『情報分析力』(小泉悠)

その分析・情報資料を求めている人に向けて、インフォメーション(生情報)をインテリジェンス(役立つ分析・情報資料)に変換するために、分析者はなにをするべきなのか――。
本当に重要なエッセンスだけ取り出すとまあまあありがちなビジネス書っぽいことになってしまうんですが、具体例がとにかく著者にしか出せないロシア事例でフックに富んでいる。本書から得られる教訓を一言で表すなら「相手に合わせて具体で語れ」ということになろうが、それが遺憾なく発揮されていた。
読み物としても面白かったです。

『ChatGPTを使い尽くす! 深津式プロンプト読本』(深津貴之)

家族に生成AIの使い方をシェアするために教科書的に読んだ。生成AI側に何かをいったん評価をさせた上でさらにその評価に則って生成AIをさらに動かすというような使い方は知見だった。

ジャンルの入門とジャンルの傑作が異なることは往々にしてあって、その意味で、私はキース・ジャレットの『ケルンコンサート』の傑作性をまだわかってないんだよな。

わたしはFedibirdに毎月寄付を行っております。

よしざき さんがブースト

BT MastodonもUS選挙以降、Xからの引っ越しと思われるユーザー増が続いているそうです。また、今年Mastodonは2人フルタイムの人員を新たに採用し、5人チームになったとか。

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tofubeatsの10thアニバーサリーライブ、最高でした。アンセムでブチ上がるのは言うに及ばず(「ふめつのこころ」のアガり方スゴすぎた)、「水星」のイントロでサックスにチャレンジするtofubeatsにミュージシャン魂を感じました。
それで、ゲストの藤井隆と森高千里よ! 藤井隆のハイテンションな盛り上げ方はベテラン過ぎたし、ダンスの動きのニュアンスが多いのよ! それで客席を煽ってみんなで手を振る一体感が気持ちよかった。森高千里はいくつになってもお綺麗で。二人がtofubeatsにバースデーケーキをプレゼントするサプライズもあり、ボリューミーで最高のライブでした。
ライブ、デケえ音とビカビカの光を浴びながら踊り狂うのは原初の快感がありました。

『Candy』(Chet Baker)

「Bye Bye Blackbird」モク。Chet Bakerが歌うトランペッターだってのは知識として知っていますが、実際に「Candy」で普通に歌うのいいっすね。

『The Bill Evans Trio "Live"』(Bill Evans)

1曲目「Nardis」と2曲目「Someday My Prince Will Come」はメロディー・展開とも分かりやすいおかげである意味ではポップなのだが、3曲目「Stella By Starlight」からいきなりフワッとした感じになる。5曲目「'Round Midnight」が箸休め的に聴きやすい。不思議なライブだった。
「Someday My Prince Will Come」はタッチの強弱が変化していくのが面白いですね。

『Bye Bye Blackbird』(John Coltrane)

ジョン・コルトレーンの奔放に歌心溢れるサックスもさることながら、マッコイ・タイナーのピアノがよく支えている。力強い。

『テーマからつくる物語創作再入門』(K. M. ワイランド)

本書は、テーマ・プロット・キャラクターの三者の融合によって物語を創作することを志す。三者のどれかにフィーチャーした脚本術は数多くあれど(自ずと融合を論じることになった脚本術もいくらかあれど)、最初から融合それ自体を目標として語るのは初めてお目に掛かった。三者の融合を語るために、読者には前提知識を求められるが、ある程度の脚本術を読んだ人には強く勧めたい。
テーマ・プロット・キャラクターの融合は言うに及ばず、脇役の作り方、サブテクストの深め方、シンボリズムによる意味の表現の仕方、テーマ(抽象)とメッセージ(具体)の行き来の仕方など、前提知識の要求水準が高い分だけ、高度な議論がなされる。
私は同著者の『ストラクチャーから書く~』を脚本術のバイブルとし、適宜に『アウトラインから書く~』を眺めているが、『テーマからつくる~』は新たなバイブルになると確信した。
さしあたって、本書のチェックリストを自分のノートに転記した。あとで埋めよう。

ガチでお勧め。
filmart.co.jp/books/978-4-8459

フィルムアート社のカクヨムに要約もある。まずはそちらを読んでもいいかも。
kakuyomu.jp/works/117735405519

『テーマからつくる物語創作再入門』(K. M. ワイランド)かなりアツいです。
本書は、テーマ・プロット・キャラクターの三者の融合によって物語を創作することを志しています。三者のどれかにフィーチャーした創作論は数多くあれど(そして、自ずと融合を論じることになった創作論もいくらかあれど)、最初から融合それ自体を目標として語るのは初めてお目に掛かりました。三者の融合を語るために、読者には三者に関する前提知識を求められるのですが、ある程度の創作論を読んだ人には強く勧めたい。
テーマ・プロット・キャラクターの融合は言うに及ばず、脇役の作り方や、サブテクストの深め方、シンボリズムによる意味の表現の仕方、テーマ(抽象)とメッセージ(具体)の行き来の仕方など、前提知識の要求水準が高い分だけ、高度な議論がなされています。
私は同著者の『ストラクチャーから書く~』を創作論のバイブルにして、適宜に『アウトラインから書く~』を眺めているんですが、『テーマからつくる~』は新たなバイブルになると確信しました。
ガチでお勧めです。
filmart.co.jp/books/978-4-8459

フィルムアート社のカクヨムに要約もあるので、とりあえずそちらだけ読んでもいいかも。
kakuyomu.jp/works/117735405519

『十二人の怒れる男』(シドニー・ルメット)

凄すぎる……。陪審員のために集まった12人が、容疑者を有罪か無罪か話し合いで決める密室劇。当初は有罪が圧倒的優勢だったが、話し合いが進むにつれ、形勢が変わっていく。
12人(しかも、それぞれに役名すら与えられていない)がずっと口角泡を飛ばしている絵面が続くのに、まったく目が離せない。12人それぞれの人間心理が変化していく様がありありと見えた。これは凄いですよ……。

『Undercurrent』(Bill Evans & Jim Hall)

ピアノとギターのデュオ。二つしか楽器がないはずなのに、空間に音が満ち満ちている。和声を操れる楽器の可能性を体感した。

『バイバイ、ブラックバード』(伊坂幸太郎)

借金やらなんやらで「あのバス」という死を予感させる存在に乗せられることになった、5股(!)男が女たちに別れを告げに行く話。
興味深かったのは本編よりも付録の伊坂のインタビューで「短編なのに長編の書き方をしてしまう」と述べていたこと。物語を構成するリズムが長編向きなんでしょうね。確かに、長編の方が冴えている。短編集は連作だったとしても切れ味がマチマチ。伊坂ほどのエンタメ作家でも、得意不得意が明確にあるんだな、と。でも、得意な型(ハメ手)に持って行って面白い話を作れる。
アマチュアの書き手としては、なんだか肩が軽くなったように感じられた。オールラウンダーにならなくていいんだって。

『三谷幸喜 創作を語る』(三谷幸喜/松野大介)

面白いっ! タイトルの通り、三谷幸喜が創作を語る(半生を振り返りながら)のだが、聞き手の松野大介が素晴らしい仕事をしている。二人が共通言語を有しているおかげで、テンポ良いインタビューになっている。
三谷幸喜の「制約から話を作る」というスタンスは、なるほど勉強になる。1時間ドラマはCMが挟まり、映画には尺や映画の作法がある。その制約がある中で表に出る脚本(映像)のウラのお話、厚みをどれだけ作れるかが勝負なのかな、と。

次の〈自分の小説〉は、『DIVE!』(森絵都)みたいな話を、舞台芸術でやります。

『スポーツクライミング教本』(東秀磯)

新しいチャレンジ、ボルダリングをしようと思って、まずはその教本を読みました。とにかく壁にくっついて、とにかく身体の重心と壁の支点(ホールド)との距離を意識して、「てこ」を作用させる。あとは実践してみよう。

『サキの忘れ物』(津村記久子)

半年ほど前に出先の図書館で読みかけになっていたのをようやく読み終えた。表題作のは、善意と悪意と無関心の三者のバランスが絶妙だ。このバランスがピタッとハマった時の津村記久子は、本当に氏にしか出来ない味わいを出してくれる。
ウワーッ……と感じたのは「喫茶店の周波数」。店を畳む数日前の喫茶店にやってくる人々の姿を描出する。閉店間際の喫茶店というやや特殊な環境に置かれることで、彼ら彼女らの人間性(ある意味では、醜さ、と言ってもいいかもしれない)が誇張される。その具合が何とも言えず不快で、その不快感こそが津村記久子の小説の魅力である。

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