新しいものを表示

2023年4月22日
『仕掛人・藤枝梅安2』を見た。
池波正太郎生誕100周年。原作未読。
一作目と違って肌の露出はないが、相変わらず手篭めシーンが多くてエグいな。わたしは梅安先生の脛をもっと見たかったです。
二作目の悪役は掘り下げが皆無でただの畜生だったので、胸糞悪いだけで見ていてあんまり楽しくなかったです。掘り下げる価値もないという、製作者の判断なのでしょう。
一作目の引きが、梅安先生の相方の彦さんの仇発見というものだったので、二作目は彦さんの話かと思いきや、今作もしっかり梅安先生のお話でした。
そこが梅安先生の基盤となっているのですが、梅安先生の女の体への嫌悪と希求をどう受け止めたものか。

行燈の揺れる頼りない灯りに仄照らされる暗い部屋で、もそもそ食事してるシーンが素敵です。彦さんとの最期の晩餐的なシーンが最高。
夜中に二人で林に死体を埋める場面なんかは、お手本みたいな出来で100点満点だと思います。

『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』を見た。ゲーム未プレイ。
これ楽しかったです。要素要素がカチカチはまって連動して、ピタゴラスイッチ的な快感があった。お話的にも負け犬たちが寄り集まって、一瞬本物の英雄になるといった王道の展開を軽快に説得力を持って展開してくれてた。

僕は詐欺師のフォージおじさんが好きですね。身振りが演技がかってて顔が良くてですね。全力で小悪党で最後失敗してくれるから憎まずに済んで。んで、顔がいい。
フォージおじさんがキーラを手元に置いて養育してたの、帰ってくるエドカンへの対策もあったと思うのですが、歪んでて自分でも気付けてないけどキーラへの情もあったと思うんですよね(妄想)。

『BLUE GIANT』を見た。原作未読。
登場人物がジャズと言っているのだから、今演奏してるのはジャズなんだろうなあ、というぐらいわたしは音楽に疎くて。だから演奏の巧拙も分からなくて、画面の中の観客の反応で判断するしかなくて。
サックスの人とドラマの人の見分けも付かなくて、演奏シーンのモーションキャプチャーの動きが気持ち悪くて、人生や生活を賭けるほど熱狂するものをわたしは持ってなくて。
それぐらい、画面の中の出来事とわたしとには隔たりがあったのですが、それでも演奏たくさん聞けて楽しかったなあ、という感触はありました。
ポイントポイントで未来視点の過去回想が差し込まれていてとても不吉な感じがしたのですけれど、あれ何なんでしょう?

んで、とんかつDJアゲ太郎は東京の下町の子だから、家業の手伝いはしなければならないけれど生活費のためのバイトはしてなくて、大学に進学しなくても東京に住んでて、でも東京の文化に接点が薄くて、なんてことを見ながら思ってたりもしてました。

2023年2月26日
『別れる決心』を見た。
刑事と被疑者の恋愛物、でいいのかな。
「僕は完全に崩壊しました」の続きがあってびっくりだよ。刑事さん主観で話が進むので、被疑者が何を考えてるのかいまいち掴みかねるところがある。
スマートフォンとかのガジェットをガシガシ使ってるのが興味深かった。
細かいことだけど、車を運転しながら髭剃ったり通話するのは、個人的に止めて欲しかった。気が散るがね。
主人公の刑事さんが異動になった後、プサンでのへっぽこ後輩刑事のことは欠片も思い出さないので、元来薄情な人やなと思いました。本人も、終わったことは忘れることにしてるって言ってたしな。

2023年2月20日
『仕掛人・藤枝梅安』を見た。
池波正太郎生誕100周年。原作未読。
画面が暗くて、光は障子越しのように柔らかい。
濡れ場までの展開が早くてビックリする。
「女は怖いねえ」と言いながら、男の性欲が全ての元凶だったな。フーダニットの趣きもあった。
梅安先生と彦さんが付かず離れずの友だちで良かった。暗いところで向き合ってもそもそ食べるご飯が美味しそう。
梅安先生がとにかく美しく、塀を駆け上がるシーンのお姿が良かったです。

2023年2月12日
『THE FIRST SLAM DUNK』を見た。
とてもいい試合を見た。ひとつひとつのシュートに意味があって、手に汗握る試合でした。特に終盤の展開なぞは、息をするのも忘れるぐらいでした。
カメラがコートの中まで入っていくので、選手の目からこう見えてるのか、とアニメならではの感動があったと思います。
試合そのものが魅力的で物語があったので、その試合の背景となるプレイヤーの物語は果たして必要だったんだろうかという根本的な疑問が生じてしまい。
この『THE FIRST SLAM DUNK』に関しては、本当に素晴らしい試合だったので、この作品には登場人物の物語は不要だったとも思うんですよ。でもまあ、人は物語を欲する生き物なので、基本的には要るんでしょうね。

とにかく、絵が動いてた!
小学生のちっちゃい子の細い手足にだぼだぼの服が堪らんかったです。

2023年2月12日
『金の国 水の国』を見た。
良かった。上品だった。登場人物が賢いので、諍いがスパンと治った。
布の質感の違いをセルルックのアニメで表現するのは難しいのかもなあと思った。
建築家のキャラデザが安藤忠雄だったので、ちょっと気が散った。

2023年2月12日
『イニシェリン島の精霊』を見た。
長年親友だと思っていた男から突然絶縁されるところから話は始まる。
人間関係の話だった。島の景色は美しく、ロバはかわいい。

コルムは思いやりに欠けていて、パードリックは想像力がないんだよな。パードリックの下位互換のドミニクを側に置いて、長年の関係が主にコルムの忍耐で成り立ったんだろうなと窺わせるのが上手いよね。
妹のシボーンは耐えかねて島を出ていったけれど、出ていって解決するものでもないし。

『シン・仮面ライダー』を見た。
素材を焼いて最小限の塩だけで味付けしたみたいな感じで、脂っ気がない。嫌いじゃないけど、人に勧められるかと問われれば躊躇する感じ。
場面、場面が繋がってなくて、すごいぶつ切り。でも、その場面、場面が最高にバチクソ決まってる。で、ラストバトルで、その最高に決まってたカットとか構図をわざと捨ててるんじゃないかなあ、みたいな感じ。
ライダーキックの殺意がとても高かったです。
「仮面ライダー」というのは、バイク乗りだし、仮面を被る存在なんだよ、というのを伝えたかったのかな。「仮面」を被るという行為にだいぶ意味を乗せてる。
この物語が始まる前は独りでバイクに乗ってた彼が、この物語の終わり、角島大橋を走る頃には三人でバイクに乗るようになった。それは本来彼の望んだ生き方ではなかったけれど、その変節を、人と繋がることの制限を、肯定的に説いてる気はしました。

『湯道』を見た。
「湯道」というお風呂の入り方が芸道として確立している日本を舞台に、実家の銭湯を続けるかどうかといった人情話が主筋となっています。
ゴリゴリに「湯道」を前面に押し出してるのではなく、あくまでそういうものがあるという世界として描かれていて、ジャンルとしてはホビー物だと思います。
わたし個人としては、丁寧な暮らしといったものはわりかし「けっ」と思うほうですし、裸で人と触れ合いたくない人間なので、趣味が合わない映画でした。
日本以外にもお風呂はあるのに、やたらと「日本日本」と主張していて、そこらへんも趣味が合いませんでした。
サウナで携帯電話を使うなとか、熱いの我慢させるなとか、首までお湯に浸かるのは心臓に悪いとか、病人を風呂に投げ込むなとか、化粧落としてから風呂に入れとか、いろいろ思わんこともなかったのですが、そこはまあホビー物ですので。

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を見た。
楽しかった。ようこうもめちゃくちゃなもん思いつくな。映画の話だと思いました。
風采の上がらない夫、反抗期の娘、うるさい父親、儲からないコインランドリー、迫り来る納税、と主人公の人生は上手くいってません。
もっと別の人生があったかもしれない、かもしない、かもしれない、かもしれない、といった可能性を積み上げて、受け入れて、捨てて、今ここにいるわたしを、何者にもなれなかったわたしを肯定する話だと思いました。
今ここにいるわたしを肯定できたのは、主人公の場合、家族がいるからなんだよな。

『Winny』を見た。
Winnyや事件に関しては、そんなのあったねえ、ぐらいの知識しかないので、この映画の妥当性は判断できないのですが、面白かったです。
この映画の金子さんは、プログラムのことを話す時とそれ以外とで話し方が違い過ぎて、役者さんは凄いなと思いました。
プログラマーにプログラミングを禁じることの残酷さがじわじわ伝わってきて、この映画を作った人の悲しみとか怒りとかいったものを共有できたように思います。
解説のためのものを知らない質問役として、法律事務所の若い女性事務員を置いていたのは、ちょっとどうかなと思いました。
Winnyの本来目的を端的に示す伏流として愛媛県警の事件も描いていたのですが、あっちもあの後どうなったかちょっと触れて欲しかった。
外食の場面がやたら多かったです。

『アントマン&ワスプ:クアントマニア』を見た。
量子世界とは名ばかりのスペースオペラっぽい世界で戦われても、あんまり興味が持たないというか。せっかく小さくなったり大きくなったりできるのだから、人間の家とか街とかでどんちゃかして欲しいというか。
世界の危機とかそういう大きな話より、生活の危機とかそういう小さな話のほうが、わたしの好みみたい。

『パンズ・ラビリンス』を見た。
夢も希望もない話だった。
想像力というのは現実に抗うためにあるものですけど、ですけど。
空想に耽溺してると、子供のまま死んじゃうよって話でしたね、現実方面から見ると。だけど、空想に耽溺しないで、オフェリアはどうやって心を守れば良かったんでしょうね。
最後、メルセデスの子守唄はたぶんオフェリアに届いてないっぽいのが、きついなと思いました。

Fedibird

様々な目的に使える、日本の汎用マストドンサーバーです。安定した利用環境と、多数の独自機能を提供しています。