【告知】お待たせいたしました!『jem』創刊号、BOOTHにて少部数ですが通販(予約注文となります)を再開しました。一部の記事の版を組み直した関係で、申し訳ありませんが発送予定日は最短で来年の1月8日頃となります。
https://jemsite.booth.pm/items/6279401
【あとで消します】12/28の第90回「読んでいいとも!ガイブンの輪」、参加するか迷っています。行かれる方いらっしゃいますか…?
https://bookandbeer.com/event/bb241228a/
「NEW ATLANTIS」は美学だけでなく強さと理知の感じられるサイトでもあった。幻想文学の愛好家は、ときに過度なナイーブさを露わにしたり社会への意識が希薄だったりする場合もある。しかしある日、木地雅映子『氷の海のガレオン』について肯定的でない評価をしているごく短い記述を読んだときに、――当時の自分が幾度となく読み直していた作品であったにも関わらず――ああ、この人の物の見方に照らせばそう結論されうるのだろうなと、なぜか必然性を感じた記憶がある。あとづけの理屈かもしれないが、自分が惹かれていたのはフラジャイルなものへの志向に回収される部分ではなく、ではそれがなんであったか、というのは言語化するのはためらわれる。けれど確かなのは、「NEW ATLANTIS」はとても意志的で、闇夜の色なのにだから星座が映えるようにまぶしくて惚れ惚れしてしまう、つまり勇敢な少年のように「かっこいい」サイトだったということ。現在は単著もすでに刊行しているライターとして旺盛に活躍されているようで、とてもうれしい。
2006~2009年ごろにかけて、「NEW ATLANTIS」というサイトを愛読していた。当時自分が運営していたブログのトップページから、二年ほどリンクを張っていたから忘れるはずがない。こうして夜中にサイトの名をタイプしてみると、プラネタリウムのような美麗なサイトデザインの記憶がまず無音であざやかに破裂する。鉱物や工作舎の刊行物、少年性の嗜好品。端正な文章で書かれた書物の紹介と、日常の記録。四方田犬彦『摩滅の賦』など、そこで興味をもっていつか読みたいと今も思っている本は一冊ではない。
ウェブサイトがその人のいい部分の詰まっている空間なのだとすれば、その書き手に関心がゆくことは自然であるはずだ。研究など日常の記録もそこにあり、記述から勝手に憶測するに自分と極端に歳の離れた方ではないと知覚され、ますます仰ぎ見てしまうのだった。
@wtnbt シモン!羨ましいです。
公式noteに「〈東方幻想〉の作家たち(に向けてのノート)」をアップしました。創刊号で短篇を二篇掲載し(高山直之さんの流麗な翻訳…)、西崎憲さんや中野善夫さんにも鍾愛される作家、フランク・オーウェンの紹介を兼ねています。
https://note.com/jem_site/n/nd98ad131f952
解除されたのね。良かった。寒空の中、国会前に集まった皆さまお疲れ様でした。素晴らしい。
https://www.theguardian.com/world/live/2024/dec/03/south-korea-declares-emergency-martial-law-yoon-suk-yeol-north-korea-latest-updates
文学フリマで期待とともに購入した『カモガワGブックスVol.5 特集:奇想とは何か?』を面白く読んでいる。
坂永雄一「小さなはだしの足音」は足跡発人類史経由銀河行きという骨太の思索的サイエンスフィクション。後半に至り、虚構内の仮説を誰もが知る童話に接続させてしまう手つきが凄い。ところで、同氏の「奇想的宇宙SFの世界」冒頭ではビショップ「宇宙飛行士とジプシー」が取り上げられていて、小さなはだしの足音よりもずっと小さな声を上げてしまった。この作品はいまだ「SFマガジン」1975年5月号に訳出されたきり書籍に収録されていないが、今まで読んだ限りの浅倉久志の翻訳作では僕にとって文字通り最も愛着のある作品なのである。普通に考えれば本作を「宇宙SF」として紹介するのはいささか無理があるのだが、おそらく書き手はそれを承知で掬いとりたかったのだろう。(つづく)
【お知らせ】Boothにて通販を開始しました!ご注文をお待ちしております。恐縮ですが、イベントとの兼ね合いで発送は最短でも12月3日(火)から行います。ご了承ください。
https://jemsite.booth.pm/
本好き、旅行好き。 海外詩/翻訳文化論/日本文学普及/社会言語学etc.文章のアップはSNSよりも主にブログのほうで行っています。よろしくお願いします。https://air-tale.hateblo.jp/