(承前)
昨日、立岩真也botのお陰で、ジャニスへの言及があることを偶然知った。「彼女は、このコンサートのあった1967年に最初のレコードを出しているが、それは売れなかったのだそうだ。で、このコンサートの「ボール・アンド・チェイン」で有名になった、ということのようだ。(…)その声と、跳ねて、というよりはかかとをサンダルから浮かせ、小さく膝を曲げて、そして膝を伸ばして、足を真下に蹴るようにして、歌う姿は、しんに心揺すぶられるものがある」。
俺が少年に送ったリンクも完全にそれだったんだけど、結構いいセンスしてるだろ? じっくり音楽の話なんかする暇もなかったし、駒場の自治会の話も全然してくれなかったね、もっと時間があると思ってたよ
https://youtu.be/X1zFnyEe3nE?si=0lG11hqycz1MdD1W
立岩真也追悼記事が続々と出ているが、読むのには勇気がいる。私の中ではシュレディンガーの立岩真也があって、あの北山の違法建築を訪ねて窓を開ければ、普通に座っていて「ああ、吉野」と言いそうな気がしている。死に顔まで見たのに不思議なものだが、窓を開けてみるまではわからないという感覚がある。この脳内で完全に再現できるイメージを、過去や思い出という決定的な方向に処理することを躊躇っている。
一方で助手の事務は、常に彼の死を前提に進んでいる。担当教員が立岩真也の院生の処遇、担当が立岩真也のプロジェクトの対応、書類のサインやハンコ、………
盆に立岩邸を訪ねたとき、社会人院生とその息子さん(17才)も来ていて、年季の入ったレコード棚を一緒に見た。ストーンズ、ビートルズ、ボウイ、キース・ジャレット、ジャニス・ジョプリン、ジミヘン、T・レックス(クィーンやラモーンズ、ピストルズはなかったな)
まぁ少年はビートルズくらいしか知らないわけで、どれか聴いてみたいなというのでジャニスのリンクを送っておいた。10代男子、カッコいいオトコの曲はこれからいくらでも聴けるので。(続)
@otonashi_haya
音無さん、コメントありがとうございます。私は昔から氏の調査が苦手ではあったのですが(FTMの過剰な「男らしい仕草」を話し手と一緒に笑う描写など)、明確な名乗りがある当事者の扱いについては本当に問題があると思います。調査者が(実質話していることがほとんど同じだな)と思っても、ノンバイナリと無性とXジェンダーの当事者を、同じアイデンティティとしてまとめてはいけないわけで。
noteのテンションも、己の無謬性を前提に書かれているような印象を受けてかなり苦痛でした。私は「みんなも大丈夫だよ」とか「生き延びようね」みたいな位置からは決して話せないですね。過去の投稿を見ていただければわかるように、責任の持てる個としての「提案」にとどめるようにしています(というか、自然とそうなります)。
(承前)
あのとき鶴田さんは既に専任で私はただの院生であり、明石書店の本に収録されてしまったその記述についてわざわざ編集部に連絡をとり、先方の見解も聞いたのだが、「トランスと性同一性障害の使われ方は過渡期にある」というような、釈然としない弁明しか返ってこなかった。当時非常に重い鬱であった私は、やりとりを継続することができなかった。
鶴田さんが「正規医療」側の医師と診察を参与観察できるような関係まで築いており、「ひどい裁判だったらしい」「手術にリスクはつきもの」と傍聴にも来ずブログに記述するような「大御所」と懇意な状況にあると知っていた私が、あれ以上なにをすることができたろうか?
あのときは自分も苦しかった、ということで済まされるのであれば、それは研究者としても人間としても誠実な態度とは言えないだろう。自分は新天地に逃げられても、過去の言動はここに残されている。そういうキャラクタとして日本での研究者を演じたならば、最後のセリフまで述べてから舞台を降りてほしい。
(長文)
早い時期からトランスジェンダー(特にFT 系)のエスノグラフィーを手がけてきた研究者の鶴田幸恵さんが、新たにnoteを始め、カナダに移住した経緯やご自分の背景を語り始めたことを知った。
非常に複雑なアイデンティティを持ちながらそれを抑圧し/させられてきたようだが、なぜそれだけの苦労をしてきたはずの人が、かつて私のことを「性同一性障害の吉野靫」と学会レジメや論文で記述できたのか、それは何年経っても引っ掛かっているし、当時は十分に傷ついたし、どうしても解せない。
そもそも私は「自分にとって性同一性障害は便宜的なもの」と公言していたのだし、「性同一性障害の診断を受けたことを明らかにしている吉野靫」と、「性同一性障害の吉野靫」が全くの別物であることくらい、明確にわかっていただろうに。そして正規医療で事故に遭い、裁判で被告から「壊死は原告が術後に不適切な生活をしたせい」と主張され、古参の当事者から激烈にバッシングされた私にとって「性同一性障害」の語がどういう意味を持つかくらい、簡単に推し量ることができたろうに。
(続)
各書店や注文した方のお手元に『われらはすでに共にある 反トランス差別ブックレット』(現代書館)が届き始めているようです。増補分の私のエッセイは手紙形式。昔は活動してたんだけど…若いときは頑張っていた…と思うことがある同世代の方へ、「ご機嫌いかがですか」。すでに読んだ方からは、拙著の「はじめに」の続きとしても読めるという感想をもらいました。
書き始めるときには歌や詩、映画のフレーズから着想を得ることが多いのですが、今回は中島みゆき「御機嫌如何」と、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でした。中島みゆきは人生の殆どの局面に対応していると思います。
https://youtu.be/MjVwVyM7XAk
これは「なぜそのセリフがそこに入るのか??」ということを考え始めると、なかなか怖いような歌でもあります。
立岩真也用の献本が宙に浮いたことを受け止めかねたまま、今日で大学の一斉休暇も終わりです。
本日ふぇみゼミの講座「ポスト#MeTooの反性暴力運動」の第一回「ジャニーズの性暴力問題」で性加害当事者の会代表の平本淳也さんと話します。
基本平本さんに耳を傾けながら、
・芸能界の就労の問題
・メディアと芸能界の癒着
・性暴力被害に関する法制度・セラピーなどのケア
といった話もしたい。
https://postmetoo.peatix.com/
エトセトラ Vol.8の特集「アイドル、労働、リップ」(和田彩花さんと共同で特集編集)ではあまり掘り下げられなかったものの、男性被害に限らず、女性や、ノンバイナリーやジェンダークィアの人々とも、文化・芸術産業からエンパワーされてきた人たちとも関わりあると思います。
春に行われた、振付師で、現在基本的に女性向けながら、アイドルの心身のケアとしてのトレーニングやセラピーなどに取り組む竹中夏海さんと、和田さんとのトークでの内容も、芸能界での働き方という点から、ジャニーズ性加害問題と通じると思う。以下の記事など参考にしてみてください。
https://dot.asahi.com/articles/-/190664
芸能界なんて浮ついた、とせず、フェミニズムに関心ある人にぜひ参加してほしい。
@moriteppei
休薬期間以外のところで、次の注射までに効果切れそうなとき補助的に使うとよいようです。アルコール強いので繊細な部分に塗るときは気をつけてください!
前は一箱3000円ちょっとだったんですけど、物価高騰の煽りでかなり値上がりしていますね……
@moriteppei
またもや横からお節介すみません。
忙しくて病院に行けないときなど、ホルモン療法中のFTMはこうした製品を使ってしのぐことがあります。
https://okusurinavi.shop/detail.php?pid=231
血中濃度を安定させとくことが大事なので、補充療法の補助に使っている男性もいます。ご参考までに……。
@moriteppei
よかったです! ここで売ってないものについては、出版社に連絡したら電子ファイルを送ってもらえるようにしてあるんじゃないかと思います。
@moriteppei こんにちは。
英語版の電子書籍に日本語版第二版のファイルも同梱されています。お役に立ちましたら……。
http://www.arsvi.com/ts/2016b2-j.htm
16年におよぶ付き合いの中で、立岩さんは私の性別を一度も間違えなかったことを付記しておきます
QT: https://fedibird.com/@yugi_y/110814568457519276 [参照]
〈Twitterより転載〉
報道にある通り、立命先端研の教員、立岩真也さんが亡くなりました。厄介な病気とは知りつつ、何日か前まで普通にメールもあり、本人もずっと戻ってくる気でいたと思うので、この事実を受け止めかねています。
2006年、医療訴訟と生活を両立させるために、先輩に勧められて立岩さんに会いました。だから彼を研究者として評価するとか学問への憧れということとは距離があり、ただ助成金書類を書いて食い繋いだり、危ない精神状況のときに話を聞いてもらったりすることに関して世話になっていました。本当に変な人でしたが、立岩さんも私を変人だと思っていました。だからこそ先端研で博論を書くことができたし、激しい浮き沈みの中で本を出すこともできました。
まだ思い出を語るような段階ではありません。立岩さんに関するURLを置いておくので、その人となりに触れてもらえると私も嬉しいです。
・カライモ学校 吉野靫×立岩真也
『誰かの理想を生きられはしない
とり残された者のためのトランスジェンダー史』刊行記念トーク
http://www.arsvi.com/2020/20201103yy.htm
・東京大学REDDY連載「生活するトランスジェンダー」第8回「悩みはいばらのように降りそそぐ」
http://www.reddy.e.u-tokyo.ac.jp/act/essay_serial/yoshino.html#20220126
🔸日本語ユーザー向けに……
私が子どものとき繰り返し読んだのは『ヒロシマのピカ』『 わたしがちいさかったときに』です。原爆に関する優れた絵本は本当にたくさんあるのでこれを機に手にとってみてください。
お近くの方は丸木美術館に行ってみるのもよいと思います。私は行きたいと思いつつ機会がなく未だに行けていません。
https://marukigallery.jp/
〈旧?ツイッターより一部転載〉
#NoBarbenheimer 関連で、これを世界の人に知らせないのはとても勿体ないので紹介。
75言語対応のヒロシマ・ナガサキ関連のデータベース。世界で読める3500以上の文献を探せます。
🔸Hiroshima and Nagasaki:
A Multilingual Bibliography
→https://linguahiroshima.com
🔸"The Aim of Our Project
In 2014, a year before the 70th anniversary of the atomic bombings of Hiroshima and Nagasaki, we started our survey and research into the multilingual publication of atomic bomb literature. Our goal is to make a comprehensive survey into the process of worldwide acknowledgment of Hiroshima and Nagasaki for 70 years."
旧ツイッターも広報用として残してありますが、最終的にどこに移行するかは決まらず……向こうの投稿を転載することもあります。
『誰かの理想を生きられはしない とり残された者のためのトランスジェンダー史』(青土社)、共著『マイノリティだと思っていたらマジョリティだった件』(ヘウレーカ)、『反トランス差別ブックレット われらはすでに共にある』(現代書館)等。出版物、掲載情報、イベント出演などをお知らせします。web上で読める寄稿、関連HPは上のリンクからお願いします。
何かあるとすぐさま強烈に異議申し立てするたちなので、なかなか安定雇用に至りません。寄稿、連載、講演のご依頼もいつでもお待ちしています。