一木けい『悪と無垢』読了。
好みが分かれるかもしれないけれど私は面白かった!
悪女が出てくるということしか知らず、二話目あたりまでは、不倫を題材にした短編集なのかしら?!と思っていたら違った。
先が気になってあっという間に読み終えた。
人間関係において「知らない方が幸せ」みたいなことって幾つかある。人の裏側とか秘密とか、暴かれるのを見ても良い気持ちにはならない。
この本はその「知らない方が幸せ」なことが山ほど出てくるので、話が進む度に驚いたり引いたり怯えたり。人間は怖い。
この物語の中心にいるのは、魅力的な容姿を持ち無邪気に嘘を吐き、華麗に優雅に他人を騙す女。しかも弱みを握って人を操ることに長けている。
そんなサイコパスに人生を狂わされた周囲の人たちが、その体験を語っている。
純粋な悪意に理由などなく、ホラーかな?と思うくらいゾッとしたシーンもある。
その異常性を語るだけではなく親と子の話でもあったのが良い点だった。特にラストが良い。
話が入り組んでいるので、時系列や人物などその都度しっかり把握・理解して読んでいく必要がある本だった。
メモしながら読んでいて良かった!伏線や繋がりが分かるとスッキリ楽しめた。
新刊本の単行本派さん、特に文芸を買う方は、なぜ文庫より高い単行本を買うのか知りたい。(最近文庫の値上がりもすごいですが…)
世に出たばかりの文章を早く読みたいから?好きな作家さんの本を集めてるから?装丁?手にしっくりくるから?
前のお客さんで「単行本でしか読みたくない」って人はいたけど、古本を好んでいた。手にしっくり派なのかな。
新しく発売される本はインスピレーションで仕入れるけど、文芸の単行本は手にとってもらいにくいんだよな…と入荷を躊躇うのがほとんど。
自分は本屋で読み物を手に取りたいときは、文庫棚を中心に回ってた気がする。
#お風呂ドン
昨日よりは早めに入ってこれた
ハッとする文章が沢山ある。二箇所抜粋。
"たとえば、言葉って通じますよね。でも、話が通じることってじつはなかなかないんです。言葉は通じても、話が通じない。だいたいの問題はこれだと思います。わたしたち、言葉は通じても話が通じない世界に生きてるんです、みんな。"
"子どもが欲しいというとき、人は何を欲しがっていることになるのだろう。「好きな人の子どもが欲しい」はよくある説明だけれど、では「相手の子どもがほしい」と「わたしの子どもが欲しい」のこのふたつに、いったいどんな違いがあるだろう。だいたい、子どもをもつ人がみんな、あらかじめ子どもをもつということについてわたし以上の何かを知っているのだろうか。わたしにはない資格のようなものを、みんながもっているのだろうか——"
川上未映子『夏物語』読了。
何度も泣いてしまった!
現実に生きている沢山の女性たちの気持ちを拾い上げてくれたような本で、何もかもリアルに感じた。
第一部は『乳と卵』の改稿版。第二部はそれから八年後、主人公が三十八歳になり「自分の子どもに会いたい」と考えるようになるお話。独身で恋人無し。精子提供が視野に入ってくる。
年齢的にやはり妊娠出産にはリミットがある。
日々確実に老いていく体を感じながらも、まだ存在すらしていない子どものことを考えるというのは、つらくて答えの出ない問題。
子どもを産むことについて様々な意見が語られるが、どの意見も分かるような気がするし、尊重したい。
女性の登場人物たちがみんな実在しているみたいに立場の違いがあった。 同性で似たような境遇であったとしても同じ人生はひとつもないことが、丁寧に書かれた人物描写でよく分かった。
どうしても女の役割みたいなものについて考えさせられた。でも、やりたくないことはやらなくていい、そう強く思うし周りにも言いたい。
自分のために生きるって何だろう。
奮い立たせるようなセリフから、現実を突きつける言葉まで、マーカーだらけになった。この本をお守り代わりにしたい。
#お風呂ドン
今日はすごく面倒だ〜
まず日課の運動からしなきゃ……
@ShinKaonio
私も買ってからずっと放置してて🤣
名前は覚えられないけどスルスル読めますよ〜
見つかることを祈ってます
三津田信三「逢魔宿り」(角川ホラー文庫)を読んだ。
https://www.kadokawa.co.jp/product/322111000505/
元編集者で現ホラー・ミステリ作家の「僕」のもとに、昔仕事をしたデザイナー・松尾から連絡が入った。「小説 野性時代」に連載している連作怪奇短篇について、話したいことがあるという。訝りながら家を訪ねた「僕」に、松尾は三十年前の出来事を語りだした。それは、日課の散歩中にある四阿で出会った、怪異譚を語りたがる奇妙な一家の話であった。彼らが怪異譚を語るたび、なぜか松尾の近隣で事件が多発し……。
(あらすじから一部引用)
良い連作短編ホラーでした。
作家シリーズのようにメタフィクション的語り口となっており、それぞれの短編を最後の「逢魔宿り」にて総括するのは構成の妙も感じて良かった。
どれも三津田信三的な魅力があって良かったし、解決があっての恐怖よりも"分からない"や"後味が残る"と言った未知への恐怖みたいなものがずっと続き、山奥/予言/新興宗教/血筋/など、それぞれの特色を持った短編となっているのも⭕️
後は語られる怪談の登場人物の行動に合理性などを求める方にはもやもやして合わない気がするのでおすすめは❌
そこを気にしない人であれば、夏どきなのでおすすめできるホラーですね。
Re
@ShinKaonio
ですよねぇ〜 こんな良い子で優しかったらすぐ死んじゃうよ〜!と思ったのに、そんな子どもこそ生き残ったのがやっぱり人類の希望だなと🙏
小説を読むのが日々の癒し。
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