読了 逢坂冬馬/歌われなかった海賊へ
「同志少女よ〜」が好きだった為読んでみた。
前回はロシアが舞台でリュドミラ・パヴリチェンコが登場したり、舞台などがかなり史実に基づいて描かれていた。
今作はナチス政権下ドイツが舞台で「エーデルヴァイス海賊団」が主軸となっている。
このエーデルヴァイス海賊団も当時の反ナチ政権の不良少年たちの組織として実在した。
相変わらずマニアックなところを描いてくれる。
物語中盤からは怒涛の展開となり、一気読み必至。
題にもなった歌われなかった海賊、という意味が分かってくる。
そして物語最後では色々な意味で現実に引き戻される。
あ、そうだ。そもそもこの物語は現代ドイツで始まっているんだ!と。
ナチス政権下ドイツの複雑な市民感情がうまく表現されていたのが印象的だった。
エーデルヴァイス海賊団の面々が線路を冒険するシーンはS・キングの「スタンド・バイ・ミー」を彷彿とさせるものがあった。
逢坂作品は「同志〜」と本作の影響でマニアックな軍事・ミリタリー・歴史小説として琴線に触れる。
果たして「エーデルヴァイス海賊団」を小説の題材にしようと考え実行する作家が何人いることか…。