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『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』(鴨志田一)
よしざきがえろざきだった高校生の頃、年上の先輩キャラのが好きだったことを思い出しながら読みました。過剰に熱っぽい主人公、咲太くんの気持ちになってあげるのは難しかったけど、やれやれ系よりはぜんぜん教育的なラノベだと思いました。彼のエロガキ言動はともかく、熱っぽい性格は素直に誉めポイントです。
ライトSF的には、不可思議な現象をすべて「思春期症候群」なる説明不能のブラックボックスに押し込んだ上で、個別の現象に対しては物理のそれっぽい風味の説明からアプローチしてあげる(そしてその説明をきちんとお話の根幹にも繋げる)というのはよく設計されてるなと感心しています。

『難解な本を読む技術』(高田明典)
難解な一冊のための技術というよりむしろ、思想を体系的に学ぶための技術といった感がありました。読書ノートをとる技術を学ぶために読んだんですが、一冊のための読書ノートというよりは、複数の本にまたがった思想のための読書ノートでした。「地図を作る」「読書ノートは外形を作ってから埋めていく」あたりのテクニックが有用か。

『大渦巻への落下・灯台』(エドガー・ラン・ポー)(新潮文庫版)
「灯台」が印象に残った。未完がゆえに想像力をかき立てさせる余白があった。「大渦巻への落下」は、漁師というおおよそ当時の科学からは遠かった人物に物理学的な説明をしたところが新しかったのだろう。

『モルグ街の殺人・黄金虫』(エドガー・アラン・ポー)(新潮文庫版)
探偵小説の原型が詰まった一冊。現代の読み手からすると荒削りと思わざるをえないのだが、「黄金虫」は出色。詩的な暗号小説だった。

『それってパクりじゃないですか?(2)』(奥乃桜子)
知財関係の方はところどころ首を傾げるところあれどまあまあ読みどころがあった(肝心の阻害要因は気付けよって思うし、中国語に堪能な代理人はお話のために出した唐突感があった)。全体として男女関係が占める紙幅が増していたのだが、そこがつくづく微妙で、全体として微妙な読み心地。
それはそれとして、知財部員には審査基準を読み込んで欲しいですね(これは弊社知財部員への恨み節です)。

『それってパクリじゃないですか?』(奥乃桜子)

知財部のお仕事モノとして良く出来てました。法律上のトラブルとしてありそうなケースを網羅してる印象。男女関係とかその辺のお話は普通……。

『人間の土地』(サン=テグジュペリ)

数年ぶりに再読。何度でも読むに値する書。
この書の小説技法が優れているとは私は決して思わない(何度読んでも比喩にピンとこないところがあるし「人間」の章はほとんど主張を書き連ねるばかりである)。しかし、この書が伝える人間の生き様は、その欠点を補って余りある。僚友との友情、難破に際しての勇気(いま砂漠で苦しむ難破した飛行機乗りたちと彼らの帰りを待つ人々との立場の転倒が面白い。普通であれば前者「を」後者が励ますところを、本書では前者「が」後者を励ますのだ。なんと力強い飛行機乗りだろうか!)、それらが何とも心強い。

『読んじゃいなよ!』(高橋源一郎)
元気になる一冊でした。

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