浜通り地域等の復興の絵姿と将来像の資料を見て、総花的とは、まさにこのこと、現実的な実現の道筋はなにひとつ書かれていないにもかかわらず、「ご要望」をすべて取り入れた整合性のない目標だけは羅列してあるのがよくわかります。
https://www.reconstruction.go.jp/topics/04_20240621shiryou3.pdf
移住者と地元民の軋轢、というよりも、地元民が置き去りにされている問題は、かなり深刻になってきています。
移住者にしてみれば、浜通りは新たにチャレンジできる白紙のフロンティアで、こんなチャレンジングな環境は他にない、という感覚で、そう言う人は弁も立てば頭の回転も早い。
地元の戻ってきた人は、10年に及ぶ長い避難生活を経て、ようやく戻ってきたけれど、地域の様子は激変していて、かつての記憶との折り合いがなかなかつかず、どうにも割り切れない感覚を持ち続けて暮らしている。
表立って喧嘩をしたりするようなことはないでしょうが、これだけ住民間の感覚に大きな落差があると、そのうち、なんらかの形で顕在化してくると思います。
そうした問題からは目を背けているにもかかわらず、調子良く、「移住者のフロンティア!」と煽り方をするのは少々無責任ではありませんか。と国のやり方を見ていると思います。
復興庁:福島イノベーション・コースト構想推進分科会(第5回)
https://www.reconstruction.go.jp/topics/20240621150805.html
能登の「みらいトーク」と比べてみると、勝手に決められている感が圧倒的に強く、これで胸躍る人は、国の補助金でひと稼ぎできる人たちだけではないでしょうか。
地域づくりのことは、ほとんど考えられていないので、結局は、国の予算が切れれば、持続不可能な状態が強化されていくだけだと思います。
勝手に誰かが決めた町にに愛着心を持つ人なんて、ほとんどいない、というあたりまえの前提が忘れ去られているのが最大の問題なのだと思います。
と10年くらいは言い続けているのですが、いまだに箱さえ作れば人が増えると思っている様子が前面に出ているあたり、日本の凋落していく原因が、端的にあらわれていると思います。
官が主導というか、地元のあちらこちらからの「ご要望」をすべてひっくるめて、国の制約や政治的事情で固めたら、なにがしたいのかわからないこんな計画になりました、というところに乗ってくる民間があるんでしょうか。
「東京電力福島第1原子力発電所事故で被害を受けた福島県復興の骨格となる福島イノベーション・コースト構想の次期計画について、同構想の分科会は24日、民間投資の促進などを柱とするたたき台(素案)をまとめた。同構想が発足から10年を迎えて官主導で進めてきた計画に民間企業の参入を促す必要があるとした。2024年度末までに次期計画をまとめる方針だ。」
福島イノベ構想、次期計画を議論 民間投資促進へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC20A910Q4A620C2000000/
@maggie_ms 確認したわけではないのですが、男女差をつける必要なく、普通の休暇で対応できるようになっているのではないかなと思います。
正直、こういうニュース、なにが「衝撃」なのかさっぱりわかりません。
ここ数年の国民の生活レベルの急速な悪化と社会の貧困化のほうが余程衝撃でしょう。
国全体が釣瓶落としで落ちていっている時に、おじさんたちのおらが権力おらが利権を奪い合う争いのどこが衝撃なのか、少し冷水でも頭から被ってみたらいかがかと思います。
菅氏の「退陣要求」に衝撃 「岸田降ろし」につながるかは見通せず
https://www.asahi.com/articles/ASS6S3GYJS6SUTFK00FM.html
こういうのに衝撃を受ける人たちは、スーパーで買い物をしたこともないし、高齢者たちが日増しに惣菜コーナーの前で、値段を吟味している数と時間が増えていっていること、そのなかに若い労働人口世代も増えていいっていることに気づきもしていないのでしょう。
北欧は地震が非常に少ない安定した岩盤地盤で、おそらくフィンランドとノルウェーは共通した地質だろうと思います。
地盤がプレートごとぐわんぐわんと揺れ動いているような日本とは、前提条件が大きく違うと思っています。
ジェンダー平等で言うと、知人女性もめちゃくちゃタフで、ノルウェーに視察に行った時に、合計千キロ近く車で移動したのだけれど(鉄道の通らない、とんでもなく不便な山岳地帯の放牧地の放射能汚染対策を勉強しにいくというめちゃくちゃマニアックな視察だったため)、知人女性が一人で道中、ずっと運転し続けたという、超強行軍でした。
よく知られているように労働条件はきちんと整備されているので、数日間の視察に同行した分、休暇はそのあとしっかり出るらしいですが、日本では、役所の課長クラスの人が自分で外国のゲストを一千キロ運転して案内するって絶対ないな、と思いながら、見学していました。
facebookでノルウェーの知人が、ノルウェー政府が国内に原発を建設するのが妥当かどうか調査する委員会を作ると書いていて、知人もその委員に就任したらしいけれど、委員長は女性。知人も女性。
さすが、ジェンダー平等が世界でもっとも進んだ国だけある。
と書くと、「意識高い北欧」と言う人が日本では多いのだろうけれど、ノルウェーの本質は危機管理強国だと私は思っていて、現在のノルウェーの発電は水力がほとんどで賄えていたのだけれど、温暖化の影響でフィヨルドの氷河からの雪解け水の水量が減って、今後水力発電では賄えなくなることを見越しての調査だと思います。
ちゃんとリスクを予測してそれに備えてリスク予測とリスク評価をして備えておくというのが、さすが危機管理強国、と思います。
福島県の塙町長選、現職男性に対して、新人女性がこれだけ迫ったのは、いかな男性天国の福島県といえ、変化の空気は流れてきている、ということでしょうか。
19977年以来半世紀近く、59市町村(2024年時点)あるなかで、女性の首長が一人も出ていない県ですから、福島県で女性がトップに立つのがどれだけ難しいのか、窺い知ることができようというものです。
◇塙町長選開票結果(選管最終、敬称略)
当2,845 宮田 秀利 74 無現
2,667 天沼 恵子 65 無新
塙町長選は現職の宮田氏が3選 1977年以来の県内女性首長誕生ならず
https://www.asahi.com/articles/ASS6R4HZ7S6RUGTB00BM.html
先週、福島第一原発6号機の使用済み燃料プールの冷却が一時的に停止したトラブルがあったのですが、原因は電気設備のショートとのことでした。
ただ、電気設備のショートがなぜ起こったのかはまだわかっていないようです。
6号機は、原発事故時定期検査中で稼働しておらず、事故は起こしていない原子炉になります。
設備類の経年劣化によるものだとすると、ほかの部分にも同じようなトラブルが今後相次ぐ可能性が高いと言うことになる気がします。
東京電力・福島第一原発6号機トラブル 使用済み燃料プールの冷却が10時間停止も「結果的に問題なし」 原発担当記者が解説
https://news.yahoo.co.jp/articles/5436ee027092b462065d5fc701f9463ea34794bf
県知事の定例記者会見で質問した社もあったのですね。
NHK福島含めた地元メディアではないでしょうね。
質問するのは、朝日か河北か、くらいでしょうか。地元メディア、TUFはありうるかもしれませんが。
6月10日県知事定例記者会見
「3 福島市の太陽光発電施設に係る林地開発の中止指示について」
https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/chiji/kaiken20240610.html#03
「内堀雅雄知事は10日の定例記者会見で「地元の住民から『県の対応は甘い』との指摘が出ている」と問われたのに対し「適切な開発となるよう事業者に指導する」と述べるにとどめた。」
県の森林保全課の言い分の、「結果的に災害が起きたが、違反行為がなかったので、中止命令は出さない」というのは、防災の観点から考えても、おかしな言い分です。
災害は常に、何らかのハザードの結果として起こるものであり、結果を導くハザードに対してひとつひとつ見つけて事前に対応しておくことこそが、防災の要になります。
この言い分を見て確信するのは、福島県庁は、こうした言い方で福島の原発に対しても、「問題ない」という姿勢を取り続けてきたのだろう、ということです。
県民を守ろうという意識はまったくなく、自分たちの手続きには問題がなかった、そのことさえ認められれば、福島県庁では「仕事をしている」と認識される状況なのだろうと思います。
「県森林保全課の担当者は今回の流出原因について「短時間に想定外の雨が降ったため」との見方を示す。「造成地には開発許可の基準をクリアした防災設備があった。結果的に災害が起きたが、事業者に違反行為があったとまではいえない」と中止命令は出さない方針だ。」
福島市のメガソーラー開発、福島市・住民側と福島県の温度差についても書いています。
「冷静」の言葉の使い方がおかしいのでは、という気はします。大辞林での「冷静」の定義は以下です。
感情的にならずに,落ち着いている・こと(さま)。
福島県の場合、たんに「腰が重い」「前例踏襲」「硬直的」「官僚主義」なので、「冷静」とは言わないと思います。
「住民団体や市が危機感を強める一方、県の対応は冷静に見える。」
福島・吾妻山麓で開発進むメガソーラー、大雨で造成地から泥水流出 住民が災害発生に不安募らせる
https://kahoku.news/articles/20240622khn000035.html
作家/NPO福島ダイアログ理事長/博士課程後期在学中
原子力災害後の復興政策と地域住民のギャップを埋めるためのローカルプロジェクトの意義と重要性について研究する予定。
・著書『海を撃つ』(みすず書房)
『スティーブ&ボニー』(晶文社)
『末続アトラス2011-2020』(福島のエートス)
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