@Kanata フォローありがとうございます。本全体の感想はまとめられていないのですが、『結晶するプリズム』も楽しく読ませてもらっています。どうぞよろしくお願いいたします。
あの人たちはみんな集められ、調律されて「一つの歴史を生きてきた
アイルランド民族」になるのだろうか 足りない用語は何 フレームを
成り立たせるために 何かを見ようと思えば
フレームなしというわけにはいかない。
もしも私がスクリーンで はためいているとしたら
四つの手描きのプロヴィンスの境で
レンガと木材と
私を守るこの屋根
私はフレームの断片を見つけなければ
そのあたりを歩いてみて 確かめなければ
それらを曲げて合わせられるかどうか 違う設計図に沿って
それから試してみよう 説得すれば
生垣を越えて 戻ってくれるかどうかを
そのとき私は獣の重みを感じるだろう
奴らが ずれた翼にそって もう一度出現するならば。」
アイリーン・ニクリャナーン「捕獲」「英文学評論」95号(2023年5月)池田寛子訳
アイルランド現代詩の宇宙!ぜひ、池田寛子氏の評釈とともにお読みください。
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/282028
II
私が地球ではなく この地球の最近の地図で
生垣に縁どられているならともかく そうでなければもう結構
また競走するのは。学年ごとに子どもたちが
生垣に隠れた校舎で 暗記に励んでいる
アルファベットや語尾変化を 声が遠のいていく
ひとりひとりの名前が読み上げられていくにつれ。
あんなものは地球の影にして ウィンクで雲隠れさせてやる
私の脳内の路には もう隙間がないから
ナメクジと葉っぱの会話を全部聞いておきたいから
でも私がスローエアを追いかければ 音色はどこまでも広がって
大海原を横切って懸命に進む幾艘ものボートについて行く
あらゆるドアをノックして 押し入る
フランスの道をくねくねと進んで
知らない人の奉公に向かう娘たちのそばを通って
外国の戦地にいる息子たちのそばを通って
断頭台で祈るルイ一六世の手を握るあの人のそばも通って
そうするうちに 地球が遠ざかっていく。(つづく)
「カモガワGブックスVol.4」に寄稿した、村上春樹のジャンルフィクションへの言及に着目した論考をブログに公開しました。エリスン、シルヴァーバーグ、ル=グィン、ラヴクラフト、マシスン、ジャック・フィニイ……。英語圏のジャンル小説作家からの影響は、やはり検討するに値するテーマなのかも!?https://air-tale.hateblo.jp/entry/2024/05/10/004930
ヴォンダ・マッキンタイア「火の河」
キャサリン・マクレイン「失踪した男」
ジュディス・メリル編「英国、SFを揺るがす」
ヨゼフ・ネスヴァドバ「忌まわしき雪男の足跡」
キム・スタンリー・ロビンソン「米と塩の歳月」
キム・スタンリー・ロビンソン「ブルー・マーズ」
マーガレット・セントクレア「イドリス・シーブライト選集」
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クレイグ・ストリート「血まみれの男」
シオドア・スタージョン「スタージョン短篇全集全巻」
ジュリー・フィリップスによる伝記「ジェイムズ・ティプトリー・Jr」
ジェイムズ・ティプトリー・Jr「世界の壁を上へ」
ロバート・F・ヤング「ヤングの世界」
チェスター・アンダースン「バタフライ・キッド」
本好き、旅行好き。 海外詩/翻訳文化論/日本文学普及/社会言語学etc.文章のアップはSNSよりも主にブログのほうで行っています。よろしくお願いします。https://air-tale.hateblo.jp/