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《オズの魔法使い》の作者であるライマン・フランク・ボーム。
彼はNYからアバディーンに引っ越して「大竜巻」のニュースに言及したり、家計のため「陶器」製品のセールスマンとして働いたりしたことなど、自分の経験を巧みに物語の中に取り込んできた。

なかでも印象的な「エメラルドの都(Emerald City)」、その主な着想源となった2つの要素について調べたら面白かった。

まず、1893年に開催されたシカゴ万博の展示物のひとつ、ホワイト・シティ(White City)。
これは、化粧石膏で表面を加工した白亜の壮麗な建物が並ぶエリアの名で、昼夜を問わず全面が太陽か電灯の光のもと眩く輝いていた。
いうなればエメラルド・シティの「色違い」だ。

そして、ドロシー達がそこで装着を義務づけられた、緑のメガネ。
ボームが執筆したコラム《Our Landlady》のとある回を参照すると、なんと緑のゴーグルなるものは実在していて、それは一人の農民が自分の馬にかけさせていたものだった。

どうやら当時、干ばつの影響で飼料の草が足りず、農民は緑色をしたレンズのゴーグルを馬に装着させることで「食べているものが緑の草だと思わせる」効果を狙っていたらしい……。


chinorandom.com/entry/2023/09/

この《オズの魔法使い》でわりと好きなのはゲイエレット姫なんですけど、どうしても「誰それ?」となりがちでちょっと残念

ゲイエレットは作中世界の北方、ギリキンの国に住んでいた賢く美しい姫君で、強い魔力を持っていた存在。
言及している人を見ないのが意外なくらいその重要度は高い。幾度となくドロシーを助けた黄金の帽子……それはもと、ゲイエレット姫の結婚相手であるクェララのために作られた帽子だったから。

ゲイエレット姫は誰からも愛されていながら、彼女自身が心から愛せる者を見つけられず、悲しく思う。
そこである日、人間クェララをルビーの宮殿に召し上げて、ありったけの魔法を彼にかけた。おかげで国中の誰より知恵があり、温厚な人柄で、容姿もすぐれた者として成長した彼を姫は深く愛する。

クェララが翼の生えたサル達にからかわれたと知ったとき、彼女が露わにした苛烈な怒り、それは他ならぬ自分が手塩にかけた「作品のような存在」を汚された憤り。
サル達は帽子の持ち主への隷属を命じられ、もう視界にも入れたくないとすら言われる。
彼女は魔法の力を人助けにしか使わないほど善良だったが、己の誇りを傷つける真似は絶対に許さなかったとみえる。

何らかの「激しさ」を持っているキャラが特に好きです(別にそうじゃないキャラも好きです)

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