本の「mychairbooks」さん、ヨモツヘグイニナのショップでも買えます。よろしくどうぞ。

x.com/andcompany2022/status/16
 

日記書いた。
のレポートがちょっとと、読んで印象深かった本のこと。
書いた本
・銀河英雄伝説(田中芳樹・らいとすたっふ)
・滅びに向かう場所にて(朝凪空也・ウェルウィッチア)
・覇王愛人(新條まゆ・小学館)
・『私と夫と夫の彼氏』(綾野綾乃・タタンコミックス)
・鋼鉄紅女(シーラン・ジェイ・ジャオ 早川書房)
tumblr.com/tutai-k/72941883363
  

『遠きにありて、ウルは遅れるだろう』ペ・スア 斎藤真理子訳(白水社)読み終えた。よくわかんなかったけど、おもしろかった。

『鋼鉄紅女』読み終えた。
なんかもう「ウアアアアアアア!!!!ありがとおおおおおー!!!!!」という気持ちになる本だったな。最高に面白かったし、爽快だった。
男女がペアで乗るタイプのロボット的なものというガジェットを、その通念から破壊しにかかってきてて、そしてなにより「ペア(一対一、二者の閉じた関係)」を打破していくところが気持ちよかった。人と人の安定したパートナーシップが「2」という数になっていることがすごく私には窮屈だったから、そこがすごく嬉しいなと思った。
あと「家族」の書き方…。私はこういう物語を待ってた…!そうなんだよ……!と全力で喝采した。面白かった〜。

「今日の生き方(再録)」感想。 

とりにくさん「今日の生き方(再録)」読みました。
パートナーのワンさんと二人暮らししているタヌさんの日々を切り取った四コマ。
パートナーと暮らしていることを職場の同僚から隠してしまうことでのすり減りには胸が痛くなって、タヌさんと同じ表情をしながら読んでた。
ワンさんとタヌさんが二人で過ごしているところには、すごく愛があってめっちゃうれしくなった。
「休日の朝」が特に好きで、朝目が覚めて隣にワンさんがいることに大興奮して撫で回してるタヌさんの叫びがこっちまで幸せになってきていいな〜って思った。だれかを大切に思う時、その存在が奇跡に感じられるっていいなあと思った。
「以前の話3」の言葉の少なさがとても素敵で、多くを語らなくても、手を繋いで二人が壁の向こうに歩き出していることに、安らぎを感じた。

本と一緒に、ピンバッヂも通販させてもらった。
いろんなパターンでされてる刺繍が、見ているのも楽しいし、触っていてもたのしい。柔らかいので、安心感がある。早速通勤用のカバンにつけた。うれしい。

QT: ohai.social/@trnk9/11098837761
[参照]

とりにくtoriniku  

コミックエッセイ販売開始の告知 

この本読みたい。
「抵抗のブルターニュ」

「我らの父祖の言葉は死につつある……
ともに覚醒せよ、皆、ともに覚醒せよ!

現在では牧歌的な風景や美しい海岸のイメージのある、
フランス北西部の半島に位置するブルターニュ。
そこには言語を強奪しようとするフランスからの支配に
ペンで抵抗した文学者たちの歴史と、継承が危ぶまれる
ブルトン語を守ろうとする人々の現在があった!」
(版元サイトより)

tkns-shobou.co.jp/books/view/5

前々から気になってて、やっと(私の中の)タイミングが来たぞ!と思って読みました。
静謐な語り口で、女-女の「生きる」ことのしんどさや、その「先」が書かれているのが良かったです。「わたし」の物語にも重なるし、私の大切な「女」の物語にも重なるし、まったく知らない「女」の物語にも読めるところが面白かったです。

QT: mstdn.books-lighthouse.com/@sm
[参照]

島﨑残像(Zahari)  
【お知らせ】 Kindleにて『溺水集』を発売しました。「ういのこと」「水葬式」「息帰るノガレ」の短編連作です。 水辺にて連綿と続く女-女の物語。言葉を奪われても、それでも。 寺山修司、ガルシア・マルケスをオマージュした作者渾身のクィア・フェミニズム小説。 https://www.amazon...

こういう眼差しを持ち、それを言語化し、静かに丁寧に、複雑で難解な言葉ではなく音を巧みに使って心にするっと入り込みやすく表現してくれる稀有な表現者/歌集だと思う。
同時代に読めることがとても嬉しい。

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『滅びに向かう場所にて』朝凪空也さん読了。
めちゃくちゃ楽しみにしていた空也さんの第二歌集。空也さんの短歌は、日常のしんどさや、ふんわりとわたしたちをとりまく理不尽がどんなものかを、目を逸らさずにしっかりと書いているところがすごく魅力的で、それはわたしが「いつのまにか」踏み越えていたり、踏み付けにしていることに気づかずにいた「誰か」の足だったり大切な物だったりすることに気づかせてくれるなといつも思う。
生きているって、誰にとっても楽なことではないのに、「わたし」以外の人はなんか楽にうまいこと生きてるな〜と思えちゃうような傲慢さが私にはあるんだけど、誰にだって生きる地獄があり、「そこ」に立たねばわからんよ、見えないまま想像で断じるな、という強さと言えばいいのか。
強さ、と書いたけど、上からではなくて、同じ地平に立って指差して視線をそちらへ向けてくれるような、そういうねばりづよさ。

「無意識に使う両手は無意識に誰かに不便を強いている手だ」

という短歌が私はとても好きなんだけど、「なに」という具体的なものを指さず、でも、自分の行動や、「両手が使えること」をはっきりと「どういうものか」を示してくれていたりとか。

せんさん(『閉じた国のホロン1・2』読み終えた。
神の御使に娘や記憶、片腕、大切なものを奪われた三人が出会い、それらを諦めず取り返そうと旅に出るお話。
ホロンがめちゃめちゃかわいい…!ダーシュナはホロンを利用しようとしているんだけど、完全に「使う」ような立ち居振る舞いはできないでいる…という微妙な部分がホロンの魅力だな〜と思う。
記憶を失ってしまったホロンとは違い、ダーシュナとケラは大切な人たちとの積み重ねた日々や、苦悩があって、善人でいられない部分、卑怯であったり、露悪的であったりするところがまたいい。
人間って、間違っていたり、良心に悖ることをしたりって、それまでの経験や来歴、環境で「選ばざるを得ない」「そうなってしまう」複雑さがあると思うんだけど、その複雑なやるせなさ、ダーシュナもケラも本来は善人なんだろうけど、なりきれない運命との衝突が描かれているのがとてもいい。
すごく気になるところで2巻が終わっているので3巻が楽しみ。三人の登場人物がみんなみんな愛しくて、良い形で物語が終わりますように!って祈ってしまう。
あとひがそらの時も思ったけど、せんさんの漫画って食べ物がめっちゃ美味しそうだし、街歩きが楽しそうですごく素敵!私も歩いてる気分になる。

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