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読了 川端康成/伊豆の踊子 

短編集。
表題作はなかなか面白く、深いなあ…と思いながら読めた。
「青い海黒い海」に関しては抽象的すぎて難しい!
シュールレアリスムもある?

川端文学は抽象的だったり、結末は読者に委ねるというイメージがついた。
考察のし甲斐があるというか、読んだ人それぞれに感想や解釈がありそうな感じ。

雰囲気などが好みに嵌まると面白いけど、嵌まらなかったら何度も同じページを読んで整理しながら進めていくという手順が必要になってしまう。

個人的には「雪国」よりも「伊豆の踊子」の方が好きだった。
前者は陰の恋愛だとすれぱ後者は陽の恋愛という印象。

読了 川端康成/雪国 

ちゃんと読んだのは始めての作品。

いやー難しい………
葉子の存在がイレギュラーすぎる!
意図してこういう存在にしたのかな。

島村にとっての雪国と駒子は「非現実的なもの」として、徐々に存在が認知され始め、駒子との距離も近くなり所帯じみて来たのが彼にとっては「現実」となり始めて、帰りたくなってきた。
そんな折、火事が起き葉子が落ちて来て…っていう一連の出来事は彼にとっては「雪国」の思い出を焼き払う比喩として捉えていいのかしら。

最後の駒子のセリフもよくわからんし、葉子の存在がわからん!
解説サイト見てこよう。

再読 伊坂幸太郎/夜の国のクーパー 

トム君懐かしかった。
割と内容は覚えていたけど、細かいところで そうだったなあ!となることがあった。
色々な考察が出来る1冊。

再読しても考察しちゃうし、考察サイトやレビューサイトを覗きに行きたくなる1冊でもある。

再読 伊坂幸太郎/ゴールデンスランバー 

こんな物語だったような気がする!というくらい薄い記憶しかなかったので再読して良かった。

想像以上に壮大な物語で、こんな人いた!こんな場面あった!と読み進める内に思い出してきたり。

ゴールデンスランバーは好きな曲でもあって、作内でビートルズに触れられていたりするとニヤニヤしながら読んでしまう。
当時のポールの思いを想像するとやりきれなくなるなあ。

本作で一番好きな人物は主人公の父親です。
キャラクターがいいし芯のブレなさも凄い。
実際に自分の父親だったら、と考えるとちょっとゾッとするかも。笑

再読 伊坂幸太郎/首折り男のための協奏曲 

意外と内容を忘れていて、あれこんな物語だったっけ?って思う場面が多々あった。
ところどころ別の作品と混乱して憶えていたりとか。
電子で買い戻して再読してみると思わぬ出会いや感想もあってやはり楽しい。

読了 長谷川博一/殺人者はいかに誕生したか「十大凶悪事件」を獄中対話で読み解く 

感想を書くのを迷ったが書くことにしてみた。
某Twitterでは事件系の感想を書くと、結構荒れたイメージがどうしても拭えない。

一章から宅間守との手紙や接見が始まる。
更に宮崎勤、畠山鈴香、加藤智大、小林薫と続く。
他にもいたものの自分は覚えていない事件だったり、匿名だったりした。
個人的にはやはり宅間守、宮崎勤、畠山鈴香、加藤智大に関してはかなり興味深いものだった。

著者自身が直接面会時にいわゆる心理テストを行ったりするのだが、その結果が本当に興味深いもので、更に比較するとその傾向と彼らの内面が浮き彫りになり面白かった。

重大な犯罪を犯す人は子供時代の環境が…、というのが定説になりつつあるが、登場した彼らはまさにその典型例。
もっと早い段階で然るべき機関に受診したりしていたら、もしかしたら違う未来があったのかもしれない。

中には自分の性衝動を抑えることが出来ず、通院やカウンセリングを受けていたり果には去勢手術をするために闇医者を探すことまでした被告人もいた。

実際に彼らと会った人のルポはとても貴重なものだと思う

読了 石田祥/ 元カレの猫を、預かりまして。

読了 南綾子/俺はこのままひとりぼっちで、いつかおかしくなってしまうんだろうか 

「死にたいって誰かに話したかった」がすごくよかったので読んでみた。
こちらは4人の登場人物たちの年齢層が高めでみんな40代。
それぞれに悩みがあり、それぞれの物語が語られる。

春来の人生にはとても共感するものがあり、自分も将来こういうことで悩むことがあるのだろうか…と不安になった。
独りで50歳は迎えたくない、と言っていた春来も物語の中では独りで50歳を迎えてしまう。

4人ともなにかと問題を抱えつつ50代に突入し、折り合いをつけたり、別の方向に切り替えたりして成長していく姿が描かれていた。

「死にたいって誰かに話したかった」の方が個人的には刺さって共感できる部分も多かった。
2冊とも考えさせられる内容ではあった。

読了 南綾子/死にたいって誰かに話したかった 

これは良書だった。
一気読みしてしまった。
生き難さを抱えるひとたちが、不思議な共同生活を送りつつ月に数回生き難さについての話し合いの会を行なう。
物語終盤にはそれぞれに良い変化が起きている。

彼らが語る生き難さというものがガシガシ突き刺さってくるようなリアルなものだった。
社会からの"こうあるべし"という同調圧力に馴染めなかったり、どこか人とずれているが故に生き難さを感じたり。
それでも会を開くまでの彼らはそんな社会に溶け込もうと努力する。
その努力がまた空回りしっぱなしで読んでいてしんどさすら感じるほどだった。
それくらいリアルな空気感を感じ取れるような筆致で描かれている。

続編的な作品もあるようなのでそちらも読んでみようと思う。

読了 米澤穂信/冬期限定ボンボンショコラ事件 

ようやくの小市民シリーズ新刊。

冒頭から小鳩くんが空を飛んでいて驚いた。
入院している現在と、中学時代に遭遇した酷似した轢き逃げ事件を回想していく形式。
中学時代の事故では苦い苦い思い出となっており、小佐内さんとの出会いも描かれている。

小佐内さんの大活躍があって今回の轢き逃げ事件に関しては解決を見たが、すべては中学時代の事件も関連していたり…。
それにしても小佐内さんがどんどん怖くなってる気がする。

これで四季全部刊行されたのでシリーズ完結になるのか、大学生編が始まるのか。
古典部シリーズの新作も待ち遠しい。

読了 須藤古都離/ゴリラ裁判の日 

興味深い1冊だった。
2016年に実際に起きたハランべ事件が根底にある。

アメリカ式手話を操ることが出来て人間の文化を少しずつ学んだメスゴリラのローズ。
科学の力を借りて声も手に入れた彼女は故郷のカメルーンからアメリカへ渡る。

渡った先の動物園で新たな生活に馴染み始め、雄ゴリラとの関係も順調に築いていった矢先事件は起こる。
ゴリラのエリアに子供が柵を乗り越え落下してしまう。
その男の子を助けに行った雄ゴリラが射殺されてしまうことになり、ローズは理不尽さに動物園を相手取り裁判を起こす。
しかし結局ローズはゴリラ、動物であるとの見方から時間も掛からずに敗訴してしまう。

その後ローズはプロレス団体に所属しプロレスラーとして生活をするのだが、とあるきっかけからもう一度裁判を起こすことに。
その時の弁護士が有能だったのと彼女の意識の変化もあり裁判は勝訴、彼女は人間として認められることになる。

人間文化を学び言語を操るようになった動物は果たして人間なのか、動物なのか。
どこからが人間なのか。
最後に故郷のジャングルに戻ったローズがすべてを表しているように思えた。
かなり深いテーマと内容で非常に興味深く面白く読み進めることが出来た。

読了 横溝正史/犬神家の一族 

映像作品でチラッと知っているくらい。
スケキヨの存在感のみで知っていると言っても過言ではないくらい。
原作を読んで良かった。

結構入り組んでいてバンバン人が死んで行ったのには驚いた。
スケキヨだけの印象が強かったのでこれだけの人が死んでいたとは…。
ボリューミー。

作品自体への印象がガラッと変わった1冊だった。
いつかちゃんと映像作品も観てみたいなと思った。

読了 横溝正史/悪魔が来りて笛を吹く 

途中から一気に人物相関がややこしくなって理解しきれなかったのが悔やまれる。
しっかり整理しながら読めばよかった。

読了 有栖川有栖/海のある奈良に死す 

読み抜けていた火村英生シリーズをしっかり読み進めようと思って手を付けた。

有栖川 有栖らしい旅行記、ご当地知識がたんまりでいい。
時代が時代なのでVHSやレンタルビデオショップ、テレホンカード、新幹線の車内電話など懐かしいものがふんだんに散りばめられていた。

事件に関しては動機から結末まで救いようがなく、切ないものだった。
ひとつのトリックに関しても懐かしい効果が用いられており、時代を感じた。
安定の有栖川 有栖作品という感じで幸先よき。

読了 横溝正史/獄門島 

なんかだいぶ昔に読んだ記憶があるような、ないような…。
釣り鐘を使ったり、逆さにぶら下げて…っていうの読んだ気がするような​:blobcatnotlikethis2:​という読後感。

復員船の中で頼まれたことを事前に防ぐ事は出来なかった耕助なれども、しっかり事件を解決することには成功した。
毎度のことながら本当に横溝正史の世界観はたまらなく好きだ。

読了 津村記久子/水車小屋のネネ 

ひたすらほんわかする1冊だった。
諸事情で18歳で8歳の妹を連れて、郊外で独立することにした少女。
その少女が働くことになる蕎麦屋の水車小屋にネネと言う名の話すヨウムがいる。
姉妹とヨウムを主軸に物語は進んでいくわけだが、1981年に始まりなんとエピローグでは2021年に。
8歳だった女の子は48歳に、18歳だった姉も58歳になっている。

いろいろな出会いと別れを経ながらの40年間が綴られていた。
途中途中でイラストが挟まれるのだが、そのイラストがいい味を出しており物語の世界に更に引き込まれる一因となっていた。
紙の書籍でゆっくりじっくり見てみたかった…。
読後感も良く、序盤を除けばのんびりほっこり読み進められる1冊だった。
私自身の田舎の風景と被せながら読んだが、端々からもしや本当にその地方のことなのかな?という描写があった。
そのこともより世界観に没頭出来るきっかけだった。

読了 逢坂冬馬/歌われなかった海賊へ 

「同志少女よ〜」が好きだった為読んでみた。
前回はロシアが舞台でリュドミラ・パヴリチェンコが登場したり、舞台などがかなり史実に基づいて描かれていた。

今作はナチス政権下ドイツが舞台で「エーデルヴァイス海賊団」が主軸となっている。
このエーデルヴァイス海賊団も当時の反ナチ政権の不良少年たちの組織として実在した。
相変わらずマニアックなところを描いてくれる。

物語中盤からは怒涛の展開となり、一気読み必至。
題にもなった歌われなかった海賊、という意味が分かってくる。
そして物語最後では色々な意味で現実に引き戻される。
あ、そうだ。そもそもこの物語は現代ドイツで始まっているんだ!と。

ナチス政権下ドイツの複雑な市民感情がうまく表現されていたのが印象的だった。
エーデルヴァイス海賊団の面々が線路を冒険するシーンはS・キングの「スタンド・バイ・ミー」を彷彿とさせるものがあった。

逢坂作品は「同志〜」と本作の影響でマニアックな軍事・ミリタリー・歴史小説として琴線に触れる。
果たして「エーデルヴァイス海賊団」を小説の題材にしようと考え実行する作家が何人いることか…。

読了 青山美智子/月の立つ林で 

全部の章を通して登場人物たちがなにかしらで繋がってくる。
共通点はタケトリ・オキナがやってるポッドキャスト。
月に関する豆知識などを配信している。

このポッドキャストの主とどうしてこういう配信をしているのかは後半に明かされる。
主の物語も含めて、とても深くまた素直なものだった。

1冊を通してほっこりする物語でとても良かった。

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