「菜食主義者」
冒頭のタイトル作品のみ、立ち読みしてきた。主人公の妻の「菜食」には具体的な理念や動機などがあるようには見えず(と言うか、強いて言えば見た夢の内容そのものが「理由」)、「健康を保つ」という目的意識も皆無、ただ徹底的に動物性食品を忌避するのみで、当人はひたすら痩せさらばえていく。終わり近くで飼い犬への凄まじい虐待場面(最終的には「食う」)が、目を背けたくなるような細密描写で描かれるけど、これは、彼女の「夢」なのか幼少期の実体験なのか、敢えて曖昧にされている。
そういう特殊な描写もあれど、やはり圧巻なのは妻の家族が一堂に介した際の「なぜ肉を食わない。さあ食え」という強烈過ぎる親族たちの「圧」の嵐(果ては暴力)。これ自体は、現実の菜食主義者も、程度の差はあれど、恐らく日常的に体験していることなのだろう。
そして、何気ない描写ながらラストの「謎」の戦慄度……。
ハン・ガン 「ギリシャ語の時間」読了。(結末に触れます)
意図せずとも暴力性孕む言葉に耐え切れず声を喪失した女性と、親しい人たちとの過去の悔恨と失われつつある視力に未だ戸惑う男性がギリシャ語を介し分かち合えぬ孤独と共に交差する。
男性は記憶の中の忘られぬ青を基調にビビッドな色彩がいまはもう見ること叶わぬこと儚むがごとくリリカルに一人称で書かれるのに対し、女性は凛とした清冽さ醸し出す三人称で書かれ、緩慢なる拒絶を基本とし、言葉発せた頃には墨の濃淡溶けだしたかのような思考滲むが、現在は閉じられた言葉が思考をも阻害し身振り手振りで感情心情推し量るしかない…。
後半、二人はあることきっかけに急速に近づいていき、暗闇に照明が当たる舞台劇のような場面で堰を切ったように男性は過去の出来事吐き出し解放されるも、女性は言葉に耐えるのみで、どこまでもすれ違うディスコミュニケーション。
それでもわずかに生まれたつながりは埋まらぬ溝を止揚し、詩のような文章の羅列のなか、光も差さぬ暗い海底に封じ込められていたがごとく亀裂が入った言葉が地上めがけて浮上し迸る、かぼそい明かりが見える先の開けたラストだと信じたい。
かなり難解でしたが素晴らしい作品でした。今年のベスト本の一作になります。
【クラウドファンディング】パレスチナの劇場・映画館アルカサバシアターの存続危機を救おう(artscape)
https://artscape.jp/article/26124/
「ヨルダン川西岸の中心都市ラマラに位置する重要な文化施設として、20 年以上にわたり 400 席の劇場と 300 席の映画館を運営してき」た、アルカサバシアターへの支援の呼びかけ。
4度も来日公演をしていたとは、知らなかった。
東京が地獄に😫
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7月の東京都知事選で政党の支援を受けずに躍進した石丸伸二・前広島県安芸高田市長は12日夜、自身のユーチューブ番組で、2025年夏の都議選に向け地域政党を結成する考えを表明した。「東京都議選に向けて地域政党を作ろうと思います。都議になろうという方は準備を始めてください」と述べ、候補者を募る考えを示した。
「石丸新党」結成へ 石丸伸二氏、25年の東京都議選に向け表明 | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20241112/k00/00m/010/365000c
これまで何回か勤め先を変えてるからそのつど経営側の人間ってのを眺めてきたわけだけど、私の観測範囲内では経営者って「に、人間としてそれでいいと本気で思ってる?」っていうマジ引き言動をふつーーーにするのよね。なんか~従業員をマジ所有物と思ってるというか、圧倒的に権力差があるのに自分と同じものを同じモチベで追い求めて当然と甘えてるというか、ゲーム盤の駒として見て恥じることもないというか、びっくりするくらい人間が見えてないの。資本主義ではそういうのが大成するのか育ちやすいのか、なんにせよ人間が理想とする人間なんて一番相性悪いでしょ。にもかかわず「富むこと」がすべてを正当化するくらい大きな力を持ってる世の中、冷静にならなくても相当きもちわるいよね。
🚗 車を持ったまま生活保護を利用できることもある
太田 伸二 弁護士
「ある青森の福祉事務所と話してだんだけど、バスが1日に2本しかか来なくても、目的地まで乗り継ぎ含め2時間かかっても「公共交通機関の利用が著しく困難」ではないんだって。じゃあ、日本のどこに生活保護で自動車利用が認められる場所があるんだろう。この感覚を、制度を打破する必要がある。
生活保護を受けて自動車を保有・利用できる場合はあります。
それを解説したのが、私も関わって作った生活保護問題対策全国会議のQ&Aです。
保有容認を求めるための申立書も入っています」
http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-416.html
ミャンマー支援情報を発信しおられるsucklaverさんのインスタ投稿。
「今年も全収益がミャンマー国内避難民支援などになる大型チャリティーイベントが開催されます。ミャンマーは3年前からクーデターで軍が不当に実権を握っている状況が続いていますが、ミャンマーの人々はびの民主化を諦めず、そしてその先には多民族国家ならではの連邦制民主主義(Federal Democracy)の国家樹立を目指しています。売り上げのすべてが支援になりますので、ミャンマーの食や文化に触れ、ぜひ応援をお願いします。
(略)
来れないかたも、広めていただけたら。
日時11/17(日)10時-17時
会場 戸山公園
最寄 高田馬場駅or新大久保駅10分 西早稲田駅6分
情報保障等について。筆談のご用意あります。わたし基本的にインフォメーションカウンターにスタッフとしていますので、他にもニーズやお困り事があれば可能な限り対応しますので、お気軽にお声がけください。」
https://www.instagram.com/p/DCPDXP_SyHP/?igsh=MXcwYXppeWVhb2JsNg==
電力・ガス取引監視等委員会は12日、東京電力グループと中部電力が折半出資する国内最大の発電会社JERA(東京)に対し、卸電力市場で相場操縦を行ったとして業務改善を勧告した。卸市場に電力を供給する余力があったにもかかわらず、発電を行わなかったことで取引価格をつり上げたという。
JERA、電力の卸価格つり上げ 相場操縦で改善勧告―取引監視委:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024111201118&g=eco#goog_rewarded
でも悪いことばかりではなく、『鋼鉄紅女』の翻訳でいい仕事をできたのはこの事件のおかげです。下読みの段階で参考図書を2冊設定していて、でもたいてい読むひまないんですが、このときは着手直後に強制入院になったので、もっていたタブレットのなかの本を読むしかできない。入院生活は最高の読書環境でした。ときあたかもコロナ期。4人部屋はカーテンで完全に区切られ、家族の面会はなし。換気のためにドアは常時開放で病院の業務騒音しか聞こえない。絶飲食の24時間点滴なので食事なし、風呂なし、たまにトイレ程度(小のみ)。あとはオムツをはけば噂に聞く某国のオンラインゲーマーが24時間連続ログインする態勢では。ぜんぜんおなかはすかず、ひたすら集中して本を読んでいられるんですよ。
あと、名古屋高裁がシーテック社事件で下した判決がめっちゃよい、ってことも教えてもらった!
「判決文なのに、ストーリーやドラマがあって面白い、ぜひ全文読んで」と。
https://www.asahi.com/articles/ASS9D23WZS9DOIPE009M.html
シーテック社で風力発電の計画がおこったときに、予定地の住民が勉強会を企画。
たったそれだけで公安が該当市民の監視活動を行い、
その情報を会社に流した、という事件。
今日紹介されたところだけでも、
(市民活動は)「極めて正当な行為」
シーテック社の行為こそ「地域を分断させ、地区単位の村八分を目論むものとして、違法である可能性が高い」
など、赤べこになっちゃいそうな文章!
言語。読書。映画。ニュース。