KADOKAWAのヘイト本が発売中止になったということなので、送ったコメントを紹介しておきます。
トランスミソジニーと言うとトランス女性に対する言葉なんですけど、実際は特に若いFT系のX、クィア、ノンバイナリに向けられてきたのも剥き出しのミソジニーなんですよね。私も提訴で顔出したときから、なんぼほど言われてきたかわかりません。
いま、日本の「一般社会」ではトランス女性、MT系、AMAB当事者が話題になりがちですが、トランス男性、FT系、AFAB当事者に対する「正当なトランスであるかどうかの疑い」は、当事者コミュニティ内ですら内面化されてきた根の深い話です。MT系当事者が、トランスであること・シス女性と共通の経験を有していないことで複合的なバッシングを受けるように、FT系当事者もまた、女性として生まれたことで「女こども」ゆえの主体性欠如を疑われ、滑らかな肌や乳房、妊孕性を失うことを必要以上に「惜しまれる」のです。そうした構造は、「男らしい」トランス男性が「男らしくない」FT系やノンバイナリ当事者を攻撃する理由にもなります。
(下に続く)
KADOKAWAのヘイト本翻訳の件、明らかな問題をすでに指摘されてるものをわざわざ…とか、性転換とか伝染とか邦題の悪意…とか言えることはなんぼでもあるけど、「一般社会」ではトランス女性、MT系、AMABが話題になりがちだっただけで、FT系への「疑い」は当事者コミュニティ内でも普通に内面化されてきた話だからなぁ。思春期の女の子はそんなものとかはもちろん、コミュニティで力を持つ年嵩のMT系の人とかも、FT系へのものすごい偏見を普通に垂れ流してきてる(そしてなぜかほとんど問題にされてない)し……。もちろん「男指向」のFTMが「なよなよした」FT系を断罪することも常にあったし。
トランスヘイトってそういう内部が抱えてる差別偏見抑圧と無関係に存在してるわけじゃなく、事実シスのヘイターに当事者が材料を「謹呈」するのもよくある光景なので、この本もそういうふうに使われるだろうと思う。内部のヘイトや当事者間の相剋は(明らかに若い世代で減ってきてるとはいえ)根深いし、今の反ヘイト言説はそこへの着目が足りないと思う。
ふぇみ・ゼミ ベーシック講座第7弾「あなたはなぜ運動しないのか? ーー難しい問題ですね、では変わらない」近づいてきました!
特定の党派・団体だけが「運動」していると誤解している人にこそ聞いてほしいです。元気の出る内容を目指します。
申し込み▶️https://b7fz2023.peatix.com/
ふぇみ・ゼミさんの講座はすべてリアルタイム日本語字幕付きです! 受講人数が増えるほど、不安定雇用の私の財政も助かりますので、なにとぞよろしくお願いします。
🔸スライド鋭意作成中……
画像:作成中のスライドが画面にうつるmacと、その左横で猫用ホットカーペットの上に立っている半長毛のサビ猫
QT: https://fedibird.com/@yugi_y/111431885053341854 [参照]
吉野靫さんの講演会「日本のトランスジェンダーの25年」に行ってきました。
大学の授業の一環でもあったようでわかりやすい内容。
先日の判決の経緯など聞くと、トイレが風呂がといった議論の顔をしたヘイトがいかにいちゃもんに過ぎないかよくわかった……。これまでの法律がいかに人権侵害的だったかも。
障害の社会モデルとの重なりを論じる中で、社会に対する説明や理解を求めるコストをマイノリティの側が払わされているという話が身につまされて、私にはそこが想像と理解の手がかりになると思った。「障害者」として就活する中でめちゃめちゃいらんことまで説明させられまくったばかりだったので……。
紹介されていた映画をちょっとずつ観てみようと思う。
近づいてきたのに全然情宣してなかったので慌ててお知らせします!
来月から「ふぇみ・ゼミ」さんのベーシック講座で、全5回の講座「あなたはなぜ運動しないのかーー難しい問題ですね、では変わらない」が始まります!
昔の話をするということについて色々思わないわけではないですが、ものすごいマッチョで現場主義、実存と引き換えにやるくらいの20代前半までと、その後の裁判闘争、長い自己批判を超えてやっと言語化できるようになってきたところです。
やはり2002年に学生自治会でジェンダーとセクシュアリティの課題に取り組んで成果もあげたというのは珍しいことで、しかし普遍的な悩みもあります。いま新たに何かやろうと思っている若い世代にぜひご参加いただきたいです。よろしくお願いします!!
明日はこちら ↓
大谷大学での公開講座です。お近くの方はよろしくお願いします。
QT: https://fedibird.com/@yugi_y/111298900544076987 [参照]
この件、一晩経ったらどう見ても三橋氏のブログから一気に加害者の「特定」が進み、具体的な名前と写真が溢れてしまってる。いつ事件が起こったかと役職名を書いたばかりにこうなってしまった。
このように断片的な情報を出すのは本当に悪手。すべての段取りを整えてからきちんと公表する形でないと憶測が広がって無関係な人を巻き込むリスクもあるうえ、本当に今挙がっている人が加害者だった場合、被害者が心の準備なく名前と顔を目にしてしまうことになる。ハラスメント対応のリテラシーがなさすぎる。責任とれるんだろうか?
QT: https://fedibird.com/@yugi_y/111335539565850089 [参照]
TGJP性加害問題。被害の訴え→事実確認→加害者「隔離」と除名→関係者に説明→被害者の同意→公表の流れをスピーディーにやれば、今回みたいな事態には発展しないはず。賛同取り下げの様子見てても、複数団体が調整してギリギリまで待っての上だったろうと窺える。声明内容ももちろん納得できるものではない。性暴力やハラスメントは政治性問わず全ての組織で起こる。対応は凄まじい労力を伴うし、安牌であるべき者が日和ったり裏切ったりもする。だから原則的対応を貫ける人は本当に信頼できるということ。経験からは、とにかく初手で加害者を「蟄居」させ、弁解だの根回しだのの機会をつくらせないのが大事だと思う。
そして今、被害者からのメール内容を三橋氏がブログに書いていたと知った。スクショ見る限り、被害者の同意は確認できない。もし被害者に内容を知らせず公にしてしまっていたら非常にまずいと思う。被害内容は被害者の同意した範囲かつ同意したタイミングで公にしないと、容易に二次被害に結びつく(一部の人には言えるが公には知られたくないということもよくある)。TGJPがダラダラしてるのがいけないのだが、いろんなとこで無方針の「糾弾」を始めると、望まない特定にも繋がる。とにかく被害者の合意が明示されてない情報は、安易に拡散しない方がいいです!!
まもなくこちら。
にじーずがデマや中傷で法的措置に踏み切らざるをえないなど、性的マイノリティの子どもの支援も脅かされています。お近くの方はぜひ、応援の気持ちでお運びください。
(さっき何気なく申し込みフォームを開いたら、まさかの性別欄、しかも二択で必須のものが……。ほんまこういうとこやぞ……)
2023年度 岡山市民公開講座(全3回)
各講座 1,000円
対象 18歳以上(高校生を除く)
第2回
性的マイノリティの子どもたち
~学校や社会のジェンダー規範をめぐって~
講師:吉野靫 さん
日時:2023年11月5日(日) 14:00~16:00
会場:岡山県生涯学習センター 情報・創作棟2階 大研修室
岡山県岡山市北区伊島町3-1-1
https://facebook.com/events/s/2023年度-岡山市民公開講座/1473109526814034/
まもなくこちら。
にじーずがデマや中傷で法的措置に踏み切らざるをえないなど、性的マイノリティの子どもの支援も脅かされています。お近くの方はぜひ、応援の気持ちでお運びください。
(さっき何気なく申し込みフォームを開いたら、まさかの性別欄、しかも二択で必須のものが……。ほんまこういうとこやぞ……)
2023年度 岡山市民公開講座(全3回)
各講座 1,000円
対象 18歳以上(高校生を除く)
第2回
性的マイノリティの子どもたち
~学校や社会のジェンダー規範をめぐって~
講師:吉野靫 さん
日時:2023年11月5日(日) 14:00~16:00
会場:岡山県生涯学習センター 情報・創作棟2階 大研修室
岡山県岡山市北区伊島町3-1-1
https://facebook.com/events/s/2023年度-岡山市民公開講座/1473109526814034/
特例法不妊化要件の違憲判断についてコメントを寄せました。有料ですが……。全文が出る前なので簡単なものですが、ヘイトへの言及も載っているはずです。後で紙面を確認します。
私の提訴時は認知度が低いからと記事にトランスの語が使えなかったし、性転換手術という言葉も普通と思われていた。取材申し込みの報道関係者すべて集めてレクチャーを行いました。この10年20年、社会の大きな変化を感じるし、後退もしないと確信しています。
(デカいサムネイル出る方式嫌やな)
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1135961
あわせてのご案内、大谷大学での講演のポスターを学生さんが作成してくださいました。デザイン等もちろんお任せしたのですが、私のパーソナリティを把握してるような出来になっていて笑いました。公開講座ですので大谷大関係者以外の方もご参加可能です。
「日本のトランスジェンダーの25年」
日時 2023年11月9日(木)13:00-14:30(開場12:30)
場所 大谷大学 講堂
主催 大谷大学社会学部現代社会学科
トランスジェンダーについて知るためのブックフェア
丸善キャンパスショップ大谷大学店
期間:10月20日(金)~11月30日(木)
大谷大学社会学部で11/9に講演をするのですが、関連企画として大学構内の丸善で「トランスジェンダーについて知るためのブックフェア」が開催されています!
拙著『誰かの理想を生きられはしない』、共著『マイノリティだと思っていたらマジョリティだった件』、寄稿した『われらはすでに共にある』ほか、充実の品揃えです。関連書籍を実際に手にとって、一気に試し読みできるチャンスです! 関西にお住まいの方はぜひお出かけください📚
◆以下、たぶんすべてあります
・誰かの理想を生きられはしない(青土社)
・マイノリティだと思っていたらマジョリティだった件(ヘウレーカ)
・反トランス差別ブックレット われらはすでに共にある(現代書館)
・トランスジェンダー入門(集英社新書)
・ノンバイナリーがわかる本(明石書店)
・トランスジェンダー・フェミニズム(インパクト出版会)
・LGBTを読みとく──クィア・スタディーズ入門 (ちくま新書)
・LGBTとハラスメント (集英社新書)
・差別は思いやりでは解決しない ジェンダーやLGBTQから考える (集英社新書)
・マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か(集英社新書)
・LGBTヒストリーブック 絶対に諦めなかった人々の100年の闘い(サウザンブックス)
〈続く〉
1、RRR
2、マッドマックス 怒りのデスロード
3、激戦
4、神の一手
5、孫文の義士団(十月圍城)
6、白バラの祈り
7、Vフォー・ヴェンデッタ
8、ヒーロー・ネバー・ダイ(眞心英雄)
9、男たちの挽歌1(英雄本色)
10、マジック・ブレード(天涯・明月・刀)
(たぶん)新しい順になっている。
命がけで戦う女とボロボロになる男の話だけ、ここに挙げてない好きな映画もすべてそうだ。こうして見ると意外に韓国映画が少ないが、全体のレベルが高すぎるから逆に私の中で突出してないということかも。あと余りにガチでおいそれと好きと言えない、民主化運動ものとかは…
禁欲的な方法、リスクの高い行動、精神力を試すやり方、などを好むという点でスーパーマチズモであることは学生運動の中で隠しようがなく周りから指摘もされており、そういう奴が率いても運動を維持できないという激しい自己否定と内省があるからこそ「ショボい運動」を大事にしようと思うようになったし、(名乗らないが)フェミであり続けようという気持ちに繋がっている…
静岡家裁の特例法判断について、トランス排除派は本当に低い解像度で「批判」やってるのだなと驚いた。いわゆるFTMだと外性器形成なしで閉経後に戸籍変更したケースが既にあるのだが、この件に関する反応を見ていると、活発に当事者に絡み、仲岡弁護士に説教?するようなアカウントですらそれを知らないのだ。さらに「手術してないのに"望む性に近似した外性器"になっているとは?」と混乱しているが、これはテストステロンが身体にもたらす極めて基本的な変化もわかっていないということ!
もちろん、FTMの外性器の「見なし」について、法律制定初期に家裁によって判断が分かれたことも知らないだろう。望む性の外性器に近似させることを法律で定めたはよいものの、テストステロンによる変化を「これなら"男性器"っぽい」「いやそうでもない」と裁判官の価値観で揺らいだというのが実態。だからナンセンスなのだし、法律で性器の形状を決めることは「標準」に力を与えてしまうことだなのだ。
それにしてもこの程度の「批判」だから効力がないんだなーとよくわかった。
これは古い論文だが07年時点の特例法周辺について書いた。ちょっとだけ直したものは単著にも収録している。
https://www.r-gscefs.jp/pdf/ce04/yy01.pdf
@RuWeng1987
多謝! 我愛港産片🇭🇰
今日は中秋の名月らしい。
イチオシの中秋の名月映画と言えばなんといっても『激戦』(2013、香港・中国)。
挫折と再起あり、鬱のしんどさあり、筋肉あり、恋愛化しない男女あり、名子役あり、さらに少しのクイアみまであるのに、迷走せずに成立している傑作。公開時神戸まで行って号泣した思い出。しかも劇伴もめちゃいいので.....アラフォー付近にはかなり刺さるはずで、大型犬系男子とかわいいオッサンが好きなひとにも間違いなく刺さるはずで......
監督ダンテ・ラムはキャラクタを追い込んで困難の鶴瓶打ちにするので『ビースト・ストーカー』『密告・者』あたりは観る側にもかなり緊迫感があるが、これは滅多にない後味ではないか。近年は大陸資本の国威発揚大型アクションばかりで寂しいのだが......
写真1、勤務帰りの立命館のバスターミナルから見えた満月
写真2、『激戦』の香港版ポスター。筋骨隆々のニック・チョンとエディ・ポンと、「怖れれば人生すべてを失う」「お前のリングに上がれ」というキャッチコピーが書いてある。
〈続き〉
『出産したパパ』(2019、英)
子どもを産むことに決めたトランス男性のフレディ。ホルモン投与をやめ、いくつかの破綻を経験しながらも出産へ向かう。子どもを望む気持ちと受け入れ難い身体の苦痛はどちらも真実で、誰かとの関係の中でではなく、個人の選択として出産を選ぶのが本作のポイントか。ただこういう作品を観るときは必ず、産みたいひとは産めばいい/どうしても遺伝的な子どもでないといけないか? の気持ちが同時にある。相当の条件が揃ったひとにしか実現できない話だということも。
海外短篇集の中からひとつ『GMT+9』(2022、ドイツ)
サキとマキ、終わりつつある2人が互いに語りかける形で物語は進む。生育環境、実家の経済状況、譲れないプライド、すれ違いの原因はよくあることだが、環境を変えてもそのズレが埋まるわけではない。不本意な別れに際して相手に少しの傷を残そうとする独白の応酬が、ザラリと苦い後味を残す。
今年は〆切等で首が回らず、4プログラムの鑑賞でした。スタッフの皆さん、ありがとうございました。
関西クィア映画祭2023で観たものの感想
『私たちの場所』(2022、インド)
劇場公開されるRRRやランガスタラム、KGF、PATHAANでは描かれないが、これもまたインドの姿。2人のトランス女性の部屋探しを軸に、トランスが受ける普遍的な差別や日常的な傷つきを極めてリアルに拾い上げる。クソみたいな奴、いい感じの友人、興味本位の人間…。そこに暴力はあるが救ってくれる英雄はいない。隣り合って生きる人々の少しずつの厚意が不安定に明日を繋いでいる。困難を描きつつ連帯の可能性や力強さも感じさせる名作! RRRでインド映画に興味を持った人にも是非観てほしい。
『ココモ・シティ』(2023、アメリカ)
セックスワークで生計を立てる黒人トランス女性4人が次々とまくしたてる。客として来るのは「イケイケ」の黒人男性や妻子持ちも多いこと、そういう客に限ってボトム(「ウケ」)であること……そして黒人の客ほどトランス女性との関係を隠したがること。もちろん背景には黒人社会の男性性信奉や同性愛嫌悪があり、黒人社会で女性に性別移行することの困難や路上暮らしに追い込まれる理由とも関係する。語りは極彩色だがフィルムはモノクロ。なお出演者の1人はこの4月に命を落としている。
〈続く〉
旧ツイッターも広報用として残してありますが、最終的にどこに移行するかは決まらず……向こうの投稿を転載することもあります。
『誰かの理想を生きられはしない とり残された者のためのトランスジェンダー史』(青土社)、共著『マイノリティだと思っていたらマジョリティだった件』(ヘウレーカ)、『反トランス差別ブックレット われらはすでに共にある』(現代書館)等。出版物、掲載情報、イベント出演などをお知らせします。web上で読める寄稿、関連HPは上のリンクからお願いします。
何かあるとすぐさま強烈に異議申し立てするたちなので、なかなか安定雇用に至りません。寄稿、連載、講演のご依頼もいつでもお待ちしています。