アンジェラ・チェン『ACE アセクシュアルから見たセックスと社会のこと』(羽生有希訳)、読みました。
様々な世代・人種のエース(アセクシュアル)当事者の体験と、その人たちが悩みや困難を経て自身の在り方を見つけていった過程がたくさん紹介されているので、今、同じように不安を抱えている人たちにとっての助けになると思う。
性的惹かれが無いエース(アセクシュアル)の解放は、全ての差別と相容れない社会の実現であり、その時こそ誰もがみんな「フツー」の性愛/恋愛から自由となり解放されることである、というメッセージを強く感じられた。
ただ、基本的人権の尊重すら瓦解してしまっているような今この国の状況を思うと、希望を持つことも難しくて辛い……。
アンジェラ・チェン『ACE アセクシュアルから見たセックスと社会のこと』
私もアセクシュアル/アロマンティック当事者であり、この社会の強固なジェンダー規範や強制的異性愛から生じる居心地の悪さや面倒と共に生きているけれど、しかし私はAce/Aroである自分自身を否定したり葛藤したりすることが全く一度もなかったので、この本に掲載されているエースの人たちがここまで自罰的に生きざるをえなかった状況と心情には衝撃を受けた。
やはり自分の在り方についての名付けやカテゴリーが有る・分かることは、ものすごく重要なのだなと改めて思う。