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翻訳業における、性差でのバイアスからの不均衡や構造の問題について話してる女性翻訳者に、「男女差なんて無い、全て実力だ!」と男性翻訳者たちが噛み付いている様子を見てしまって落ち込んでる……。

単純に印税率や「売れる」訳者さんの話をしてるわけでもないのに、個人の体験を知ろうとせずに、反射的に否定してしまうのは何故なんだろう。

昨日Twitterで感想を書いた本の翻訳者さんにリツイートされたからホームを見たら、「翻訳案件にジェンダー差は無い」との意見をリツイートしまくっていて、朝からどんよりしてしまった。

シャネル・ベンツ『おれの眼を撃った男は死んだ』(高山真由美訳)の文庫本が出たことを知り再読したのだが、これは超おすすめの短篇集。

タイトルからはマッチョな物語を想像するかもしれないけれど、虐げられる者と暴力を見据えながらもハッとするほど美しく繊細で、作品毎にテーマもその描き方も構成も多様な、忘れがたい一冊です。

アンジェラ・チェン『ACE アセクシュアルから見たセックスと社会のこと』

私もアセクシュアル/アロマンティック当事者であり、この社会の強固なジェンダー規範や強制的異性愛から生じる居心地の悪さや面倒と共に生きているけれど、しかし私はAce/Aroである自分自身を否定したり葛藤したりすることが全く一度もなかったので、この本に掲載されているエースの人たちがここまで自罰的に生きざるをえなかった状況と心情には衝撃を受けた。

やはり自分の在り方についての名付けやカテゴリーが有る・分かることは、ものすごく重要なのだなと改めて思う。

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アンジェラ・チェン『ACE アセクシュアルから見たセックスと社会のこと』(羽生有希訳)、読みました。

様々な世代・人種のエース(アセクシュアル)当事者の体験と、その人たちが悩みや困難を経て自身の在り方を見つけていった過程がたくさん紹介されているので、今、同じように不安を抱えている人たちにとっての助けになると思う。

性的惹かれが無いエース(アセクシュアル)の解放は、全ての差別と相容れない社会の実現であり、その時こそ誰もがみんな「フツー」の性愛/恋愛から自由となり解放されることである、というメッセージを強く感じられた。

ただ、基本的人権の尊重すら瓦解してしまっているような今この国の状況を思うと、希望を持つことも難しくて辛い……。

木原善彦さんがご自身の訳書、ギャディスの『JR』に誤植があれば教えてほしいとツイートされているのを見たのだが、読んでいる新刊本の誤字/脱字/誤認に気づくたびに、どうするのが良いんだろう……といつも思っている。

翻訳書だと人名などの誤認は原文がそうなっているからという作者のミスの可能性のほうが高いと思うし、訳者の指摘は一切受けない作者もいると聞いたことがあるから直せなかったのかも……とか、漢字変換ミスや脱字は重版時に改めて校正が入るだろうし、そもそも読者の指摘は求められているの……?
などと考えて、結局は誤植箇所を控えないまま忘れてしまうのが常なのだけど。

でももしかして出版社に連絡する方々のおかげで次の版で修正が入っていたりするのだろうか。

マリアーナ・エンリケス『寝煙草の危険』が読みたいのだけど、表紙の虫が超苦手で買えない😭

この国書刊行会の「スパニッシュ・ホラー文芸」シリーズは函入り金箔押しのとても美しい装幀だけど、この金の線画でもゾワゾワして無理だった。
文章で読むのは大丈夫なのに……。

でも第一弾のエルビラ・ナバロ『兎の島』も、兎が苦手な人にとっては同じように無理だったのかもしれない。

この数日間ずっと、入管法改悪のことや保険証廃止が審議入りのことで気持ちが参っていたのに、更に人権保障への視点がゼロな経口中絶薬の費用のことや、「不当な差別」とかいう意味不明な語が追加されようとしているLGBT法案の話も出てきて、本当にあらゆる方向にヤバいこの現状が辛すぎる

期日前投票、昨日行ってきた!🗳️

しかし選挙のたびに、投票所までもう行けなくなった、うちのおばあちゃんの投票券を処分しているのだけど、それが本当に辛い。

郵便投票の対象範囲を広げてほしいよ、切実に。「要介護5の人からOK」はハードルが高すぎる。要介護3認定の壁もものすごく高いのに……。

そもそも高齢の方だけでなく、様々な心身の状態や住民票の問題などで投票所に行けない人も、投票できる仕組みが早く出来てほしい。投票は権利なのに。

映画や舞台等におけるトリガーワーニングの必要性が話題になっているけれど、自分の苦手要素を語る際にそれを「地雷」と表現するのが本当に本当に嫌いで、見かけるたびにウッ……ってなる。

「飯テロ」も「帰宅難民」も大手メディアのアナウンサーがニュース原稿中ですら使用するようになって久しいから、もはや一般的な表現になってしまっているのだろうけど、絶対に見直すべきだと思う。

信頼していた書き手による二次加害、この数年だけでも何度も見てきたけど、毎回本当に辛い。
こんなのは私の他人への勝手な期待の押し付けでしかないことは重々承知していますが、それでも落ち込んでしまう。

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早稲田のハラスメント被害者の方へ対する、大学関係者や文学者の人たちの二次加害がひどすぎて絶望してしまう……。
なぜ被害者へ向けてわざわざ直接、加害として作用する言葉を簡単に投げかけることができるんだろう。

大学という組織内で起こるハラスメントの構造についての視点を欠いた上に、自身と相手の権力の不均衡も考えないまま、SNSで安易に雑な発信をしてしまう(そして言い逃げする)こと自体が、ハラスメントが無くならない理由と問題を自分たちで証明しているようにしか見えない。

最後の章は「バリケードから投票箱へ」。
昨日の統一地方選のタイミングで読むにはピッタリだった。

ポピュリスト政治家が女性・非白人・移民を叩くのは、経済的不平等の本質から人々の目を逸らすためであり、そして若い世代の投票率を何としても下げようとする動きについても明確に語られていた。

「金権政治にとって最大の脅威は、人々が共通の利害のために連帯し、集団で動き出すこと。
資本主義が利己心と個人主義の上に栄えているのは偶然ではない。
資本主義の擁護者が、利他心や協力といった連帯の精神を笑い飛ばそうとするのも、けっして偶然ではない。」

クリステン・R・ゴドシー(高橋璃子さん訳)

共通の目標に向かいながらも、同時に各人の違いを尊重し、集団の中での権力構造には常に注意深くあるべき、とも。

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クリステン・R・ゴドシー『あなたのセックスが楽しくないのは資本主義のせいかもしれない』(高橋璃子 訳)、とても面白かったです。

20世紀の社会主義国での政策の歴史と失敗における、女性の権利や生活の変遷を紐解くとともに、現在の自由市場がいかに女性の経済的自立を損なうか、という実情が見えてくる。
北欧の民主主義的社会主義の実践なども紹介しながら、あくまで民主主義の中で資本主義とは別の、より良いやり方を見つけて変えていこうという、とても前向きな本だった。

(ちなみに著者は、本書における「女性」という言葉や妊娠する人について論じる際には、トランス女性やその他の性自認を持つ人がいることを忘れているわけではない、と明記しています。)

松村生活さんの『君のためなら生きてもいいかな ハムスターのうにさんと私』を読んだ。

うにさんに普段とは少しでも違う様子が見られた時に、瞬時にあらゆる可能性が頭を駆け巡って、不安と冷静さが混在するあの心情と行動は、家族を介護中の自分にも分かりすぎて辛くなった。

基本的に、今以上に良くなることは無いというか、今のコンディションを保てるように一緒に頑張りながらも、終わりに向かっているという意識はずっとあるので……。

それと病を患う松村さんの日々の暮らしから見えてくる、「合理的配慮」が一向に共有されない日本社会の現実も、改めて本当にしんどい。

私が住む県は現与党への支持がちょっと信じられないほどに強いので、選挙のたびに、何も変わらない結果に絶望してしまう。

実際には多くの人が現政権の政策や方針に根差した苦しさや悩みを抱えているのだと思うが、それが「政治の問題」という意識には何故か繋がらないこと、そして変わる気配も感じられないことに一番気持ちが削られる……。

直近の「少子化対策の財源は社会保険料に上乗せ」という一点においても、与党に入れたらヤバイ!!となりそうなものなのに、何故なんだろう本当に。

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でも期日前投票には、今日なんとか行ってこれました!!🗳️

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鉄欠乏性貧血がぶり返したのか、一昨日から急激に体調がおしまいになった……。
「治療→回復して休薬→(一年後)再び悪化して治療」を繰り返しているのだけど、その度に紹介状無しの初診時負担金が上乗せされるのが億劫というか、けっこう辛い。

さっき夕方のニュースで、政府が出した少子化対策たたき台についてTV局の政治部記者が、「2014年に消費税を8%に上げる際に【子育て支援のため】と公約した予算が守られず、取り組みが不十分のまま来たせいで、過去最低の出生数になっている」などと今さら指摘していた。

最後には「今回の少子化対策の予算の財源は未定だが、増税になるのか、それとも若者が将来負担することになる国債の発行になるのか〜」と結んでいたが、もうツッコミどころしかないよ……日本のメディア、マジでなんなんだろう。

もう本気でこの国はもう未来ないんだな、と思うことばかりで……。

『女神の継承』鑑賞。

タイの小村で信仰されている、女神バヤンを身に宿すニムの姪ミンに起きる怪異を、モキュメンタリー形式で描く。

内容も描写もかなりキツい作品なのだが、女神の依代としての人生を受け入れているニムの在り方、しかし胸に秘めた信仰への揺らぎが垣間見えるところなどは、めちゃくちゃ好きだった。

この作品、(フェイク)ドキュメンタリーの構成と撮り方のクオリティが高くて、更にニム役の方の佇まい・演技が素晴らしいこともあって、特に最序盤の見せ方の上手さには感動した。

ドキュメンタリー撮影という設定によって、ケア・サポートを受けられない若い女性が追い詰められる姿や、田舎の保守的な構造が浮かび上がってくる。
それと同時に、カメラを向ける撮影クルーの無遠慮な視線への嫌悪感、彼らの倫理観に対する不信感が募りに募った果ての、ラストの阿鼻叫喚は凄まじい衝撃だった。
撮影クルーは自業自得とはいえ、あそこまで映し出したのはスゴイ。

赤ちゃんや動物がとても酷い目に遭うのが辛いのだけど、個人的に一番嫌だったのは、憑依されたミンが幼児を突き飛ばすシーン。
かなり本気で胴に手が入り倒れたように見えたし、子供たちの唖然とした顔とその後泣き出す感じは本当にやっているとしか思えず、嫌悪感がすごかった。今思い出しても辛い……

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『キャンディマン(2021)』、とても良かった。

事前知識を何も持っていなかったので、「鏡の前で5回“キャンディマン”と言うと現れる」という都市伝説ホラーかあ、と思って観始めたら、凄惨な黒人差別の歴史と今もなお続く抑圧や暴力について、歴史を紐解きながら現在の論点までを重層的に描く、とても切実な作品だった。

都市伝説としての「その名を呼べ」は、人種差別の犠牲者たちの名前が語られてこなかった歴史のことでもある、とも思った。

エンドロールでの影絵アニメーションで語られる悲惨な出来事に、作品テーマを改めて突きつけられる。

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