2001年に第1巻が電撃文庫から、そして2020年には新装版として加筆修正後の物語がメディアワークス文庫に登場した、甲田学人の『Missing』シリーズ。
中学生時代夢中になっていたので、あれから軽く十数年が経過しているのを怖く思いつつ、新装版を電子でダウンロードしてみたのでした。
とりあえず「神隠しの物語」と次の「呪いの物語」まで。
……何らかのきっかけであらわれる怪異は〈異界〉から来る。
その〈異界〉とこちらとの接点は私達のイドの底、知覚できない深層意識と繋がる部分にこそあり、ソレは表層に「異なるもの」を送り込んで常にこちらと一体化しようとしている。……
こういう、所謂ユング的な集合無意識の要素も組み込んだ学園・伝奇モノで、魔術、オカルティズムや民俗学系の知識が取り入れられており、個人的にはわりと百鬼夜行シリーズなどとの共通点も少なくないのではないかと感じている。
でも大きく異なる(また重要な)要素は、この『Missing』の主要登場人物たちが「高校生」で「子供たち」である部分にこそ詰まっているような気がする。
「大人」の視点で読むと愛おしくも苦しい。
だから、かつて聖創学院大付属高校、文芸部のメンバーが自分の先輩だった頃の意識を取り戻して、読み進めます。
所謂「ライフステージ」という言葉が表すものに馴染める場面があまりなくて。
それは多分「人間は〇〇歳くらいになったら皆これをやっておくべき」……のような、世界の一部でしか通用しない規範にさほど同意できないからかもしれない、と思う。
もちろん、例えば生まれてから成長し、最盛期を迎えた体力が衰えていく、そういう身体面での不可避かつ普遍的な推移から「元気に動けるうちにやっておいた方が良いこと」などが語られるのはよーく理解できるのですが。
「いい歳して〇〇の状態にないのはおかしい」みたいな言説の方は、なかなか難しい。
仮にそう問われれば、私の方からむしろ尋ねたくなるのは、ではどのように生きるのが〈正解〉なのですか? ということで……。
誰もその質問に答えられないのに、根拠のないまま要請はされる。
昔から不思議だと思っていました。
人生、数年後どころか明日にも何か大きな変化に見舞われる可能性があるので、全てを予測して動くのは難しいし、さらに思いがけない場所に連れて行かれる面白さもある。
また、これはもう自分の性質の問題なのですが、昨日やりたかったことと明日やってみたいことが往々にして異なるので、周囲を著しく戸惑わせたり悲しませたりしない範囲で自由にやれないと、ちょっと生きる意義が失われるなと感じた夕方でした。
まさに薄いクレープにアイス部分が包まれていて新感覚&おいしかったです!
冷凍庫から出されたばかりだったのか、全体的に超カッチカチでスプーンを弾くくらいだったのはちょっと笑ってしまいました。
写真もその他も好きだと思ったものを投稿しているので見てくださって嬉しいです🐱🌿
私も日野川さんの雑談ほか諸々にいつも癒されております……!
ふわふわか、とろとろか、ぷるぷるか……もちろん、それらが複数組み合わさったものも、ある。
オムライス。
事前に調べて行く機会もあるけれど、大体はメニューを見て知ってから適当に注文し、どの系統が出てくるのかを楽しみにしていて、スプーンを入れる瞬間に心躍らせている。
わりと最近出会ったものたち🥚
(1)こんこんぶる[南林間]
素朴な趣で町の洋食店という佇まい。ここのオムライスはうすーい布のような卵の衣がケチャップライスを包み込んでいて、かっちりしたものが好きな人におすすめ。
添えられているサラダの量が多め◎
(2)サモアール馬車道店[馬車道]
横浜(地元なんです)でよく知られた紅茶専門店……の、本店じゃなくて馬車道店が提供しているオムライス。種類があるけど多分チキンが最も一般的。
適度なとろみがあるのと、ライスは結構辛め。
(3)喫茶you[東銀座]
友達に連れられて行った有名店。
今にも決壊しそうな表面をちょ……っとつついた瞬間、ぷるぷるの卵がライスの上に溢れ出す。
謎に感動した。
(4)博物館明治村[犬山]
明治・大正期の建物が好きなので、明治村にはわりと足を運ぶ。
その敷地内にある「浪漫亭」で食べられるオムライス&ハンバーグ。ソースのトマト感が良かった~。
藤岡換太郎「三つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち〈地球の謎解き〉シリーズ (ブルーバックス)」講談社 Kindle版
p.21
「最初の元素の誕生は、約138億年前の宇宙開闢にまでさかのぼります。」
「宇宙のはじまりこそ一瞬だったものの、そのあと万物のもととなる元素ができあがるまでには38万年もかかったというわけです。もっとも、それとて宇宙の歴史から見ればごくわずかな時間にすぎないのですが。」……
人間からすれば永劫に近い年月を生きているような存在にとても心を傾けているため、もしもその者が目の前に現れ、こういう事柄を述べ始めたら、きっと高揚して頭の血管が切れてしまうだろうと思う。
誰も実際に見たことがなく、聞いたこともない(できない)領域で起こったことを、得た材料をもとにして想定したり、仮説を立てたりする物理学の一角。
このまえ長者ケ原考古館(縄文時代の玉作集落遺跡がある場所)に行ったら、館内で放映されていた紹介ムービー的なものの語り手がヒスイの妖精だというキャラクター(スイテンくん)で、曰く「5000年前からここにいる」らしくて。
その台詞を聞いた途端に「良」の気持ちが溢れて仕方がなくなった。
創元SF文庫「何かが道をやってくる」
レイ・ブラッドベリ 中村融訳
原題にある"Something Wicked"……何か邪悪なもの、というのは沙翁の「マクベス」からの引用。では、作中で移動遊園地と共にやってきたそれらは、その邪悪さで一体何をおびやかし、害をなすのか?
善良な心、人の世の善なるもの、教会での真摯な祈り。
そういうものを冒涜し腐してしまうのが、邪悪なカーニヴァルだった。
ブラッドベリは幼少期から、遊園地や道化師がもたらすイメージを恐れつつ、心の一部を囚われてきた。怪しげな存在に翻弄される2人の少年・ジムとウィルはある意味で著者の分身ともいえる。
そして、高齢で結婚して息子をもうけたウィルの父、チャールズも……。
なんとなく「父の役割」「母の役割」が分割されているふしのある言い回しは古めかしいが、それを補って余りある魅力があった(私が遊園地モチーフを好んでいるからというのもある)
ぐっとくるのは、さりげなくだがしっかりと描かれている図書館や書物への信頼。
そして、恐ろしい〈塵の魔女〉を前にしながら「きさまは滑稽だ!」と笑い飛ばす強さ。
「人生とはつまるところ途方もない大きさの悪戯」だと彼は思う。それは決して投げやりな諦念ではなく、窮地から彼を救う。
本日「批評誌Silence Vol.2 病とともに。」をお手に取ってくださった方々、誠にありがとうございました。
ぜひお楽しみください📚
また特に告知していなかったのですが、別サークルの「
大阪大学感傷マゾ研究会」さんが今日の文フリで販売されていた既刊(新刊ではないです!)の「青春ヘラ Ver.6 情緒終末旅行」にも私は紀行文というか、がらんとした街をぶらぶら歩くエッセイのようなもの、を寄稿しております。
この千野って人、名前が同じだけど同一人物? と思われた方がいらっしゃいましたら、そうです~ということで……。
「情緒終末旅行」は紙版・電子版ともにまだ通販での取り扱いがあるようでしたので、もしも『キラキラしていない旅行記』がお好きな方、いましたら。
【通常版】青春ヘラ ver.6「情緒終末旅行」
https://kansyomazo.booth.pm/items/4477868 [参照]
#文学フリマ大阪 参加のお知らせ
2023年9月10日㈰ ブース:K-53
マツさん(@matsurara)のサークルから発行される批評誌『Silence vol.2』に、「記憶 -病と病院、本にまつわる六つの章-」というタイトルのエッセイを寄稿しました。
添付画像や下記URLより冒頭部分を読むことができます。
総勢12名が今回のテーマ「病いとともに。」を各々の視点から考察した1冊。
#文フリ に足を運ぶ予定のある方々、内容にご興味を持ってくださった方々、当日は何卒よろしくお願いいたします📚
#fedibird #文学フリマ #文フリ大阪
https://www.chinorandom.com/entry/2023/08/13/212632
小川洋子の短編集
「薬指の標本」と「海」を読んでいた。
2冊のどちらもいくつかの話に(「薬指の標本」表題作では特に印象に残る存在として)『サイダー』『ソーダ』など炭酸水が登場し、これがなんともいえず、作者の書くものの色に合っているのではないかと私は思わずにいられなかった。
炭酸飲料は性質からして官能的な気がする。
こう表現すると、いたずらに性的な感覚を強調しているかのように響いてしまい煩わしいけれど、複数ある辞書上の意味での「感覚器官の働き」の方を想定している……と思ってほしい。
サイダー類の液体がたとえば、あの大小の泡で上唇や口内、舌の先や表面、歯茎、喉をぷつぷつ刺激する感覚や、栓を開けた瞬間の独特の香り、さらにしばらく時間が経って半ば気が抜けた後のごく淡い風味も、甘さも味のなさも、すべてが身体的な神経に作用する。
「海」に収録されたインタビューでは『官能は私の最も苦手とする分野なので』と著者自身が言及していたのを、実に興味深く咀嚼していた。
読み手や作中の語り手が逃げる余地をさりげなく奪い、じわじわと確実に感覚器官に訴えてくるような部分がある、という意味で、この人の作品のいくつかが官能の極致だなーと思う時が私にはあるので。
触発されて、サイダーを飲んだ。
糸魚川駅周辺では「中途半端な時間でも開いている飲食店」を探すのが本当に本っ当に至難の業(どこもだいたいお昼営業は13時半ラストオーダー、また、以降の夜営業だと17時半からとか)で……。
遅めのお昼・おやつを食べたくなる頃にぽっかり出現した「無」の時間、ずっと地面に寝転がって過ごそうかと考えていたところ、開店していた定食屋さんと喫茶店がわずか1件ずつあって助けられた。
こちらは喫茶店の方。
自家焙煎《樵Café》
2段に分かれたカフェ・シェケラートという飲み物の上段を構成する泡、これは牛乳ではなくて、コーヒーを泡立てて作ったものだというから面白いと思った。1時間くらい放っておいても消えず、泡のままらしい。
液体部分と同じ銘柄のコーヒーが泡となって重なっており、さらにグラスの中ほどに浮かんでいる氷も、同じものでできている。コーヒーづくし。
いくつかデザートがあるうち、トライフルが自家製だった。
個人的に「トライフル」といえば苺に馴染みがあって(イギリスでなぜか一時期そればっかり食べていた)キウイやバナナが器に盛られているのは新鮮な感じがし、でもこの生クリームとスポンジの素朴な味わいは組み合わさる果物の種類が違っても変わらないなと思う。
深みのあるキャラメルソースはコーヒーと合う☕
この《オズの魔法使い》でわりと好きなのはゲイエレット姫なんですけど、どうしても「誰それ?」となりがちでちょっと残念
ゲイエレットは作中世界の北方、ギリキンの国に住んでいた賢く美しい姫君で、強い魔力を持っていた存在。
言及している人を見ないのが意外なくらいその重要度は高い。幾度となくドロシーを助けた黄金の帽子……それはもと、ゲイエレット姫の結婚相手であるクェララのために作られた帽子だったから。
ゲイエレット姫は誰からも愛されていながら、彼女自身が心から愛せる者を見つけられず、悲しく思う。
そこである日、人間クェララをルビーの宮殿に召し上げて、ありったけの魔法を彼にかけた。おかげで国中の誰より知恵があり、温厚な人柄で、容姿もすぐれた者として成長した彼を姫は深く愛する。
クェララが翼の生えたサル達にからかわれたと知ったとき、彼女が露わにした苛烈な怒り、それは他ならぬ自分が手塩にかけた「作品のような存在」を汚された憤り。
サル達は帽子の持ち主への隷属を命じられ、もう視界にも入れたくないとすら言われる。
彼女は魔法の力を人助けにしか使わないほど善良だったが、己の誇りを傷つける真似は絶対に許さなかったとみえる。
何らかの「激しさ」を持っているキャラが特に好きです(別にそうじゃないキャラも好きです)
《オズの魔法使い》の作者であるライマン・フランク・ボーム。
彼はNYからアバディーンに引っ越して「大竜巻」のニュースに言及したり、家計のため「陶器」製品のセールスマンとして働いたりしたことなど、自分の経験を巧みに物語の中に取り込んできた。
なかでも印象的な「エメラルドの都(Emerald City)」、その主な着想源となった2つの要素について調べたら面白かった。
まず、1893年に開催されたシカゴ万博の展示物のひとつ、ホワイト・シティ(White City)。
これは、化粧石膏で表面を加工した白亜の壮麗な建物が並ぶエリアの名で、昼夜を問わず全面が太陽か電灯の光のもと眩く輝いていた。
いうなればエメラルド・シティの「色違い」だ。
そして、ドロシー達がそこで装着を義務づけられた、緑のメガネ。
ボームが執筆したコラム《Our Landlady》のとある回を参照すると、なんと緑のゴーグルなるものは実在していて、それは一人の農民が自分の馬にかけさせていたものだった。
どうやら当時、干ばつの影響で飼料の草が足りず、農民は緑色をしたレンズのゴーグルを馬に装着させることで「食べているものが緑の草だと思わせる」効果を狙っていたらしい……。
#マストドン読書部 #本
https://www.chinorandom.com/entry/2023/09/06/192606
@siranai
めいこい、もう大昔(2011年とか……)のアプリゲーム版でプレイしたことあって、結構キャラクターや内容など好きでした!
アニメも放映されていたの全然知らなかったので今度見てみようと思いました🐱
最近足を運んだのは神奈川県の立石海岸と、燈明堂海岸。
それから今月、いきなり新潟県に飛んで糸魚川……日本海側へ。
「石ひろい」にハマりまくっている友達に連れられ、砂利浜に行っていた。波や他の岩石に研磨されてなめらかになった小ぶりな石がそれは沢山、海岸の一角に広がっている。
翡翠(ヒスイ)を産出する土地として名前の知れた場所だけれど、あまり関係なく、ただ岩石って面白いよねというのを肌で感じる試みだった……。
Kindle unlimitedで藤岡換太郎《三つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち》をダウンロードしたり、並行して西本昌司《観察を楽しむ 特徴がわかる 岩石図鑑》を借りてめくったりしていたら、後者で花崗岩の説明に「一見、ゴマ塩おにぎりやサケフレーク入りおにぎりに見えるかもしれません。」とあって喜んだ。
ゴマ塩おにぎりみたいな石!
サケフレーク入りおにぎりみたいな石!
そういう例えが使われていると嬉しくなってしまう。
よもぎ餅や豆大福みたいな石、ハンバーグみたいな石も、ふりかけご飯みたいな石も大好き。
写真は友達が血眼になって魅力的な石探しをしている傍ら、私は体力が尽きたので岩を枕にすやすや眠り、ふわっと目を覚ましたらだんだん足元まで潮が満ちてきていた様子。